『楽園』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
それは多分、紙一重の世界。
堕ちた先を知る者はいない。
そして、戻ることは許されない。
許されては、いるのだろう。
ただ、そこに至る道を、忘れているだけで。
それでも、紙一重であることに変わりはない。
”楽園”はいつだって地獄に変わることを、誰もが理解しながら忘れて憧れるのだから。
楽園
『楽園』
(男性2人のお話です。お嫌いな方はお逃げ下さいませ)
2人で居れば幸せ。
2人で居れる場所が楽園。
なんて、思っていた時期は確かにあったのよ、俺たちにも。
せやから言うて、いつまでも甘い顔してるだけではすまされへんやん、一緒に生活しだすと。
なあ、何回言うたら靴下裏返ってるの直して洗濯機入れてくれるの?
またコンビニで袋買ったんか。
ええ加減、エコバッグ持って行けや。
てか、マンションの斜め前にスーパーあんねんから、スーパー開いてる時はスーパーに行ってぇや、その方が安いねんて。
ちょ、なんでこんなに雨吹き込んでるのに、窓開けたまま昼寝してんねん!
ホンマ、まじで意味わからん!
てか、洗濯物入れてへんから、メッチャ濡れてるやんけ!
あ~あ、またプリプリしとーわ。
ヤバイなぁ。
とはいえ、あの怒った顔がまた可愛いねんなぁ。
なんて言うたら、1週間はクチきいてくれへんようなるから言わへんけど。
付き合ってた頃は、普通に可愛い弟キャラやと思ってたけと、生活してみたらおかんキャラやってんなぁ。
けどそこがまたええねんなぁ。
気取ってんで済むっていうか。
俺の場合は、気取るどころかもうちょい気遣えって感じやろけど、やっぱり一緒に住んで良かったなぁ。
甘えて靴下そのまま洗濯機に入れるし、つい仕事帰りにお前の好きなアイス買ってまうし、雨にも気づかずに爆睡してるけど、反省はしてんねんで。
ほんま、ゴメンやで。
明日は奮発して、お前の好きなちょっと高い肉でも買うてこよかな。
勿論、エコバッグ持ってスーパーで。
《楽園》
好きなジャンルの本ばかりが取り揃えられているその専門書店は私にとって楽園とも言うべき場所である。
この店を教えてくれた同じ趣味の友人には感謝してもし足りない。
家からだと少し遠いからとわざわざ車を出してくれるのも更にありがたい。
圧倒的感謝の念を込めてハンドルを握るその姿を助手席からひたすら拝む。
「相変わらず大袈裟だな」
「大袈裟じゃないよ! やっぱり持つべきものは好みの合う趣味友だね!」
「はいはい」
この男と知り合ったのは、とある会員制SNSだ。
といっても怪しいものではない。
そこは趣味に特化した同好の士ばかりが集うSNSで、興味のない人からしたらちょっとマニアックかもしれないが、ただそれぞれが延々好きなものを語るだけの至って健全なものである。
熱量が強すぎてたまに会員同士で意見がぶつかり合うこともあるけど、平時は概ね平和と言っていい。
彼とはたまたま出た話題から同じ大学に通っていることが分かり、しかも同じ授業を取っているという偶然まで重なったことから、すっかり意気投合して趣味友達となった。
それから友情を育み、今ではこうして月に2~3度、一緒に書店巡りなどに出かける仲になっている。
同い年だけど、知識量といい行動力といい、私にとっては師匠のような存在とも言える。
「それにしても、あの店、本当に特殊だよね。個人経営のお店だからってのを差し引いても、あれだけあのジャンルに特化した品揃えってかなり珍しくない?」
「あそこは店主が趣味でやってる店だからね。伝手で希覯本なんかも扱ってるし」
「ほんと凄すぎ。そんで、そんな特殊な店をよく見つけたよね」
「あれ、言ってなかったっけ? あそこは俺の叔父さんの店なんだよ。叔父さん独身だし、ゆくゆくは俺が継ぐことになってる」
「え、そうだったの!?」
「そう。つまり、俺と結婚したら、漏れなくあの店も付いてくるってわけ」
思わず心がぐらりと揺れる。
趣味が合って、一緒にいて楽しい趣味友達。
ただの友達というにはあまりに至れり尽くせりで、正直なところ、もしかして私に気があるのでは……なんて冗談半分で自惚れそうになったことは一度や二度じゃ済まない。
私の方だって、全く気のない相手とこんな風に頻繁に2人きりで出かけるわけもなく。
何かきっかけがあれば恋に発展するかも、と期待をしなかったと言えば嘘になる。
告白をすっ飛ばして告げられたプロポーズめいた言葉。
でも彼の口調はとてもフラットで、冗談か本気かの区別もつかない。
いや、普通に考えれば冗談だろう。そうに違いない。
それなのに、私の心臓はその言葉を勝手に深読みしてバクバクと速いビートを刻み出してしまう。
ヤバい。どんな顔していいか分からない。
頬はどんどん熱を持って火照りだすし、思考は完全に飽和状態だ。
ほんの数分前まで好きな作家の本のことでいっぱいだった頭の中が、今や彼で埋め尽くされてる。
「良かった、全然脈がないわけじゃなさそうだ」
「えっ」
小さく漏れた独り言。
私に聞かせようとした言葉ではなかったのかもしれない。
でも、軽自動車の狭い車内、運転席と助手席はとても近くて、私の耳はしっかりそれを拾ってしまう。
つまり、それは、そういうことだよね?
私の都合のいい妄想とかじゃないよね?
斯くして彼は気の合う趣味友達から恋人へと関係を変え、数年の時を経て結婚し。
それから更に数年の時を経て、その楽園は私達の終の棲家となったのだった。
追放されたから、余計恋しくなる。
でも、楽園にも悪魔はいるんだよね。
『楽園』
いつの間にか、私は死んだみたいだった。ここは霊界らしい。私によく似た案内人が来て、小さな船に乗って、小さな島に連れられていく。
「霊界では、似た人同士で暮らす村や町がそこここにあり、その島もその一つで、私もそこの住人。同じ考え方するから意見の対立も起きず、平和に暮らせる、地味な楽園さ」と、言われた。
それは良かった。私はすっかり対人恐怖症になってるし。それでもたまには虚しくなったり不安になることもある。それが寂しいという感情なのかな。
「そんなときは、間接的に他の者と通信出来る装置があるよ」案内人は服のポケットからスマホみたいな物を取り出した。
「これは“スマホみたいなやつ”。よその村とも、前に生きてた世界とも通信出来ちゃう」
へえ、凄いね。生前の世界にまで。
「そうなの。だから、君がまだ生きてた2023年にも通信出来る、生前の君にも」と、案内人はスマホみたいなやつを弄りながら、
「一人で生きるのも死ぬのも不安で寂しいだろうし。だからって、直接的に話しかけるわけにはいかないんだよなあ」
じゃ、なんとなく示唆するのは?
「いいね、なんとなく示唆しよう。でもあの人鈍いから気が付かないかもね」
てことは、案内人も私も鈍いということである。死んでも治らないのかそこは。でも、自分と違う他者と比較することによって、初めて私は“鈍い”という事実が浮かび上がるのであり、比べる対象がなければ、そんなこと無いので、私が鈍いという事実は無くなるから、私はもう鈍くないのかもしれない。
「そんなことより、この件について文章書かせよう。言葉にして書き出せば、少しは頭の整理もつくだろ」
そうだね!そういえば生前、スマホでネットになんか駄文書き込んでたよ。匿名だからってよくやるよねえ。でも、お陰さまであの世は地味な楽園って知ってたみたい。少しは安心出来るじゃん。地味なところがいいと思う。私には相応ですよ。
人工的な響き。
誰かの区切った箱庭。
咲く花も、育つ生命も、あなたが決めたのだと思うと、招かれたわたしはただ恐ろしい。
あなたが整えた調和の中で、わたしは呼吸ができるだろうか。
#2 お題:楽園
#4 楽園
生きている限り、
留まることはできない。
それなら、楽園とは何を指すのだろう。
-楽しいことは、どうして終わってしまうの?
-悲しいことやつらいことが、必ず終わるためだよ
思い浮かんだのは、この台詞。
私は、私がいちばん落ち着く場所を知っている。
その場所が、どれだけ
かけがえのないものか
そして同時に、いつか必ず
無くなるものであると知っている。
そこに辿り着くまでの日々が
重くて、つらくて、
だから余計に今が愛おしくて。
ずっと、ずっと今が続けばいいのに。
その時がこわくて、こわくて。
ぎゅっとしがみついている。
私たちは、時間の流れや、
変化することから逃れられない。
それは救いでもあり、また絶望でもある。
その時まで終わりを知らなかったアダムとイブは
一体どんな気持ちで過ごしていたのだろう。
─楽園─
私ね、毎日夢を見るの!
私にとって夢は楽園なの。
だってね、嫌いな奴を殺せるの!
いじめてきた奴も、そいつの家族も殺せるの!
とっても楽しい夢なのよ!
でもね、その夢にも不思議なことが1つあるの。
それはね、嫌いな奴を殺した夢のあとには絶対、
追いかけられる怖い夢を見るの。
追いかけてくる奴は銃を持っててね、
この前なんて足を撃たれちゃた!
夢にしてはリアルで、とても痛かったわ。
それが昨日あったこと。
まだ足が痛いの。なんでだろう?
「まぁいっか!」ってあまり気にしなかったの。
今日の夢はね、今までよりも、とっても怖かったの。
いつも追いかけてくる奴に捕まっちゃった!
別の建物につれてかれて、お話をしたの。
でもね、話が長いの!つまらない!
あーあ、早く夢が覚めないかな。
題名『覚めない楽園』
自分にとっての「楽園」とはどこにあるんだろう?
誰しも一度は考えるのではないだろうか?
そんな話をしたら彼は笑った。
「『青い鳥』の結末知ってる?あれと同じじゃない?」
「えっと……青い鳥はすぐそばにいたってやつだよね……?ってことは楽園もすぐそばにあるってこと?」
「うん。そんなもんじゃないかな」
そんなやり取りをしてまた思考に沈む。すぐそばにあるという「楽園」。そんなものならとっくに見つけててもいいはずではないだろうか?しかし「楽園」は見たことがない。彼の考え方は時々分からない。
「僕にとっての『楽園』は君がいるところだけど君は違う?」
あぁそうか。なんか納得した。
「楽園」は手を伸ばせばすぐそばにあったのだ。
「ううん。違わない」
「でしょ?」
そうして二人ここが「楽園」なんだなと笑い合った。
心から信じ合い、身を寄せ合い、時にはぶつかり合っても心から許し合い、素直に求め、すぐ側に疑いのないぬくもりがある日々を過ごしても、人は、楽園を求めるのだろうか?
楽園
わたしにとっての楽園とはなんでしょう。嫌いな人や、苦手な人が居ないことかしら。人間関係が一番面倒くさくて、疲れるから。
「突撃!テメェが晩ご飯!ということで美味しくいただかれろ!」
扉を勢いよく開けて入ってきたのは、いつものエメラルドだ。そのエメラルドが来ると同時に、何もない白い空から紙が一つ。
「僕は食べ物じゃないぜ~。と、まぁその話は投げ捨てて、これみんしゃい」
「何じゃこりゃ?楽園…?」
「そ、楽園。なんか思いつく?」
さぁ、とエメラルドは首をかしげる。これはまた聞いて回るしかないのかな。エメラルドから、紙を返して貰い、それを机に置く。僕が椅子から降りて歩きはじめると、エメラルドもついてくる。歩いていった先には扉が一つ。やはり現れた。
扉を開けると単眼が一人。
「ヒトメ~。君の思う楽園とはなーに?」
「え?楽園?楽園かぁ、平和で温かい所とか、かな?」
答えを聞くとエメラルドは、パッパとどこかへ駆けていった。
駆けていった先には扉が一つ。扉を開けると双子が1組。
「イヤッフゥ!お二人さん!テメェらの楽園とはなんじゃらほいぃぃっ!」
「はいっ!私は美味しい食べ物があって、借金がない場所!」
双子の兄が答える。
「俺は偏見とか、差別とかない場所と思う。」
双子の姉が答える。後から入ってきた僕は、その答えを聞いて次の扉を探しはじめた。
探していると、扉が一つ現れた。開けた先には長い耳の人が一人。
「君の思う楽園とはなーに?」
「ダサTがある場所全てが楽園やろ」
その答えを聞くとまた、エメラルドが駆けていった。そのままエメラルドはどこかに消えていった。
ふらふらと歩いていると、扉が一つ。開けた先には、黒い髪の人が一人。
「はい、質問。君の思う楽園ってなに?」
「親がいなくて、クラスのヤツがいなくて、僕のことを馬鹿にしたヤツみーんないなくて、寂しくなくて、怖くなくて、辛くなくて、明るくて、楽しくて、元の、親がいて、クラスのヤツがいて、僕のことを馬鹿にするヤツがいて、寂しくて、怖くて、辛くて、明るくなくって、楽しくない場所に帰りたくないって思っちゃう場所。」
黒い髪の少女はその答えを聞くと、重いなぁと笑った。この黒い髪の人の時だけは、僕は質問される側だなぁ。そんな呑気なことを考えているうちに、黒い髪の少女は消えていた。少女がいた場所には紙が1枚。
『その元のいやぁな場所を作ってしまったのは君が原因だよ。どうせそうだよ。きっと』
「そうだよね。やっぱり、僕が原因であってるよね」
少女はそう呟くと、椅子に座り、目を閉じた。
耳寄せて君の鼓動で眠る夜 世界で一番小さく囲って
#短歌 #書く習慣 20230430楽園
君といる空間は
楽園のようだ
だけどこの楽園は
絶対じゃない
例えば親に邪魔された時
例えばからかわれた時
例えば
君があの人を見ている時
《楽園》
#30
私は彼のこと、遠くで見てるだけでいいの
友達には、へんなの、とよく言われる
彼は友達も多くて、よく通る声に、抜群のスタイル
推せる。
今日はたまたまマスクを取った顔を目撃した
人はマスク越しに理想の顔をイメージすると言うけれど、ハッキリ言ってイメージ以上
尊い。
ああ、明日は声とかかけちゃおうかな
他の人にするように笑顔で接してくれるかな
だめだめ、彼とは1年半前に愛想つかされた仲でしょ
私は私に今日も言い聞かせる
私は彼のこと、遠くで見てるだけでいいの
風になりたい。
風なったこの世界はきっと楽園だ。
全てを通り抜けてしまえば良い。
ただ、風には色がない。
きっと悲しい風も気付いてもらえない。
苦しい風も。
それでも風になりたい。
いや、だから風になりたいのかも。
私達は最初、楽園にいる。そこは悲しいことも嫌なことも何一つない。だが1つ。その楽園は裁判を行っている。その裁判の内容は────
天使 「では、今から貴方の罪について裁判を行います。貴方の罪状は、穢れなきこの楽園に血の雨を降らしたこと。このことについて、何か言う事はありますか?」
男 「はっ。なんだ、それは反省の言葉を言えってことか?俺はただこんな平和で退屈なこの場所に、すこーし刺激を加えただけさ。反省の言葉なんて出てくるはずがないね。むしろ感謝して欲しいぐらいだわ。」
天使 「...なるほど。貴方の意見はそれだけですね。こんなことする貴方なんかに反省の言葉を聞けるとは元から思っていませんでしたが...いいでしょう。では皆様!この者の思い、伝わったでしょうか!この者は約50人!しかも殺された物は全員模範的行動を心がけていたもの!そんな素晴らしい者達を殺したこの者は、情状酌量の余地などありません!よって、"人の子"になるということでよろしいでしょうか!」
"あぁ!そうしてくれ!こんな穢れたやつ、さっさと地上に落としてやってくれ!"
"私達もそう思うわ!こんな穢れたやつとずっと同じ空気を吸うなんて、そんななら私達を地上に落として欲しいくらいだわ!"
天使 「...満場一致ですね。では、それで決定しました。ほら、早くこの者を突き落としてください。」
男 「"人の子"...だと...ふざけるな!殺したやつも結局は生き返るだろ!?それの何がマイナスになるんだ!」
天使「...貴方は何も分かっていない。生き返るからいいんじゃないんだ。貴方みたいな穢れたやつがこの楽園にいることに皆反対しているんだ。大丈夫。穢れの塊の地上で死ねば、ここに戻ってこれるし穢れも落としてこれる。...まぁ、自殺をしなければ、ですけどね。ニコッ」
男 「そ、そんな...」
天使「さようなら。また、死んだ時会いましょう。」
私にとっての楽園とはなんだろう。
今この瞬間幸せを感じることはできる、
が楽園とまでは行かないだろう。
楽園とはなにか
楽園はどこにあるのか
いつ楽園と感じるのだろうか。
人が死んだら楽園、天国へ行くとはよく言ったものだ。天国を見たものはいないだろう。だが、国民の半数以上は信じているのだろう。
きっと天国へ行く、という思想は神からの最後の贈り物なのだろう。だがその贈り物はそうそうに貰いに行くものではないのだろう。だからいつかの楽園のために今日も私は息をする。
アダムとイブの エデンの園(楽園)からの追放をいう
旧約聖書《創世記》2~3章によると
アダムとイブは苦しみも心配もなく
エデンの園に住んでいたが
蛇の誘惑に負けて知恵の木の実を食べた
神の命にそむくこの行為(原罪)のため2人は楽園を追われ
それ以来人間は苦労して働き
ついには死する運命となった
= 楽園追放
つまり、この世界に楽園は無い。
_ ₄₁
楽園の定義とは
思い付く限りでは
桃源郷かはたまた酒池肉林か
正直「そんなとこあるんか?」
という程度の知識しかありません
勿論経験もありませんし
そもそもですが
わたしにとっては楽園ではありません
こんなお題が出なければ考えもしませんでしたが
わたしにとっての楽園とは
ふかふかのお布団に横になって
眠ることかも知れませんね