『届かぬ想い』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
あの子にも あの人にも
あの彼女にも あの彼にも
たくさん たくさん
クチに出してはいけない
そんな想い
届け
#届かぬ想い
『神様へ』4/14→『届かぬ想い』4/15
外に出られない。
私は、閉じ込められていた。
真っ白な部屋で、ずっと不自由で
いや、不自由ではないかな?
それは、外を教えてくれる友達がいたから。
私に優しくしてくれる友達がいたから。
「でも、そっか、、、
君は私よりも大切な人が出来たんだね」
信仰が無くなった、私を想う人が0になった。
体がパラパラと崩れていく。
もう二度と会えないけど、
せめて君の幸せを想うよ
「幸せになってね」
届かぬ想い
言葉では表せないほど、想っています。
届かなくても、想っています。
いつか会えたとしても、話せるとしても、きっと声は出ないでしょう。
出るのはきっと涙だけ、そしてそれは止まることはないでしょう。
それだけ想っていて、それだけ苦しくて、それだけ...。
その時までは、届かぬ想いを想い続けて、必ず、逢いに行きます。
どんな試練も、運命も、乗り越えて必ず。
貴方にとっての幸せ、でいてください。
いつもいつも、想っています。
一言の勇気
ただ一言言葉にするだけでいいのかもしれない
だけどその一言がなかなかでないのだ
その一言で
嫌われてしまうかもしれない
そんな事を考えるととても言えそうにないのだ
たった一言 かもしれないが
私にとっては 大切な一言なのだ
この一言を言うために
今日も勇気を振り絞っている
「そんなこと言われなくてもわかってる」って良く言ってたけど
例えば「今やろうと思ってたのに」とか
言われなくてもわかるようなことをわざわざ親切に教えてくれる人こそ信頼できる人だと思った
恋焦がれ密かに想いを募らせていたのか、単なる憧れであったのか。一人の人として好いていたのか、もっと違う何かがそこにあったのか、それは今でもよく分からない。いや、自分の中でもそれがなんなのか理解出来ないでいる。周囲の中で際立ってよく見える彼女は、誰にでも優しく、いつも柔らかな物腰で会話をする。どんなときも分け隔てなく接している彼女の可愛らしく、どこか大人びている顔立ちや、そこに浮かぶ笑顔はまるで女神様のようであった。
小学二年生の時分だったか、私は男女共に友に恵まれていた 。毎朝、登校すれば教室で級友と他愛もない話に花を咲かせる。担任の教師が大きな声で元気よく皆に向けて挨拶をすれば、教室には笑顔と活気が溢れた。朝の会を終え、授業が始まり一日が始まる。楽しい国語や頭を悩ませる算数、時折挟む雑談に時の流れはその勢いを早めたようにあっという間だった。昼休憩で美味しい沢山のおかずに心を躍らせ、食缶に残るご飯をおかわり。誰かが要らないと残した牛乳を貰って一気に飲み干した。午後の授業は、眠気との戦いだった。たらふく食事をして、眠くならないはずは無かった。体育の授業では、皆はしゃいでいた。教師もまた笑顔を絶やさ無かった。放課後には重いランドセルを背負い、背中にシミを作りながら家へと歩く。級友と別れ、同じ方角に向かう仲の良い友と道草を食いながら帰宅。直ぐに宿題を終わらせて家を飛び出れば、友の家に走った。
そんな毎日の中に私の心を掴んで離さない、ひとつの出会いがあった。教室では、仲の良い友や席の近い級友とばかり会話をしていたから気が付かなかった。席替えの機会に、「 H 」さんとのそんな出会いは訪れた。二年生とはいえ、どこか落ち着いていて周囲とは違う雰囲気の彼女の隣に席を移した私は夢中になっていた。他の女子とは違う話し方や振る舞い、節々に見られる品の良さや大人っぽさ。なぜこれまで気が付かなかったのか分からないが、この出会いは私の人生を大きく動かした。毎日のように他愛もない会話をする輪の中には、彼女は参加してこない。だが、私と二人きりの時や私を除いて周囲に女子しかいない時だけは笑顔を見せて話をしてくれた。柔らかく優しい声音と、どこかお姉さんのような雰囲気と惹き込まれそうな笑顔。私は彼女に夢中になっていた。彼女は誰よりも早く登校することを知ったある日を境に、私も朝早く登校するようになった。教室に入って、手持ち無沙汰で退屈をしていても仕方がないので皆の机を拭いて窓掃除をしていると彼女はやってきた。包み込むような優しさを全身から放ち、心が締め付けられるような優しくて可愛らしくて愛おしい笑顔で挨拶をしてくれる彼女に、私も精一杯の笑顔と元気な声で返事をする。二人きりだけで沢山のことを話した。宿題のことや友達のこと、遊びのことや晩御飯のこと。取り留めもなく意味もない話にも、笑顔で相槌を打っては笑ってくれる彼女もまた、普段は聞かない自身のことを話してくれた。親密になって行けば行くほど、彼女がクラスの中で男女共に人気があって、信頼されていて頼りにされているのかを知った。振りまく笑顔や、何があっても否定せず受け入れてくれるその姿勢に皆して惹かれていたのだろう。
三年生、四年生と時が流れていくが、私の彼女へ抱く気持ちは変わらなかった。そして彼女もまた、やはり周囲とはどこか違う雰囲気を纏い、女神のような優しさで誰をも受け入れる振る舞いに変わりはなかった。それどころか、まるで観音菩薩様のような慈愛のようななにかを持っているようにも感じるようになっていた。怒ったところを見たことがなく、不機嫌そうな姿も見せない。誰かと話をする時は眩い笑顔を見せ、誰かを励ますときには優しく寄り添い、誰かが泣いていれば隣で涙を流し、その後にはいつもの笑顔と優しさで包み込んでいた。同い年とは思えない人間味が彼女にはあったのだろう、だから皆は彼女を頼り心を寄せていたのだろう。私もまた、初めての出会いから彼女に強く想いを寄せていた。しかし、その想いの正体は分からないでいた。幼い頃から兄の友達のお姉さんなど、女性と接する事が多かった私は異性に対する認識や感性のようなものが少し周囲とは違っていたのだろう。高学年ともなれば、男子は女子のスカートから覗く下着にはしゃぎ、話す内容も健全な男子といったものだった。しかしそれが私にはよく理解できていなかった。幼い頃からこの時まで、女子と距離が近かったことで性を意識して人を見るということをまだ知らなかったのだろう。
しかし、クラスの男子も女神のような彼女にだけはやはりそのようなことを口にしなかった。男子の間で年相応な下の話をする時、彼女のことは絶対に口にしなかった。今思えば、彼女に対する敬意のような何かが皆の中にあったのかもしれない。尊厳を踏みにじってはいけない、彼女の品格が下がるようなことを口にしてはいけない。そんな何かが、彼女とずっとすごしてきた者の心の中に生まれていたのかもしれない。少なくとも、私にとって彼女の存在はとても大きく偉大なものだった。神さま仏さまのように意識していたかもしれない。
中学に入学して直ぐのこと、私の兄たちが存続してきた研究部に私も入部した。もちろん、仲の良い友人を引き込むことも忘れなかった。おかげで廃部の危機を脱したと、兄や先輩や顧問が喜んでいた。しかし、好奇心旺盛な私はほかの部活動にも興味を抱いた。武道館から聞こえてくる軽く弾む音が気になり、友人と覗きに行けば卓球部という存在を知った。楽しそうな様子に、すぐに数学の教師で卓球部の顧問だった強面の先生に声をかけた。今から夕方までラケットを持って素振りをしていれば入部して良し、との言質をもらって友人と2人で夕方まで素振りをしていた。しかし、数カ月と時が経った頃のこと。いつも朝早くや夕方に聞こえてくる楽器の音色が気になって音楽室へ行った時、そこでも私は衝撃を受けた。たくさんの楽器が沢山の音色を重ねて、バラバラの波紋がひとつの揺らぎになっていくのを感じた。音楽室の外から、開け放たれたドア越しに練習風景を見ていると吹奏楽部顧問の音楽の教師や女子部員の先輩方から声をかけられた。
興味があって覗きに来たことを伝えると手を引かれ、椅子に座らされ、様々な楽器のマウスピースを机の上に並べ始めた。男子部員の皆は渡り廊下や思い思いの場所で個人練習をしており、女子部員は音楽室や準備室、またはその付近で練習をしているらしく、私の周りには女子部員の先輩や同学年の女子しかいなかった。皆が皆、今吹いていた自分の楽器のマウスピースを私の目の前に並べて楽器の紹介と説明が始まる。沢山話しても分からないだろうと、マウスピースを1つ手に取っては私の口に当てがった。金管や木管、大小様々なマウスピースの吹き方を教えてくれた中で私が安定して音を出せたのはトロンボーンだった。トロンボーンは一番最初に私に気がついて手を引いてくれた、可愛らしい顔立ちの先輩だった。結局、そのまま低音パートに参加することになってその日はずっと練習をしていた。
翌日の放課後に、研究部に顔を出すと顧問に声をかけられた。掛け持ちをしていることを怒られるのかとも思ったが、「頑張っいて偉い。研究部の為に入部してくれただけでも嬉しいのに、こうして顔を出してくれて活動にも参加してくれることはとてもありがたい。卓球部と吹奏楽部を掛け持ちしてなかなか顔を出せないと思うけど、気にせず楽しんで欲しい」 と逆に褒められ感謝された。しかし、この掛け持ちは本当に大変だった。研究部には大会などは無いが文化祭で、研究資料の発表がる。卓球部は秋の新人戦があり、吹奏楽部にもコンクールなどがあった。私は朝早くに登校して音楽室で個人練習をして、放課後にはある程度の時間まで吹奏楽部にて合をした。その後研究部に顔を出して、個人的に調べたいことなどの書き出しを共有して卓球部に向かった。暗くなるまで練習をして帰る。これを続けていたが、好奇心だけで乗り切れるものでは無かった。支えてくれる先輩やたまたま同じパートにいたHさん、もとい女神の彼女の存在が私の背中を押していた。
部活動以外にも変化したことはあった。それは、教室で決めた委員会活動だ。私は保健委員になったのだが、これはもちろん誰も委員になりたくないからだ。そして、先生からの指名とHさんの一声で決まった。保健委員会は毎週木曜日に理科室で行われるとのことでその旨を三部活動の顧問に伝えた。そして、木曜日にHさんと理科室に向かいながら、話をした。なぜHさんは保健委員に立候補したのか、なぜ私を指名してくれたのか。質問に対して、中学生になっても変わらない柔らかく優しい笑顔と、さらに惹き込まれそうになるほど磨きのかかった話口調で返事をしてくれた。「誰かの為に、影で何かをするのってとても素敵だからかな」、「〇〇(私)を指名したのは、秘密。だけど、〇〇は私と同じような考え方や物事の見方をしているからかな」と私の頭を撫でながら微笑んだ。
保健委員会に集まったのは、一年生から三年生までの各クラス二名ずつの18名。男子は私しかおらず、不安だった。以前にもこんなことがあったが、それは小学五年生の頃に取り入れられたクラブ活動での出来事だ。私は家庭科部に入部したのだが、ここには他に男子はいなかった。仲間ハズレにされないかと不安だったがこのときは、顧問もクラブのみんなも隔てなく接してくれたことで私は全力で楽しむことが出来たのだ。しかし、性の目覚めがまだない私でも女性は結集すると強く怖いものだとよく知っている。ましてや中学生ともなれば尚更だ。恐怖でしか無かったが、保健委員会の顧問の保健の教師も、委員の女子全員も皆仲良く打ち解けることが出来た。そして、私のことも受け入れてくれたことで不安は払拭された。しかし、それでもやはり男子は私だけであることに変わりはなく、そんな中でたった一人の男子の意見など通るものかと別の不安も芽生えていた。
二回、三回と委員会を重ねるうちさらに委員会の親密度は高まっていた。いつも不安だった私も、Hさんに手を引かれて理科室に入室する。すると決まって、委員長が膝を叩いて「〇〇、おいで」と声をかけてきた。すると他の先輩も「〇〇、私の方が好きでしょ?私、優しいよ!おいで」と調子に乗り始める。どうすればいいのかと戸惑っていると、「〇〇、ほら」とHさんが私の腕を引いて自身の膝に招いた。Hさんの膝に座っていると他の先輩から代わる代わる膝に座るよう促される。結局、顧問の保健教師がくるまで私の心が落ち着くことは無かった。委員会活動をしている者は、委員会開催日は部活動が免除される。この頃になると保健委員会が終わっても皆、理科室で時間を潰してから帰宅していた。私は可能なら吹奏楽や卓球に顔を出したかったが、委員の殆どが吹奏楽部員だったこと、委員長が吹奏楽部の部長だったこともあって叶わなかった。委員会が終わり、理科室を出ようと席を立つと「〇〇〜、どこにいくの?」と先輩や部長(委員長)から声をかけられる。練習出来なくても、挨拶だけはしておこうかと伝えると制止された。曰く、あまりに早い時間に帰宅したり部に顔を出すと委員会活動が緩いものなんだと思われかねない。それに、遅くなる時の方が多く、開催日は部活動が免除されているからそういう時こそゆっくりしていって欲しいということだった。聞こえは優しい。しかし、この女子の中にいると時に恐ろしく思うことがある。それに、女子は集まると怖いものだ。だから一刻も早くこの場を離れたかったのだが、この話をされては部への顔出しはできない。
部への顔出しを制止されたので、せめて御手洗にいったついでに外で時間を潰そうと考えた。御手洗に行ってきますと声を掛けて部屋を出ようとすると、着いてこようとする。一人で行けるからと断ると、「嘘ついて戻ってこなかったら、わかるよね」と脅し文句をかけられる。そんな中、Hさんだけはいつも違う角度から私を引っ張ってくれていた。「〇〇、委員会のことで××先生に報告に来るように言われてるから一緒に行こ」と引っ張り出してくれたりといつも頼もしかった。私を可愛がってくれる先輩たちも、時が経つにつれエスカレートしていきセクハラのようなことまでされるようになった。そんな時もHさんが守ってくれていた。こんな日々の中にあって、私はHさんは本当に 女神様だと強く実感していた。
小学校の頃から親友と信じ、遊んでいた 友人が いじめを受けていた 。私は友人を守るために 必死だった。彼が抱えている病気や、治療薬の副作用など理解を得るために説明したがイジメをするような者にとってそんなことはどうでもよかったのだろう。彼へのいじめはやまず、終に彼は転校してしまった。酷く落ち込んで世の中を恨んだ。教師全員を強く恨んだ。クラスメートを恨んだ。学校に行くのが馬鹿馬鹿しく思い、塞ぎ込んだ時も手を引いてくれたのはHさんだった。教室に行くのは拒否をして、代わりに別の部屋で勉強をしていると、やはりHさんが会いに来てくれていた。家庭科でご飯を作った時は、私の分を持ってきてくれた。仲の良かった友人を引き連れて来てくれたこともあった。私にとって、Hさん、彼女はどんなときも眩しく輝いていた。温かいぬくもりで包んでくれていた。
今、ふと思う。あれは恋だったのかもしれないと。その反面、人としての絶対的な尊敬や憧れのようにも感じる。しかし、彼女のことをよく夢に見る。いつもの変わらない笑顔で呼んでくれる。いつものようにハグをしてくれる。未だにそんな夢を見ることがあるのは、私が彼女に恋をしているからかもしれない。もう二度と会うことは出来ないだろう。この想いや感謝を伝えることは出来ないだろう。きっと最期の瞬間まで、私は彼女に想いを告げられず片思いを続けるのだろう。
小さなハートを沢山積み上げたよ。
いやいや僕は、大きなハートを作ったよ。
ハートの数が多い方がいいよ。
ハートの大きさが大きい方がいいよ。
じゃああの高台の上にいる彼女の元に届けよう。
どちらのハートが素敵か見てもらおう。
んっしょ、よいしょ。
んっしょ、よいしょ。
見てください、俺のハート。
見てください、僕のハート。
どちらが素敵だと思いますか。
どちらが魅力的だと思いますか。
えーん、えーん。
ぐすん、ぐすん。
俺のハートじゃだめだって。
僕のハートじゃだめだって。
数をいくら増やしたってだめなんだ。
どんなに大きくしたってだめなんだ。
どうしたら俺の想いが届くんだろう。
どうしたら僕の想いが届くんだろう。
わかんないや。
わかんないよ。
えーん、えーん。
ぐすん、ぐすん。
#19 届かぬ想い
届けようと尽くさなければ
どれだけあたためたって届かないさ
それは勇気とかなんとかじゃなく、
本当に想っているのか、溢れ出すのか、
ただシンプルにそれだけのこと
あふれろ、想い
#届かぬ想い
君に赤いチューリップを贈る
花言葉は愛の告白
僕には君に告白することなんてできない
だって貴方には彼氏の枠は空いてないから
少しでも気づいて貰えるといいなって
チューリップを贈ったけど
この想いはきっと届かない。
僕相手では見ることが出来ない
とびっきりの笑顔
その顔をさせるのは僕が良かったけど
君はとっても幸せそう
僕は君が幸せなら
この思いが届かなくてもいいかもしれない
なのに涙が流れるのは何故だろう
さようなら僕の恋
大好きな、大好きだった君へ
幸せになってね
─────『届かぬ想い』
だいたいそれでいいんじゃないの
不器用だっていいんじゃないの
少し不安残した方が楽しく生きられるんじゃないの
疲れたら寝ればいいんじゃないの
たまには楽していいんじゃないの
やりたいことやるために僕らは生きているんでしょう
大体それでいいんじゃないの
失敗してもいいんじゃないの
どんなに悩んだってほら結局タイミングなんじゃないの
一つ一つ抱え込んで一体何をどうしたいの
やりたいことやる為に君は生まれて来たんでしょう
完璧な生き方なんて出来ないから
完璧な生き方なんてしたくないから
不完全な僕は不完全なままで
大体それでいいんじゃないの
無理はしなくていいんじゃないの
作り笑いしたってほらちっとも楽しくないでしょい
一つ一つ抱え込んで一体何をどうしたいの
誰も100点満点の答えなんか出せないんでしょう
神様。この聲が聞こえますか貴方が望んでいなくても
僕は笑っていたいんです
泣きたい時は泣きたいんです
僕らの1度きりの人生、どうせいつか終わりが来るなら
生きることをやめたい時くらい、立ち止まって考えるくらい 良いよね
"やりたいことだけ選んで、要らないもの切り捨てて"
誰もが皆そんなふうに歩けるわけ……無いよね、
『No Logic』
【届かぬ想い】
物心ついた時には、『誰か』の仮面をかぶって生きていた。
求められるままに自分ではない『誰か』の性格を演じれば、大人たちに褒めてもらえた。お金をもらえた。だからずっと舞台の上で、演じて、演じて、演じ続けた。
それ故だろうか。俺の感情はいつだって、誰かの真似事だ。演じた役を引っ張り出して仮面を被らなければ、気持ちを伝えるなんて簡単なことすらできやしない。
「世界で一番、君が好きだ」
慈愛を込めて微笑んで、君の体を腕の中へと抱きしめる。右手を後頭部へと回して、さらりさらりと君の髪を指先で梳いた。
同じ劇団に所属し、何度も同じ舞台に立ってきた君。長年この劇団を引っ張ってきた大先輩が亡くなって、もしかしたらいつか君とも離れる日が来るのかもしれないなんて考えたら、心臓が痛いくらいに収縮した。自然と息が苦しくなった。今まで演じた役をトレースして検証した結果、きっとこれが『好き』という感情なのだと理解した。
だから日々、伝えることにした。心からの愛を囁く言葉を、演じる役を変えて何度も何度も。だけど。
君の纏うオーラが瞬時に変わる。役を演じる直前まで自然体そのものの君が、舞台の上に立ち役を憑依させる、その瞬間と同じように。
伏せられた睫毛が僅かに震え、その目尻から一筋の涙がこぼれ落ちる。この上もなく柔らかくはにかんで、そうして君は俺へとそっと顔を寄せた。
「……今、世界で一番幸せだよ」
唇と唇が重なる。その直前でパッと、君は俺の腕の中から抜け出した。
「最近、毎日エチュードしかけてくるじゃん。まあ、楽しいから良いけどさ」
先ほどまでの甘やかさはどこへやら、あっけらかんと君は笑う。ああ、この役でもダメか。俺の想いは、いつだって君には届かない。演技の練習だと思われて、完璧な演技で返される。
……わかっているんだ、本当は。役を演じて言葉を発する限り、君はそれを演技だと理解する。俺自身の言葉で、俺自身の気持ちを伝えなければ、一生この想いが君に届くことはないって。
(だけど、俺には。その方法が、わからない)
借り物の感情と、借り物の言葉。俺の中にはそれ以外ないんだ。
だからきっと明日も明後日も、俺は『誰か』の仮面を被り、届かぬ愛を君へと捧げ続けるだろう。
届かぬ想い
君はもう居ない。
だから,どんなに君のことを思っても
もう,無駄だ。
どうせ,届かないのだから。
ああ、本当に綺麗だ。
君があの時死んでもわかり合えないと愚痴っていた父親と歩くヴァージンロード。その先には、絶対別れてやるとあの時泣いていたお相手の男。そうだね、いつも君と君の悩みに寄り添っていたのは私なのに、私はチャペルの長椅子で君がその男と誓いの言葉と口づけを交わすのを祝福しなければならない。
でも、今日の君は本当に綺麗。だからここに集った皆の中で私くらいは、悪しざまに家族を罵り男との諍いに泣く君の歪んだ顔を思い出して愛おしんでも良いでしょう?
「届かぬ思い」
私は恋愛で異性に思いが届かない経験をするのは良いことだと思います。なぜかというと、それは自分が成長するきっかけになると考えるからです。例えば恋愛をする中で、何でも自分が思うような結果が得られたとします。そうすると自分が良いと思ったことを実行することしかできるようにならず、思考が成長しません。しかし、思いが届かない経験を通して相手の心情や生活の背景を考え、相手の視点で考えることができます。それによって相手との関係性が深まり、人として成長できるのです。
「届かぬ想い」
そんなのは日常茶飯事だから
願わない方が楽になるんだ
祈りを勧めてくるのは
毒でしかない
その毒でもいいから
飲みたくなったら
初めて人は祈れるんだろうね
山本、すまんな、まあ座れ。
今日の試合の事だ。
うん。
そう、最後。
バッターは今日4三振の杉下。
ランナー一塁で
初球をバックスクリーンへサヨナラホームラン。
これで、甲子園出場を決めたわけだ
さっき、テレビ中継の映像を確認した。
俺のサインを送る所は映っていなかった。
だから、後は山本お前だけなんだ。
俺が、バントのサインを送ったのを知ってるのは・・・
杉下本人は、サインを勘違いしているから大丈夫。
俺は選手を信じ続けた監督と言われたいんだ。
頼む!
黙っておいてくれ! バントのサインをしたこと。
この、この思いだけは、山本、お前に届けたい!
悲しい事に
大抵の思いは届かないで終わってしまう。
今書いている文章も誰かに届くとは限らない。
届くと嬉しいよね。
人間は孤独な宇宙です。
この思いよ誰かに届け〜。
《届かぬ思い》
きっとあの時、
あなたに好きだと言っても信じてくれなかったけど、
もし伝えられていたなら、
もしまっすぐあなたへの好きを信じられていたなら。
LINEのアカウントまで消していなくなった。さよならもなく目の前から消えてしまったけど、あなたからの信頼もなくなったけど。
ちょっとしたメッセージのやりとりとか、おいしいご飯食べたことも間違いなく幸せな時間で楽しくて。好きって気持ちが本当だったって信じることにした。
手を繋いで歩いた、散り始めた桜の下。
芝生に座って一緒に風を感じて、
すぐそばで微笑んでくれた。
(あなたはわたしのことどう思ってたの?)
どういうつもりなのってあなたは笑っていたけれど、そんなのわたしが聞きたいよ。
でも、
答えが分からないのはわたしのせいなんだね。
もう届かないわたしの想いだけど、キラキラした幸せな魔法をありがとう
あなたの声が聞きたくて、まだまだ心が苦しくて、泣いちゃう夜があって。
もうあなたの魔法は解けちゃったけど、
これから始まるお話もあるよね
ビデオテープに残った笑顔にずっと縋っていたい。
現実なんていらないし、前を向くだけ無駄な気がする。
全てに無気力だし、全てが卑屈に感じる。
そして無性に腹が立つ。
なぁ。
まだしっかり愛しているとも言ってないんだぞ。
あぁそうだ、サヨナラも言えてない。
空へ飛んだ君にはもう、届かぬ想いだけど。
「初恋、ねえ」
きらきらと好奇心で輝く瞳に見つめられ、思わずたじろぐ。喉の奥のひりつく痒さに耐えかねて、薄い皮膚を引っ掻いた。少なくとも自分にとっての初恋は、それほどいいものではなかった。
調律師だった父の仕事について回るのが日常だった子どもの頃。教会や学校が主な取引先である中で、数軒の個人所有の屋敷にも出入りをしていた。
その屋敷の持ち主はいわゆる地主と呼ばれる人たちで、教養の一つとして娘に洋琴を習わせているようなところばかり。澄ました顔で整調済みの洋琴を弾く令嬢たちのほとんどは、整調前後の違いなどまるでわかっていないのに「先生のおかげで素敵な音になりました」と父を持て囃す姿は子どもながらに滑稽に見えた。笑わないように焼き菓子を口に詰め込んでむせ返るのは、もはやその頃の一連の流れでもあった。
そのわずかな音の違いがわかる耳を持って生まれたことはこの世の幸運であり、それもこれも自分の血を引いているからだと父は言った。父の自慢らしいこの耳の持ち主は「この世の音すべてがうるさくてかなわない」と煩わしく思っているが、そのことを当の本人は知らないのだから幸いなのはそちらではないかと父に向かって心の中でよく吐き捨てたものである。
雲ひとつないどこまでも青い夏空の日。ジリジリと肌を照りつける陽射しに足を重くさせながら、洋琴の演奏会の時に着るような他所行きの格好でたどり着いた屋敷は実に見事なものだった。よほど裕福なのか舶来もので溢れている。手入れの行き届いた庭の一角に、オランダから渡ってきたばかりのチューリップが時期はずれに数本咲いていたが、さすがに間も無く枯れるだろう。
紳士然とした振る舞いでありながら、構わずずんずんと奥へ歩みを進める父の背中を追う。その際にすれ違った使用人たちは見慣れた様子で、依頼人のいる方を指差した。
「お嬢さん」
「あら先生、もう約束のお時間でした?」
日陰で椅子に座り本を読んでいた女が顔を上げると、絹のような黒髪が肩口から滑り落ちていく。
「今日はお連れ様がいらっしゃるのね」
父を挟んで向かい合うと、こちらの存在に気づいた女の垂れた目がやや見開かれて丸くなる。父は仕事に支障がなければわざわざ連絡をしないような筆無精なきらいがあったため、こうしたことも決して珍しいことではなかった。
「息子です」
呆れたと冷ややかな眼差しを父の顎あたりに浴びせていると、仕切り直しのような咳払いと共に肘で突かれて慌てて頭を下げた。
「父の手伝いで参りました」
「ええ、本日はよろしくお願いしますね」
そう言って椅子から腰を上げた令嬢は、一寸ほど自分よりも目線が上にあった。
※途中です。また加筆します。
【届かぬ想い】