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きみの命の話をしてよ。まるで死人の真似事かと機能障害を疑う発言に白に色の抜けた髪を揺らして大人はほほえみをゆるく返した。言い訳だ。
「何でもいいと言ったけど、ううん、ナシで。きみの愛の話をしてよ。」
「ああ、それなら変わりない、何しろ私は愛の男だからね。些細なことであってもつぶさに、じっくり語り尽くすとしよう。」
きっと今の君に映えるだろうし。潔くきっぱりと、生きるもの死して動くものを隔絶しきってから語り出された大人の話術は巧みで、青年も取り込まれるように聞き入った。これは愛の話の幕間、彼を生かす波の多くの一つ。

9/3/2024, 1:53:22 PM