『向かい合わせ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
チャレンジ36(向かい合わせ)
指し向かいで座ると、どうしても緊張する。資格試験の面接会場で、狭い廊下で順番を待っていた。向かい合う場所にいる受験者は、みな落ち着いて、優秀そうに見える。
手のひらに汗をかく。気が遠くなりそうだ。今となれば、他の人も同じように緊張していることに思いが至るのだが、当時は、とても冷静にはなれなかった。向かい合わせの相手から見れば、自分も落ち着いた人間に見えたのかもしれない。
私は、他人との向かい合わせが苦手である。将棋やトランプなどのゲームも、落ち着いて楽しむことができない。緊張感を味方にすることが苦手なのだろう。
ある場所に立つと私と向かい合ってそっくり真似する存在が現れる。真顔の私に反してそれはニッコリと微笑んでいた。(54字縛り)
向かい合わせ
娘が生まれた時は嬉しくて嬉しくていつも顔を覗き込んでは向かい合わせ。小学生になって、その背中を追いかける事もあったけど、話を聞く時は向かい合わせ。反抗期で言い合いになる時も、娘が折れてくればまた向かい合わせで笑って話が聞けた。
そんな娘も20歳。
この間、娘の八つ当たりに腹が立ち、娘も引っ込みがつかず出ていくと啖呵を切って出て行った。舌の根も乾かないうちに帰って来て、悪びれもなく今までの振る舞い。親を使い、やってもらって当たり前。今回さすがに、向かい合わせになれない。顔も見たくないと思ってしまっている。時間が解決するのか、距離が解決するのか。ただ、今は背中合わせ。
向かい合わせ
見比べてみると、全然違う
違うところもそうじゃないところも
すごくいいと思う
休日の公園で向かい合わせで立ってた君は
学校ですれ違う時の何倍も
かっこよく見えた
そろそろなんでもいいから本心教えてよ
数年前、職場恋愛の末にカナミと同棲を始めた。
カナミはすこしおっとりした性格で、でもそれがかわいかった。
「今日はカラッと晴れて、いい洗濯日和だね」
カナミに微笑みかける。
「昨日買ったお肉で夜はビーフシチューにしよっか」
カナミと話すときにはいつもとびきりの笑顔を用意する。
「すっごくおいしいワイン見つけてさ、はやく一緒にのみたいな」
だってカナミが大好きだから。
洗濯機に洗剤を入れて、リビングに戻る。
──ほらカナミはかわいい。
冷蔵庫の横、チェストのすぐそば、ダイニングチェア、そしてあらゆる扉に、カナミが佇んでいる──そう見えるように用意した、無数の写真。
「カナミ、ずっと一緒にいようね」
ピピッと軽快な音楽を鳴らし、洗濯機が作業の終わりをしらせる。
洗濯物をカゴに入れ、ベランダへ出ると背中がぐっと伸びるような晴天がそこにあった。
──向かい合わせになるよう、二枚のTシャツをそれぞれハンガーにかけた。ずっと一緒。ずっと一緒。
最近怖かった夢の話ー。
今日普通に暇だったんで昼寝してたんですよ。
やる事無かったし。
そしたら、何かいつも見る夢もまあまあ凄い内容なんですけど今日のは特にヤバかったんですよ。
目を開けたら、人に囲まれてて。
その人っていうのもクラスメイトなんですよね。
で、僕は何か床に倒れてて、其処に僕の一番の親友に馬乗りされながら首を絞められてたんですよ。
夢なのかどうかも分からなくて、で、とある事を親友に言われたんですよ。
「あの時、お前は何を考えて教室に居たんだよ。」
泣きそうな顔でそんな事を言われてたんですが、勿論僕は何も分かってません。
黙ってたら首を絞める力がもっと強くなって、僕はもう死ぬっていう時に目覚めました。
まぁその後に普通に親友と通話したんで今は元気です。
向かい合わせ
思い付かなかったです…。
最近、スランプ気味だなぁ。
雨の帰り道
ラベンダーの香りに誘われて
しゃがみこんだ路地裏
花の香りって良いですよねと
囁く声
声の主に目を向ける
水玉模様の傘を差す
あなたと目があった
ふふっと笑い合った2人の傘は
向かい合わせに揺れていた
お互いにカフェが好きで、新しいカフェを見つけてはよく二人で行っていたね。
お茶やお菓子がのったテーブル越しに向かい合って、お互いの仕事の話、恋の話、色々おしゃべりしたね。気付けば何時間も長居してしまうくらい話が尽きなかった。
あれから色々あり疎遠になってしまった。今では大好きなお茶もお菓子もあるけれど、向かいの席には誰もいない。いつも心満たしてくれていた友人はもういない。
あの頃のわたし達みたいに、いつも自分と向かい合ってくれる人にまたいつか出逢えることを祈っているよ。
図書館のテーブル
向かい合わせで座るあなたに
見惚れていること
気づいていないかな。
あたしには見えない あたしの後ろの世界が
きっと君には見えていて
君には見えない君の背景を
あたしは見ている。
君だけがいつも
あたしとあたしの世界から
目を逸らさずにいてくれた。
だから 君の言うことは
たぶん きっと 正しくて
あたしを救うと信じてる。
【向かい合わせ】
祖母が体調を崩して、入院し
車椅子で退院してきたとき
それまで、家ではひたすら家事をして
みんなと同じ時間にテーブルに着くことがなかった祖母が
初めて祖父の向かいに座って食事をしているところを見た。
祖父は、めちゃくちゃ照れていて
祖母はそれを見てにこりと笑った。
その食事の後、母が『せっかくだから』と
祖父と祖母の車椅子を並べて
二人並んでいる写真を撮った。
その日の食事がなんだったのか、全く思い出せないけど
ただただ美味しくて幸せなごはんだった。
その日の二人は、どの写真よりも優しい顔で写っている。
向かい合わせ
いつも隣かすこし後ろから
あなたについて歩いていく
ずっとこんなふうに
いられたらいいね
お互い年老いても手を繋いで
お散歩にいきたいな
向かい合わせでご飯を食べて
おいしいねって言いたいね
かなえてね
私の小さな夢だから
カフェで向かい合わせで好きなパフェを頬張る君が愛おしくて堪らない。
少し耳を傾けて頂きたい。この、花盛り真っ只中の女子高生の、淡い恋話を。やっと明日、教卓の前に立って、素敵なお話をしてくれる彼に会えるのです…♡♡
やっと彼とわたしが、“向かい合わせ”になって授業を始められる。それは当たり前だけども、他には無い、幸せ。他の生徒からしたら退屈かもしれないけれど、わたしからしたら最高の幸せ。生徒として彼を眺められる日々と、教師である彼を堪能できる日々が。
このお話がしたくてたまらなくて、今日のお題がすごく楽しみだった。ここまで拝見して頂いて、本当にありがとうございます。明日はなんと、評定が配られるのです。5か、4か。どちらであっても、結局わたしはまた明日も彼のことを記載してしまうのでしょう。
明日わかる評定、楽しみに待っていてくださいね
向かい合わせ
私は、君と向かい合わせになるこの時間が大好きだ。
三限目の数学の時間。
先週あたりからグループで行う課題が出ていて、今回も席の近い四人組で机を合わせる。
君は隣の席だから、いつもはその綺麗な横顔を眺める事しか出来ない。
でも、この時間だけは向かい合わせになれる。
これは隣の席の特権なのではないだろうか、なんて。
この時間は密かな私の楽しみですらあった。
君の視界の中に、一秒でも長く私が映ると良いな。
そんな事を考えながら、私はプリントの問題を解いていく。
私は今日も下を向いたまま、前髪の隙間から目だけで君を見つめた。
皆んながプリントに目線をやる中、私だけが君に目線を送っている。
__そう思っていたのに、君は私の先を見つめていた。
君のそんな目、初めて見た。
私は君をそんな目にさせるモノを知りたくて。
私も君と同じモノが見たくて、自然な仕草で背後を向く。
君と私の視線の先には、かわいいあの子。
ああ、そうか。
身体だけは向かい合わせになっているのに。
目線が、心が私の一方通行。
…ねえ、もし私が君への想いを告げたのなら。
その瞬間だけでも、目線も心も私と向かい合ってくれるのかな。
君の歌は
私に届かない
私の気持ちも届かない
もっと 寄り添って
向かい合ってみたかった
何をコントロールしようとしたの
いいなぁ
私もコントロールされたい
自意識の塊の下で
顔が見えて、表情がよくわかる。仕草も見える。
声色だけでは感じ取れない雰囲気が伝わる。
向かい合うことで見透かされているようで少し怖い。
でも相手を感じられて嬉しくも思う。
私は自分をさらけ出すのが怖い。
自分に自信がないから。
必死に取り繕って他人が心地よい自分を演じている気がする。
本当の自分ってなんだろう。
向かい合わせに怯えない自分になりたい。
ねぇ、あなたは
授業中向かい合わせになっている時
私が心臓バクバクで
ほぼ何もあたまに
入っていないことすら、
──────知らないんでしょうね。
#7
「向かい合わせ」
いつも隣にいるせいか、
たまに向かい合わせに座ると、どきりとする。