私には好きなものがございません。
いえ、そう云うと語弊があるのですけれど、然し、確かに、好きなものはないのです。
『良い』と思うだけであって、『好き』にはならないのです。美しい街の景色も、艶やかな紫陽花も、街の騒々しい音も、全て『よい』とは思うのです。ただ、好きになれないだけなのです。
いえ、嫌いと云うわけではないのですが…
ある種の矛盾、でしょうか。
ええ、そうです、矛盾です。
良いと思うのに好きではなく、然し、好きでは無いのに嫌いでもないのです。
無関心、と云うことでもないのです。
そんな私ですけれども、最近、ふと、こんなことを考えます。
好きにならなくてもいいのではないか、と。考えるのです。
嫌いにならなくてもいいのではないか、と。考えるのです。
つまり、此方である!と決めなければ良いのではないかと云うことです。
私はこの世の全てが好きです、愛しています。
でも、私はこの世の全てが嫌いです。
それで良いでは無いかしら。
私は好きにも嫌いにも固執しません。
ただ、物事を静かに愛しています。
そう、それが、私の『好き』と『嫌い』なのです。
6/12/2024, 2:42:37 PM