『恋物語』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
私の恋物語は、少女漫画のように
運命の出会いなんてものはないし、
物語のゴールなんてものはない。
心が綺麗な主人公のようにもなれない。
恋をすると、自分の性格の悪いところも、独り占めしたいという気持ちも、全部分かってしまう。
でも、それが恋というやつだ。
一見華やかに見えても中身はドロドロ。
でも、それでもいい。
恋というのは、ゴールがないからこそ、自分で終わらないハッピーエンドをつくっていくんだろう。
あなたに恋をして
あなたと付き合い
あなたに触れて
私は、嬉しかった。
けれど…あなたの身近には…他の女がいて
私は…冷めてしまいそうだった。
寂しかった
自分の悪いところなんてない。
それで…あなたは…別の女に触れて
別の女を好きになる。
そう…後戻りは…できないくらいショックだった。
それから…私の人生は…普通に暮らし
普通に一人で生活していた
ところが…買い物帰り雨が降り
私は…傘をさした
雨宿りしていたその男となんと偶然のように再開してしまう。
しかも子供がいた。
男は…私を覚えていた。
なんだか…悩んでいた。
しょうが無く私のアパートで雨宿りをさせた。
そして、温かいココアとコーヒーを淹れた。
彼は…急に話した。
あいつとは…やっていけない…
毎日毎日のよう家事は、俺がやって
子供も放置。
産まれたときは…素直に喜んでいたが…
保育園行きだした瞬間変わった。
と本当の悩みを打ち上げた。
その後…奥さんとの離婚話があった。
その奥さんは…別れたくなかったが…彼は…耐えきれないと言い子供を連れて離婚届けを出し彼は…私のところに来た。
その数ヶ月…
私は…再婚の彼と結婚して新しい家庭を気づいた。
子供も増えて幸せだった。
しかし。
私が…買い物帰りに彼の前の奥さんに出会ってしまい
その奥さんに私は、突然叩かれた。
私は…奥さんに彼の全てを話した。
けれど…奥さん…あんたのせいで私の家庭は…めちゃくちゃだ!と言い押し出された
私の身体は後ろに倒れた
女は逃げた
近所の人が喚いて救急車呼んだが
私は…意識がなかった
警察の声すら聞こえなかった。
数時間後子供と夫は…私の遺体を見る結末になってしまった。
夫は…前の奥さんを逮捕するために色々手を尽くし
1年後…彼の元妻を逮捕
けれど…俺の妻は…戻って来ない
恋物語
「君は緑が似合うね〜。」
彼女はそう言って、芝生に寝転がり読書をする僕の額に濃い緑の葉を当てがいながら、顔を覗き込んでくる。
ふわふわとした髪の毛からシャンプーの香りがする。
僕はそれを聞き流しながら、「シャーロック・ホームズの冒険」に集中する。
「オレンジも似合うかな〜水色も似合うかな?」
そう言いながら彼女はどんどん僕の額に小さな花を乗せていく。
右目が水色の花に邪魔されながらも、僕は抵抗を続けたが棺に入る前に顔中を花だらけにされているのはいささか不愉快だと感じ、読書を中断した。
頭をぶるぶると振って顔中に乗った花たちをふるい落とす。
彼女は僕が反応したことで、嬉しそうに笑いながら言った。
「私には何の色が似合うと思う?」
「黄色」
考えるよりも先に言葉が出ていた。
即答した僕に驚きながらも、彼女は
「どうして黄色だと思ったの?」
と僕に尋ねた。
「わからない、適当。」
と答えると彼女はブーブー言っていた。
彼女に初めて出会ったのは、13才になった頃だった。
僕は家の事情で、中学生に上がると同時に祖母の家に引っ越すこととなった。
知らない人達ばかりの学校に入学し、読書が好きで無口な僕は一人も友達ができなかった。
1人で休み時間外を散歩していると、校舎の裏の花壇のそばにある木の下にはあまり人が来ないということに気づいた。そこを自分のお気に入りスペースに認定した。
休み時間はいつもそこで読書をして過ごした。
「ねえ、何を読んでるの?」
ある日彼女は現れた。
彼女は、環境委員として花壇の手入れをする係らしい。
土をいじるのは、あまり人気では無いようで係も彼女一人しかいないらしい。
彼女は僕が無視し続けても話し続けながら花壇の手入れをせっせと行っていた。
何故か僕は彼女に気に入られ、迷惑なことによくお気に入りスペースに出現するようになった。
彼女は花の手入れをする時間がとても好きなようだった。
花の名前を全て知っていて、聞いてもいないのに僕にそれを教えながら楽しそうに水をやっていた。
花の話をしている彼女は幸せそうだった。
1度、大きな台風がやってきて花壇の花が全てボロボロになってしまった事がある。
茎が折れ、葉が茶色くなり、花に詳しくない僕から見てもそれはもう戻らないことを物語っていた。
萎れたその花たちを見て彼女は初めていつものくるくる変わる表情を無くし、黙ってそれを見つめていた。
泣くわけでも、喚くわけでもなく、ただそれをじっと静かに見つめてとぼとぼと帰っていった。
僕はその週末、誰にも内緒で近くの花屋へ行って何個か彼女が好きだと言っていたような花の苗と肥料を買って学校の花壇に埋めにいった。
初めて触る土は爪の中に入ってきて少し嫌だった。
土の中には幼虫や色んな虫がいて叫びそうだった。
虫が大の苦手だった僕は何度も休憩しながら、苗を植えた。
高さや列が綺麗に揃うと少し気分が良くなった。
水を少しだけあげて、その日は帰宅した。
翌日いつものように、木の下で本を読んでいると彼女が無表情のまま、とぼとぼと歩いてきた。
花壇の前で立ち止まると、その顔にはみるみるとあの光のような笑顔が蘇りパッと明るくなった。
君のその笑顔はまるで、君が大好きな花のひとつのマリーゴールドのようだった。
「お花がたくさん咲いてる!」
幸せそうな彼女の笑顔を見ていたら、なんだか胸の中がじんわりした。
「あ!君の笑顔はじめてみた!」
彼女はそう言って僕を指さす。
「笑ってないよ。」
そう言って僕はまた本に視線を戻した。
「…ああ、だから君は黄色なのか。」
そう呟くと、彼女からのはてな攻撃がまた
僕を襲ってくる。
それを無視して、
「ちょっと待ってて。」
とだけ言って、僕はまた君に似合う花を探しに行く。
そしてそれを受け取った君の顔には、また黄色い光がパッとついて僕はまたそれに負けて柄にもなく微笑んでしまうんだろう。
君のその光が僕をあたたかくしてくれる。
それをこれからも、君が教えてくれた愛する花たちを通して伝えていこうと思う。
そんな綺麗っぽいお題ばっか出されたって困るよね〜🥺
恋物語ってなんだ百人一首で十分だし恋なんてそんな綺麗なものじゃない。所詮その「好き」だって自分に利がなきゃ生まれない感情。結局みんな恋してるのは自分自身。
【お題:恋物語】
思ってた
数百倍の
甘すぎる
恋物語を
贈られている
恋物語といえば、
古いもので源氏物語、新しいものはsilentとか?
でもいつも嘘っぱちのフィクションの恋に憧れてた。
私は、恋に恋してた。
4歳。きっと白い馬の王子様に会えると信じていた。
9歳。担任にそんな夢は無いと現実を教えられた。
14歳。卒業式の日に告白されるのを夢見てた。
今。周りの恋の話を聞いて、泣きそうになる。
私だって、好きでいられる彼氏が欲しい。
私だって、ずっと好きでいたい。
私だって、誰かを一途に愛したい。
なんで愛せないんだろう。
蛙化現象。みんなそれを女の我儘とか言うけど。
私は本当にそれをずっと患っている。
くちゃくちゃと音を立てて食べるあなた。
サプライズと言って予定も聞かず誘うあなた。
それを断った時の舌打ち。
夜遅くにメールしてきて、返事しないと怒ってきて。
他の男と話すなっていうくせに、
あなたは私以外の女の子と楽しそうに話すんだね。
失望。絶望。諦め。
たった二文字で表せるのが、とてももどかしい。
私とあなたの1年は、
こんな二文字で終わっちゃうんだね。
さよなら。
大嫌いなあなた。
私の恋物語。恋は何者か。私にとってかけがえのないものであり私を強くしてくれたもの。
《恋物語》
最初は君じゃない別の子が好きで
でもどんどん君に惹かれていって
気づいたら君のことしか頭になくなってて
多分依存し始めた
君からLINEが来ないと何も手につかなくなって
君と電話してないと寝れなくなって
君と会えないと不安になった
いつか壊れるんじゃないかって不安になるほど
私たちの関係は脆い
きっかけは私で私のせいで
君は変わった
今まで以上にゲームに夢中になって
出会い系アプリもはじめた
ごめんなさい
私が悪いの
あんなにいい人だった君を
変えてしまってごめんなさい
嘘だって思うかもしれないけど
私はまだ君のことが大好きなの
一目惚れして
自分を磨いて
アプローチしたり
駆け引きしたり
それとなく視線を送って
気づくかな?なんて
告白した日には
こちらこそなんて
幸せだろうな
でも現実はそんなことはなかった
自分磨きも
一目惚れも
駆け引きなんて以ての外だった
よくドラマとか
ネットで見かける
一目惚れしたあの人がまさか両想いだったなんて
そんな奇跡が
そんな幸運が
恋物語なんだろうね
羨ましいなぁ
お題:恋物語
タイトル:こぼれ落ちる
きみと、なんの隔たりもない世界で、せーので呼吸をしてはじめてわたしたちやっとそばにいるって分かる、心もとなさも噛みころして生きてきた、久しぶりにきみの目を正面から受け入れる、ただ、その全てが、美しかった
僕はあの子に恋をした。
横顔がとても美しくて、透明感があって
綺麗で美人な人だった。
でも、いつもあの子を見ると
僕の胸は、高鳴ると同時に
不安な気持ちで溢れた。
あの子を見ていると
寂しいような悲しいような、
そんなような気持ちになった。
ある日、あの子は突然いなくなってしまった。
どこを探してもあの子はいなかった。
僕はあの子について何も知らなかった。
名前と見た目以外、何も知らなかった。
僕はあの子について調べた。
そしたら、あの子はもう
死んでいた。
恋物語-。
小説・漫画・映画など、恋物語はどれよりも1段と美しく儚く映し出されている。
現実、つまり私たちの恋愛はそのものと同じくらいの、綺麗さがあるのか-。
ところで最近は、同性恋愛をしている人も増えてきている。私は何か異性への恋より、同性への恋の方がよっぽど美しいと思えた。
叶いそうで、叶わない。
思いが届いているのか。
それとも、違うように捉えられているのか。
そして最後、打ち明けた時には困ったように笑い、謝って拒んで来る-。
だけれど、なんとか自分だけのモノにしたくて、独占したくて、自分だけの色に染めてやりたい。
そんな、人間の禍々しい心情が現れてくる同性恋愛が、異常な程にドロドロとしていて。そんなところが私には、理由は自分でもわからないのだが、好きだった。
私は、綺麗なままの白く淡い恋よりも、
重く、少々汚らしい愛(恋)の方が、美しいと思っているのかもしれないな,,,。
恋物語
昔のCMで、恋は遠い日の花火である、ってそんなキャッチフレーズがあった。凡そ関係ない世界だった。いつでも片想いで、何も言えずに…数えきれないくらいの恋物語を読み漁ったのに、現実は余りに寂しいもので…甘く刹那い恋物語を夢見るだけの時代(とき)だった…
恋物語
恋は語る物
恋を語り恋に騙される
恋は落ちる物って誰かが言ってたっけ
誰だったか忘れたけど
物語としての恋は好きだけど
多分それは恋ではない
それに物語が好きなんだと思う
もっと言えば
誰かの物語であって
自分のじゃないのがいいんだろうね
物語る恋
それはほぼ自覚はない
側から見た恋なんだと思う
恋してる人らは
それどころじゃないだろうからね
終えた恋の物語
ひとまずの結果は出てる話
それが物語だから
ところで恋より
別の理由で人は結ばれるんだけど
恋してないのに結ばれるから
接点が大切なんだと思う
簡単に言うと好意や興味
それが育てば恋になるんじゃないかな
恋に落ちるってのは
多分恋に気がつくこと
自覚してる方が有利なんじゃないかな
時々街ですれ違ってく中に
騙してるなって笑顔を見かけるけど
一生懸命にしてるんだから
別に悪くはないのかもしれないね
切ない恋は、したことある?
私は、あるよ...
初恋は、叶わないって言うよね。
そのとうりだった。
期待なんてしなきゃよかった。
(フィクション) 恋物語
恋愛小説も、恋愛映画も
苦手な私が…何を書けるだろうか。
ただ、誰かが誰かを想う
たおやかな姿は美しいと思う。
恋というものが
時や場合や相手によって
それだけでは済まされない事も
多々あるとは、知りつつも。
ひとりでも多くの人が
自分の恋物語の主人公でありますようにと
願ってしまうような
本日のお題は【恋物語】
誰かへ好意を抱いたこと
誰かにさよならをしたこと
誰かから呼び止められたこと
誰へも振り向かなかったこと
誰かと見つめ合ったこと
誰かから目を逸らしたこと
誰かとすれ違ったこと
一瞬の人生に置き換えれば、それら全てが愛しい恋物語なのかもしれない。
『恋物語』
ずいぶん、日が長くなった。
そう思いながら、会社からの帰り道、まだ少し明るいので、ちょっと寄り道をしたくなった。
私のお気に入りの書店。
お店には、年配のおじさんがひとりでいつもいる所だ。
「ギィ」と軋むような音がする、年季の入った木の扉を開けると
「いらっしゃいませ」と静かな声。
あぁ、これがいいんだ、と私は思う。
音楽もなく、お客も少なく、みんな静かに本を選んでいる。
ここは、本好きしか来ないだろうな、といつも思っていた。
ときおり、コーナーを移動する静かな靴音と本の頁をはらり、とめくる音。
私の好きなコーナーを見ている。と、
目についた小さな本があった。
取り出してみると文庫本サイズの本で、表紙がハードカバーのそれのように、とてもしっかりしている。
タイトルは『恋物語』とあった。
私が戸惑ったのは、タイトルに似つかわしくない、艶消しの黒の装丁だったから。
その中に、白い字でタイトルが書かれているのだ。
(なんだか喪に服しているみたい)
その本は、見た時からそう思えてならなかった。
不思議な気分だった。
そして、好奇心がムクムクと出て来て
気がつくと、店主のおじさんの前に立っていた。
「これ、ください」
そういうと、店主は口元に笑みを貼り付けながらこう言った。
「お客さん、ときおりいらっしゃいますね?」
不意に言葉を投げかけられ少し驚いたが、客商売なのだ。会話くらい。
「ええ、私、このお店の雰囲気がとても好きなんです。静かで」と言うと、
「お客さん、かなりの本好きですよねぇ。そうでなきゃ買わない様な本ばかりを選んでらっしゃる」
不意に言われ、また少し驚いた。
買っていく本まで覚えているなんて。
すると、それを察したように店主は、「うちは、ベストセラーの本とかは置かないので、自然と本好きなお客さんばかりになるんですよ」
なるほど。たしかに大きな書店に平積みにされて、派手な謳い文句がつけられている様な、そんな本はここには無い。
「ありがとうございます。また、いらしてください」代金を支払い、会釈をひとつして、本を受け取り店を後にした。
お風呂上がりの夜、さっき買ってきた本が気になり、開いてみる。
タイトルが入っただけの頁の次は、目次だった。
どうやら3つの小説が入っているようだ。
私はそれを見て、首を少し傾げた。
《目次》
1 予感と期待
2 苦悩
3 その時
あとがき
「なんか、変わった本……なのかな」
とりあえず「1」を読んでみようと、本を開いた。そこに書かれていたのは
「予感は、いつも違った形で訪れる。
そして私は期待する」
そしてパラパラと頁をめくったけれど真っ白な頁が続くだけだった。
「2」も似たような物だった。
「苦しい、辛い。こんなにも辛いのは彼女のせいなのだ。私はどうしたらいいのだろう」
そして、やはり何も書かれてはいなかった。何なのだろう、この本は。
最後の「3」を開いた。
「やはりやるしかないのだ。でも、私にできるのだろうか。いや、やらなくては、私達は幸せにはなれない」
私は、もはや呆れてしまっていた。
一応、「あとがき」も見てはみた。
やはり、真っ白な頁があるだけ。
「何、これ。こんなの本とは言えないじゃないの」とつぶやき、この本をどうするか、考えた。
買ったその日に、処分はできない。
頃合いを見て、処分しよう。
そう思うと、無駄なお金を使ってしまった、と少し腹立たしくもあり、その本を無造作に本棚に閉まった。
そんな事もすっかり忘れていたある日、会社の同じ課の同期の子がパソコンに「知ってる?今日からこの課にひとり入ってくるんだって。しかもかなりのイケメンだって!独身だってさ。どう?何だかときめかない?( *´艸`)ムフフ」と顔文字付きで送ってきた。私は見つからないように、
「くだらない事を言っているヒマがあったら、さっきの書類、早くお願いね」と送ると、すぐに
「あいかわらずの真面目ちゃんね!
はいはい、すぐやります〜(๑¯ ¯๑)」と返ってきて、クスリと心の中で笑った。
「新しく、本日付で配属されました、間宮智也です。皆さんの足を引っ張らないよう、1日も早く仕事を覚えがんばりますのでよろしくお願いします」と言うと拍手が起こり、課長が、
「そうだな、柏木くんの横が空いているので、柏木くんに分からない事は聞くといい」と言った。
それは、私、柏木さつき、の横だった。
あまりそういうのに疎い私でさえ、独身の女子社員達の刺すような視線を感じた。(仕事を教えるだけじゃない、馬鹿馬鹿しい)と思いながら、
「間宮さん、私、課長に言われた柏木さつきです。何かあったら私のわかる事なら言いますので」と言って、
間宮を見た。
まあ、イケメンなのは認めるけど。
と思いながら、結局は仕事ができるかなのよ、と思った。
「柏木さん、出来たのですが、これでよろしいですか?」
「あ、はい。では課長に渡してきて下さい」と言いながら、仕事の飲み込みの速さに驚いていた。
その週末、間宮の歓迎会があった。
本当は、もっと早くにやるはずが、思いがけない仕事が入り、延び延びになっていた。
もちろん、独身の女子社員達は、仕事が終わるとロッカールームで念入りに、しかしナチュラルに見えるようメイクを直し、ヘアスタイルまで変えて
いた。
驚いたのは、私以外、全員の私服が合コンのそれのようだった事だ。
パソコンで、いち早く間宮の情報提供をした、倉石まさみも気合いが入っていて、いつも通りなのは私だけだった。
「ちょっと、さつき!あんた、出遅れてるじゃない!隣にずーっといるクセに」とわざわざ言いに来た。
「だって、ただの歓迎会」と言いかけると、まさみは私を隅にグイグイと連れて行き「さつき、気をつけなよ。これはみんながライバルなんだから。誰がトモ君をモノに出来るか」
私は意味がわからず、戸惑いながら
「ごめんね、トモ君て誰?」と言うと
「あんたのお隣の間宮トモ君じゃない!!」とまさみが言った。
私はもう帰りたくなった。
「柏木さん、お疲れ様です。どうぞ」
「あ、どうも」そのトモ君、もとい間宮君からお酌されて口だけつける。
「アルコール、苦手ですか」と聞かれ
「うーん、というよりこういう場があまり性に合わないだけ。ごめんね、今日は間宮君の歓迎会なのに」
先程から、可哀想に、間宮は上司や先輩男子に挨拶に行きかけると、誰か誰か、女子につかまり、困っているようだった。
そして、ようやく上司と先輩に挨拶を終え、席についたのだ。
「間宮君こそ、お疲れさま。質問攻めにあって辟易しているのじゃないの?」と微小を浮かべて私がお酌すると
「いやー、女性の多い職場は初めてなので、ただただもう、驚いちゃって」と言い、そこで人懐こい笑みを浮かべ
「柏木さん、お疲れ同士、別のお店に行きませんか?」と言った。
次に間宮が連れて行ったのは、落ち着いた感じのいいお店だった。
するといきなり、彼が手を掴み
「仕事以外では、さつきさん、って言っていいですか?」と言った。
その仕事中とは別人のような、甘い吐息混じりの声に、私は何も言えなくなってしまった。
はあ〜、たしかにイケメンだわ。
でも、あまりにも揃いすぎていて、逆に私は妙に気持ちが覚めていた。
「ごめんなさい、私にはそんな器用な真似、出来ないの。間宮君は私が教えるべき後輩、それだけなの」と言うと
ぽかんとしている間宮を残して
「ありがとう、これ、ここのお勘定」と言って、お疲れさま、と言い私は家に帰った。
シャワーを浴びてパジャマになると、ふと思いついて、あの本を出してみた。
頁をめくり、目次を見ようとしたが、なかった。さっきはあったのに。
それどころか、中を開くと、よくある恋愛小説になっていた。
(私、よっぽど疲れたんだ)と思うと、本当に疲れが出てきてベッドで一気に眠ってしまった。
朝、目が覚めて伸びをして、ハッとして「い、今何時?!」と、血走った目を時計に向けると気がついた。
今日は土曜日だ。
お休みだった。
あれ?本は?
夕べ開いたら、あの変な目次もなくて、中は普通の恋愛小説になっていたのだ。
それを読みながら寝たのだから….。
しかし、ないのだ。
ベッドの布団をどかしても、挙句はマットレスの隙間を見ても本棚を見ても、どこにもない。
「私はよっぽど、恋には縁遠いんだな〜」本までいなくなるなんて。
間宮も、この後きっと誰かと付き合い始めるのだろう。
それもひとりではなく、何人かとうまくやるのだろう。
妙に手慣れていた気がする。
「気をつけないと、下手するとあの本にあったみたいにドロドロの刃傷騒ぎになるよ」と何気なく言ってから、ハッとした。
もしかして、あの本は、望む持ち主を探して現れるのではないのか。
そして、役目を終えると、また目立たない本屋の棚に並んでいて、誰かが手に取る。
急に動悸がしてきた。
だけど、外でチュンチュンと鳴くスズメの声と明るい青空が、馬鹿な考えを払拭してくれた。
「休みなら」また寝なおそう。
そう思って私は何事もなかったかのようにベッドにもぐった。
恋物語…一目惚れはしないと思ってた。よく友達が一目惚れして付き合ったとか話をしてた。そんなの自分はないと思ってた。
でも、今の彼に出会ったのは自分の一目惚れだった。
彼を見た瞬間好きになってしまっていた。
やっぱり、友達が言うように一目惚れはあるんだな。
恋物語
私が好きって言ったら
あなたも好きって言って。
それ以外は認めない。