『冬になったら』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【冬になったら】
まるでオブジェのように聳え立つ無数の樹氷。太陽の光が雪原に反射して、目が焼けてしまいそうなほどに眩しく輝く。頬を包む冷たさも気にならないほどに美しく雄大な景色に思わず口を開けば、真っ白い息がプカプカと空に浮かんでいった。
『冬になったら、樹氷を見に行こうよ。それでそのまま雪山に入ってさ、二人で身を寄せ合って凍えて死のう』
衝動的に自分を殺してしまいたくなる僕の、手首から流れる血をギュッと布で抑えつけながら、君は柔らかく微笑んだ。いつだって君は僕の無意味な行為を咎めることなく、次の季節になったら二人で終わろうと優しい夢を見させてくれる。手袋に覆われた君の手を、そっと握りしめた。
「どうする? 一緒に死ぬ?」
「……ううん、今日はいいや」
君の問いかけに首を横に振る。幻想的な光景を目にすると圧倒されてしまって、常に僕の心を覆っているはずの漠然とした希死念慮が消えてしまう。それに僕は、君を失いたくない。二人で死のうと言ってくれる君に安堵しながら、君を僕の死にたがりに付き合わせたくないと願っている。
「もうちょっとだけ、一緒に生きてよ」
君の手を掴む力を少しだけ強くすれば、君もまた同じように僕の手を握り返してくれる。冬になったら、春になったら、夏になったら、秋になったら、そうしてまた冬になったら。君と交わし続ける約束だけが、僕を世界に留める軛だった。
冬になったら
君を忘れる恋をしよう
震える体を温めるように
冬になったら海へ行って
積もることのない雪を眺めてみたい
忘れ去られたように誰もいない海辺ではきっと
打ち上がったごみ達が雪化粧をしているだろう
波打ち際に雪だるま 目は拾ったボトルキャップで作りたい
季節の外来種に怯えた海が必死に波で拐うのを見たい
凍える風に揺れて鳴る風鈴の音のように
未体験の異様な景色が広がっているはず
冬になったら海へ行きたい
冬になっても、会いに来てくれますか?
冬になったら、忘れてしまいますか?
冬になったら、私は消えてしまいますか?
冬になっても、私を忘れないでくれますか?
さくら
冬になったら寒くなります。
みんな風邪などひかないように
暖かくしてお過ごしください。
温かい飲み物を飲みながら
この一年を振り返ろう
心に残っているのは
暖かな記憶だけ
ずいぶんと軽くなった
冬になったら会いに行こう
あったかいお洋服着て
あったかい手袋付けて
あったかい帽子被って
そうしたら 喜んでくれるかな
よく来たね 笑ってくれるかな
でももし 喜んでくれなかったら
そうしたら
あったかいもの全部すてて
夏に帰ろう
二度と冬がこない
夏に帰ろう
窓より小さな
画面の向こう
遠くに住む
見知らぬ者同士が
偶然か必然か
はたまた運命か
分からないまま
知り合って
はなればなれのまま
少しずつ触れ合い
はなればなれのまま
心近づいて
はなればなれのまま
想い一つになった
はなればなれのまま
慰め合い
はなればなれのまま
笑い合い
はなればなれのまま
愛と夢を語り合った
葉の色と
風の温度が変わる頃
二人の間に
温度差のある
隙間風が吹き始めて
いつしか
はなればなれのまま
一つだった心は
はなればなれになった
遠く
遠く
距離よりも
遠く
「はなればなれ」
もうすぐクリスマスだな、とカレンダーを見て思った。例年通りのクリスマス。
まず、クリスマスケーキの予約の確認をして、
店内の飾り付けもやる。
あと、店長に「おせちの予約の宣伝貼っとけ」って言われたな…
いつも、店内で無条件に流れるジングルベルにいらだちを覚えつつも、人手の足りないクリスマスの経済に貢献していると勝手ながらに自負してきた。
そうでもしないと外のイルミネーションが眩しいからと目を背けてきたカップルたちの冷たい目線が、痛い。
この時期が楽しみだったのは小学校卒業までで、そこからはひな祭りとか十五夜とか、他のイベントと同じくらいに格下げ、いや、それ以下になったな、なんて売れ残ったクリスマスケーキを食べながらよく考えて、参考書を開いていた。
でも、今年は違う。今年は店長に、休みを貰おう。
俺の雪解けは、一足早くやってくるのだ。
冬になったら
君が一緒に寝てくれるね
もふもふとふわふわが
暖かくて
ずっと隣にいたいけど
時計のベルが鳴ったから
今日も行くね
君にもらった
あったかさを
胸に抱いて
冬になったら
街ももうすぐ 聖者の季節がやってくる
君はもうすぐバーゲンの準備で忙しくなる
あの格子柄 ギンガムの可愛いスカート
黒のロングコートに ショートのブーツ
可愛いフィッシュボーンにしようかと
ファッション雑誌を片手に
甘いムスクの香りを
ソファーのシートいっぱいに広げながら
SHEINにしようかとか
君とふたりで 星空を見上げて
暖かい エアコンの温度を 上げながら
冬になったら 一緒に出かけたい場所が
あるからって君が言うから
何度巡っても
君の優しさ 忘れない
巡り巡って何度も
輪廻を繰り返しながら
何回目の転生で
君とめぐりあえたかを
知ってるつもりさ
多分何度も どこか違う世界で
君とあの大好きな 並木道のあの店へ
一緒に出かけていたとしよう
もうすぐ聖者の鐘がなる
何度目かのノエルを 君とくぐり抜ける
また今年も君と 生誕の季節を 迎えられたね
何回でも君と Xmasをしよう
冬になったら 白い犬もパーティーに呼ぼう
床に寝そべってみる。
体がじんわりと冷えていく。
何十年も住んでいる家なのに、今はどこか見慣れない場所に来たみたいだ。
天井を見ながら、時間が流れていくのを感じた。
今この瞬間にもそれは流れており、その事実は、底のない海にゆっくりと沈んでいくような、声にならない苦しみを抱かせる。
社会からシャットダウンされた唯一の空間に居ることが、今はとても不気味なことに思える。
私は今日も全てのものから少し遅れをとってしまったのだろうか。
またまた寒くなってきましたね。
”冬になったら”嫌なこと
布団から出れない
洗濯物乾かない
暗くなるのが早い
”冬になったら”嬉しいこと
あったかいお風呂
クリスマスのプレゼント
年末の忘年会
年越しのまったり感
お正月のお節料理
年明けの再スタート
なんだか楽しみになってきた♪
冬になったら君に会える。
本当はどんな季節でも会えればいいのに。仕方ない。君は暑いのが苦手だからね。冬に会えるだけでも本当に嬉しいんだ。
でもやっぱり、お別れの時はいつも悲しい。次会えるのはどれくらい先なんだろうって。
だからこそ、それだけ楽しみにしている。冬に君と会って、君と楽しく遊んで。その思い出をずっと胸に抱えて過ごしていた。
冬しかやって来ない君。もうすぐ会える。今年もまた君の美しい姿を見られることを楽しみにしている。
きらきらと舞い散る雪。
冬になったら会える。もうすぐだ。空に舞う君の姿をずっと待っている。
『冬になったら』
冬になったら色々できる
着込めるから最高。
【冬になったら】48 kogi
冬になったら
皆で寄り添い合おう
そしたら寒くてなんだか寂しい冬も
乗り越えられるでしょう?
冬になったら、あいつと
イルミネーションを見に行きたい。
こたつで鍋をつつきたい。
年末恒例の番組を見ながら年を越したい。
寒いねって笑いながらポケットの中で手を繋ぎたい。
寒いのを理由に一緒の布団に潜り込みたい。
あいつの誕生日を祝いたい。
約束したのに。次の誕生日は2人でゆっくり過ごすって。
なのに、なんで、遠くに行ってしまったんだよ。
(13 冬になったら)
冬になったら寒くなる。
冬になったら夜長に拍車がかかる。
冬になったらホットココアが飲みたくなる。
冬になったら……………
貴方のゆくもりがいつも以上に恋しくなる。
カチャッ。
貴方が帰宅した音が聞こえた。
「おかえりなさーい」
「うん。ただいま」
私と彼は、同棲をしている。けれど共同スペース以外は個人の空間で、二人共程よく、干渉せず、お互いがお互いの時間を持てる様にしている。
家事は、まだ色々模索中だ。
けれど、料理が好きな私は、料理だけは絶対に譲らない。
「はい。今日は簡単にハヤシライスでーす。もちろん、ルーにお世話になりました。
…、んで、こっちは手作りのコンソメスープ………といっても、具材を切っただけ〜」
「……こうして作って貰えることが、とても有難いです。いただきます」
「いただきます」
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晩ごはんを食べ終え、洗い物を二人で済ませた後、私と彼はソファーに座り、二人の好きなバライティー番組を見る。
一日のゆっくりできる時間だ。
「……ねぇ?」
「うん?なに?」
「最近、また一段と寒いね。私、寒いの嫌い。……それに、夜が長いから、それもイヤ。心が暗くなりそうで」
「……心が暗くなりそうだったら言って。
抱きしめてあげるから…」
そういう彼と笑いあい、軽いキスをする。
……こういうのを、幸せというのだと思う。
彼の腕に手を回し、彼にピトッとくっつく。
温かい、ゆくもりだ。
「……でもね、」
「…うん?」
「嫌いな冬でも、良いことがあるの」
「何?良いことって……」
「んふふ、こうしてギュッって出来ることっ!」
「えっ?それだけ(笑)」
「それだけじゃないよ。……とっても温かくて、心地いいもの…。これは、冬だからこその特権だよ」
「……そっか、」
「うん!」
「じゃあ、俺も引っ付くかな〜!!」
「わ〜〜!!」
こうして、冬はどんどん深まっていく。
寒さとともに、寒い時しかわからない、ゆくもりを乗せて。
1.冬になったら
冬と言ったら何が思い浮かぶだろう。
僕はもう一度、1面真っ白な景色を見たい。
僕が住んでる地域じゃ滅多に見られない。
小さい時に見た記憶、小さな雪だるまを作っていた。手を真っ赤にして、白い息がでてても気にしない。
夢中になって一日中作り続けていた。
夜になってもずっとそこにあった。
でも次の日になると、跡形もなくなくなっていた。
その日は、とてもショックな一日になった。
それから雪が積もることなんてなかった。
雪だるまを作ることもなかった。
その日から、僕は真っ白な景色を見ることがひとつの夢となった。
冬になったら、雪が降って欲しい。
雪が降ったら、かまくらをつくろう。
かまくらをつくったら、雪だるまを増殖させよう。
雪だるまを増殖させたら、家に戻って暖まろう。
暖まったら、アイスを食べよう。
理想は膨らむが、雪が降ってこないので結局最後の行しか出来ていない。