『一年後』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「一年後」の私へ
とにかく元気でいてください
どんなに辛くても一生懸命
頑張ってください
でも、本当に無理だと思ったら
ゆっくり休むこと
1年後
私はどこで何をしているのだろう
この世にいるかもわからない
あの子は、あなたは
一体どこで何をしているのだろう
私との関係はどうなっているだろう
かけがえのない大切な存在でい続けられているだろうか
それとももう関わることもない存在になっているのだろうか
どちらにせよ生きていてくれればいい
そんな未来を思い描くのは面白くて、恐ろしい
そんな未来がやってくるときが生きていればそのうち来てしまうのが楽しみで、恐ろしい
「一年後」
今は、あなたに好きと言えない。
こんな醜い自分じゃ、恥ずかしいから。
胸を張ってあなたの前に立てるように、
昨日より今日、今日より明日、
私は綺麗になるんだ。
「またね、あずさくん」
僕は、君のような人を助けることが夢だ。
いつも笑顔で、嫌なことなんて気にしない、それでいてどこか悲しそうな、そんな少女。
夕暮れに振り返る少女は、僕の方を見て大きく手を振っていた。
一昨日は、君からおすすめされたリップバームを試してみた。唇が乾燥していたから、少し気になっていたんだ。
「しっとりするでしょ」
塗ってみた唇はハッカですーすーしたし、鼻も特有の感覚がくすぐったかった。
これも私達の秘密だね、と彼女は言った。下校時間は過ぎていたが、図書室に誰か来る気配はなかった。
図書室のさ行の棚から一冊、手に取りすぐ僕に見せる。
誰も知らない、僕たちだけの"絵本"。
それを皮切りに、僕は君に赤い印をつけた。
昨日は、暖かい感覚と生ぬるいヌメヌメとした感覚が、僕を襲う。真っ黒い、大きなものが僕を断頭台まで突き動かしていた。
「大丈夫?」
非表示にしたはずの電話が、明るくついていた。
あぁ、いつでも君は僕の心の支えなんだね。
少女は悩みながらも、たった一人だけの男に懐いていた。
手を取って。
1年後、
私は君のような人を助けることが夢だったんだ。
そうだね、許してほしい
君に秘密を打ち明けてから、私はあなたを求めるようになった。
じゃあ、今から行くね。
たった一瞬で、君の場所へ
という夢を見たのさ!
こういった夢を見たあずさは、少女のもとへすぐに駆けつける。
「ゆうひ!」
間一髪、ではあったものの、少女の破滅をあずさが防ぐ。
「どうして…」
そうつぶやいて、へなへなと座り込んだあずさが優しく包み込む。
「自分で決めた未来は裏切らないから」
ごめん、とあずさとゆうひの発言が被る。
「「あはは!」」
笑いきった2人は、新しい未来へと歩みを進めることになる。
『1年後、私達はどうなってるかな?』
未来にはきっと君さえいないけど健やかであれ、そう祈るのみ
【一年後】
喪失感と絶望を感じた
あなただけが救いだった
一年後もあなたと笑い合って
楽しく過ごせていることを願う
【一年後】
「一年後、僕は何をしていますか?」
そんなこと、いくら考えてもわからない。
どれだけ考えても分からないのなら、未来のことを考える必要なんて無い。
一年後には死んでるかもしれない。一年後には大切な人が居なくなってしまってるかもしれない。
一年後には地球はもう無いかもしれない。一年後には笑顔で笑ってるかもしれない。
未来は誰にもわからない。分からないなら、未来のことばっか考えてないで、
「今を楽しまなくっちゃ、人生損しちゃうでしょ?」過去を引きずったって、未来を見たって「今」の僕は何も変わらない。
だから今を思う存分楽しもうよ。
そうやって考えてられていた「一年前の僕」が、「一年後の僕」にとってはとても羨ましい。
過去を引きずって、未来に怯え生きてる僕とは大違い。「一年でこんだけ人って変わっちゃうんだな。笑」って。
「一年前、僕は何をしていたっけ。」
1年後
もう毎日仕事しなくていい。
夜も呼び出されなくていい。
もういいんだ、って頭と身体が納得するまで
2年かかった。
1年後はどうかな。
どうかストレスで傷ついていた胃が良くなって
いますように
1年後
1年、365日が過ぎたらどんな人物になっているか。
まずは目標を設定する。ここから未来を作り始める。
どんな1年後の姿でありたいかだ。
ここで今の自分自身を分析する。
私は、看護助手として働き手術課に配属されている。医師、看護師のサポーターとして、患者様から1番近い存在として、緊張感漂うカテ室の中で業務をこなす日々である。
介護福祉士の免許を持つが、介助することはあまりない。従って1年後には、介護福祉士として働いていたいという目標がある。
結論、今年は新たなステージのスキルアップとして、介護福祉士として活躍できる場に就職活動をし、1年後の自分は医療現場で介護福祉士として従事したいと考える。そのために日々経験と、学びを重ね前に進みたいと思う。
1年後の今日
わたしはここにいるのかな
自分の道を切り拓いて
新たな場所にいるのかな
1年後の今日
またお会いしましょう
一年後はおそらく人生においてとても大きい変化があった一年になる、夢に向かって第一歩を踏み出すが、緊張と期待によって様々なことに新鮮感を持つでしょう。環境に沿って心は変化するが、自分の初心を忘れずに生きていると思う。
【一年後】
ねえ、一年後
私は笑えているかな
今より状況は良くなっているかな
あなたとは再会できているかな
新しいことをはじめているかな
一年後が
楽しみで怖いんだ
一年後、私は
まだこの世界に居るのかな
あれから一年後、異星人による地球侵略が始まった。
犬に擬態していた二人の異星人はあれから一年間、あの女子高生二人にお世話され、様々な情報を手に入れた。
ドッグフードは美味しい、古典の授業はダルい、学年主任はウザい、サッカー部の田中くんはカッコいい、等々。
これらの情報を惑星侵略の材料としてしまうところが、我々ドルナ・ドクマ星人の凄いところだ。
母船ではこれらの情報をAI解析して、様々な侵略計画を練ったらしい。
特にドッグフードは母船に旋風を巻き起こした。
信じられないほど美味いと評判で、こんな物を作れる星を破壊するのはいかがなものかと議論が起きたという。
そして一年後、我々の侵略方針が決定した。
擬態続行。
この動物の姿のままでいることによって、ドッグフードにありつける。
しかも、優しい女子高生がお世話をしてくれる。
戦わずして勝つ、とはこのことだ。
このまま我々ドルナ・ドクマ星人が犬に成り代わり、犬としてこの星を侵略していくのだ。
「なんかさー最近野良犬が増えた気しない?」
「するする。私達があのコ達のお世話してるからじゃないよね?」
「だからって寄ってくるとは思えないけど…ここにもあんまり来ない方がいいのかな」
「そのうち、保健所が動き出しちゃうかもね。そしたらワンちゃん達、可哀想」
「そーだね。今日はもう帰ろうか。マック寄ってく?」
「いいねーそーいえばさ、田中くんの噂、聞いた?マネージャーと付き合ってるとか…」
それからというもの、ペットショップに忍び込んで盗みを働く野良犬が増えたとか増えないとか…。
チロリアンランプの花は名前も姿も
ファンタジーっぽい
2024/05/08㈬日記
「クリス坊ちゃん、お待ちください」
「遅いぞ、メアリー。 早く来い」
雨上がりの昼下がり。
私は、クリス坊ちゃんの案内で、山道を歩いていました。
道は雨でぬかるんでおり、非常に歩き辛く、足取りは重い物でした。
対して坊ちゃんは、ぬかるんでいるにもかかわらず、羽が生えているかのに進んでいきます。
あの小さな体のどこに、そんなエネルギーがあるのでしょうか?
まこと、子供というのは不思議です。
はっきり言って、生命力に満ち溢れた坊ちゃんについていくのは、至難の業です。
ですが私はクリス坊ちゃんのお世話係……
なので坊ちゃんの行くところはどこにでも付いて行かねばいけません。
そして、今日も『行きたいところがある』と言われ、こうして慣れない道を歩いていました。
「ほらほら、早く来ないと置いて行くぞ」
「クリス坊ちゃま。 危ないです、転んでしまいます」
「大丈夫だよ、慣れてるし」
「『慣れてる』ではありません。坊ちゃまは目が見えないんですよ」
そう、クリス坊ちゃまは、生まれたときから目が見えません。
医者にも見せたことがあるらしいのですが、治療は無理だと聞いています。
それでも、まるで『目が見えているよう』に動けるのは、ひとえに血の滲むような訓練をこなされたからです。
こんな状態の悪い道もスイスイ行くとは、どれほど過酷な訓練をされたのでしょうか……
しかし、『目が見えているよう』とはいえ、『目が見えないこと』には変わりはありません。
なので、私は坊ちゃんが危険なことをしないよう諫めているのですが、一向に言うことを聞いてくれないのです。
ですが今日は様子が違いました。
「仕方ないな」
なんという事でしょう。
坊ちゃんはそう言うと、私の隣にまで走り寄り、私の歩幅に合わせてゆっくりと歩きだしました。
今までの坊ちゃんからは想像できない行為です。
今日もいつもの我がままだと思っていたのですが、どうやら違うようです。
行きたい場所に、いったい何があるのでしょうか。
◆
「あそこだよ」
坊ちゃんが指さしたのは、小高い丘の上。
「そこから屋敷が見えるんだ」
坊ちゃんに言われた場所に立つと、確かに屋敷が見えました。
いつもと違う見え方をする屋敷に少しだけ感動します。
遠くに見える湖は太陽できらめき、そこに虹がかかっており、とても幻想的な光景でした。
「これをメアリーに見せたかったんだ」
「私に?」
「そうだよ」
「なぜ私なのですか?
私はただの使用人です。
坊ちゃんに特別扱いをされる理由はありません」
すると坊ちゃんは苦笑しながら、答えてくれました
「いつも僕のわがままに突き合わせているお詫びだよ」
ククッと、年相応に笑うクリス坊ちゃん。
そして私も、『坊ちゃんも、わがままだを言っている自覚はあったのか』と思い至り、一緒に笑ってしまいました。
「それにさ、他の使用人の奴ら、僕が何か言うとすると嫌な顔するんだぜ。
そこにいくと、メアリーは嫌な顔一つしない。」
『我がままを言わなければいいのに』と思いつつも、褒められてとても嬉しい気持ちになります。
と、そこで私は違和感を感じました。
なぜ坊ちゃんは『嫌な顔一つせず』と、まるで見たかのように口にされるのでしょうか?
よく考えれば、坊ちゃんはなぜここが『ここから綺麗な景色を見ることが出来る』事を知っているのでしょうか?
自分の心の中に疑問が湧き上がります。
これはきっと失礼な質問でしょう……
言葉にすべきか悩みましたが、思い切って聞くことにした。
「坊っちゃん……」
「お、気に入った? もしメアリーがよければ、また見に――」
「坊ちゃんは、まるで目が見えるかのようにお話になられるのですね」
坊っちゃんは『しまった』と口に出す。
「本当に……?」
「バレちゃ仕方がない。
うん、僕は目が見えるよ」
衝撃的な事実に言葉を失う。
「騙したんですか?」
「待って待って、理由があるんだよ」
「理由?」
坊っちゃんの必死な声に踏みとどまる。
「相手の考えている事を知るためだよ」
「知るため?」
「普通、人は他人と接するとき感情を隠したり取り繕ったりするんだ。
円滑な人間関係と、自分の野望のためにね。
でも相手が目が見えないと分かっていれば、言葉はともかく表情は取り繕わない。
それはもう露骨に」
「なるほど」
さっき話題に出てきた『他の使用人』の事を思い浮かべます。
彼らも口では『喜んで』と言ったのでしょうが、きっと顔に『嫌だ』と書いてあったのでしょう。
なるほど、それではいい気持ちはしないでしょう。
しかし、人に嘘をついて、試すような事は褒められたことではありません。
ですが貴族社会では、いろんな陰謀が渦書いていると聞きます。
そういうことも必要なのかもしれません。
「旦那様と奥様は知っておられるのですか?」
「そうだね。 逆に知っているのは両親とメアリーだけ」
「三人……」
旦那様と奥様も知っていられるようです。
たしかに、家族が知らないと言うのは不自然でしょう。
ですが他の使用人にバレないというのは、ありえるのでしょうか?
「他の人は気づかないのですか?」
「意外とバレないんだよね。
先入観ていうのかな、多少変な事をしても『訓練したから』で納得するみたい」
確かに、思い返せばおかしい事はありました。
今日だって、ぬかるんだ道をスイスイ行くなんて、普通の人にも難しい事です。
ですが、私も『訓練したから』で納得してしまいました。
これも先入観のなせる技という事でしょう。
「あの、それでさ」
と、坊ちゃんが伏し目がちに話しかけてきました。
「目が見える事は、秘密だから……
黙ってもらえるとありがたいんだけど……」
「大丈夫です。 だれにも言いません」
私に、他人の秘密をペラペラ喋る趣味はありません。
このまま墓場まで持ってくことにしましょう。
「そっかよかった。 約束だよ」
と、坊ちゃんがまっすぐ私の目を見つめてきました。
坊ちゃんと目があい、私の胸が少し高鳴ります。
これまで『目が見えない』ことになっていたので、初めて目を合わすことになる坊ちゃんの目は、とてもとても綺麗でした。
「メアリー?」
少し見とれてしまったことを心配したのか、坊ちゃんが私の顔を覗き込みます。
「大丈夫です!」
「調子悪いなら、少し休む?」
「いえ、問題ありません。早速帰りましょう」
坊ちゃんは怪訝な顔をしますが、それ以上何も言うことはありませんでした。
追及されないよう、急いできた道を戻ります。
それがいけなかったのでしょう。
「メアリー、そんなに急いだら転ぶよ」
「大丈夫で――きゃ」
「危ない!」
ぬかるんだ地面で滑りそうになったところを、坊ちゃんが手を引いて、なんとか転ばずに済みました。
「大丈夫?」
「ありがとうございます」
「そうか、よかった」
坊ちゃんは、安心したような顔をされますが、手を離そうとはしませんでした。
「あの、坊ちゃん。手を離していただけると……」
「ダメ、メアリーがまた転んだら危ないからね」
「でも……」
「体調悪いなら言ってくれればよかったのに。 屋敷に戻ったら部屋で休むこと」
「……はい」
気のせいか、今日の坊ちゃんは随分と優しい気がします。
坊ちゃんが握っている手から伝わる熱で、どんどんと私の体は熱くなっていきます。
子供だと思ていた坊ちゃんの、紳士的な振る舞いという、そのギャップに、私の心は、コロリとやられてしまったのでした。
一年後。
一年後は
お髭じゃなくても。
一年後は
2人が仲良しなら
何年経っても
大丈夫。
1年後
どこに向かっているんだか
どこにも向かってないのか
勝手に想像していた未来が
霧のごとく消え去り
現実が鮮明に見えた。
まっすぐ延びたレールを
横目に歩いていると
タンポポの綿帽子を見つけた。
風まかせに自由に飛ぶのも
いいなと思えた。
1年後はどこで
咲いているだろうか。
一年後も、君と一緒にいたい。
「一年後」
一年後の自分
一年後はどうなってるんだろな
進路は決まったかな
夢へ向かって歩み続けてるかな
「流行ってるよね、それ」
肩越しにそんな声がする。
振り向いた私の手から、スマホが滑り落ちる。
「…った!」
スマホは見事に足の甲に着地した。痛い。
「…えー、そんな驚くことないじゃん。びっくりだよ」
元凶の彼女は目を見開いて、ニコニコと笑う。
その可愛らしいけど考えの読めない笑みに、私は拾い上げたスマホを握りしめて、ため息をついた。
「…なんでいるの」
「ひどいなー、一年ぶりに会うのにそんな態度なんて。傷ついちゃった♪」
「…いやだって、まさか今日来るとは……いや、ごめん」
「んー、そこで謝罪できちゃうところ、やっぱり良いよね。好きだわ」
彼女は冗談とも本気ともつかない声でヘラヘラと言う。
「やーっぱり、会いたくなっちゃうよねぇ。だって私に謝れちゃうんだもん。こんな子、他にいる?」
「…うるさい」
目に熱が溜まってきて、慌てて目を逸らす。
彼女…背後から現れたこの女子は、私の親友だ。
…四年前に突然行方不明になった、親友。
四年前、受験を控えたあの日、踏切で目撃されたのを最後に、見つからなかった親友。
その彼女がどういうわけか、毎年一回、30分だけ現れるのだ。
私の背後に。
そして、いつもの_高校生の頃のいつもの_ように、私の肩越しにスマホを覗き込んで、流行をチェックする。
「でも最近さー、流行りものもなんか違くない?魅力というかこう、惹きつけられるものがさ、年々弱くなってる気がしない?いやー、昔は良かったよねぇ」
やれやれと首を振ってみせる彼女に、私はわざとそっけなく言い返してやる。
「…へー、私はそうは思わないけど?…そんな流行りを貶して現役だった昔賛美するなんて、なんか捻くれ厨二か年寄りっぽいよね。一年でババくさくなってない?」
「いっやぁ〜?絶対昔の方が良かったし?それを素直にいっただけですがぁ?」
彼女は右の眉の端をピクリと引き上げながら、言い返す。
これはちょっとムキになった時の、彼女の癖だ。どうやら、年寄り扱いされるのは嫌らしい。この期に及んで、ブツブツと文句を呟いている。
元気そうだな、と思う。…今の彼女のこの状況に元気とかあるのかは不明だけど。
なぜそうなってしまったのか、どうしてこうなったのか、今までどこにいたのか、私はまだ聞けていない。
聞けない。怖くて。
文句はひとしきり言い終わったらしい。彼女がこちらを覗き込んで来た。
…こういう時、口火を切るのはいつも私だ。
「…元気にやってるみたいだね」
「そうだね、元気にやってるよ」
「そっか…」
「……ねえ」
彼女は眉根を下げて、ぎこちなく言う。
「…私に聞きたいこと、ない?今ならなんでも答えてあげるよ?タダで」
「…ううん、ない。いいよ」
彼女の顔がほんの少しだけ、歪む。…けれど、彼女の顔はすぐにあの食えない笑顔に戻る。
「そっか」
彼女に聞きたいこと、本当はたくさんある。
あの日、踏切で何をしていたの?とか。
今まで何をしていたの?とか。
なんで一年に一回しか会えないの?とか。
おばさんやおじさん…家族に会いに行かなくていいの?とか。
…なんで私に会いに来てくれるの?とか。
でも聞けない。怖くて。聞いて終えばもう二度と会えなくなる気がして。怖くて。
だから私は、彼女への疑問を全部、先送りにする。
いつ来るか分からない、まだ遠い、一年後に。
「…もう行っちゃうの?」
私の言葉に彼女は少し寂しそうな笑い方をした。
「…うん、また一年後ね」
「…うん、また一年後」
今年もまた、私は問題を一年後に託す。
突風に乗せられた、踏切の音が鼓膜に届く。
辺りの空気が少し冷えた気がした。