『形の無いもの』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
#87 形の無いもの
本当に形の無いもの、なんてあるのかな?
思考や感情は、脳内でホルモンやら電気信号やらがわちゃわちゃしてる。
風は、空気があっちからこっちへ流れているせい。
目で捉え難いだけで、物理的な作用があるという意味では形が無いわけではない…解釈次第ではあるけれど。
炎はどうだ?目には見えるけど触れない。
熱と光のエネルギー。
考えてみるとエネルギーは不思議だ。
何をするにも、ちゃっかり存在している。
温度の上昇や電球の点灯、高い所から物を落とす…
菓子パンの栄養表示にあるカロリーに慄いたり。
拳を握るとき、脳から発信された命令が手の神経まで伝わり、筋肉が収縮して…というようなことが起こっている。
どのくらいの力がかかっているかは、握力計で計測できるし、熱くなった腕を触って感じることもできる。
でもエネルギーそのものではない。
私達はいつも、エネルギーが起こした結果だけを見ているのだ。
グーグル日本語辞書より
エネルギー:
1.精力。元気。
2.物理学的な仕事に換算しうる量の総称。
位置・運動・熱・光・電磁気など。
「―保存の法則」
3.動力資源。
「省―」
#形の無いもの…
喜怒哀楽
人の心は移ろい行くもの
形あるものばかりにこだわっていると
形の見えないものを見落とし
大切なものをなくしてしまう
失くしてしまって気付いても
もう見つけられないのょ…
ねぇ…そうでしょ?
形のないものとは
その形を形容する言葉がないってこと
だから、何々のようなとか、質感とか、色とか
周りの情報を増やして輪郭をなぞる
言葉にしにくいものも
言葉を尽くせばいつか伝わる
伝えたいが形を与える
伝わってほしいが影を生む
いらなくなった気分の日
自分を見失っていたと気づいた日
どうにかこうにか言葉を紡ごう
言葉にならない想いでも必死にしたためよう
あなたの影の形を丁寧に丁寧になぞる作業
言葉に尽くし続ければいつか!いつか!
形の無いもの
どうしたら…と、今日も出口の見えない答えを考えててしまう…君と出逢ってから、ずっと君に振り向いて欲しくて…平凡過ぎて、何の特徴も無いから、知り合い以上になれなくて…この想いをどうしたら君に…
夫婦って
色々な形があるとは思います
ただ、その形は
有るようで無い
目には見えないけれども
なくてはならないもの
信頼がほぼ大半かと
無力でいて確固たるもの
紙一重ですよね
そこを大事にするかしないかは
これまた形ないもの
そんな不安定な
それでいて決定的な
其れを守るのが
わたしの希望なのです
形の無いもの
見えないもの
聞こえないものは
怖くて信じられないよ
そんなに強くないよ
形のないもの。
形のないものは
愛でしょ?
形のないものは
魂?
形ないものは
想い。
【形の無いもの】
「可愛いよ」
「素敵だよ」
「好きだよ」
「愛してるよ」
そんなセリフを吐いていても
その『愛』はゴムのように薄っぺらい。
誰も傷つけることが無い。
だが余計にその言葉が突き刺さる。
どのように『愛』を示したら良いか
誰も知らないし、表せることが出来ない。
『形の無いもの』
それだからこそ
良くも悪くできる『凶器』になる。
#形の無いもの
愛してるって言葉が苦手。
だって『愛』ってさ、ものじゃないじゃない?
形がなくて、曖昧で、人によって解釈が変わる。
愛してるって囁いてくれる人は、どうして愛が分かるのかしら?
愛、逢い、藍、哀
アイって沢山あって困ってしまうわ。
そう言って寂しそうに笑った君の顔が僕は忘れられない。
奴の視線は難しくない。憧れ、屈折、欲情、堕落、苛立ち、焦り、こもっているものは色々あるが、読みとるのは簡単だ。だからこそ征服しがいがある。奴はそれを望んでいる。それは圧倒的に正しい。同時に、なにものかから開放されたがっている。奴が言うにはそれは「故郷」らしいが、おそらくそこで染みついたもの、なのだろう。私に征服されることと、その関係は分からないが。
「あの、****さん。今夜――」
そう、私の部屋を訪れた奴がせつなげに訴えてくる。
「いいや、気分じゃない。またな」
「そうですか。では――」
だが、私はその申し出を蹴った。奴は少ししょげた様子で、水差しから注いだ水を呷る。いじめたいわけじゃない。焦らしているわけでもない。ただ、今夜じゃないだけだ。
「では」
「待て」
そう、短く言って辞そうとする奴を私はやはり短く呼び止める。
「そう構えるな。今日じゃない。――今でもないぞ?」
「はい」
ではいつ、と訴える奴の胸倉を掴み、引き寄せる。奴はあくまで無抵抗だが、重心のとり方から、奴の意思は明らかだった。
「――」
黙って唇を奪う。舌を差し出すと、奴は黙ってそれを受け入れた。
「――」
「――」
奴の息は異常に長い。以前海に落ちた宝石を拾ってきたことからそれは分かっていたが、奴が音をあげるまえに、私が唇を離した。
「あの」
そう、おずおずと問いかける奴はまったく息が乱れていない。
「生意気だな」
「え?」
「今してやってもいいが」
だが、やはり気分じゃない。奴を突き放し、その濃い色彩の目をのぞき込む。深いようで浅い黒目に囲まれた瞳に青が見える。
「明日、K****で待っていろ。気分がのれば迎えに行く。いいな」
「はい。あの、待ってます。できれば僕が酔いきらないうちに」
その瞬間、奴の瞳の青が煌きを増し、並外れた色を見せた。――実に単純だが、しかし、その奥に灯る暗さも奴は隠せていなかった。それは旅団長も、他の誰もが見落としている鈍い光だ。それがひどく憎くて、ものにしたい。そんな私の欲望を、こいつは察しているのだろうか。
どっちでもいいか。
どのみちこの男は――。
「行ってくれ」
そう言ってわざとらしく興味を失った、つれない女の顔をして奴を突き放す。
「待っています。......」
たまに口にするよく分からない、どこの言葉ともつかない何かを低くつぶやき、奴は部屋を出た。
「......」
ひとり残った部屋で私はす、と短剣を抜き、すぐに鞘に戻す。理由はよく分からない。投げるものでなく、格闘向けの重さと振るいやすさを重視した一本だ。
奴はすでに諸手をあげているようでいて、その実まったくそうではない。
「本当に、生意気なやつだ」
私に奴が征服しきれるのだろうか。
単純なくせに水のように捉えどころのない奴が。
――まあ、そうでなくては面白くないな。
私はそう心に決めるようにして、奴が残していった、よく冷えた水をひと息に飲み干した。
来たる記念日にふと立ち止まり、振り返る。
愛しいもの、楽しいもの、辛いもの、後悔、その全てがごちゃ混ぜになって迫ってくる。
そのすべては俺を形作っているモノ。思い出を全部固めたら、俺という形になるんだ。
だけど、愛は。
手を伸ばしても掴めなくて、後ろを振り向いても前を向いても何も見えない。だって自分だけじゃどうにもならないことだから。
ほら、君も振り返って俺に手を伸ばしてる。俺はそれを必死に掴み包み込む。
形の無いそれを、俺は必死に抱き締める。
まるで君自身を抱き締めるかのように。
▼形の無いもの
愛は形がないから信用できない、言葉も約束も、明日には私を裏切るかもしれないものたち。
その点お金なんかは信用できる、あのコインも紙切れも、ずっと変わらずその数字分の価値を持つものたち。
でもどうしても信じているのは君との約束。
でもどうしても救われるのは君からの言葉。
だから人間ってこんなに不幸で、幸せなのかもね。
#形の無いもの
いつか私は死ぬ
その時に泣いてくれる人がいてほしい
死は人生の通知表ってよく言ったものだ。
その反面、誰にも泣いてほしくないとも思う
形の無くなった者を思って涙するなんて辛すぎるから
形の無いもの
目に見えず、手に取れない
言葉、愛情、友情、信頼。
形の無いものは、第六感までフル稼働
して感じ取る。
ときに誤解を生み、ときに形になる。
形の無い分、伝わった喜びは大きい。
形の無いものは苦手だ。
心も、夢も、愛も、全部。
見えない。触れない。
だから期待する。
だから不安になる。
振り回されてばかりだ。
掴めやしないのに。
/形の無いもの
「形の無いもの」
私の中に1本の樹が伸びている
一粒実が落ちた
熟れていない実
樹は朽ち果てる
私の中に1本の樹が伸びている
触れることはできない
私が育てた幻の樹
いつか熟した実を
あなたに食してほしい
貴方は私に色々なものをプレゼントしてくれた。
アクセサリー、服、お誕生日ケーキ、お花……
どれも1つ1つに思い出があって、全部大切。
でも、今までにくれたものの中で一番大切なものは、形は無いし目にも見えない。
それは、愛。
お題#8:形の無いもの
「形の無いものってなーんだ?」
「それはね、私にも解らない」
「愛?怒り?憎しみ?嬉しさ?」
「どれも正解だけど、どれも違うの」
_2023.9.24「形の無いもの」
君に心に触って欲しくて
だけどそれはきっと酷い痛みを伴って
同時に僕らを引き剥がす事と同様で
判っているよ、って呟いて
曖昧なままで君の側を守っている
違う 自分を守っている
目に見えない約束や時間を
数えきれないほど重ねては
その度に君しか見えなくなって
怖いからまた約束をして
終わらせるのが怖いから
見えないように目を閉じている
君の匂いの中で
形のないもの
金魚が死んだ。 夏祭りの金魚すくいでとった金魚だ。
赤い尾鰭がひらひら揺れているのがきれいで。
エサやりの時間以外にも、よく眺めていた。
朝起きたら、水槽の水面に腹を浮かべて死んでいた。
死んだってのに、赤い尾鰭がひらひら揺れていた。
すくっても動かず、ただの命の抜け殻だった。
小さな庭に埋めてやって、手を合わせた。
形のない、命というものに、少し触れた気がした。
前回の花咲いての続編?です。小さな庭くらいしか重なる部分がありません。(みけねこ)