『七夕』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
一年に一回しか会えないなんて、耐えられないよね。
絶対別れちゃう。
そんな風に笑った顔を思い出す。
今となってはもう朧げだ。
どんな声で、どんな瞳で、君はそう言っていたか。
がらんとした部屋に戻り、写真に語りかける。
せめて一年に一回でも会えたら良いね。
そっちの暮らしはどう?
こっちは案外なんとかなってる。
あとまだ別れてないから、そっちで浮気するなよ。
君は星空の向こうで、どんな顔をしたかな。
七夕。
願いを叶えてくれるという年に一度のイベント。
たくさんの短冊で飾られた笹を…
勢いよく斬った。
#七夕
『笹 大特価 500円』
7月7日。久しぶりに晩ご飯を自炊しようと寄ったスーパーで、笹を思わず買ってしまった。
500円が本当に大特価なのかはわからない。
笹を欲しがるなんて、七夕に浮かれている人かパンダくらいなものだろう。
しかし、せっかくの七夕なのだ。本当に願いが叶うなんて、もちろん思っていない。それでも、こうやって少しは楽しんでもいいんじゃない?
そんなことがあって、笹を担いで帰宅して、気付いた。
そういえば、短冊を買っていない……。
1番重要な短冊を忘れてしまった。笹だけあってもしょうがない。パンダじゃあるまいし。
ああ、でも、いいか……ポストに入っていたチラシの裏でなんとかしよう。吊す為のこよりは――輪ゴムでいいか……。
そうやって即席の短冊を作ろうとチラシを手に取る。目に入るスーパーの品々。そして、また気付いた。
あああ醤油切れてたんだああ買うの忘れたああああ。
何しにわざわざスーパーに寄ったと思っているんだ。笹を買ったところでお腹は膨れないんだ。パンダじゃあるまいし。
きゅるきゅるとお腹が鳴る。
もう、いいや、今日は……○ーバーを頼もうそうしよう……。
――[もうちょっとちゃんとした生活を送れますように]
『七夕』
「七夕、今年も雨でしたね」
と、隣の彼女が言う。
「そうですね」
と、僕。
天上に昇る天の川にかかる、アルタイルとベガを結ぶ線は、多分、故郷の石垣島でないと、晴天のうちに見ることは叶わないだろう。
沖縄では、もう梅雨明けだ。
九州の空は暗い。
今日も、フライトは雷雲の中を、ガタガタと揺れながら、彼女のアナウンスを聞いて、雲を突っきるような、航行だった。
彼女は、それを、知ってか知らずか、
「今日、笹に沖縄に行けますようにって、書いたんです」
「いけるでしょ。あの、僕の故郷、石垣島なんだけど……」
「知ってます、よ」
彼女は、どこか、苦笑したように笑う。
「ねぇ、副機長。明日は、沖縄便飛ぶといいですね。沖縄だと、空も綺麗でしょうから」
暗い夜の中で、僕たちだけが、息をしている。
海に潜る時みたいな、息苦しさと、透明度を保って、僕たちの距離感がある。
二人の、くっつくかくっつかないかの距離は、多分、僕と隣に座った機長よりは、遠い。
織姫と彦星みたいになりたい?
いや、いや。
そんな、甘さを帯びた、開いた貝みたいな、恋愛未満の境界線。
叔母の家があった海辺の街は、
七夕祭りで有名だった。
空が見えなくなるほど沢山の笹飾りと、
道の両端にずらっと構えた屋台。
音楽と人の笑い声で賑やかな、
非日常的な空間。
他では売っていない、
変わったビー玉を買ってもらったな。
今でも、実家の部屋に、
思い出とともに、大事に仕舞っている。
#七夕
どれもこれも相応な願いに思えなくて
結局何も書けなかった
くしゃくしゃに丸めて棄てた
それは、白い煙を揺らめかせ
結局望まないまま
そらに届くんだろう
お題:七夕
中2
七夕
うちの家はかならず短冊を書きます
妹 テストでどうちゃらこうちゃら
弟 書いてない
お母さん 家計安全
お父さん 健康
主 テストで60位以上行きませんように
そう言えば、七夕はいつも雨だけど
今年は晴れたね☆
織姫と彦星会えるかな?
七夕
「七夕の日は雨が降ることが多いよねー」
テレビの天気予報を見ながら、あなたが言った。
「まぁ、涼しくなるのはいいんだけど。天の川が増水して、二人が会えなかったらかわいそうだな」
ちょっと変わった考え方だけど、あなたらしくて素敵だった。
「じゃあ、短冊に 二人が会えますように って書こうか?」
私の提案にあなたの目が輝く。
「それじゃあ僕は、 来年も一緒にいられますように って書くよ!」
それって織姫と彦星のこと?それとも私たちのこと?
気になったけど、聞かないでおく。あなたの笑顔を見ていたら、分かるような気がした。
短冊に願いを込めて・・・
七夕
いつもだったら願い事特にないなぁってなるけど、今年は迷いなくこれ。
第一志望に受かりますように。
自分が自分を好きでいられる時間を
大切にできる一年になりますように
今年の僕の願い事です(*/∀\*)💦
「天の川、織女牽牛、織姫彦星、夏の大三角に笹の葉、短冊、願い事。あと何だ?」
そういや小学生の頃、七夕ゼリーみたいなの食ったような、虚偽記憶のような、気がするなぁ。某所在住物書きはソーダ味のアイスをかじり、冷えた黄金色を飲みながら、扇風機の快風に浸っていた。
久方ぶりの年中行事ネタだ。2月はきっとバレンタインで、3月は事実としてひなまつり。5月の子どもの日は別の題目であった。
「『7月7日』という日付についてのハナシを書くか、七夕からイメージする単語の方を重点的に書くか。伝説系に天文学、欲望に恋愛。切り口は、まぁ、そこそこ複数、有るっちゃ有るのか」
ま、俺はぼっちだから、七夕に誰かと予定なんざねぇけど。物書きは小さく息を吐き、アイスをかじる。
――――――
7月7日だ。七夕だ。
天の川を見に行こうとか、七夕の天の川イベントに行こうとか、天の川な七夕そうめん食べに行こうとか。そんな提案が浮かばない程度には酷い熱帯夜だ。
それもその筈。今日は最高気温が35℃で夜の気温も29℃前後。あつい(ふぁっきん熱帯夜)
七夕がもうちょっと秋寄りとか、なんなら4月あたりの涼しい頃なら、天の川も見に行きやすかったのに。
あつい(大事二度宣言)
「つまり、天の川が見たいんだな?」
穏やかな白さの甚平で、晩ごはんの準備をしながら、先輩が私に声をかけてきた。
諸事情で、風邪でもコロナでも何でもないけどダルくて、ごはん作る気力も体力も無くて、長い付き合いな職場の先輩のアパートに避難中。
お金とちょっとの食材をリリースして、先輩に晩ごはんとお茶を自動召喚してもらってる。
今日のお茶はハーブティー。先輩がわざわざ、いきつけの茶葉屋さんから、私の具合の悪いのに合わせてブレンドしてもらってきてくれたらしい。
「2年後の9月、2025年9月8日が狙い目だと思う。どこか街の光から遠い、暗い場所、可能であれば山の上が望ましい。皆既月食だ」
お茶はほんのり温かくて、ちょっと生姜が効いてるみたいで、飲むと体の芯からポカポカしてくる感じ。
ナントカって漢方を参考にしたハーブティーだって聞いたけど、その「ナントカ」は忘れた。
「月食?」
「天の川はとても光が弱い。街灯や、月の光でも、見えづらくなる。皆既月食は、月を光らせる太陽の光を、地球全体が遮ってくれるわけだ」
「織姫と彦星の通せんぼしてるのに、弱いんだね」
「私も不勉強だからよく理解してないが、この月食のときに、一緒に天の川が見られることがあるらしい。見頃は、午前2時半付近から3時50分頃までだな」
「ふーん」
天の川って七夕オンリーなイメージあったけど、別に、七夕じゃなくても見られるんだ。
少しだけ感動しながら、またハーブティーを飲む。
「織姫と彦星も、七夕以外の日にこっそり会ってたりするのかな」
「なんだって?」
七夕と皆既月食が重なる日をネットで調べたけど、2047年らしいから急にスン……てなってやめた。
「だって天の川だって七夕以外の日に出てくるんだもん。織姫彦星も七夕以外に会ってたり、って」
「天の川が見られるのは天文現象で、織姫と彦星が会うのは伝説だろう」
「民間信仰はたまに後世によって書き換えられるって昔授業で聞いた。今の二人実は時々会ってる説」
「随分、随分な新説だな……?」
今日は七夕
一つだけ願いが叶うのであれば
私の好きな人たちがみんな
その一生のすべてが
健康で笑顔で幸せでありますように
と手を合わせて
今日は七夕。
みんなはどんなことを願う?
僕は自分の将来の夢だとか、億万長者になるとかのよくあるのしか思いつかないや。
七夕と言えば彦星と織姫だよね。年に1度だけ恋人に会えるなんだかロマンチックな日。でも僕には彼女とかいないからちょっと悲しいかも。
みんなは短冊に恨み言だとか書かないようにね。その願いが帰ってきたりしたら怖いからね。
「置いて行かないで」と書いた短冊を、くしゃりと握り、ポケットに突っ込んだ。
代わりに、「平穏無事」と書いたものを吊るす。
おまえはなんて書いたのかな、と、覗き見すると、「麻雀大勝ち」と書いてあったので笑った。
オレも勝ちたいよ。しょっちゅう馬鹿みたいな賭け麻雀をやるオレたちは、本当にアホだ。
ただ、もうこれ以上日常が壊れませんように。それだけ、オレは願った。
ふたりで短冊にお願い事したね。
「これからもふたりで幸せに過ごせますように」
ベタかな、恥ずかしいな、君はなんて書いたんだろう。
横で笑う君を横目に僕は
「君と離れられますように」
「ああ、なんて素敵な七夕だ。」
「ああ、なんて最悪な七夕だ。」
『七夕』
花を見ればあなたを
海を見ればあなたを
空を見ればあなたを
月を見ればあなたを
星を見ればあなたを
恋焦がれたあのふたりは夢見る
この日全てが許されることを夢見る
恋焦がれたあのふたりを夢見る
この日願いが叶うことを夢見る
願い事は何かと尋ねたら、私の願いはとっくに叶っておりますと満面の笑顔で貴方は答えたの。
七夕。
私にとっての
彦星は
ゆうだな。
本当に彦星の
格好も
似合いそう。
七夕の
お願い事は
ゆうに明日も明後日も
逢えますように。
「お誕生日おめでとう!今年は織姫/彦星いるの?」ってもう聞き飽きたわ
お一人様を満喫させてくれ
『七夕』
短冊に願いごとを書いた
折り紙で飾りを作った
願いが叶いますように…
一年に一度しか逢えない
織姫と彦星
永遠に続く愛だとしたら…
心を込めて
短冊に願いごとを書こう