『時を告げる』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【時を告げる】
時を告げる教会の鐘が
高く低く響く
いよいよその時が来たのだ
僕は背中の羽を羽ばたかせ
塔の窓枠を蹴った
「時を告げる」
私は腕時計が好きだ
シンプルなデザインの物を好む
私の持っている腕時計の中で
特にお気に入りの物がある
それは、フェルト生地の黄色い時計
息子が保育園の時に作ってくれた物
文字盤は一緒に
マジックで書いた
あの日の16:20…
私の大切な黄色い腕時計は
いつ見ても幸せなあの日のあの時を告げる
永久に狂うことの無い
幸せな時間を...
ピピピピ、ピピピピ――
朝を告げる目覚まし時計の音が鳴り響く。恋人たちは揃って音の鳴る方に向かって手を伸ばした。
ピピピッ――
青年の方が先に目覚まし時計に手が届く。その上にもったりと彼女の手が重なった。
「あさぁ……」
なんとも言えない気の抜けた彼女の声が耳に届く。青年は手のひらを回転させて重なった彼女の手を掴んで自分の頬に持っていくと寝ぼけ眼で頬擦りした。
「本日の仕事はぁ……?」
「休みですぅ……」
「俺も休みぃ……」
ふたりは力の抜けた会話を繰り広げると、青年はゆっくりと瞳を開けて彼女を見つめる。
「……起きる?」
青年の言葉に、彼女は片方だけ瞳を開けてぼんやり考えて、もっさりと身体を起こした。
「起きます……」
青年は彼女の手を離さないまま、手の甲に唇を寄せた。
「じゃあ、起きようか」
「あい……」
仕事であればふたり共、もう少しシャッキリと起きるのだが、休みだと気が抜ける。
青年も身体を起こして、彼女の頬にキスを贈ると、ぽやぽやした彼女が青年にもたれ掛かった。
「ほーら、起きるよ。起きないとくすぐっちゃうよ!」
「いやだぁ、起きますぅ……」
カクンッと彼女の重さが青年の肩に伸し掛った。
「……」
ほんの一時だけ間を置いて、青年は彼女を精一杯くすぐって起こしてあげた。
おわり
一一三、時を告げる
時を告げる
夜中にやたらと響く秒針の音は
身動きできず止まっている私を
置いてけぼりにして進んで行く。
心音のような安定の秒針の音は
まだ子宮に守られた赤子の感覚になる。
不安と安心は表裏一体だと
全ては過去になって行くと
冷静沈着に時を告げゆく。
間もなく今日が終わる
やり残したことはないかな?
やっておけば良かったと思うことがあるのなら
手帳に記しておこう
これからやってみたいことがあるなら
それも手帳に記しておこう
どんどん書いて手帳のページをめくるんだ
めくる音が君に時を告げる
昨日が終わった音
そして新しい一日が始まる音
良い一日が始まるから
時を告げる #4
今日はなんだか学校終わり散歩をしたい気分だった。田舎の緑に囲まれたあぜ道をゆっくり歩く。今日あった出来事、
明日はどんな1日になるかを考えていた。
遠くまで広がっている田んぼや空を見渡して、世界の広さを身に感じる。
かれこれ1時間くらい散歩してたのかなあ。時の流れの速さを実感した1日だった。
街中に響く大きな鐘の音。この音が鳴れば子供は家へ帰るし井戸端会議の奥様達も家へ戻る。会社員は今日も残業を覚悟し、若い男女は闇に溶け込んでいく。
例え友人と喧嘩しようとも。
例え子供が家へ帰ってこなくなっても。
例え街から人が消えようとも。
街は次第に火の海となる。次々に建物が崩れ落ちる。岩の下にいる虫みたいにぐちゃぐちゃと人が慌てふためく。
悲鳴など聞こえていないかのように、平和を象徴する鐘の音が滑稽にも響き渡った。
『時を告げる』
「時を告げる」
時を告げる鐘が鳴る。
「さあ、冒険へ出発!」
僕が少し大きな声で言った。
「おー!」
パーティーのメンバーは言った。
僕達のパーティーは歩き始めた。
「時を告げる」
仕事中、ある時間になると来る人達がいる。
あぁ、来たなと思って時計を見ると、
だいたいいつも同じ時間。
だから私達にとってその人達が時を告げる人。
たまに違う時間に来る時があって、
そんな時は調子が狂う。
どうかしたのか?と余計な心配をしちゃうし。
定時に来られても、それはそれで困るんだけどね。
【時を告げる】
刻一刻と刻まれる時計の音
もう二度と戻れない過去
人々の成長を感じたり、
過去に戻りたいと思ったり...
我が家の裏手にはお寺がある。
毎朝6時になると境内の鐘をついて近隣に時を告げている。
騒音というほどの音量ではないのに、鐘の音が鳴ると自然に眠りから覚めるようになった。
目覚まし時計やスマホのアラームに起こされるより穏やかに目覚めることができる。
今日はちょっと遅くまで寝てようかな、という日まで目が覚めてしまうが、そこから始まる二度寝もまたよし。鐘の音を聞きながら、ゆっくりと再び眠りにおちていく瞬間がとても好きだ。
「時を告げる」
『時を告げる』
刻一刻と刻まれる時計の音。
もう二度と戻れないあの頃。
人々の成長を感じたり、
過去に戻りたい、なんて無理なことを思ったり。
嬉しいような、悲しいような
そんな気持ち。
「別れよう」
私は彼に時を告げた。
彼は悲しそうな顔をしていた。
今までずっと言いたかった。
ついに今日言ってしまったのだ。
何故だろうか…自分の心が苦しい。
彼の顔を見られなくなっていった
段々と目から涙が溜まっていって
ついには零れてしまった
そして私はついに逃げ出した
私は…本当に彼に言いたかったのだろうか…
「時を告げる」
毎日夕方5時。チャイムの音が聞こえたら、曜日の確認をして1人でスーパーに行く。あなたを作るご飯を考える時間は嫌いじゃない。
/時を告げる
『時を告げる』
「昔」
ピピピー
もうこんな時間!
遅刻遅刻
お母さんなんで起こしてくれなかったの
急げ急げ
「今」
ピピピー
(スマホを見て)
もうこんな時間か
とりあえず、SNSチェックしよー
やった
10いいねついてる
行きたくないなー
まぁ行くか
終
時を告げる腕時計を指先で軽くタッチする。
わざわざ鳴らさないと仕事と休憩の切り替えが出来ないほど、忙殺されていた。
「忙しいときこそ、お昼ご飯はしっかり食べる!」
昼休憩削ってでもやらないと、結局残業が長引くだけしゃない。ムッとしてしばらく無視していたけど、ある日、急に、神の啓示があったのかと思うくらい突然に「休憩しよう」と身体が望んだ。
そしてお腹がくちくなると、負の感情が追い出されて感情がフラットになる。見落としたモノに気づける。結果仕事がはかどることを体感したのだ。
今日は何食べようかな?
「時を告げる」
昔夢見た青写真。想像していた大人とは違うけれど。
同窓会で聞いた近況に、それぞれの人生を垣間見た。
告げられた時刻はいつも過去のもの
/お題「時を告げる」より
【時を告げる】
かき氷を欲っし下調べ
気合い十分に計画し
臨時休業の貼り紙に立ち尽くす
慌てて探した移動先で
営業時間のお知らせが
悲しい時を告げる
かき氷
お早めに
真っ暗な世界だったのに目が覚めると
そこは現実で
羅列する線と線の視界は僕の体を直立させて。
頭が上にちゃんと来たら、夢から覚めたんだと気づいて
繰り返してる呼吸とそっと伝っていく汗の粒たちが
温度を知らせてく
僕の体に
本当の現実 ってやつを見せてくる。
体はいつも生々しくないが、こういう時は生き物だって
わからせてくる。
そうだ僕らは生きてる、こうやって身体が変化していくのを
感じて
時は僕らの細胞が教えてくれる、いつもは隠れてる闇の中に
そうやって油断をさせて最後はリミットかけてくる。
最期の時があるように。