『不完全な僕』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
僕は不完全だ。
そんな言葉をぽろりと口から零すと君はしばらくしてから静かに言った。
「この世界に完全な人っているの?」
そして君は頬にかわいいえくぼを浮かべた。
しなやかに僕を抱く彼の手が嫌いだ。
彼のその白い指先は欠けている。断面には塞がったような跡があるから、後天的に傷ついたものなんだろうとは思う。理由を聞いたことはない。
ほっそりと薄い、ユリの花びらみたいな手のひらが僕の頬を包もうとするとき、嫌でも欠けた指先を感じざるをえない。月はいくらから欠けているほうが風情があると千年前の人間はいったが、僕は彼の手を愛せなかった。
「優しいやつだ」といわれ生きてきて、誰もを平等に愛そうとする心に人の生きる価値があるのだと母から教わった。あなたは優しい。純粋で優しすぎるその心が心配だと、婚約者に言われたこともある。
だから、たかが指先の1本欠けた手に、こんなにも激しい感情を抱かされる自分自身に戸惑い、ただ恐れていただけなのかもしれない。
そして今夜も、人差し指の欠けたそれが僕のほうにのびる。僕は魔物から逃れるように払いのけた。生々しいその断面は、いつか僕を呑み込んでしまうだろう。
「恐ろしそうだ。」
彼の蒼白い顔がかなしげに綻ぶ。しかしその手をおろすことはない。
「かといって義指をつけたら、君はもう僕に執着してくれないんだろう?」
逃げたくても逃げられないのはどちらなのかと、彼の唇が動いた気がした。淡い月夜に世界は落ちている。この薄明かりが、いとしい婚約者の不安を背にして、彼と逢瀬する僕の醜さを透かし出してしまう。
「君も不完全だよ。綺麗だ。」
彼はサモトラケのニケでも、ミロのヴィーナスでもない。美術品として以外では、どこか欠けているものを愛することはできない。拒み続ける僕の心に、失われた白い指先は妖しくほのめき、離さない。
毎日毎日酒を飲み酒に主人格を奪われるくらい飲む。
弱いから飲まずには生きていけない。
嫌な事も全部忘れるまで飲む。
朝起きると、意識が戻ってしまう。
ずっと夜が続けばいいのに。
不完全な僕は1日1日を浪費している。
成績優秀な君
勉強が苦手なぼく
スポーツ万能な君
スポーツが苦手なぼく
顔もスタイルもいい君
見た目に自信が無いぼく
歌が上手い君
歌が苦手なぼく
絵が描ける君
絵が苦手なぼく
学級委員長の君
目立つことが苦手なぼく
誰とでも話せる君
話すことが苦手なぼく
なんでも出来る君
なにも出来ないぼく
みんなに好かれる君
みんなに嫌われるぼく
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事故に遭ったきみ
この世に居ないきみ
生きる僕
心の無いきみ
心無い僕
これで埋まった
僕ときみの不完全な部分
-これで僕達同じだね
きみと僕は不完全。
不完全な僕 #1
お題「不完全な僕」
産まれたときから不完全
どうあがいても死ぬまで不完全
今までも
これからも
完全の幻影を追い求めて
諦めながら生きていく
それが僕
不完全で、不確定で、不透明な僕を愛してくれる人はいるのだろうか。自分が好きな人が、自分を好きだなんて奇跡、僕の人生にはきっと無関係なんだろうな。
「はははは、」思わず自嘲の笑みがこぼれる。
あぁ、壊したいなぁこんな世界を
不完全な僕が目の前に現れた。
私に何か用?完全になる方法でも聞きたいのかな?
知らないよ、そんなもの。え、違う?
じゃ、完全じゃなくても大丈夫って言って欲しいの?
私の言葉なんか何の担保にもなりゃしないよ。え、違うの?
そうか、分かった。ま、そうかなと思ったけど。
完全から程遠い私の前なら自分のがマシって安堵出来る!
これも違うの?
ま、お座りよ。座るにちょうどいいブロック塀があるよ。
私もちょっと休みたかったのよ。ほれほれ。
まあなんだ、わざわざ「不完全」って銘打ってるってことは
自分の不完全さに思うところがあるってことだね。
完全はいいことだと思うよ。目指すのはいいことさね。
自分の為の目標にするならカッコいいことだけど
誰かの為ならオススメしないよ。やめたがいい。
誰かの期待を裏切っても、自分の為に生きるのさ。
だって自分の人生じゃん。
だいたい相手に完全を期待するやつは止め処ないよ。
完全になった瞬間から次の完全を提示してくるよ。
満足なんかしやしないからね、アイツら。
だから…、あれ?
不完全な僕はいなくなった。
ま、シラフの人間にくだを巻かれりゃね。
9月1日
私は生きます。皆さん辛いなら逃げてもいいです。
だけど星にはならないでください。私からのお願いです
なぜ、姉はああも毎朝嬉しそうに鏡を眺める?
なぜ、姉はむっつりとした顔をしていても大勢に好かれる?
なぜ、姉は生まれながらに両親に愛されている?
私にはできない。
なぜなら、私は生まれながらに不完全で、大事なものをいくつもいくつも姉に盗まれて生まれてきたからだ。
僕はきみを愛することはできないけど、他のなによりもきみを優先しよう。大切に守り、慈しみ、そばに居続けよう。
だから、こんな不完全な僕をあいしてほしい。なんて。
そんな自分勝手な望み、きみを前にして言えるわけがなかった。
▶不完全な僕 #2
こんな惨状で
僕ら
分かり合えやしないから
ずっとこのまんま
僕ら
認め合えやしないから
ずっとこのまんま
僕ら
信じ合えやしないから
ずっとこのまんま
僕ら
それでも愛し合えてしまうから
ずっとこのまんま
不完全だからこそ
僕なんだわ
不完全な僕
【34,お題:不完全な僕】
不完全な僕ら
互いに埋められない空白を抱えて生きている
その空白は 冷たく 暗く とても寂しい
埋まらない隙間を埋めようと
人は人を求める
その体温が 手の温もりが
「君はここに居ていいんだよ」 そう言ってくれる気がして
人は手を取り合って生きることを選んだ
まだ不完全な僕ら
完全になれる日なんて来ないのかもしれない
それでも
この地球に僕ら
支え合って立っている
『不完全な僕』
歳の割に大人だよね。
よく言われる言葉。何を言っているんだろう。
自分は周りが思っているより大人じゃないと思う。
僕だって感情的になるし、わがままだって言う。
朝は起きたくないし、仕事も家事もしたくない。
学生時代から変わらないまだまだ未完成なやつだ。
「君って大人の皮被るの上手いよね。」
笑いながら言う彼だけが、僕のことを知っている。
今日のお昼はパスタでした。
ソースから手作りで作り麺はアルデンテに茹でることができ、お店で出しても遜色ないほど完全にお気に入りの店の味を再現できた。ただ食器だけはどんぶりになってしまった。
『不完全な僕』
……これは相対的なものですか?
他人と比べるならば、私はこれまで何かで一番になったことがありませんので、どう考えても不完全ですね。
精神的にも肉体的にも思想的にも社会的にも、上には上がいるものです。
平均値と比べるならば、それはもはや完全ではない気がします。
仮に全ての能力が平均値を超えていたとしても、それを"完全"と言うには違和感がありませんか?
過去や未来の自分と比べるならば、そもそも比べようがありませんね。
というか、未来が分からない限りどんなものでも"完全"とは言いきれない気がします。
……それでは絶対的なものですかね?
絶対的に考えるならば、私は私しかいませんから、ある意味私は何時でも完全な私ですね。
しかしそうなると、逆に"不完全"という意味が分からなくなる気がします。
……なんだか難しいですね。
そもそもこの考え方で間違っていませんか?
それすら自信がありません。
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追記
調べてみたら、分かりやすく「完全」の説明をしてくれているサイトを見つけました!
自分は「完璧」と「完全」の意味を混ぜて覚えてしまっていたようです。
「完璧」は「これ以上ない状態」
「完全」は「全部そろっている状態」
簡単にまとめると、このような違いらしいですね。
……ナチュラルにタイトル回収してますね。
僕はロボット。でも不完全だ。自分で歩けないし知識も少ない。だから博士は僕に授業をしてくれる。世の中には自分で歩けない人がいることを知った。人間は皆博士のようにガリガリで一日中歩き回って何かよくわからないことをしているのだと思っていた。僕のように授業を受ける人もいると知った。博士は僕をいろんな人に会わせてくれた。足のない人、目の見えない人もいることを知った。僕は不完全だ。でも博士は僕にいろいろなことを教えてくれた。
だけど博士は僕に会いに来なくなった。誰かと話してる声が聞こえる。博士に聞いたら新しい生徒だと言っていた。僕は不完全だ。最近は全然覚えられない。前に習ったことが思い出せない。
はかせはどこ?もっとしりたいことあるよ。ぼくがふかんぜんだからすてちゃったの?なにもみえない、くらいよお。そのロボットはなあに
白の中にひとつ黒い点があるような
そんな存在の僕
この小さな島国の中ではこれは間違い
黒い点の僕
誰が決めたって?”みんな”さ
欠陥の片羽を背負って
今日も僕は飛べない黒い小鳥
#不完全な僕
人より仕事ができない僕
下手くそだっていつも叱られて怒られて
周りより周回遅れで生きている僕
のろまだっていじめられて責められて
人より不器用な僕
簡単なこともできなくて自己嫌悪
そんな不完全な僕を愛してくれている君
完璧な人はどこにもいないと抱きしめてくれる君
だから君のために生きてみたいって思ったよ
不完全な僕のままで
45.『不完全な僕』
不完全な僕
君と別れた。
君が家を出ていった。
朝、君が起こしてくれることはなくなった。
美味しい朝ごはんも、弁当もなくなった。
シワのないシャツも、揃えられた靴下もなくなった。
おかえりと言ってくれる君もいなくなった。
手作りの味の晩ごはんも、暖かい風呂もなくなった。
そしてなにより、心を埋めてくれる君がいなくなった。
君がいなくなっただけで、僕は何もできなくなってしまったよ。
どうしようもない失敗ばかりで、けれど死ぬ決断もできないから、今日も仕方なく生きている