『好き嫌い』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
好きと嫌いが、1人の中に同居しているようだった。
俺が初めてそいつに出会った時、感じたのは「胡散臭い」だった。なにせ目は細くて、口元は笑っていて、何を考えているのかサッパリ分からないからだ。
そんなやつに、生徒会に誘われた。既に次期会長としての地位を盤石にしてからの声かけは、やつの勧誘をますます信用ならないものにしていた。
まあ、それにホイホイついていった俺も俺だ。断るのも面倒で、断った後のことだって考えれば面倒極まっていた。蛇のようにしつこく絡んでくることは間違い無いだろうから。
だから俺は、そんな消極的な理由で生徒会に入った。
仕事は楽ではなかった。普段の学生生活では全く意識していなかったような、細かな行事や、部費の額。あらゆることに許可が必要で、あらゆることに書類が発生した。
俺は、器用な方ではない。パンク寸前になりながらも、必死で回すしかなかった。……そんな中でも、のらりくらりと仕事をこなすアイツが視界の端にチラチラと映っていたのを覚えている。
キミはいつも頑張るねぇ。そんな声をかけられた時は、流石にプッツンとしかけた。お前から誘っておいて、その言い草はなんなのだ。
だが奴は、その後に続けて笑った。やっぱり誘ってよかった。そんなことを言われただけで、不思議なほど怒りがおさまってゆくのを感じる。あまりにもチョロい自分に、逆に怒りたくなってくる。
なんか奢れ。そんな軽口を叩いて、書類をはんぶん押し付ける。奴は笑顔のまま、その半分をすぐに片付けた。早すぎて腹が立った。
他の日には、他のやつがやらかしたヘマのせいで俺が頭を下げに行くことになった。これも社会勉強だとのたまう教師には、内心で中指を立てた。
厄介なやらかしだった。とある部活動の小規模な大会で、協賛した店の名前がパンフレットから抜けていたというのだ。わざわざ足を運んでから、頭を下げることになった。
まあ、若いんだからねぇ。苦笑してそう言う店主は、確実に良い印象を持っていないようだった。来年からは、協賛を望めないだろうな……俺は半ば諦めていた。
それでも、一通りの謝罪をした。許してもらえないまでも、店主の辟易とした態度は引き出せた。そんな時、後ろから声がかかった。
アイツだった。聞けばどうやら、次の学園祭で使うものを、この店から購入する許可が取れたということだった。店主の態度はあからさまに好転して、頭を下げていた俺の肩を支え、持ち上げてきた。
来年からもよろしくお願いします。奴の言葉に、店主はニッコリと頷いた。俺はというと、もう肩をすくめるしかなかった。まあ、コイツだしな、と。
帰り道で、奴はよく分からない表情だった。大変だったねと言われたが、正直言って俺は頭を下げただけなので大変でもなんでもなかった。
お前には負けるよ。そう言ったら、奴はもっとよく分からない顔になった。それきり、その帰り道での会話は無くなった。なんとなく、気まずい沈黙だった。
ある日、奴が教師に呼び出されたのを見た。次期会長として、そろそろ選挙の準備を始めろ。そんな話だったらしい。
会長ねぇ。あきらかに気乗りしていない声色で、戻ってきたソイツは頬杖をついていた。
俺はというと、その時はまたぞろ忙しくやっていた。ハンコを押して、紙をさばいて、ハンコを押す。単純作業の苦痛の中、わざわざ愚痴を聞く気にはならなかった。
だが、頬杖をついたまま、ソイツはあまりにもしつこく俺を見つめてきた。とうとう根負けして、俺の方から口を開いた。
次期会長様が、出だしからつまずくのはまずいんじゃないのか。準備は早い方がいい。そんな、当たり障りのない、それでいて会話が広がらないよう細心の注意を払った言葉。
キミの方が向いてると思う。そんな戯言が、ハンコを押す音の合間に聞こえてくる。
生徒たちの人を見る目が無ければ、投票してもらえるかもな。冗談だと思って、そんな軽口を叩いた。すると、紙をめくろうとした腕が掴まれ、細い目が視界いっぱいに広がった。
ギョッとした。というのも、奴の顔は冗談を言っている時のそれではなく、本気の発言を受け流されて怒っている時のものだったからだ。
キミのそういうところは、嫌いだ。そんな風に言われて、俺は言葉に詰まる。細い目が少し開いて、鋭い光が漏れている。
ややあって、俺はどうにか言葉を絞り出し、なだめようとした。何をムキになっているんだ。会長になりたくないのなら……。
それは、遮られた。奴の怒りは、冷めるどころか、どうやら煽られてしまっている様子だった。
自分を卑下して、馬鹿に見える。キミはそうじゃないのに、なぜキミは自分を正しく評価しない?
その時ようやく分かった。コイツは、俺に怒っている。俺の内面に対して。
ふざけるな。言いたいことなら、こちらにもある。いつもいつも薄ら笑いで、人の心を見透かすようなことを言いやがって。
キミはいつも能面みたいじゃないか。こっちの気持ちだって、慮ったことすらないんだろう。無神経なことばかり言うよかいい。
無神経なほど仕事ができる奴に言われたくない。お前が俺を隣に据えたせいで、俺は嫌でも自分の無能さを理解させられる日々だ。感謝してもしきれないね。
それはご丁寧に、どういたしまして。二度と自分のことを無能だなんて言うな、キミのその態度には苛々させられる!
周りの連中が静まり返って、ようやく俺たちは止まった。肩で息をしていたし、顔はそれなりに赤いし、一息つけば第二ラウンドすら始めたかった。
だが、俺たちは互いに椅子に座り込んだ。フルラウンド終えたボクサーのように、体力を使い果たしていた。感情をぶつけるのは、まったく疲れる、非生産的な行為なのだ。
お互い、嫌いなところが多いな。口からこぼれたその言葉に、奴は吹き出して力なく笑った。それを分かって生徒会に誘ったのに、まだまだ甘かったなぁ。奴も完全にくたびれていた。
ゆっくり動き始める周囲につられて、俺もまた、書類に手をかける。喧嘩が終わっても仕事は終わらないのだ。
立候補してやる。その言葉に、奴が反応したのが分かった。だが俺は、顔を上げずに、言葉を続ける。
お望み通り、生徒会長に立候補してやる。だけど、お前も出ろ。それが条件だ。
ふーん。キミの卑屈なスピーチじゃ、誰もついて来ないだろうに。負け戦になるんじゃないか?
せいぜい良いハンカチを用意しとけ。
言ってから、あんまりベタな台詞に自分で笑ってしまった。
目標文字数 2,700字
実際の文字数 2751字
主題「好き嫌い」
副題「青春」
もうちょいか
【好き嫌い】
好き嫌いはありません
得意と苦手はあります
好きも嫌いも
なんて贅沢な感情
個のためにある訳ではないものに
極めて個人的な評価を与える
テーマ“好き嫌い”
子供の頃
「好き嫌いはやめましょう」
と学校で言われた。
その学校で私は嫌われていた。
嫌われて虐められていた。
その事を教師は気付いていたはずなのに
誰も咎めなかった。
「好き嫌い」って
食べ物以外ならしても良いのかな。
ねぇ、先生?
私は貴方が大嫌いです。
この学校の生徒全員が大嫌いです。
ねぇ?私が嫌われてるんだから
別に嫌っても構わないよね?
くるりくるり、初夏にも負けない黄色の花びら。
座り込んだ足の間にゆっくり降り積もっていく。
「『好き嫌い』好き、嫌い、好き」
「……そんな枚数いっぱいの花占い、初めて見ました」
心底呆れたように言うこいつは今日やっとこちらを見た。
季節外れのたんぽぽはお前に似ている。
ふわふわ。柔らかくて。
強弁や腕力に物を言わせない。
どんな場所でもしゃんと伸び上がっている。
それがとても誇らしくて。
……さびしいなんて。
「いつか、綿毛になって飛んでっちゃいそうだもんなー」
手の届かないところに飛んで。
それでもきっと。
「応援してくれるんデショ」
誰が見ても忘れられない。
その姿を。
「えぇー分かる!私も好き」という共感としての言葉を何回使えばいいんだろうかと思いながら、再び言葉に出す。そうしていると、本当の好きなんて分からなくなって、じゃあ、自分って何だろうともなってくる。そういう私のこと嫌いだ。
2024/06/12『好き嫌い』
『せめて今だけ』
我慢すればするほど
浮かんでくるあなたの顔
会いたくて会いたくて
伝えられない思いだから
せめて今だけ
あなたが私と同じ気持ちだって
思わせて
#好き嫌い
食べ物の
好き嫌いが無い
人に出会った。
その人曰く
食べられないものがある人
の気持ちが
分からない。
そういう人も
いるんだなぁ。
いくつになっても
食べられないものは
食べられないのに。
きっと
あの人には
わたしの気持ちは
分からない。
わたしは
あの人の気持ちが
分かってあげられない。
他人は他人
わたしはわたし。
#好き嫌い
―――
都会に
引っ越しをした。
お店が
たくさんあって
電車の本数も多くて
遊ぶ場所も
色々ある。
実家は
住宅街で
交通も
便利とは言えない。
買い物するには
行き帰りだけでも
時間がかかったから
あまり
休みの日は
出かける機会が
少なかった。
今日は
休日。
気になる
あそこへは
電車で30分だ。
都会って
いいなぁ。
#街
「占い、好き?」
「時と場合による」
「なにそれ」
「TVとかでやってる占いはいい事言ってる時だけ信じる」
「分かる」
「自分の星座が最下位とかだったら見なかった事にする」
「だよね。まぁ何占いでもいいんだけどさ、私、アレだけは納得出来ないんだよね」
「なに?」
「花占い。花びらちぎって好き、嫌い、ってやるやつ」
「ああ」
「あれでいい結果になったって、絶対最後はバッドエンドだよ」
「何でさ」
「だって、花ちぎってんだよ?花びら一枚一枚引き抜いて丸裸にして、あなたの恋は叶うでしょうって、そんなワケないじゃん」
「花からすれば虐殺だもんな」
「花からは恨まれてると思うよ」
「そりゃそうだ」
「で、今日はどこ食べに行く?」
「パスタかな」
「ピザにしない?」
「なんで」
「パスタは今日アンラッキーメニューなんだよね」
「結局占いに振り回されてんのな」
「うるさーい」
END
「好き嫌い」
「好き嫌い」
あんたの
そういうとこ
ほんと好きで
嫌いだよ
自分は辛いのに
私の辛い話しを
ちゃんと
聴いてくれるんだよね
あんたが
「辛い思いをしてる」って
知ってるのに
つい……話しちゃう
私も、私なんだけど
でも……
……だって、落ち着くんだ
完全に私のワガママ、だよ
知ってて
あんたは聴いてくれる、って
いう安心感
でも……
……罪悪感で苦しくなる
あんたは私の心に
安心感と罪悪感
光と影とを落としていく
影が大きくなるたびに
あんたの
その優しさが
……
嫌いになっていく
好き、嫌いは
いつだって
隣り合わせ
背中合わせで
あんたは
たまには私を
突き放したっていいんだよ
最後に残った花びらに、限りなき一滴の不満でもあるのなら、それはもうちぎってむしゃむしゃ食べて、茎は放り投げてしまえばいいという、ほんの少しの運命の変更。
最近、何の話題か詳しくは覚えていないが、分かるは分けるだという記述を見た。確かに、新たなものを覚えたり理解しようとするとき、感覚として既存のものに当てはめるか、新しい枠組を作って宛てるか、人生の基本作業のような気がしている。
好き嫌いといえばよく食事が挙げられる。考えてみると、重要なのは栄養素をとることなのは前提として、食材や料理という無限大なものから好きを見つけられるのは幸せだ。食わず嫌いに関しては、幸せを見逃していると捉えられるが、それ以外、嫌いを押し付けられるのは純粋に辛い。そんな単純な理屈も、軽視してはいけないと思う。それを対人関係でよく実感している。好きな人もいれば苦手な人もいるし、嫌いではないが強い個性の人もいる――(遠い目)。
二十年くらい生きてきて、分かったつもりのことが多くある。けれど、その分け方、好き嫌いで自分が幸せならそれでいいのかもしれないし、時にはそのラベリングを疑ってみたら、より幸せに近づくかもしれない。ぼんやりとそんなことを考える深夜(知らんけどの意)。
「好き嫌い」
あれは好き、あれはちょっと…、これは嫌い。
毎日仕分け、ご苦労様。
まだ好き嫌い、言ってるようならまだマシ。
何も考えず、何も意思表示せず、ダラダラ毎日を過ごすより、まだ人間らしく生きている。
世の中というやつは存外
上手くできている
肉が好きで
ピーマンが嫌い
ピーマンの肉詰めは
食べられる
夜更かしは好きで
朝起きるのは嫌い
必ず昨日は終わり
必ず明日が始まる
保健室の先生は好きで
生徒指導の先生は嫌い
労りと観察という
いわば生徒にとっては飴と鞭
あの子は好きで
あいつは嫌い
密かに想いを寄せていて
あいつもあの子に想いを寄せている
全く 存外 世の中
上手くできていない
【好き嫌い】
花びらをちぎって
占ったあの人の気持ち
八枚の花びら
「嫌い」で始めたなら
「好き」で終わる
あの人とは誰だったろうか
覚えているのは
やわらかく薄い花弁と
その淡い香り
秋桜の季節
作品No.73【2024/06/12 テーマ:好き嫌い】
トマトが嫌い
あのプチッとブニャリな食感
あの酸っぱい味
どうにもすきになれない
大きさの問題じゃない
ミニだろうがプチだろうが
トマトはぜーんぶダメ アウト
でも
ケチャップはすきだし
マカロニサラダに入れるのもすきだし
トマトのせたタコライスもすき
我ながら面倒な好き嫌いですこと
私には好きなものがございません。
いえ、そう云うと語弊があるのですけれど、然し、確かに、好きなものはないのです。
『良い』と思うだけであって、『好き』にはならないのです。美しい街の景色も、艶やかな紫陽花も、街の騒々しい音も、全て『よい』とは思うのです。ただ、好きになれないだけなのです。
いえ、嫌いと云うわけではないのですが…
ある種の矛盾、でしょうか。
ええ、そうです、矛盾です。
良いと思うのに好きではなく、然し、好きでは無いのに嫌いでもないのです。
無関心、と云うことでもないのです。
そんな私ですけれども、最近、ふと、こんなことを考えます。
好きにならなくてもいいのではないか、と。考えるのです。
嫌いにならなくてもいいのではないか、と。考えるのです。
つまり、此方である!と決めなければ良いのではないかと云うことです。
私はこの世の全てが好きです、愛しています。
でも、私はこの世の全てが嫌いです。
それで良いでは無いかしら。
私は好きにも嫌いにも固執しません。
ただ、物事を静かに愛しています。
そう、それが、私の『好き』と『嫌い』なのです。
「好き嫌い」
クーラーをつけると、小学校の夏休みに引き戻されるような感じがする。ダラダラしたいという気持ちと、宿題をやらなくてはならないという焦りとが入り交じる。それは、大学生になった今でも変わらなかった。
私は大学で心理学を学んでいる。ずっと気になっていて、でもなかなか手を出せなかった分野。心理学を学べることはとても嬉しいし楽しいのだが、定期試験への恐怖やら不安やらはこれまでと全く変わらない。怠け者の私は試験がないと勉強しないだろうから、最近はありがたいとも思うようにしているけれど、嫌いなものは嫌いなのだ。
とりあえず、一科目。
応援お願いします。
好きってなんだろう、と思うことがある。
自分が欲しいものは好き?
自分が要らないものは嫌い?
そうじゃない。
結局、好き嫌いって難しい言葉なんだと思う。
自分がはっきり好きと言えるものだけが好きなわけじゃないし。
苦手だって嫌いの一種だと思うし。
言い訳臭い文章になってしまった。
でもこれだけは絶対に好きだと言えるものがある。
ここまで読んでくれた君のことが、僕は大好きだ。
2024/06/12
あの大変申し訳ないです
全然やってなかったです(๑•̀ㅁ•́ฅ✨
んまぁ、見ての通り反省はしておるんですけど、
ちょとねもう続けられないので
気まぐれでやろうかなと思う🤔
あ、ちゃんとダイエットは続いてます✋
今日はここまで🐶おやすみなさーい