『夫婦』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
夫婦
あ。いい夫婦の日だからか。
いい夫婦ってのは、どんな夫婦なんだろ?
仲の良い夫婦のことなんだろな。きっと。
今朝テレビで、仲の良い夫婦は、
よく会話するって言ってた。
へー。そうなんだ。
私の両親は、よく会話する夫婦だったよ。
でも、離婚したな。
色んな形の夫婦がいていいし、
嫌なら別れたっていいのよ。
いい夫婦の日なんて気にしないことだね。
paki
夫婦
私達夫婦の愛などない。
数年前、私リンカは会社の案件で知り合った女性、マリと結婚した。
結婚理由は愛し合っているわけではない。お互い両親の結婚しろ、などととにかくうるさかったから。
他人と共に暮らすなんてめんどくさくて仕方がない。男性ならなおさら。まだ女性である彼女の方がマシだっただろう。
利害が一致しただけでそこに愛情なんてない。
食事中の会話だって少ないし、寝室も別々。
私はいつものように仕事から帰り、玄関を開ける。
リビングへと行くと、そこにはテレビを見るマリの姿が。
迎えはまだしも、ただいまも無しか。
「………ご飯は?」
マリにそう言うと彼女はソファから立ち、キッチンへと向かう。
しばらくして唐揚げが出てくる。レンジで温めてあり、ラップがされていた。
唐揚げは好きじゃない。胃もたれをするしそもそも鶏肉があまり嫌いだ。
私は唐揚げを頬張りそれをビールで流し込む。
私が夕食を食べていると、テレビでやっているニュースが耳に入る。
『今日はいい夫婦の日です!少し勇気を出して普段言えないような事を言ってみてはいかがでしょうか!』
元気のいい女性アナウンサーがそう話している。
普段言えないようなこと、そもそもあまり話さないのに何を話せば良いのだろうか。
昔は少しでも話ができていたはずなのに。
そんな事を考えているとマリがコップを持ってくる。
ふと彼女の手が視界に入った。
「………そういえばさ、アンタって肌綺麗よね。」
思わずポロッと声に出ていた。マリがこちらを向く。
「……何言ってんねん。」
そう言うとソファに座って再びテレビを見る。
「な、なんでもない!!」
結局歩み寄った所でこうなるだけ。褒め言葉一つで修復できたら苦労なんてしない。
私は残りの唐揚げを食べて今夜は早めに眠った。
次の日、朝起きるとそこには髪を整えて化粧をしている彼女、マリの姿があった。
「な……なに……アンタ今日…仕事あったかしら……」
「いや、休みやで。」
いつもの姿とうってかわって、今のマリはとても綺麗だった。
『少し勇気を出して普段言えないような事を言ってみてはいかがでしょうか!』
昨日のニュースを思い出す。私は恐る恐る口を開いた。
「………ご飯は?」
私は自分自身を恨んだ。まさしく今がチャンスだったのに、言えなかった。
マリは私の顔をしばらく見ていたがゆっくりと立ち、キッチンへと向かった。
しばらくしてテーブルに皿が置かれる。唐揚げだった。
朝食だからだろうか。揚げというより焼きに近い。
皿を置く手も、爪にネイルがされている。
「あ、ネイル………」
気がつけばぽつりとつぶやいていた。
「…………変やろ。」
「あ、いや……そ、それより!!この唐揚げ!美味しいわね!!ま、毎日食べたいわ!!」
彼女がぽつりと言う言葉を否定したかったが、何故か口ごもってしまい、慌てて関係ないことを言ってしまった。
沈黙が訪れる。完全に失敗したと思った。
「……………あ、いや、そのー……」
「ごめんな。」
マリがぽつりと言う。私は「っえ……?」なんて情けない声しか出せなかった。
「リンカ、唐揚げ……好きやないやろ。……昨日、色々お礼とかごちそうなんて、これぐらいしか作れんくて……嫌やったやろ。」
マリはしゅんとしたような声で言うと、唐揚げの入った皿を下げようとする。私はとっさに彼女の腕を掴んだ。
「ま、マリ!確かに私は唐揚げ嫌いよ。……でも、毎日作ってくれることに意味あるし。毎日忙しいのにずっと作ってくれるだけで嬉しいから。あとネイルも変なんて言ってるけど全然そんなことないわよ。変なネイルってそもそも何?抹茶とグレー混ざった色とか?そんな色みたことないけどね。まぁそれは置いといて、その水色のネイル、アンタに似合ってていいと思うわよ。綺麗な肌と良く合ってるし、とってもかわ………」
そこまで言って私は口を閉じた。
また失敗した。感情に任せてぐだぐだと話してしまった。
私が訂正しようとしたが、もう遅かった。マリは掴んでいた私の腕を引っ剥がし、皿を持っていってしまった。
「何言っとんねん!あほぅ!!」
「えっ、ちょっ!?私のご飯は!?!?」
「知らへん!!………ハムエッグくらいなら作ったる。」
あほ。なんて怒ってたのに何故かハムエッグを作ってくれることになった。何故そんな行動をするのか、私は混乱していた。
そういえば去り際の彼女は少し口角が上がっていたような……なんて考えるが、結論なんて浮かばなかった。
最初の言葉を前言撤回したい。
彼女は普通の男性と共に暮らすよりも、ずっと大変だ。
……悪い気はしないが。
#夫婦
紙切れ1枚で
なれるものだけど
その紙切れ1枚の重みは
半端ない
今日はいい夫婦の日。
推しがお相手と幸せな1日を過ごしてくれてたらそれで満足かな。
独り身の自分にはまったく縁のない日だからね。
若いカップルはいちゃつく位が良い。俺は許す。
若い男女は公園でキスする位が良い。俺は許す。
学生は男女でお泊まりする位が良い。社会勉強。
若い夫婦は夜添い遂げなさい。これは強制。
俺はもう結婚は諦めた。今後の少子化も若い人に頼む。もうそんな歳だ。若者よ。大いに人生楽しみなさい。いいこともあるよ。
老夫婦は働きなさい。若い夫婦達の為に、そしてお金を残しなさい。そして相続させなさい。それがバブルを生きた夫婦達の償いだ。十分楽しんだだろう。もう定年の夢は存在しない。
夫婦はやはり楽しくなくちゃ。お金だけの関係はやめた方が良い。二人で考えて過ごしなさい。自分は変えられても相手は変えられない。なら行動するなら自分から。今は女性でも二人分の仕事する人はいっぱいいる。
離婚しないと何も出来ないと考えるのではなく離婚しないで出来ることを自分は頑張る精神で。
うちの母も父が定年退職したらパート始めました。
そういう事だと思う。自分の出来る事から。今を嘆くのではなく今自分で出来ることを考えよう。
相手は変えられない。なら自分が変わろう。夫婦であってもそれは変わらない。それは親子であっても変わらない。自分を変えよう。
300字小説
夫婦岩の事情
うちの神社には『夫婦岩』と呼ばれる大小二つの岩がある。昔は裏の高台に二つ並んで鎮座していたが、随分と前に地震で妻の岩が神社の境内に落ち、離れ離れになってしまっていた。
「離れた当初は、互いに戻りたくて動こうと震えたとか、戻れなくて風にしくしくと泣き声が流れたとか言われていたけど……」
そんな伝説も今は昔。現在は二岩とも静かに佇んでいる。
先日、弱い地震の後、それまでの雨で地盤が緩んでいたのか、夫の岩が妻の岩の隣に転がり落ちた。
百何十年かぶりに揃った夫婦岩。
しかし、数日後、夜風に言い争う男女の声が混じり、何かが転がる音が聞こえた翌朝、境内の端っこに妻の岩が移動していた。
「……夫婦って複雑なんだな……」
お題「夫婦」
夫婦
嫁いだ娘が旦那の気が利かない、共稼ぎなのに家事と育児がワンオペだと愚痴を言っていた
他のことも言わないとわからない、察してくれない
言っても微妙に解釈が違う
最後は謝ればいいと思っているそうだ
育った環境が違うんだから当たり前
あんたの常識が旦那の常識とは限らないんだよ
家族になってほんの数年だもん
言わなくてもわかるなんてまだまだ
ゆっくりと自分好みの旦那に育てればいいっしょ
怒りの感情をそのままぶつけるのは良くないかもね 一旦深呼吸して
たまに褒めたりしてね
もしかしたら、お互いに自分だけ我慢してるって思ってるかもよ
ここだけは譲れないっていうことを伝え合ってすり合わせしたらどう?
愚痴ならいつでも聞くからさ
人生長いし、夫婦喧嘩ばっかりより笑って過ごした方が良くない?
自分で思う
15年以上前にバツがついた私がよく言う
そんな私のアドバイスが効いたかどうかはわからないが、娘夫婦はうまくやっている模様
#夫婦
昔々。
阪神タイガースが初めて日本一になって、カーネルサンダースが道頓堀に沈んだ翌週位。
観光で大阪に行った。
乗ってたタクシーの運転手さんが、
『あれが豊田商事のビルだよ。』
と案内してくれたそんな時代のこと。
その時私は人混みの中、はぐれない様に父の背中を必死で追っていた。方向音痴なのだ。阪神タイガース優勝に湧く大阪の繁華街で親とはぐれたら積む。スマホのない時代だった。
既に中学生になっていた為、はぐれても交番に相談くらいは出来た気もするがそこは初めて訪れた土地。
道端に転がって動かないおっさんが、時々回路が繋がった様にガバッと起き上がり『阪神タイガース万歳!!!!』と叫んで再び倒れ伏すという異様な光景に、私は心底ビビっていた。ちなみに親は酒飲まない。
ふと何かに気付いた父が振り返って言った。
『夫婦善哉。』
「?!」
『夫婦善哉だよ。喰うか?』
「??…いらない。」
父は残念そうにその場を離れた。
“夫婦善哉という演歌があった気がする。”位しか当時の私に知識は無く、正直私に選択権を持たせるのは悪手以外の何者でもなかった気がするのだが、残念そうにしながらも父は諦めたらしかった。
私、汁粉しか喰ったことなかったもん。仕方無かろうよ。正直今でも善哉は餡が固めの方と言う知識しかない。
夫婦善哉は織田作之助の有名な小説作品だが、“本は新約聖書一冊しか持ってない”位読書に関心のない父だったので、確実に演歌の方を思って聞いたのだと思う。
聖地巡礼は、同じ趣味の人間以外とは一緒にしない方が良い。普通に興味がないというか、知らんもん。
かくいう私は、変幻退魔行カルラ舞う!奈良怨霊絵巻ツアーに母を巻き込んで、別に興味のない“蘇我入鹿の首塚”が壊されていない事の確認に付き合わせたことがあり、大変申し訳なく思っている。
十年、二十年経っても思い出すにつれ文句を言われる。同じ過ちを起こさぬよう、皆様注意されたし。
出逢って、結ばれて、暮らして、
いろいろあって、親も看取って、
子供も巣立って、ふたりにもどって、
いつものように笑顔のあなたに、
ただただ感謝!
私達は夫婦!いつも一緒にいるよ!どんな時もね!、、束縛なんかじゃないよ?、、、私、しばらくお外出てないけど、、、あの人がいれば他に何もいらない!✨
夫婦か。
何年後になるかわからない未知の世界だけど
幸せなら何でもいいかな
【夫婦】53 kogi
∮夫婦
多分『いい夫婦の日』なんだからだろうけど、今日はよく結婚報告について聞くことが多いな。
自分はまだ結婚できないし、好きな人もいないし
でも、多分結婚できる年になっても、好きな人ができても、きっと夫婦にはなれないんだろうなと思う
うーん、ちょっと違うな
夫婦って形には憧れるけど
なれないんじゃなくて、なりたくないのかも
だって夫と婦人なんだもん
夫婦
連合いとは、夫婦になって30数年。親より長い付き合いです。
今日は、いつもの落語会へ二人で出かけました。演目は、
「子別れ」
別れた夫婦が、子どもを介して元に戻る人情噺です。人情噺は好きじゃないけど、この噺はいいですね。
私たち夫婦も、子は鎹(かすがい)と実感しています。
今日もぬか床を混ぜる
ただ無心に混ぜてゆく
穏やかな日であるよう
健やかに過ごせるよう
同じ食事をして過ごし
同じ空気を吸っている
いつの日か阿吽の呼吸
寄せては返す波のよう
今夜の海はおだやかだ
我慢は公害に似ている
意見交換はしっかりと
パワーバランス対等に
苦楽を共に乗り越えた
その先に、あるものは
『夫婦』
テーマ:夫婦 #372
今日って「いい夫婦の日」なんだってね。
いい夫婦の日……。
私はもう何年、夫とまともに話していないだろう。
いや、話したとしても右から左といったところだ。
いつの間にか話すことすら苦になって
自分から自分の身の回りのことを
夫に話すのをやめてしまった。
私、なんで彼と結婚したんだっけ。
結婚記念日に毎年プレゼントする絵本も
読んでくれないし。
結婚記念日、忘れていたこともあったし。
あの人のどこを見て私は結婚したんだっけ。
なんだか胸の奥がキュッと傷んだ。
私、後悔している?
いい夫婦って何?
私はこんな未来を想定して夫婦になったんじゃない。
もっと支え合って、助け合って
今日あったことを1日の終わりに話すような
そんな「いい夫婦」を想像していたのに。
現実と理想の差に涙がこぼれた。
恋人になって
家族になることが
夫婦になることだと思ってた。
恋人>家族 でも
恋人<家族 でもいいから
どちらの要素もないと夫婦になれない。
私たちは いつからただの家族になったの。
【夫婦】
『今日はいい夫婦の日です!』
テレビCMで流れた一言に、
「いい夫婦ってなんだろうね」
俺の妻が言った。
「なんでも言える関係とかじゃない?隠し事しないって大事だと思うし」と、俺は答えた。
彼女は何も反応しなかった。
「私は相手のことを大切にしてるかだと思うな」
少し遠くを見つめながら、彼女は続けた。
「だって、私まだ〇〇のこと好きだし、大切だからさ、近くに居なくても会えなくても、相手のことを思ってたらそれは、いい夫婦じゃない?」
俺の妻は意外にも強い。
そして、あの頃と何も変わらない。
そんな彼女が、今もずっと好きだ。
まだ好きとか、泣くだろ。
天気雨、降らすぞ、笑
ー
いかがでしたか?
最近は、直接書かずに、雰囲気から察してもらう作品が多いですね。意図してるわけではないのですが 笑
日常の楽しみの一つに、私のショートショートが加われることがあれば、幸いです
話の感想をいただいてみたいなと、思うのですが
いいね!しか出来ない。上手いしくみですね
いいね!して、応援してくれると嬉しいです
是非お気に入りも、宜しくお願いします
最後になりましたが、
夫婦の皆さん、これからも末永くお幸せに。
夫婦
『今日はいい夫婦の日です』
朝のラジオ番組から流れた音声。
「あら、そんな日があったのねぇ」
「俺はもう少ししたら仕事に行くぞ」
のんびりした私の声に、せっかちな主人の声が応える。
「帰るのは何時頃になりそうですか?」
「今日は早めに帰るつもりだ」
主人のマフラーを持って、一緒に玄関までついていく。
「聞きました?今日はいい夫婦の日なんですって。何かしましょうか?」
「別に何もしなくていいだろ」
私の提案に対して、主人の反応はそっけない。
外套を着て、靴を履き、私が渡したマフラーを巻く。
「・・・帰りにたい焼きでも買ってくる」
鞄を持って、いざ出かける時になって、主人が告げる。
ーたい焼きは私の好物だ。
「あら、じゃあ今日の夕飯は少し豪華にしますね」
「ああ」
ー行ってくる。 行ってらっしゃい。
こんな会話が私たちの日常。もう十分、いい夫婦だ。
とある朝の夫婦の話。
手を握り
二人でソファに座る
目の前のテレビを付け
バラエティー番組をかける
心地よい騒音の中
二人でたわいもない話を語る
そんななんでもない普通の日
それが続くこの関係が
僕は大好きだ
お題『夫婦』
【夫婦】
私の家の夫婦が瓦解したとき、数年の時を掛けながら私の大人への信頼は全て塵と化した。
小さい頃は、大人は安心しできる場所で、頼れる場所だと思っていた。全幅の信頼を置いても、それ以上を返してくれると思っていた。けど、それは違った。
その安心は夫婦を取り巻く周りの緻密な計算によって生み出されていたままごと、立派なハリボテだった。
小三の頃、親が離婚した。
私は母へ着いて行った。
母が言った。
お母さんはシングルだから、舐められる。 と。
私は従った。
9歳の決心だった。
今にも崩れてしまいそうな母を1秒でも早く、幸せにさせて上げないといけなかった。
11歳の時、母が言った。
恥ずかしい事をしないで、教育が行き届いてないように見えるから。
私は従った。母を幸せにするために。良い子であるために。
12歳、中学受験に失敗。母に恥をかかせた。
シングルだから、周りを見返さないと行けないのに。
母は私に落胆した。
私に掛けた金が、溝へ消えたと。
もしかしたら既にこの時から、大人を信用出来ず、嫌悪の対象だったかもしれない。
中学生。
あのお家はあぁだから。
このお家はきっとこうだから。
お母さんはこんな仕事してるから。
こうでなければいけない。こうあるべき。
母は自衛と前進に勤しんだ。
ウチを見てくれる親戚は、遠い親戚だから。
ばぁばが死んでから面倒見てくれるようになったでしょ?
だからあの親戚は、お母さん達をかわいそがってるの。弱いと思われてるの。
だから、あれはしないで、これもだめ。
1番ダメなのはこんな事。
親は苦しそうだった。その分、私にも罪悪感が募る。
私がこんな事をしなければ、あんな事をしていれば、
こんな気持ちを親戚に明かさなければ。
親の相談なんて、しなければ。
辛かった。弱かった。だから、逃げ出した。
電気の着いていない自室、午後9時4分。
夫婦の瓦解から始まったこの話を思い出して、
私は今ここに書き記している。