『些細なことでも』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【些細なことでも】
どんな些細なことでもドキドキしてた初恋。
今思い返せば、ずっと目で追っていたと思う。
姿だけでも見たいと思って辺りを見回して、
声をかけられれば胸が高なり、
少し手が触れたら舞い上がる。
些細なことだったけど今でもこの時の気持ちを
鮮明に思い出せる。
些細なことでも
些細なことでも気になって疲れてしまったら、とりあえず立ち止まって美味しい物でも食べたいね。
一息ついたら案外、「そんなもんか」って思えてくるかもしれないよ。
日々家
きみの命の話をしてよ。まるで死人の真似事かと機能障害を疑う発言に白に色の抜けた髪を揺らして大人はほほえみをゆるく返した。言い訳だ。
「何でもいいと言ったけど、ううん、ナシで。きみの愛の話をしてよ。」
「ああ、それなら変わりない、何しろ私は愛の男だからね。些細なことであってもつぶさに、じっくり語り尽くすとしよう。」
きっと今の君に映えるだろうし。潔くきっぱりと、生きるもの死して動くものを隔絶しきってから語り出された大人の話術は巧みで、青年も取り込まれるように聞き入った。これは愛の話の幕間、彼を生かす波の多くの一つ。
今日、幼なじみが亡くなったと
知らされた…
「家族葬で行うので弔問は結構です」
……そう言う事らしい。
初めて彼と会ったのは、確か小学校
低学年だった…
家も近所だったから、毎日暗くなるまで
走り回って一緒に遊んだ…
夏休みは、プールバッグを自転車のカゴに
入れて、真っ黒に日焼けしながら泳いだね
大人になってからは、皆一緒に集まって
バーべキューもしたよね…
貴方はコカコーラに勤めたから、
ジュースも沢山くれたね…
「ありがとう…ほんとにありがとうね」
ねえ…聞いてる…
「どんな些細な事でも」振り返れば
一時、一時が凄く貴重な時間だったね…
今の時代が何だか憎らしい…
顔を見て送ってもあげられない…
ほんとに世の中がおかしくなってしまった
こうして、貴方を思って書いている
私の心の声が届きますように…
そして、貴方の旅立ちが淋しくて
ちょっと涙が出てしまった私を笑って…
よく頑張ったね!
ほんとにお疲れ様でした。
ゆっくり休んで、まだまだあたふた
生きている私たちを笑顔で見ていてね
些細なことでも「ありがとう」を伝えるようにしている
部活で後輩が先に準備を始めてくれていた時、お店の店員さんからお釣りを受ける時、バスから降りる時など…やってもらって当たり前ではなく、ありがとうと感謝の気持ちを持つことが大切だと思う。
人に感謝を伝えられる人に、そして人に感謝される人になりたい
些細なことでも、全部書き留めておく。
それを時々見返して、こんなこともあったなとひとり笑って、
お前にも見せたとき、こんなことまで覚えてるのかよと大笑いしてくれたら、
この日記にはこれ以上ないくらいの価値が生まれる。
【些細なことでも】
「近くに居なくても」
歩いているとき、ふと目に留まった名も知らぬ花。
コンビニの前、駐車場で跳ねる鳥。
見上げた空に浮かぶ雲の形。
「そんなん撮ってどうすんだ?インスタ?」
大学の同じ学部の友人が首を傾げた。
「いや、そうじゃなくて……」
「女か!」
「あー、うん」
「ま、マジか……お前に彼女がいるとか……」
なんでそんなこの世の終わりみたいな顔して見てくるんだ。
「どうせ二次元キャラとか脳内彼女とかだろ」
失礼なやつだな。実在してるっつーの!
俺は幼馴染だということや付き合い始めたきっかけ、彼女がどれだけ可愛くて可愛くて可愛いかをとことん語ってやった。もちろん、ツーショットの写真も見せてやる。
「うわ。マジで……すっげーかわいいな……」
「そうだろーそうだろーうへへ……」
「隣の男はキモいけどな」
「ほっとけ」
俺は、その彼女に日常の何気ない風景を送っている。
返事はスタンプひとつだったりすることもあるが、課題が多く忙しいから仕方ない。
近くに居られないなら、せめて近くに居る気分を味わってほしい。
ただ、俺が送りたいから送ってるだけだ。
「遠恋かー。いつまで続くかなー」
「しばくぞてめぇ」
────些細なことでも
好きな人が放課後、募金活動で集めたお金を数えるの手伝ってくれた!そのあと一緒に帰れて幸せ(*˘︶˘*).。.:
些細なことでも
君と一緒なら
なんだっていい
恋日記
9月3日
肘に小さな青あざが出来ていた。
きっと、ボーっとしている時に、どこかにぶつけてしまったのだろう、そう思うことにした。
僕にとっては、この身体に残る傷は、些細なことでしかなかった。
今日も両親は帰ってこない。
ばあちゃんとじいちゃんの話す小さな声が、リビングの方から聞こえてくる。
洗面台の前に立つ、痩せた僕が、白く曇った鏡に映っていた。
兄ちゃんがいなくなってから、半年が経とうとしていた。
兄ちゃんがいなくなってから、妹たちが夜中に突然、泣き出すことが増えた。
兄ちゃんがいなくなってから、じいちゃんは夜通し起きているようになった。
兄ちゃんがいなくなってから、ばあちゃんは兄ちゃんの分の食事を一晩、リビングに置いておくようになった。
服を丸めて洗濯機に投げ入れた。
強張った関節がきしり、と鳴った。
僕は兄ちゃんの行方を探していた。
兄ちゃんが僕を置いて行くなんて、そんなこと、死んでもするはずがないと思っていたから。
兄ちゃんは生きているんだ、と思った。
きっと、不思議な世界で、ちょっと面倒ごとに巻き込まれて、仮死になっているか、何かを探しているか、そういうことをしてるんだ、と。
兄ちゃんは、好奇心いっぱいの強い心を持っていて、誰よりも家族が好きだった。
兄ちゃんは、些細なことでもよく気付いた。
特に僕が怪我をした時なんかは、たびたび、鬱陶しく感じるくらいに大騒ぎした。
妹の些細な表情の変化を嬉しがり、大げさに褒めて祝った。
笑いかけると、すごく嬉しそうに深い笑みを返してくれた。
嘆願すると、もどかしそうに眉を顰めた。
怒りや悲しみを訴えると、刺されたような顔をして、目を逸らした。
兄ちゃんは、嘘をつく時、よく目が泳いだ。
しつこくて、優しくて、よく気がついて、嘘が下手な兄ちゃんの身体が、動かずに帰ってきたのは、冷たい雨の日だった。
あの日から、僕は兄ちゃんを探し続けた。
探し続けて、探して、探して。
見つかった真実は、どれも複雑で、絶望に満ちていた。
兄ちゃんが関わった事件。
払った代償。
迫られた選択。
妹の出自。
そんなことを知っていく過程で、僕は、僕が偽物であることを知った。
あの日から、僕の身体は僕のものではなくなった。
僕の指は、味気ないゴム手袋越しのような感触だけを、僕に伝えるようになった。
僕の関節は、何かにぶつかっても変わらずに軋んだ。
僕の肌は、切れても打たれても、機械的な皮と肉の損傷を、視覚的に伝えるようになった。
僕の世界から、痛みは消えた。
触れているということ以外の感触も消えた。
僕は、僕に起こるどんな大切な変化にも、些細なことでも、見逃すようになった。
どんな傷も、今の僕には些細なことだった。
兄ちゃんは生きている。
家に身を寄せ合って暮らす僕たちの日常の外のどこかで、兄ちゃんは生きている。
そして、その生きている兄ちゃんが、僕の痛みに、変化に気付いてくれる。
どんな些細なことでも、兄ちゃんが気付いてくれる。
それが、僕に残された最後の希望のように思えた。
お風呂に入らなくてはならなかった。
じいちゃんとばあちゃんが心配するから。
バスタオルを引っ張り出して、ドアの前に置いておく。
シャワーが苦手になった。
汚れを流す心地良さも、水の熱さも寒さも、もう分からなかったから。
気は進まなかった。
でも僕は、明日もじいちゃんとばあちゃんを助けなくてはいけなくて、兄ちゃんを探さなくてはいけなくて、妹の兄でなければならなかった。
じいちゃんの淋しそうな声に、今夜も目が覚めたらしい、妹たちの啜り泣きが被さった。
一息吐き出して、お風呂場へ足を向ける。
頼りない感触で石鹸を握りしめ、戸を開ける。
戸を閉めるために、洗面所へ向き返る。
洗面台の鏡は曇っていた。
些細なことでも
あの日すれ違えたこと、顔が見えたこと、
一言だけでも会話出来たこと。
些細なことでも、忘れられない君との記憶。
本当は、好きって言ってた曲聴いてるとか、
髪型可愛いねとか、LINEのアイコンのキャラ私も好き、
とか…もっと話したいことは沢山あるけど。
次話せるのはいつになるかな。
取るに足らない小さなことでも、気軽に話して笑い合える仲間がいたらいいのにな。
どんなに小さなことでも、それは私の大切な夏でした。
クーラーで冷えたコインランドリー。じっとり滲んだ寝汗。雨水が打ちつける窓。昼下がり、オレンジに染まるお風呂場。わざと電気をつけず夏色に染まった水風呂にゆっくり体を浸けてじっくり1分数えた。
素敵な夏でした。
大人になるってこういうことかと
思ったときには手遅れで
大事にしていた全てから
一つ一つ手放していく
捨てたくないとずっと
がんじがらめの心の意図
ほぐれて片落ちて救えなくて
何にも興味を示さなくなる
今になって悩んでいたこと
苦しいだけと感じていた
それはまだ気持ちがこもっていた
冷めることない強い意思
取り戻せるかもななんて
思い付いた日には
後戻りもできなくて
種を蒔いても枯れていく
ごめんねと軽く呟いて
掴めない手が空を切る
些細なことでも
お題《些細なことでも》
感情は、四季が移ろう。
この日、この時、確かに、必死に生きていた。
無意味じゃない。――たとえこれが身勝手な幻想なのだとしても。
虚ろで、この空白なこの身にも花がゆれるから。
些細なことでも
心の灯火忘れてた一緒にストックする…
些細なことでも
何を言ってるかよく聞こえなくて、聞き返したら「なんでもない」と言われた。
LINEの話が盛り上がり始めた時、急に既読がつかなくなった。
最近話している時、なんだか私と目を合わせてくれない気がする。
些細なことでも、ひっかかりでも、
重なれば次第に疑心暗鬼になって、
無い意味を付けて僻んで、
簡単に不和に繋がってしまう。
私のそれは相手への期待だから、
よく一緒にいる友達ほど不安定になる。
だから一緒に過ごして、
満たされないことが恐い。
些細な事がきっかけで全てを得るか、全てを失うかの両極端な場面に出くわしたら、その些細な事は些細な事ではなく、重要な事に変わっている事に気づいている人はそんなに多くない。
(些細な事)
「だから我慢しないでって言ってるじゃん!」
女性の叫び声が狭い部屋に響く。女性の目の前に土下座をして座っている男性は俯いたまま微動だにしない。
「いっつもいっつも我慢してさ、私に何を求めてるの?」
「……何も無いって」
「……はぁ……」
女性側が諦めてため息をつく。いつもこうだ。何でも言い合うという約束で結婚したのにいざ結婚して数週間経てば男性は隠し事だらけだった。
「……隠し事するのはいいけどさ、私に分かんない様にしてよ」
「……してないって」
「もういい」
最初の頃は信じていた。何も無いと言い続ける彼を信じていた。段々と些細な事が苛立つようになっていった。
靴下を放っておくところ、食器の洗い方が雑なところ、ビニール袋をぐちゃぐちゃにしておくところ。1つずつ注意するのもウザイだろうと思って自分で直すようになっていき、意見を何も言わない彼に段々と覚えていく苛立ち。
「……ごめん、次からはちゃんと」
「もういい。好きにすれば」
塵も積もれば山となる、とは正にこの事なのだろうか。
『些細なことでも』
日常に楽しみをみつけよう
日常にいい所を探し出そう
道端に綺麗なお花が咲いていた
今日は突き抜けるような晴天だった
心地よい風が吹いた
日常に喜びをみつけよう
日常に非日常を探し出そう
穏やかな雨の匂いがした
美味しそうな料理屋を見つけた
いつもより字が綺麗にかけた
どんな些細なことでもいい
少しの希望が幸せにつながるから
些細なことでも