「突撃!テメェが晩ご飯!ということで美味しくいただかれろ!」
扉を勢いよく開けて入ってきたのは、いつものエメラルドだ。そのエメラルドが来ると同時に、何もない白い空から紙が一つ。
「僕は食べ物じゃないぜ~。と、まぁその話は投げ捨てて、これみんしゃい」
「何じゃこりゃ?楽園…?」
「そ、楽園。なんか思いつく?」
さぁ、とエメラルドは首をかしげる。これはまた聞いて回るしかないのかな。エメラルドから、紙を返して貰い、それを机に置く。僕が椅子から降りて歩きはじめると、エメラルドもついてくる。歩いていった先には扉が一つ。やはり現れた。
扉を開けると単眼が一人。
「ヒトメ~。君の思う楽園とはなーに?」
「え?楽園?楽園かぁ、平和で温かい所とか、かな?」
答えを聞くとエメラルドは、パッパとどこかへ駆けていった。
駆けていった先には扉が一つ。扉を開けると双子が1組。
「イヤッフゥ!お二人さん!テメェらの楽園とはなんじゃらほいぃぃっ!」
「はいっ!私は美味しい食べ物があって、借金がない場所!」
双子の兄が答える。
「俺は偏見とか、差別とかない場所と思う。」
双子の姉が答える。後から入ってきた僕は、その答えを聞いて次の扉を探しはじめた。
探していると、扉が一つ現れた。開けた先には長い耳の人が一人。
「君の思う楽園とはなーに?」
「ダサTがある場所全てが楽園やろ」
その答えを聞くとまた、エメラルドが駆けていった。そのままエメラルドはどこかに消えていった。
ふらふらと歩いていると、扉が一つ。開けた先には、黒い髪の人が一人。
「はい、質問。君の思う楽園ってなに?」
「親がいなくて、クラスのヤツがいなくて、僕のことを馬鹿にしたヤツみーんないなくて、寂しくなくて、怖くなくて、辛くなくて、明るくて、楽しくて、元の、親がいて、クラスのヤツがいて、僕のことを馬鹿にするヤツがいて、寂しくて、怖くて、辛くて、明るくなくって、楽しくない場所に帰りたくないって思っちゃう場所。」
黒い髪の少女はその答えを聞くと、重いなぁと笑った。この黒い髪の人の時だけは、僕は質問される側だなぁ。そんな呑気なことを考えているうちに、黒い髪の少女は消えていた。少女がいた場所には紙が1枚。
『その元のいやぁな場所を作ってしまったのは君が原因だよ。どうせそうだよ。きっと』
「そうだよね。やっぱり、僕が原因であってるよね」
少女はそう呟くと、椅子に座り、目を閉じた。
4/30/2023, 1:06:28 PM