『今年の抱負』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
大変な幸運を掴んだ人、強い権力を持った人、大きな影響力を持った人を見ていると、どこかで必ずその掴んだエネルギーに拮抗する大きな不幸を受けている気がする。
成功者の慢心がそれを誘ってるようでもあるけど、でもその不幸は、避けようのない運命のようにも思える。
世界のエネルギーはどこかでバランスをとっていて、片側に荷重がかかれば、もう片方に負荷がかかる。人の幸不幸なんて重さがない空気みたいなもんだが、空気だって質量がある。あざなえる禍福。手に入れた栄華と同じだけの強さで、不幸もやってくるんじゃないだろうか。
ところで、今年の元日は、「一粒万倍日」「天赦日」「天恩日」が重なるトリプルなラッキーデーだったらしい。
財布を買ったり投資をしたり結婚したり、繁栄を願ったあれやこれやの願掛けが年越した瞬間から始まった。欲望は渦巻き、巨大なエネルギーが日本列島を覆って、そんな最強な開運日に大きな災害が起きた。
ただの偶然だろうし、ふだんは占いもそんなに信じないようにしてるけど、人の欲が強くなる時ってただならぬいろんな事が起こりがちよなとも思っている。(決して被災地の人たちの欲望ではなく、私の妄想の中での日本全体の欲の事を言っています)
でもまぁ、だからって欲を持たないようにとも別に考えてないけど。
自分の能力を過信せず、謙虚だからこそ吉日を大切にするって考え方もあるし。
でも、あらゆる人間の欲望の総体をイメージしてみると、改めてやっぱり怖いものがある。
自分の中の何気ない欲しがり心を深堀りしてみても、良からぬ性根が見えてくるし。羨望、嫉妬、隣の芝生が青すぎる、人より優位に立ちたい、自信がないから愛されたい、楽していい位置につきたい、あわよくばうまい汁を吸いたい。
せっかく除夜の鐘で煩悩を祓っても、新年早々恥ずかしげもなく欲をかく。
だから、今年の抱負は、「煩悩を見つめる」。
私の不埒な欲エネルギーが、無駄に世界を変えたりしませんように。
【31】今年の抱負
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地震の被害にとても心を痛めています。はやく余震の心配がなくなりますように。あたたかく安心して休息・睡眠がとれるようになりますように。
【今年の抱負】
正月二日から前触れもなく他人の家へと押し入ってきた幼馴染は、うるさいだけのバラエティ番組をぼんやりと眺めながら、やけに静かな声で口を開いた。
「今年はね、少しだけ本音で喋ってみようと思うんだ」
まったく、いったい何を言っているのやら。口を開けば嘘ばかり、本心を他人に晒したら負けだと思っているようなヤツのくせに。
そんなことを考えながらも、俺は沈黙を保ち、ただ無心で墨を磨り続けた。年明け二日目の午前中に書き初めをするのは、俺の毎年の習慣だ。コイツの訪問ごときで邪魔されてなるものか。
「ちょっと、無視しないでよ。せっかくの今年の抱負なんだから」
勝手に言っていろ。オマエに振り回されないのが、俺の今年の抱負なんだ。どれだけ唇を尖らせたって、今年こそはオマエを甘やかしはしないと決めたのだから。
「……今まで言ったことなかったけど、君が書をする姿勢が好き」
げほり。想定外のセリフに、思わずむせ返った。俺の反応など意に介した様子もなく、オマエは指折り数えていく。
「君の書く文字が好き。墨をする音が好き。君が筆を滑らせるときの、真剣な横顔が好き」
「っ、もうやめろ!」
頬が熱くなっているのが自分でもわかった。そんな俺の反応を見て、オマエは愉快そうに小悪魔めいた笑みを浮かべてみせる。
「言ったでしょ、今年は本音で喋るって」
ああ、くそ。結局俺はいつだって、オマエの気ままさに振り回されてしまうのだ。残念ながら今年も、俺の新年の抱負は叶いそうにない。小学生の頃から絶賛十二連敗中の現実を受け止めて、俺は大きくため息を吐き出した。
今年の抱負は
夫と幸せいっぱい噛み締めて
過ごす
な~んてね言ったら
俺も過ごす
ってかえってきた
最高に嬉しい時だ
抱いて背負った決意なんてなくて。
負の感情が僕を抱きしめてる。
心の強い子になって
自分から行動ができて
何事も積極的に。
悲しいことや辛いことに
負けない
明るく笑顔になれる
そんな日を
増やす
–今年の抱負–
今年の抱負
裏切られた深い傷を癒し、前を向くこと
今年は何しよう
去年何した?
覚えてない、覚えたい、
考えたい、作りたい、
欲しいものは欲しいのです。
自分の気持ちを大切にします。
やっと、自分のことを自分で決めて良い時が来ました。
努力は惜しんではいけないのです。
今まで他者の軸で生きてきたのだから、
最後くらいワガママ言って良いですよね。。。
あの時頑張って良かった…と、思いたいのです。
どうして負を抱きしめるなんでしょうか、
進歩をするには、まずは負を抱きしめることから
始めようと言うことでしょうか。
たしかに、思い出してみればね
直したいところがあるから、
何かを目指すことが多いのかもしれない。
負が無くちゃ何事も進展出来ないのかあ
今年の抱負
わたしの今年の抱負は、家族に心配をかけないです。
昨年は持病の悪化で検査入院したり、急に倒れて救急車で搬送されたりで、散々家族に心配かけたの。無事これ名馬‥この言葉が心に沁みた一年だった。
だから、今年目指すのは人に心配かけないこと。
つつがなく暮らせるって凄く大事。わたしが健康で暮らせないと、家庭がまわらないしね。
人生をかけて何となく叶えたいことというのは
漠然と持っているのですが
一年間と長いとも短いとも言えない期間の目標というのは
なかなか持っていないものです
ただ思うのは
何か大層なことを叶えられなくても
日々平穏に出来れば笑顔で過ごしたいなということです
どうかより多くの方にとってそうであれば
嬉しいなと思うところです
「今年の抱負」
私は地に留まり
君は天に昇る。
【#14】
来年の今頃、笑っていられますように。
#今年の抱負
今年の抱負
一年の計は元旦にあり…とか子供の頃は、言われていたような記憶がある…今年の目標とかを、冬休み明けの学校で発表したように憶えてる…けれど、三日坊主の私は、いつも直ぐに忘れて、年末には、結局後悔ばかりが襲って来る…其の所為か、何時からか、出来もしない計画は立てない事にしている…
10年先のために生きる
短期で結果が出ないからやーめた!って諦めてばかり
コツコツと積み上げて来れていたら"理想の自分"になれていたかも
もっと早く気付けていれば人生変わっていたかもなーなんて妄想もしちゃったり
でも、『今が人生で1番若い時』
今からでも遅くない
目先の結果ばかり求めるのは終わりにして一歩ずつ進んで行く
「今年こそ痩せるぞー!
目標は−4㎏!!」
そう言ったのは、1年前の今日
「今年こそ痩せるぞー!
目標は−5㎏!!」
今年の抱負はこれ
#今年の抱負
【158,お題:今年の抱負】
『今年の抱負は何ですか?』
「てつぼーでさかあがりできるようになる!」
それから数年、
『今年の抱負は何ですか?』
「ううん...逆上がりかなぁ...?」
そしてまた数年たち、今や中学2年生
『今年の抱負は何ですか?』
「逆上がり、小1の時からずっと同じなんすけど...それだけ運動下手なんですよね...」
ちなみにこれは私の実話である
そして私の今年の抱負も、やっぱり鉄棒で逆上がりできるようになることである
今年はおっきな小説の賞をとりたい。
天真爛漫な彼女は私の気持ちを考えもせずに、今年の抱負を述べた。
何をほざいてるのかしら。まだ十万字も書いたことないくせに。口だけは達者ね。
心の中で侮辱していた。
私よりさきにあの子がデビューするなんて。
そんな馬鹿な話ない。
こちとら15年も書いてるんだぞ。
噛む爪もなくなって、肉まで到達していた。
そんなこと、あってたまるか。
そんなこと……。
*
*
*
半年後。
彼女は新人賞をとった。
私は楽になるお薬の準備を始めた。
「今年の抱負」かぁ。
真面目に考えてみよう。
何個か候補はあるんだけど、どれも結局実行できずに終わる気がする…
だって毎年そうだもん。
そうだなぁ、
文章を沢山書く、とかかなぁ。
題:今年の抱負
「わぁ。もう、なんか、今年は分からん……」
まだ2024年始まってから40時間程度だってよ。
某所在住物書きは今日の通知を見ながら、めまぐるしく動きに動く正月2日目の状況にため息を吐いた。
「現在投稿している一連の物語を、1年でキッチリ終わらせる」のが、物書きの目標のひとつであった。
ここまで大事件が続いてしまっては、「自室の防災備品を充実させる」、「防震対策を再点検する」等々も抱負に相応しかろう。
「ひとまず、今の連載風を終わらせた2月29日以降の投稿をどうするかは、決めとかねぇと」
アプリをインストールしてから、もうすぐ366日。
367日目から何を投稿するか、投稿をやめるかを、そろそろ抱負として決める必要がある。
――――――
最近最近の都内某所、某アパート。夕暮れ。
部屋の主を藤森というが、雪国出身の生真面目で、
ニュースの音声を聴きながら、防災アプリから断続的に届く強震モニタの通知を、じっと見ていた。
「3.11」の際、実家も揺れた地域であったのに、東京に居た藤森。小さな傷が心の奥に残っていた。
よって随時、なるべくリアルタイムに、情報だけでも追い続けようと気を張っていたのだが、
「もうこんな時間か」
24時間でとうとう、集中力も底を尽いた。
「晩飯の買い出しに行かないと」
テレビの電源を切り、ニュースを黙らせる。自分がどれだけ「心」を砕いても、被災地には何ひとつ届かぬ。それより少しの現金を持って、コンビニかどこかで義援金の受付を見たら、1枚2枚突っ込もう。
藤森はマネークリップと、それからコインケースとスマホを手に、近場のスーパーマーケットを訪ねた。
独り身の夕食は、買うべきものが少ない。
特に買い物カゴも持たず、店の前のチラシをしばし見て(その下の募金箱で既に諭吉が2人招集済みであることに軽く驚き)、
野菜、カットサラダ、果物に少しのナッツ類……値引きシールの状況を確認しながら、精肉コーナーへ。
チラリ見た限り、オニオンサラダが半額で90円税込みだった。鶏肉に値引きが貼られていれば、オニオンコンソメスープで温まるのも良かろう、
と、思っていたら。
「さかな?」
店員の気配に肉の棚から目をそらした藤森。
鮮魚コーナーで値引き処理をしている者がある。
「すいません、一番美味いのは、どれですか?」
養殖ブリの柵――150g程度のブロックだ。珍しい。脂とろけるフィッシュカツ候補である。
消費期限当日ゆえの半額シールをペタペタ貼る青年に、藤森が尋ねた。
「見方を知らないので、よく分からなくて」
研修中の名札の青年は藤森の目を見ると、
「魚は全体的に、頭に近いとこが美味いですけど、」
少し考える風に視線を外して、それから、唇の片端をわずかに上げた。
「イナダとワラサ買ってたお客さんですよね?」
「えっ?」
「いわゆるマグロで言うところの大トロみたいな部分と、頭に近い部分、場所違うんですよ。だから脂と味の好みでオススメするもの変わってくるんで」
「あの、どうして」
「割引きの肉と魚買ってくれるお客さんでしょ?」
「あぁ、まぁ……」
「結構もう、ある程度どれ美味いってご存知でしょうけど、個人的にはコレとコレ、オススメですね」
今日はサーモンも安いんで、そっちも気になったら遠慮なく呼んでください。
研修中の名札を付けた店員は、濃灰な太めのブリの切り身と、白銀な薄めの脂身をサッサと選び出して、次の商品の値下げ処理作業へ。
「どこかで会った?」
あの店員への声がけは、これが初めての筈だが。
白銀の柵のパックを手に取りながら、藤森はシールをテキパキ貼り続ける青年を確認する。
「……何故私なんかの購入傾向を?」
「研修中」って、なんだっけ。藤森は首を大きく傾けて、額にシワを寄せる。
今年は値引き品以外も少し購入すべきだろうか。
小さなため息を吐き、せめてここの店員に煙たく思われたり、嫌われたりはせぬようにしようと、それをひとまずの今年の抱負とした。
「サーモン、確かに安いな。
少し多めに買って、後輩でも呼ぶか……?」
「鍋に使えるカット野菜ありますよ」
「わっ?!」
「持ってきます?」
「は、……はぁ……」