見咲影弥

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今年はおっきな小説の賞をとりたい。

天真爛漫な彼女は私の気持ちを考えもせずに、今年の抱負を述べた。

何をほざいてるのかしら。まだ十万字も書いたことないくせに。口だけは達者ね。

心の中で侮辱していた。

私よりさきにあの子がデビューするなんて。
そんな馬鹿な話ない。
こちとら15年も書いてるんだぞ。

噛む爪もなくなって、肉まで到達していた。

そんなこと、あってたまるか。
そんなこと……。




半年後。

彼女は新人賞をとった。

私は楽になるお薬の準備を始めた。

1/2/2024, 1:57:21 PM