『タイムマシーン』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
特殊相対性理論なんて
一生理解できる気もしないが
ブラックホールの向こう側が気になる時はたまにある
あっちに存在するかもしれない地球によく似た星にいる
俺によく似た誰かは幸福だろうか
タイムマシーンなんて
俺にはたぶん必要ないな
こだわるほど珍しい過去も
未来への期待も特にないので
あっちの俺はどうなんだろう
あっちのアインシュタインは健在だろうか
タイムマシーンはあるんだろうか
もしもブラックホールの向こう側と連絡がとれたとして
こちらの質問があちらへ届くのに何億光年かかるのだろう
さらに何億光年後
あちらの答えがこちらへ届けば
(俺はとっくに土の下だが)
俺は未来へ行ったことになりそうだよな
タイムマシーンに乗って
タイムマシーンに乗ってあの頃に戻りたい。
・5歳の頃に戻りたい。この頃にお菓子をたくさん食べるようになり、太ってしまった。
だから、戻ったらお菓子をあまり食べないようにするのだ。
・9歳の頃に戻りたい。テレビを近くに見すぎて視力が落ちてしまった。
だから、戻ったらテレビは必ず離れて見て視力を守るのだ。
・10歳の頃に戻りたい。親からの“理不尽なこと言われても無視しろ、我慢しろ”と教わり、その通りにしたせいで何も言えなくなってしまった。
だから、戻ったらムカつくこと言われたら「グォラァアッ!」てなぐらい言いたい放題言ってやるのだ。
・16歳の頃に戻りたい。世間体や勧めで行った進路は自分には向いていなかったかも。本当はやってみたいことがあったのに。
だから、戻ったら自分のやりたい進路に進んでやるのだ。
もひとつ、仲の良い友達ともっとたくさん遊んで、大事にすれば良かった。連絡先も知らずに、離ればなれになってしまった友達もいる。
だから、戻ったらもっと友達とたくさん遊んで、連絡先も交換しまくってやるのだ。
…こういうように後悔することはたくさんあるのだが。
そもそも過去の自分はその時を大事に生きなかったからこうなったのだと思う。
だから、戻れないなら今この時を大事に生きて、未来になって、あの頃は良かったと思えるような過去にしていくのだ。
タイムマシーン
小さなあの頃に連れて行ってくださいな。
貴方は、愛されていることを
気付かないだけ。
ママもパパも日々必死に生きているね。
せめて毎日、大好きと言ってあげたい。
抱きたくも無い恋心を貴方へ
たった数分の会話と一瞬の触れ合い。
貴方の手、冷たかった。でも頬は少し温かい。
私の手は貴方よりも温かく、頬は同じくらい。
「またね、お疲れ様」
たったこの一言
「ばいばい、またね」
この会話
さっきの出来事だけど、もう一度だけしたいな。
--《タイムマシン》
過去に戻って間違いのない選択をとか
未来で起こる嫌な事を回避できるとか
例えどんな誘惑が聞こえてきたとしても
きっと何度でも、同じ人生を巡るだろう
不器用で、下手くそで
上手く生きることができない
人より何倍も遠回りをする生き方を
今を、私なりに楽しんでいる際中だから
目の前から降り立ったクソババアが
鬼の仇みたいに俺を睨んでる。
目の前に立ってこっちを睨んでるのだけでも
クソババアだが、
見た目が完全にクソババアだ。
髪の毛は砂みたいな色でボサボサ、
肌にはあちこちにシミがあって、
白目は黄色っぽい。
開いた口は洞窟みたいに真っ暗で、ひどい匂いがした。
多分、歯がないんだろう。
その辺のスーパーで売っているようなトレーナーとズボンを履いていた。
触らぬ神に祟りなしで、そのババアを遠巻きにして進もうとすると
ぐいっと近づいてきて、
「お前のせいで人生が滅茶苦茶になった」と叫ぶ。
俺にはこんなババアの知り合いはいない。
舌打ちをして、反対を向いて歩く。
ババアどこまでもすがってきた。
「お前のせいで人生がめちゃくちゃになった」と繰り返す。
イヤホンの音量を上げて完全に無視しようとしたが、
ババアが
俺の改名前の本名を叫んだので、
立ち止まった。
「符凛水(プリンス)!お前のせいで、人生がめちゃくちゃになった」
そう、俺の名前は18歳まで符凛水(プリンス)という名前だった。
もっともその名前をつけた女は俺が物心着く頃には目の前からいなくなっていた。
俺は親戚の家で育ち、ネットで調べて18歳を機に拓実に改名したのだ。
俺に食ってかからんばかりのババアはひたすら、弱りきった自分の面倒を見ない俺が悪いというようなことを言っている。
拓実だ、今の俺は拓実。
このババアのことはあのふざけた名前と同時に捨てたと心の中で繰り返す。
「どなたかと勘違いされているのでは?」
「わたしにはあなたのような母はおりません」と言って、腕を振り払った。
心底、他人だという声が出た。
ババアはきょとんとして、そんなはずがないとわめいていたが、俺は一瞬の隙をついてタクシーを捕まえ、乗り込んだ。
「どちらまで?」と聞かれたので
「空港へ」と返した。
「ご旅行ですか?」
「はい。たった今、思いついたので」
勤め先に、休みの連絡を入れて、スマホからチケットを購入する。
できるだけ、遠く、
できるだけ、あたたかいところへ行こう。
タクシーに乗っている間だけ、過去に戻って
その先には2度と思い出さない。
このタクシーだけが、
タイムマシーンだ。
そして2度と乗らない。
もし、あの時に戻れるのなら…
自暴自棄になって
未来の選択を適当にした
後悔してからでは遅い
今の自分の力では
どうすることもできない
だが、自分を責めて
絶望しているだけでは
前に進めない
過去を糧に未来へ進む
それが今の自分にできること
「タイムマシーン」n
未来も、過去にも行けるなら
どっちを選ぶだろうか。
未来が見えたら安心出来るのかな
過去に戻ってやり直せたら違っていたかな
戻れるなら戻ってみたいし、
先が見れるなら未来を見てみたいけど
このまま今を楽しみたい気もするんだ。
いつか、飛び乗っていれば良かったって
思う日がくるかもしれないけど
今しかない"今"をもっと知りたいんだ。
#__タイムマシーン__
夢の中でだけ
あの頃に帰れる
目が覚めたら
ほとんど忘れる
本当は夢の中にだけは
タイムマシーンがあって
忘れているのではなく
タイムマシーンに乗った記憶を
消されているのかもしれない
今と向き合えるように
「タイムマシーン」
音楽や映像は記憶に深く結びつく
初めて作品に触れた時の感情だけでなく、空気や匂いまでも呼び起こされる事がある
人はみんな、心にタイムマシーンを持っている
タイムマシーンなんて
いらない
現在、が
正解だと
分かったから
#タイムマシン
摂理を超えたその力を手にしたのは、正しく摂理そのものを創りし者を俺が殺めたためだった。そこに罪悪感などない。元よりそのための力であったのだから。これで望み通りだろう。問うてももはや答えはない。
本当のところこれはただの逃げであるのかも。今すぐビルの屋上に駆け上がって身を踊らせないのは、電車のホームへ身を委ねないのはただの俺の臆病でないと誰が言い切れるだろう。
敢えて答えを出すのであれば、俺は俺を殺したい。それも憎むべき他者として。肉を引き裂いて悲鳴を聞いて骨まで砕いてやらねばとても気が済まぬのだ。
俺は俺が許せない。この日常を壊した俺を。変わり映えのない日々を終わらせた俺を。阿呆のように俺なんぞにまとわりついていたあいつを失わせた俺を。毎日毎日毎日毎日鬱陶しいほどに俺へ好きだ好きだと馬鹿げた戯言を吐かし続けたあいつの生を終わらせた俺を、俺はけして許さない。
神を殺めて得たこの力で、俺はかつての俺を殺しに行くのだ。
ウラヤマシイ
これはそんな品物なのだ。
一般的な評価の上で 綺麗な理論を並べ立て
数式がはじきだした答にそって
違うちがうチガウ
そんな大層なものでは無い
これは欲とエゴの塊だ
後悔が生んだ哀しみの具現化
#タイムマシーン
タイムマシーンが普及した今
江戸時代に行ってみたら
観光地化していて
つまらなかった。
#タイムマシーン
「タイムマシーン、自分で使わないんですか?」
えーー……レンチ渡しながら言うこと?
しっかりぼくが握ってから手を離すきみのおかげで、レンチを落とすことはなかったけれど。ぼくの集中力は格段に落ちたよね。
そういうのって、世間話的に言うことかなぁ。
……言うことかぁ。
タイムマシーンまだ値段はするけれど結構周知したからなぁ。
キュッキュッってボルトを締めて。
外注してあるケーブルが届くまでまだあるから、まあ、進捗としてはいいほう。
もうちょっと作業しとこうかな。
集中力がいらない作業をしつつ、きみとのお話しを再開する。
タイムマシーンを使うか否か。
「使わないよ」
「……あなたが開発したのですから、何か、使いたい理由があったのではないですか?」
「ん~……、これ、きみをつくるときの副産物だから、そこまで重要じゃないの。いまは、使いたいっていう人がいるから作ってるけれど。外注したいのに、きみが特許取れって言うから」
「研究費はいくらあってもいいでしょう? 生活費もそこから出ているんですから。そこ、ナットを忘れていますよ」
「ゔあぁあ」
もう、やんなっちゃう。
「わたくし、そういうことできますから、任せて下さればいいのに。人を雇うのも手でしょう?」
「だってきみ、そういう用途じゃない。ここにきみ以外入れたくない!」
「昨日はわたくしが作業したじゃないですか」
「だから今日はお休み」
納得いってないお顔。
きみってば、効率厨の完璧主義。そう言うと、きみは苦い表情をするけれど。
ぼくにナットを渡して、ぐるりと確認してから、またお話し。気になることがあるのはいいこと。調べても分からないなら、知ってる人とかものを使うのも当然。
ぼくのこころを知って、きみはどうするんだろ。
「使わない、ということは、後悔とか未練とかがないということですか?」
「ん〜、死ぬほど後悔したこともあるし、やっときゃよかったぁ〜なんてことは数えきれないよ。でもぼくは使わない」
「どうしてですか?」
「理由は三つ」
きみが淹れてくれたコーヒーを飲んで。
「まず、やり直さなきゃいけないほど、いまを生きれないわけじゃないから。人間の忘却機能、侮れない」
「なるほど」
「きみにもつける?」
「いいえ」
「二つ目。中毒になるから」
「中毒ですか?」
「やり直してもやり直しても、結局どこかで許せないことが出てくる。タイムマシーンなしじゃ生きられなくなるの。本末転倒。ザマないよ。はじめからやんなきゃよかったーってなるの、目に見えてる」
「依頼者には止めないんですね」
「その人の勝手。値段も高くしてるから、ふるいにはかけてる」
何とも言えなさそうなきみのお顔。そういうところ、むかしから変わんない。
「では、三つ目は?」
「この世界を捨てたくないから」
「捨てる、ですか」
「タイムマシーンを使って観光するだけなら、うん、まだいい。何かを変える目的なら、それは世界を捨てること」
一拍置いて。
「あのね、タイムマシーンは世界線を辿るの。世界線はね曲線。人生で等速直線運動はあり得ないでしょ? 山あり谷ありって。その加減速で曲線ができるの。だから、過去に戻って、ほんと、極端に言えば石ころの位置を変えただけで曲線がズレる」
「はあ」
「そうするとね、蓋然的だけど、過去と未来を結ぶ点がね元とは違う座標になることがある。このへんもピンキリ。過去に行って戻ってきたぼくと、過去に行ったぼくは必ずしもまったくの同一人物じゃない可能性もあるの」
「へぇ」
相槌の三種の神器みたいになってる。
だから何だ、って。
「つまりね、ぼくがタイムマシーンを使うってことはね、いま、ぼくとお話ししてるきみを捨てて、ぼくは過去を変えた先にいるきみに会いに行くの。きみのところにはね、なんかどこか違う、そんなぼくが帰ってくる。そういうこと」
「……」
「ぼくはそんなこと、絶対いや。だから使わないの。いまのぼくが、いまのきみとお話しして、生きていることが一番だいじ」
黙りこくったきみはしばらく何も言わなかった。ただ、ぼくがコーヒーをのんだり、作業してるのを見つめて。
チラッと見れば、思考が働いてる。
うん、いい傾向。
じーっとまだ製作途中のタイムマシーンを睨んでから、スッとぼくに視線が戻る。
「あなたのほうが、よっぽど完璧主義ですよ」
「えー?」
「ちょっとの違いで、分岐によって、世界がいくつもあると思えてしまうのですから」
「んふ、嫌味?」
「敬意です」
きみってばひどい。
ぼくからレンチを取り上げるんだから。
#タイムマシーン
タイムマシーン
未来を知るのは怖い、
過去に行きたい、
できれば過去の自分に「あの時はこう言えば良いよ!」とか、助言したいけど…
たしか過去の自分と会うのはタブーなんだっけ?
あの頃の浮いた自分を助けたい
なくしてしまった宝物
ごめんね
友情とは名ばかりで
きみはわたしを
ずっと友だちでいるって
書いてくれていたのに
いつか一緒に開ける約束
してたのに
ふたりの未来は
何者かに盗まれた
忘れたことにして
思いを眠らせて
ずっと生きてしまったよ
過去に戻る場所は
今はもう壊されてしまった
夢の吹き溜まるあの場所で
壊れてしまう前のふたりに
会ってなんと声をかけるの
#タイムマシーン
てんかんの発作を起こしたナゲットに
山椒の実を
振りかけてみる
2003年5月23日に戻ってみたい
人生で初めてを
また体感してみたい
誰か作ってくれないか
また恋が燃え盛るタイムマシンを
テーマ:『タイムマシーン』
僕のじいちゃんは大陸一の発明家だ。
どこの家もじいちゃんが発明した機械がおいてあるし、どこの国もじいちゃんが発明した武器や施設を必ずもっている。
1000年にひとりの天才と言われるじいちゃんだけど、ずっと昔に開発を始めて未だに完成しないものがあるらしい。
しかもそれが何なのか誰一人として知らないのだ。孫である僕も知らない。
じいちゃんは小さな島で独り発明に勤しんでいる。別に人と縁を切りたいわけじゃなく、じいちゃんが扱うものの中には危ないものもあるから誰も傷つかないようにそうしているだけ。
現に今、一段落したから遊びにおいでという手紙が僕に届いている。
僕は久しぶりにじいちゃんの所にやってきた。
海で囲まれた小さな孤島。その真ん中に建つのは仰々しい鉄の塔。太い配線がむき出しで、至る所で電灯が瞬いている。塔のてっぺんには巨大な球体が、ぼうっと青い輝きを放っている。
じいちゃんはいつもこの塔の中にいる。じいちゃんの家だと思っていたのだが、訪れるたびに大きくなっていく様子を見るにこれも発明品のひとつなのだろう。昔はもう少し小さかった。
「じいちゃーん。遊びに来たー」
塔の中はゴチャゴチャしている。
なんだか分からない機械やいろんな形の工具に設計図と思われる大きな紙がそこら中にあり、すでに足の踏み場がない床にはいくつもの配線が走っている。
どうにか奥ヘ進んでいくとじいちゃんを見つけた。
白い頭髪に黒い瞳。年を感じさせない逞しい身体をボロボロのつなぎで包んでいる。
じいちゃんもこちらに気づいたようだ。
「やあ。よく来た」
早速、どんな発明ができたのかと訊ねてみる。するとじいちゃんは頭を掻きながら言った。
「実はな、もう発明は終わりにしようと思うんだ」
そう言うと古い紙切れを僕に差し出した。設計図だ。
何が書いてあるかさっぱり分からないが、周りに散乱している他の設計図と比べてとても精密で複雑なものであることは確かだ。
「私は、それをつくるために今までやってきたんだ」
古い設計図にその名前が書かれている。
じいちゃんがつくろうとしたもの。それは―――
「タイムマシーン……」
時空を操ることができる夢の機械。
作り話のなかでしか登場しないものだと思っていたのだが、じいちゃんはそれを現実のものにしようとしていたのだ。
しかし―――
「無駄だった。できるはずがなかったんだ」
じいちゃんらしくなかった。弱音を吐くことなんてただの一度もなかったのに、やると決めたら完成するまで諦めなかったのに。
じいちゃんは今までにいくつもの夢の機械を発明してきた。馬なしで動く鉄の馬車や、鳥を模した人が空を飛べる機械など、みんなが不可能と言ったものを諦めずに発明してきた。
どうして諦めてしまうのか訊ねると、少し間をおいてじいちゃんは言った。
「そもそも、時間なんてものは存在しないんだ」
じいちゃん曰く、電気や光は物理的な性質があるのに対し、時間にはそれがないのだという。
時間の正体は、時の流れを感じたという人間の認識によるものだと。
僕にはよくわからないけど、とにかく時間を思い通りに動かすことが物理的に無理なのだそうだ。
じいちゃんはこのタイムマシーンをつくるために50年近く研究をしてきたのだそう。しかも、本当は時間が存在しないものだということはかなり前からわかっていていたらしい。
それでもじいちゃんは諦めなかった。
研究費用を得るために他の発明品を生み出して研究を続けていたのだ。全てはこのタイムマシーンのために。
改めて設計図に目を落とすと、完成予定のその姿は塔のように長いシルエットにてっぺんには特徴的な丸いものがある。それには見覚えがあった。
僕たちが今いるこれが、タイムマシーンなのだ。
じいちゃんは上を見上げ、こう言い続けた。
「潮時なんだ。私はもう若くない」
1000年に一度の天才も、時の流れには逆らえなかった。
「私は50年間この機械に囚われ続けていた。それももう終わりにしたいのだ」
時空を操ることができる夢の機械。
それは、人を夢の中に囚える鉄の檻となっていた。
僕は、じいちゃんの手を引き外ヘ連れ出した。
一緒にいろんなことをして遊びたい。
一緒にいろんな所ヘ行きたい。
そう言うと、じいちゃんは嬉しそうな顔をしてくれた。
背後には、誰もいなくなった鉄の塔が陽射しを反射して、地平線に光を伸ばしていた。