『ススキ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
幼いときからすすきを見ると
秋が近づいてるんだって思う。
今年も秋がやってくる
ススキ
ある夜の野原。
その日は風が強く、ちょっとやそっと話してもヒトには聞こえない。
だから、第1回ススキ会議は紛糾した。
「かの毛無し猿共は我らの身体を踏み折るのだ! これ以上、黙って同胞の死を見とることなどできぬ! よって、猿共が触れたら泡を吹くような毒を、我らは持つべきである!」
穂先が紫がかったスズキは言った。
彼は五体満足派と呼ばれるススキの過激派で、ヒト科ヒト属ヒトを毛無し猿と呼ぶ品のないやつだ。ファッションと称した紫ツンツンの穂先は、ヒトを怯えさせ近づかせないようにする武器らしい。
「そうは言うがね。そんな強毒を我らは内包し、かつ、これまで通りの生活ができるというのかね」
私は言った。
「不可能では無い、と考えています」
紫ツンツンの隣、やけに鋭い葉っぱのススキが言った。
「過去、私たちはセイタカアワダチソウ共の毒に犯され根を枯らしていました。しかし現在、私たちにとってかの毒は水をすするように取り込んでいます。よって、長期的観点から、強毒を取り込み、これまでの生活を遅れると考えます」
「ふざけるな!」
私の隣、まだ若い種子を身につけたススキは言った。
「アンタの言い分だと、ようは幾らかの俺たちは死んじまうんだろ! 」
「……ええ」
「ふざけるな! 俺やお前はともかく、じいさんや紫ツンツンだって倒れる可能性があるんだ! そんな不確定で危ない橋を、ススキ全体で渡ろうだなんて間違ってる! 」
……ふむ。
気持ちは嬉しいのだが、少し言葉が強すぎる。第1回ススキ会議は主張をぶつける場であるが、否定する場では無い。――まだ若いからであろうが。
案の定、
「ふむ。間違っている、とは?」
と鋭い葉っぱのススキは言いながら、ケイ酸を葉先でふしゅふしゅとたぎらせている。
「まぁまて」
私は言った。
「毒を持つことはヒトへの対応策の一つとして効果的だろう。だから、毒を持った後、ヒトがどんなことを考えるのか、考えようじゃないか」
「……ええ。それもそうですね」
鋭い葉っぱのススキは言った。
「それじゃ!」
若い種子を身につけたススキが言った。
「君の気持ちは本当に嬉しいのだよ。だけどね、私たちはもしかしたら、ヒトの手によって絶滅するかもしれないんだ。その危機に耐えるための毒で死んでしまうのなら、私は構わないのさ」
「……」
「それで、どうかね?」
「はい。人に対する毒を持つことで、人に刈り取られる可能性があります」
鋭い葉っぱのススキがそう言った瞬間、
「どういうことだ!」
と紫ツンツンは言った。
「触れられないための毒があるのにどうやって刈り取られるというのだ! 」
「彼らは道具を使います。鋭い刃は彼らの手を汚さずに、私たちの身体を、首を、いとも容易く断ち切るのです」
その言葉に議会の誰もが絶句した。
毒を持ってなお……。
勿論ヒトが道具を使うことを、知らなかった訳では無い。
どう、どうすれば……。
満月が頂点に達した。
「ここまで! 本日のススキ会議は終了! 続きは次の月が満ちるとき。以上。解散! 」
これまでじぃっと黙っていた背のいちばん長い議長ススキが言った。
すると風はふと止んで、荒野はすっかり静かになった。
おばあちゃんが言ってた。
「ススキが原のススキは取ってはだめだよ」
「どうして?」
「あれは神様のものだからね。私たちが取ったらいけないの」
「……ふーん。あんなに沢山あるのに神様ってケチなんだね」
田舎に住むおばあちゃんちの近くでは秋になるとススキ祭りがある。小学生の頃は毎年お母さんと二人、祭りのために里帰りをしていた。
ススキ祭りというだけあって、祭り会場周辺には沢山のススキが生えている。とりわけススキが原と呼ばれる一帯のススキは、大振りで立派なものだった。
ある年の祭りの夜、どういう訳だかぼくはひとりでススキが原の近くの外灯の下に立っていた。お母さんが忘れ物をちょっと取りに帰る間だけそこで待たされたとか、そんなことだったろうとは思う。
外灯の少ない田舎道、僅かな灯りに群がる羽虫たちの近くに居るのは気持ちが悪い。ぼくは灯りの輪から外に出て、さわさわと揺れるススキが原に近づいていた。少し欠けた月がやけに大きく見える。柔らかな月光に照らされてそよぐ黄金色のススキは、確かに神様のものなのだと、そう思わせるような光景だった。
ぼくはススキに手を伸ばした。ほんの好奇心。ぷちっと一本引っこ抜いた。
ゴォッと唸るような音とともに、体が吹っ飛ぶ勢いで突風が吹いた。咄嗟に目を閉じて足を踏ん張る。
「えっ!?」
目を開ければ周囲をススキに囲まれている。さっきはススキが原の縁に居たはずなのに。
「えっ、えっ??」
取り囲むススキの高さはぼくの背を通り越している。ぼくは少し小高くなったところへ登って、ススキより上に顔を出した。右を見ても左を見ても、振り返ってみたってススキ、ススキ、ススキ。どちらへ向かえばさっきの場所に戻れるのか分からない。
再び強い風が吹いた。
風上へ目を向けるとススキを左右に割り開くようにしながら道ができはじめる。その道はザザザザ……と忙しない音を立てて段々とぼくのほうへ伸びてくる。目に見えない何かがススキを踏み倒しながら、ぼくに向かってきているかのように。
ぼくはぴょんと飛び降り、迫ってくる『何か』とは反対方向へ駆けた。
「はぁ、はぁっ、はぁ……」
目の前を塞ぐ、終わりのないススキの波を掻き分けながら進む。よく見えない地面もデコボコしていて足がもつれる。もう心臓は破れそうに痛い。学校の持久走だってこんなになるまで走ったことなんてない。
「うわっ!」
足が滑って顔からすっ転んでしまった。
「ってぇ……」
一度座り込んでしまえば立ち上がれそうにない。顎も痛いし、膝だって……。膝にすり傷ができていた。すり傷の泥を押し避けて血が滲みはじめるのと同時に、ぼくの目にも涙が滲んでしまう。
「う、うぅ、うわーーん!!」
ぼくは大声で泣いて泣いて、多分「お母さーん!」「おばあちゃーん!」とか叫んでいたと思う。
その後のことはよく覚えてないけど、気づけばおばあちゃんちの布団の上だった。高い熱を出して寝込んでしまったのだ。
「ススキがね、ススキが……きのう」
この恐ろしさをお母さんに伝えようとしたけど、上手く言葉にできない。
「お祭り行けなくて残念だったね。高熱で悪夢を見たのね」
お母さんは落ち着かせるようにぼくの頭を撫でて言った。でも本当にそうかな。あの時感じたゾワゾワと何かが迫ってくる恐怖は、夢とはとても思えない。……すり傷だって残っていたしね。
大人になった今でもススキを見かけると足が竦む。嫌な汗が吹き出て、息苦しくなるのだ。これもある意味、ススキアレルギーと言えるのかも? 抗アレルギー剤なんて効くわけもない。息を深く吸って吐いて、心を落ち着けるしかない。
だからぼくは遠回りしてでも、できるだけススキのない道を選んで歩いている。
#9 2023/11/10『ススキ』
月を眺め、彼女が謂う。
『ステキ。あたしもこうなりたいわ』
君もステキだよ。僕が謂う。
彼女は照れ笑いで「フフフ」と笑う。
僕はずぅっと彼女の隣に居たい。
___
「見たぁ?あの人。気持ち悪いわよねえ、悪いけど」
「見た見た。ススキを奥さんがわりにして、一緒に月見なんて。気持ち悪い」
______
「ススキを愛す」
#ススキ
サワサワと風に吹かれてススキの揺れる音がする。
僕は思い立ってススキを活けて、団子を用意し、熱いお茶と共にベランダへ出た。
時期は違うかもしれないけれど、これだって立派なお月見だよな、と久しぶりに月を見上げた。
ススキと月…画になりますよね。実際はあんまり見たことないけど、夜出歩かないしね。夜、そういう風景の場所に出かけると、大体、狐か狢が居ますね。
ススキ
学校に向かう途中、背の高いススキが生えている場所がある。その向こうにはいつも人影があって、背の高い髪の長い人だ。顔を見たことはないし、なんならシルエットしか知らない。でも、僕らにとっては綺麗で、とてもかっこいい人だという認識が生まれていた。その人はそのまま、ススキにいる(多分)お姉さんで、ススキさんと呼ばれていた。
昔、僕の親戚にも似たようなお姉さんがいた。とても長い綺麗なロングヘアーで、肌が白いおばけのような。でも、僕にとっても優しくて、憧れだった。
友達と一緒にそこを通ったり立ち止まって見えないか軽く探ってみたりもした。でも、誰もススキで覆われている先を見てお姉さんの正体を確かめようとする人はいなかった。夢を壊したくなかったのか、会っても意味がないと思ったのか、他に興味があったのか。僕にはわからないけれど、何日かする頃にはみんな飽きて、他の方に興味を寄せていた。僕も子どもだけど、子どもは移り変わりが激しいなと思った。そして、熱心にススキを見る僕はいつのまにか変人扱いされるようになった。
ある日、僕はススキの先を見ることにした。
ススキが枯れたらどうせその先が見えるからと何もしないでいた友達のことを思い出した。でも、ススキが枯れてからだとお姉さんが、ススキさんがいなくなってしまいそうな気がした。ススキをかき分けて奥に進んでいく。僕は時間がかかることを覚悟して時計と、軽いおにぎりを持ってきていた。でも、余計だった。なぜなら、思っていたよりあっさりと、ススキの向こうに辿り着いたからだ。まぁ、お姉さんの影が見えるくらいだし、そんなにたくさんあるわけはないんだけど。そして、ススキさんを探して首を左右に振る。でも、そこにお姉さんの姿はなく、小さなお墓がポツンと立っていた。そこに近寄ると、僕と同じ苗字がかいてあった。下の名前は読めなかった。自由帳を持ってきていた僕は、その名前をメモして、墓の見た目をかいて家に帰った。
その名前を見せると、おかあさんはこの名前、、、と言って悲しそうな顔をした後、すぐいつも通りに戻ってこれは、親戚のお姉さんの名前だよ。と教えてくれた。親戚といっても近くに住んでいて、僕が小さい頃はよく遊んでくれたという。僕は、記憶の中のさらさらの髪と優しい笑顔を思い浮かべた。お姉さんは僕が4、5歳くらいのときに引っ越したときいた。なんでお姉さんの名前がかいてあるのかわからないけれど、他の場所にも名前みたいのがかいてあったから、そういうものなのだろう。次の日、僕はお墓に行った。
家に生えている花をおかあさんにおゆるしをもらってから取って来た。だって、お姉さんの名前が入っているくらいだから、お姉さんの大切な人だろう。お姉さんの大切な人なら、僕も大切にしたい。
それに、この場所は不思議でお姉さんと遊んでいたことがよく思い出せるような気がする。僕は、この場所を秋だけの秘密基地に決めた。
もちろん、今もだれにも教えてないよ。
「ススキ、……すすき……?」
そういやススキの見頃って、もう終わったの、ピークなの。某所在住物書きは、題目の通知画面を見てハッとした。身近な植物だが、それゆえに詳細を知らぬ。
盲点であった。青天の霹靂であった。
ひとまずルーチンワークとして、「ススキ」をネット検索してみるに、ススキはイネ科の植物だという。
世にはススキに似たオギとアシがあるらしい。
「ススキと、オギと、アシ……?」
画像検索してみるも、どれがどれだか分からぬ。
「ススキに似た別の植物」のネタは、自分で説明できないから、やめておこう。
物書きはそっと検索結果を閉じた。
――――――
最近最近の都内某所、某稲荷神社お庭の一角は、稲の仲間のススキがこんもり。ちょっとした大所帯です。
見頃はピークか、少し過ぎた頃。ふわふわ、稲穂のように風に揺れる揺れる。
敷地内の一軒家には、人間に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が、家族で仲良く暮らしておりまして、
そのうち末っ子の子狐が、たまにこの小さく大きなススキ野原に潜り、コンコン、走り回るのです。
何度も踏み倒したススキは、小さな獣道になります。
何度も踏み倒したススキは小さな部屋にもなります。
コンコン子狐、ススキ野原の奥の奥に、ススキを倒して部屋を作って、今年も秘密基地を開設しました。
ひとりじめしても楽しいけれど、仲間を呼んだほうがもっと楽しい。
コンコン子狐、雑貨屋さんの猫又子猫と、和菓子屋さんの化け子狸を誘って、ふわふわごろ寝座布団とぬっくぬく毛布を持ち込み、あったかいお茶を飲みながら極秘会談ごっこを始めました。
「春にお店畳んで福島に行っちゃった、大化け猫の駄菓子屋のおばあちゃん、いるでしょ?」
にゃーにゃーにゃー。猫又子猫が雑貨屋の、新商品の蓄熱クッションをふみふみしながら、言いました。
「お手紙貰ったんだけどね、嬉しいことがあったって。『学校時代に駄菓子屋で食べた、ランチクレープの味を今でも思い出します』って、昔の常連さんがわざわざお礼のお手紙書いてくれたらしいの」
「先月だ」
コンコン子狐、子狸が練習で作ったという練り切りを、お茶と一緒に楽しみながら頷きました。
「10月13日だ。どうなったの?」
子狐は子猫の話の背景を知っていました。だって先月の過去作が、そういうおはなしだったから。
子猫の言う「わざわざお手紙書いてくれた」という「大化け猫の昔の常連さん」の、お手紙を大化け猫に届けたのが、子狐のお母さんだったのです。
話に全然ついて行けないのが、せっせとお茶のおかわり用のお湯を沸かすポンポコ子狸。
駄菓子屋さんがお店畳んだのは、知ってるけどなぁ。
「おばあちゃん、嬉しくて嬉しくて、ランチクレープのレシピ、お返事のお手紙で教えてあげたって」
「それで?」
「そしたらまたお礼のお手紙が来て、職場の先輩と隣部署の主任さんと一緒にクレープ食べてる写真、コンビニでプリントして数枚入れてくれたって」
「トナリブショノセンパイ?」
「隣部署の『主任さん』」
「知らない」
「大丈夫。わたしも言葉しか知らない」
「キツネ、言葉も知らない」
「……人間と、化け猫の、文通だって」
子狸が淹れたほうじ茶2杯目を受け取って、猫又子猫、ほっこりため息吐きながら、呟きます。
「人間、おばあちゃんが化け猫だって知ったら、どうするのかしら」
「べつに、どうにも、ならないんじゃない?」
だってキツネも、修行で人間のおとくいさんに、お餅売りに行ってるもん。コンコン子狐平然と、なんの疑問も無く答えました。
多分それは「稲荷神社の子狐」だからで、他の猫とか狸とかは、少し対応変わってくるんじゃないかな。
ポンポコ子狸は茶がらを捨てて、新しい茶っ葉を急須に淹れながら、ポンポン、胸中で思います。
さらさらさら、サラサラサラ。
子猫と子狐と子狸の密会を、ススキ野原のススキはただ見守り、聞き流し、
こっそり綿毛を吹いて、子猫と子狐と子狸の毛にくっつけ、イタズラをしておるのでした。
おしまい、おしまい。
―――「ススキ」
保育園の頃はススキを見つけると、「なにこれ〜!」って
はしゃいでたな……
最近はあんまりみてないな〜ススキ。
今度ゆっくりお散歩して、ススキさんに出会ったら、
「私16歳になったよ。」って報告しよう。
あの頃のことを思い出しながら―――
ススキ
秋になると道端にススキがたくさん生えてるよね。
ススキがたくさんあると秋が来たんだなってわかるから風情あっていいよね。
風が来るとススキも風に煽られるし、涼しい風だとなんか秋だなぁって感じることができるからいいね。
終わり
パンパスグラス
ススキのような立ち姿
班入りの葉が美しくて
これが欲しかったのと
実家の庭に招き入れた
母はとても嬉しそうだ
ガーデニングが趣味で
朝から晩まで庭にいる
石蕗の花が咲いたのと
床の間に生けた写真が
夜遅くに送られてきた
秋の終わりに咲く花で
霜が降りると蕾のまま
終わってしまうらしい
何年かぶりに見れたと
その文面から喜ぶ姿と
慌てて家の中へ入れた
母を思い、ふふと笑う
庭にある草花のお陰で
母の人生も彩りがある
有り難いことなのです
下校路
名前も知らない雑草を
触り帰った日
血の流れる親指と
ほれみろと嗤うお前
下校路
名前も知らない雑草を
集め帰った日
ススキだって喜ぶお前を
それススキじゃないと嗤う
あれ名前なんなんだろうな
ススキ
お月見に
欠かせない
って言うけれど
実は
お月見前には
あまり
育ってなくて
お月見の飾りのために
必死に
探しに行ったなぁ。
プライベートも
全部
仕事に
支配されてた
あの頃。
これは修行期間って
思ってたけれど
そりゃあ
あんな働き方してたら
潰れちゃうよね。
#ススキ
ねぇ、君のこと考えると心がススキみたいに踊っちゃうよ。風邪気をつけてね、
一緒にゆらゆら揺れよ?(´。• ω •。`)♡
Simejiが考えてくれたwww
天才Simejiだわw
テストがやってるクルー
今回もノー勉でいくわよ♥️
風に揺らぐススキの根はリゾーム
多方向に広がるそれはネットワーク
複雑に張り巡らされた関係性の根を持ち
うなだれているかのような姿で立つ
ススキは社会に広がっている
「ススキ」
冷たい秋の風 さわさわ ザワザワ
独りただ中ぼんやりと 頬をなでるススキの穂
私の名を呼ぶ懐かしき今は亡き人の声
持って行かれる気をつけて
それはまさしく逢魔が時
ススキ。草かなと思って調べたらやっぱり草だった。
どうも秋の七草と呼ばれている草みたいだ。七草って七草粥くらいしか知らなかった。こっちの七草は見る専っぽいな。知らんけど。
写真を見たけどなんか稲に似てるなって思った。子どもの頃に見たような記憶があるようなないような。まぁ草なんてどうでもいいか。
最近はめっきり寒くなってきて冬の到来って感じだ。この間まで半袖で外を歩いて家では扇風機なんか回してたってのにね。
冬は嫌だな。夏と違って厚着をすれば耐えられるから暖房をつけたくない。
でもつけないと寒いから死にたくなる。寒いとなにもかもが嫌になって死にたくなる。
死にたくなるのはいつも通りではあるんだけど寒いとその感情が強まるんだよな。
ああ嫌だ嫌だ。早く冬なんて過ぎ去ってほしい。
5時30分
少し明るくなり始めた景色が好き
お昼すぎ
太陽が真上に上がって影が下にあるのが好き
16時40分
日が落ち始めて空が赤くなるのが好き
日に当てられてススキが黄金に輝くのが好き
時間が出来たらゆっくりと見ていたいね
─────『ススキ』
夕空を見上げ
鮮やかな空の広さ
ビルのなかの庭園で一服を
終えて 疲れる人関係さに
迷うはいらない
誤解とかは仕方ない
いちいち 些細な誤解は
私はつい 相手に 合わせでる
相手の 調子を合わせる
金なんか 食べるに生活に
少し 潤うだけで 私は充分だが
今月節約だと 話した だけですら
金が好きか 金の猛者だな
なんて 言われた始末を
そうよ なんて 言ったが
金は生き物だからこそ
金に縛られないが理想だ
生きてくに困らないにあればいい
とは 話すより
はい そうですよ をした
金のことに 限らずだ
私を知らないままに
性格さまで 誤解さがある
仕事だから よそ行き 外面
明るく話しをしないと
元気ないな なんてなる
毎日 話す 内心凄く面倒ですなんて
言えないままに
そうかな とか やる
なんか 癖かのように
喫煙場所を出た
空を仰いだ
茜色とかでは足りない
黄昏時の空に 誤解さは仕方ないか
なんて 考えながら
背後には 黄金色穂先が染まった
凛としている ススキ が
秋 らしく ない 風に揺ら揺ら
秋だけに いい
秋をみつけた ビルの庭園で
コンクリートジャングルなかに
休むには いい 場所
お気に入りに 時間があれば
帰宅時 たまによる
カップルに 家族で また
私みたいな 1人に
サラリーマンの人も
まず つくと 煙草 喫煙場所は
沢山人だが 私には必要
ニコチン脳だから まず一服
一日お疲れ様とか
自分に話す 人関係 修行かな
今日みたいに 誤解されたら
参るなを
煙草をふかし 凹んだとしても
喫煙場所をでたら
迷いが 無駄過ぎとばかりに
空は言葉をのみこむように
感動をくれて
庭園にはススキが
凛としないさい、私に伝えてる
かのようで あっ無理だ
私の性質さには合わない
まず まっいいか
今の風が 心地いい
明日は明日の風に私を任せ
人言葉 些細な誤解さを
私は内心で笑う 余裕さがあるから
些細ならね
明日なり風は空気は
凛とした ススキみたいには
いかない私ですが、
揺らめき黄金 自然に凛々しさ
力さを有難う
やること 精一杯します
ススキに 話し 空の鮮やかな
茜色でもオレンジでも
足りない 感動さを また
味わい 自宅に向かった
いつまでも 秋 ススキが
頭のなか チラつきながら
【ススキ】
濃藍の夜空に浮かぶ黄金色の満月。今日のそれは特別に大きく、月影が世界を鮮やかに照らし出す。お酒とお団子を供えた祭壇の前へと恭しく進み出て、手の中のススキをそっと捧げた。
どれだけ美しい花を飾っても姿を現さない尊きお方は、何故か幼い私が誤って祭壇へと置いてしまったススキを気に入られたらしい。唐突に眼前に姿を見せたこの世のものとも思えぬほどに麗しいお方に、当時の私は唖然とすることしかできなかった。
かつての私にとって、風が吹くとサラサラと揺れるススキは一番好きな植物だった。祭壇には美しい植物を供えるものだと聞いていたから、大人たちの意図も知らぬままに私は私にとって最も美しい植物を興味本位で捧げたのだ。それから毎年、満月が地上に最も近づく夜になると、私はこうしてススキを捧げにくる。
「――ああ、もう一年になるか」
「はい。この一年、私たちをお見守りくださりありがとうございました」
私はもう大人になった。この方が神と呼ばれる存在で、私たちはこの方のご加護があってこそ穏やかな日々を享受していることをとっくに知っている。こんなススキ一本でなく、この方の注いでくださる恩恵に見合った豪奢なお供物を用意するべきなのではないかという理性も働くようになった。
それでも供えられたススキを手に取り、愛おしそうにクルクルと回すこの方の眼差しがあまりにも優しいから。私は毎年、風に揺れたときに最も美しいススキを一本大切に選び取って、丁重にこの方へと捧げている。
満月を背負う、冷ややかでありながら誰よりも慈悲深い私たちの神様。どうか貴方の日々も穏やかで幸福なものであってくれれば良い。いつだって寂しさの滲む貴方の横顔を仰ぎ見ながら、私は心の中でそう祈った。