『七夕』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
短冊に綴る恋心
君との赤い糸は繋がってなくても
笹で繋がってるよね
〜七夕〜
一年に一回織姫と彦星が会える日
天の川が現れる
それはとってもきれい
人々は短冊に願い事を書く
書くと叶う気がして
確かにうさんくさいというひともいるだろう
だけど、大半の人は願っているのだ
純粋な子供も
荒波に飲まれた大人も
ちょっと神秘的でほんとうに願いが叶う気がして
だから、大変な日々を生きている人々の
ささやかでおおきい
夢が叶う日になりますように
七夕は雨が多い。
その為、七夕というと
「織姫と彦星は、今年も会えなかったね」
この言葉を言っていることしか記憶にない。
しかし、普通に考えれば
織姫と彦星が出会うのは
雨雲より遥か上の宇宙なのだから
雨で会えないということはない。
それでもつい、
この言葉を言ってしまうのは何故だろう。
会いたいのに会えない、思い募る恋が好き?
それも悪くはないけれど、個人的には、
お互い幸せになる恋の方が好きだ。
だから、
織姫と彦星が会う幸せな瞬間をこの目で見たいのだ。
なるほど。
夜空に輝く恋人達を望むが故に
あの言葉は出てきていたのか。
七夕
年に一度しか逢えないふたり
世の中はそれを美化して語る
だけど
僕はそんなのは耐えられない
毎日君に逢いたい
だから
流れ行く星に願いを掛ける
永遠に共にいられることを
七夕は、なんでも願いを叶えてくれるの?
違うよね…
だって、去年願ったのに、
叶わなかった…
いつか、叶うかな…?
「困るんだよなあ」
上司からのこの言葉にストレスを感じないやつがいるだろうか。
男は頭を下げながら、「申し訳ございません」と先ほどと同じ言葉を述べた。
「はあぁ、困るんだよねえ」
上司はそんな謝罪なんて聞こえていないかのように、わざとらしく大きなため息をつく。
「大体さあ、もっとどうにかならないかなあ。君たちがこの時期に雨ばっか降らせるせいでさあ」
うるせえこのくそじじい。
そんなことを心のなかで思いながら、男は謝罪の言葉を繰り返す。
大体自分の娘のいざこざに仕事の関係者を巻き込むのはどういう了見なのか。
そもそもあんたが「1年に一回この時期なら会っていいよ」なんて言わなきゃこちとらこんな謝罪せずに済んだんだ。
というかアンタがそんなだから娘が恋愛に狂って仕事しなくなるんだろう。
男はかつて起こった地獄のような大騒動を思い出して遠い目をした。
「どうしても晴らせないの?」
「無理ですね」
まだ言うかこの上司。
そう思いながらにべもなく男は断りを入れる。
そう。無理なものは無理なのだ。
どの時期に雨を降らせるかはすでに会議で決まっている。
もちろん上司も会議には出席していたし、そのことについて了承もしたはずだ。耄碌して記憶がとんだとしか思えない。
「でもねえ、カササギ君の部署からの予算要求も年々増えてきていてねえ。働き方改革っていうの?特別手当を出すことにしたんだって。こっちも毎回毎回足場代わりを頼むのもねえ」
上司の言葉に男の胃が痛んだ。
どうやら足場になる奴らに足元を見られているらしい。
なんとかできるだろ?ね?なんて言いながら肩を叩いてくる上司には殺意を覚えざるを得ない。
今年も七夕を迎えた、天界の天候調整部で働く男は、誰にも知られずひっそりと血の涙を流すのであった。
初恋の人と
年1回、会う日が七夕。
織姫でもなく
彦星でもなく
私達はただの大人になった。
あの頃の交換日記だけが残ってる。
七夕の願いはまだ叶っていない。
#七夕 -13-
一年に一度。
私と彼が会える日。
カササギの橋を歩いて、天の川を渡るの。
カササギは死んだ者たちの亡霊。
みーんな、私たちのために死んだ。
私たちの再会の為だけに
カササギになって橋を作ってくれる。
それが本当に嬉しくて、楽しくて。
いつも渡る時は、
カササギの頭を踏むの。
私の為にありがとうって想いを込めてね…。
(めちゃ捏造です。織姫はもっと優しいはず…)
ー七夕ー
一年に一回しか会えないなんて、耐えられないよね。
絶対別れちゃう。
そんな風に笑った顔を思い出す。
今となってはもう朧げだ。
どんな声で、どんな瞳で、君はそう言っていたか。
がらんとした部屋に戻り、写真に語りかける。
せめて一年に一回でも会えたら良いね。
そっちの暮らしはどう?
こっちは案外なんとかなってる。
あとまだ別れてないから、そっちで浮気するなよ。
君は星空の向こうで、どんな顔をしたかな。
七夕。
願いを叶えてくれるという年に一度のイベント。
たくさんの短冊で飾られた笹を…
勢いよく斬った。
#七夕
『笹 大特価 500円』
7月7日。久しぶりに晩ご飯を自炊しようと寄ったスーパーで、笹を思わず買ってしまった。
500円が本当に大特価なのかはわからない。
笹を欲しがるなんて、七夕に浮かれている人かパンダくらいなものだろう。
しかし、せっかくの七夕なのだ。本当に願いが叶うなんて、もちろん思っていない。それでも、こうやって少しは楽しんでもいいんじゃない?
そんなことがあって、笹を担いで帰宅して、気付いた。
そういえば、短冊を買っていない……。
1番重要な短冊を忘れてしまった。笹だけあってもしょうがない。パンダじゃあるまいし。
ああ、でも、いいか……ポストに入っていたチラシの裏でなんとかしよう。吊す為のこよりは――輪ゴムでいいか……。
そうやって即席の短冊を作ろうとチラシを手に取る。目に入るスーパーの品々。そして、また気付いた。
あああ醤油切れてたんだああ買うの忘れたああああ。
何しにわざわざスーパーに寄ったと思っているんだ。笹を買ったところでお腹は膨れないんだ。パンダじゃあるまいし。
きゅるきゅるとお腹が鳴る。
もう、いいや、今日は……○ーバーを頼もうそうしよう……。
――[もうちょっとちゃんとした生活を送れますように]
『七夕』
「七夕、今年も雨でしたね」
と、隣の彼女が言う。
「そうですね」
と、僕。
天上に昇る天の川にかかる、アルタイルとベガを結ぶ線は、多分、故郷の石垣島でないと、晴天のうちに見ることは叶わないだろう。
沖縄では、もう梅雨明けだ。
九州の空は暗い。
今日も、フライトは雷雲の中を、ガタガタと揺れながら、彼女のアナウンスを聞いて、雲を突っきるような、航行だった。
彼女は、それを、知ってか知らずか、
「今日、笹に沖縄に行けますようにって、書いたんです」
「いけるでしょ。あの、僕の故郷、石垣島なんだけど……」
「知ってます、よ」
彼女は、どこか、苦笑したように笑う。
「ねぇ、副機長。明日は、沖縄便飛ぶといいですね。沖縄だと、空も綺麗でしょうから」
暗い夜の中で、僕たちだけが、息をしている。
海に潜る時みたいな、息苦しさと、透明度を保って、僕たちの距離感がある。
二人の、くっつくかくっつかないかの距離は、多分、僕と隣に座った機長よりは、遠い。
織姫と彦星みたいになりたい?
いや、いや。
そんな、甘さを帯びた、開いた貝みたいな、恋愛未満の境界線。
叔母の家があった海辺の街は、
七夕祭りで有名だった。
空が見えなくなるほど沢山の笹飾りと、
道の両端にずらっと構えた屋台。
音楽と人の笑い声で賑やかな、
非日常的な空間。
他では売っていない、
変わったビー玉を買ってもらったな。
今でも、実家の部屋に、
思い出とともに、大事に仕舞っている。
#七夕
どれもこれも相応な願いに思えなくて
結局何も書けなかった
くしゃくしゃに丸めて棄てた
それは、白い煙を揺らめかせ
結局望まないまま
そらに届くんだろう
お題:七夕
中2
七夕
うちの家はかならず短冊を書きます
妹 テストでどうちゃらこうちゃら
弟 書いてない
お母さん 家計安全
お父さん 健康
主 テストで60位以上行きませんように
そう言えば、七夕はいつも雨だけど
今年は晴れたね☆
織姫と彦星会えるかな?
七夕
「七夕の日は雨が降ることが多いよねー」
テレビの天気予報を見ながら、あなたが言った。
「まぁ、涼しくなるのはいいんだけど。天の川が増水して、二人が会えなかったらかわいそうだな」
ちょっと変わった考え方だけど、あなたらしくて素敵だった。
「じゃあ、短冊に 二人が会えますように って書こうか?」
私の提案にあなたの目が輝く。
「それじゃあ僕は、 来年も一緒にいられますように って書くよ!」
それって織姫と彦星のこと?それとも私たちのこと?
気になったけど、聞かないでおく。あなたの笑顔を見ていたら、分かるような気がした。
短冊に願いを込めて・・・
七夕
いつもだったら願い事特にないなぁってなるけど、今年は迷いなくこれ。
第一志望に受かりますように。
自分が自分を好きでいられる時間を
大切にできる一年になりますように
今年の僕の願い事です(*/∀\*)💦
「天の川、織女牽牛、織姫彦星、夏の大三角に笹の葉、短冊、願い事。あと何だ?」
そういや小学生の頃、七夕ゼリーみたいなの食ったような、虚偽記憶のような、気がするなぁ。某所在住物書きはソーダ味のアイスをかじり、冷えた黄金色を飲みながら、扇風機の快風に浸っていた。
久方ぶりの年中行事ネタだ。2月はきっとバレンタインで、3月は事実としてひなまつり。5月の子どもの日は別の題目であった。
「『7月7日』という日付についてのハナシを書くか、七夕からイメージする単語の方を重点的に書くか。伝説系に天文学、欲望に恋愛。切り口は、まぁ、そこそこ複数、有るっちゃ有るのか」
ま、俺はぼっちだから、七夕に誰かと予定なんざねぇけど。物書きは小さく息を吐き、アイスをかじる。
――――――
7月7日だ。七夕だ。
天の川を見に行こうとか、七夕の天の川イベントに行こうとか、天の川な七夕そうめん食べに行こうとか。そんな提案が浮かばない程度には酷い熱帯夜だ。
それもその筈。今日は最高気温が35℃で夜の気温も29℃前後。あつい(ふぁっきん熱帯夜)
七夕がもうちょっと秋寄りとか、なんなら4月あたりの涼しい頃なら、天の川も見に行きやすかったのに。
あつい(大事二度宣言)
「つまり、天の川が見たいんだな?」
穏やかな白さの甚平で、晩ごはんの準備をしながら、先輩が私に声をかけてきた。
諸事情で、風邪でもコロナでも何でもないけどダルくて、ごはん作る気力も体力も無くて、長い付き合いな職場の先輩のアパートに避難中。
お金とちょっとの食材をリリースして、先輩に晩ごはんとお茶を自動召喚してもらってる。
今日のお茶はハーブティー。先輩がわざわざ、いきつけの茶葉屋さんから、私の具合の悪いのに合わせてブレンドしてもらってきてくれたらしい。
「2年後の9月、2025年9月8日が狙い目だと思う。どこか街の光から遠い、暗い場所、可能であれば山の上が望ましい。皆既月食だ」
お茶はほんのり温かくて、ちょっと生姜が効いてるみたいで、飲むと体の芯からポカポカしてくる感じ。
ナントカって漢方を参考にしたハーブティーだって聞いたけど、その「ナントカ」は忘れた。
「月食?」
「天の川はとても光が弱い。街灯や、月の光でも、見えづらくなる。皆既月食は、月を光らせる太陽の光を、地球全体が遮ってくれるわけだ」
「織姫と彦星の通せんぼしてるのに、弱いんだね」
「私も不勉強だからよく理解してないが、この月食のときに、一緒に天の川が見られることがあるらしい。見頃は、午前2時半付近から3時50分頃までだな」
「ふーん」
天の川って七夕オンリーなイメージあったけど、別に、七夕じゃなくても見られるんだ。
少しだけ感動しながら、またハーブティーを飲む。
「織姫と彦星も、七夕以外の日にこっそり会ってたりするのかな」
「なんだって?」
七夕と皆既月食が重なる日をネットで調べたけど、2047年らしいから急にスン……てなってやめた。
「だって天の川だって七夕以外の日に出てくるんだもん。織姫彦星も七夕以外に会ってたり、って」
「天の川が見られるのは天文現象で、織姫と彦星が会うのは伝説だろう」
「民間信仰はたまに後世によって書き換えられるって昔授業で聞いた。今の二人実は時々会ってる説」
「随分、随分な新説だな……?」
今日は七夕
一つだけ願いが叶うのであれば
私の好きな人たちがみんな
その一生のすべてが
健康で笑顔で幸せでありますように
と手を合わせて