『イルミネーション』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
お題「イルミネーション」(雑記・途中投稿)
農業高校卒業したから、落葉樹のイルミネーションを見ていると木が痛みそう、以外の感想出て来ない。
『イルミネーション』
人工物なんて好きじゃなかった。
綺麗って思わせるために誰かが作ったんだろう、って
斜に構えて街を眺めていた。
でも君と初めて同じ道を歩いた時。
「綺麗だね!」
目を輝かせる君がとても嬉しそうで。
君をそんな顔にしてくれる灯りが、冬の楽しみになった。
イルミネーション
夜に、暗闇に、
目立って街ゆく人々を釘付けにさせるもの。
イルミネーションは、人の心にある希望や夢の欠片を集めているように見える。
クリスマスが近くになるにつれ増えていく。
サンタさんは、子供たちにプレゼントを渡し回っている。
そのプレゼントを見た子供たちはどんな気持ちだろうか。
目を輝かせて喜ぶだろう。
それと同じ。
だからこそだろうか。
人々の思いの欠片を集めてできる。
だから、私たちは、何年経っても飽きずに目を輝かせて見ることが出来るのではないだろうか。
イルミネーションのちかちかと
あなたのおててのどきどきと、
ざわめく心もあたたかく
この季節特有の張りつめた空気が
寒空でこそ輝きを増すイルミネーションを盛り立てて
見るものの体感温度までも上げてくれるよう
名所じゃなくていいの
帰り道、街角の樹木に光るイルミネーション
この位の灯りが心地いい
153:イルミネーション
イルミネーション
冬になると思う「…イルミネーション綺麗やなぁ、」
立ち止ほど目を惹かれる。
毎年見るのに なんでだろうか
今年はイルミネーションを見れていない。
「ん"〜!はぁ。疲れた」
窓を見る。
沢山のビルの光が輝いている
もう、見飽きたっての
最後はイルミネーション見たかったな…
※意味わからんくてすんません。
主人公は去年までは冬に開催されるイルミネーションを綺麗と眺めることが出来ました。
でも、今年はある病にかかり病院生活に__的な
イルミネーション
冬の始まりを知らせる駅前のイルミネーションが点灯した。点灯式にはたくさんの人が集まり、役所の人が作ったイルミネーションを笑顔で見つめている。
こんな田舎臭い地元が嫌いだ。
高校を卒業したら都会の大学に進学する。そして、都会の本物のイルミネーションを見るのが夢だ。
その夢がやっと叶った。大通りの街路樹に何万個ものLEDライトが取り付けられ、それが点灯すればきらびやかなイルミネーションとなる。点灯式では芸能人がカウントダウンを行い、テレビで中継されることもある。これが本物のイルミネーションだ。
やっぱり都会はいい。豪華だけれど薄暗さも持ち合わせた大人の街だ。
ずっとこの街で生活していきたい。大学生活も終わりに近づき、そろそろ就活の時期だ。
いったい何社の面接に行っただろうか。みんな同じようなスーツを着て、面接でも同じような受け答えをする。私は誰にも見つけられることなく都会に埋もれていく。
気がつくと地元に帰ってきていた。地元の駅前のイルミネーションの電球の優しい明かりが見えてくると涙が溢れた。
ここは変わらない。
「おかえり。寒かったでしょ。」
玄関を開ければそこには笑顔の母がいる。
ついこの間まであった日常がこんなにも温かいものだったなんて気がつかなかった。また涙が出た。
今は地元が好きだ。
大学を卒業して地元の小さな運送会社の事務をしている。都会ほどの刺激はないが、私の名前を呼び、私に声をかけ、私を認めてくれる仲間や友人、家族がそばにいる。
こんなにも幸せなことはない。
冬になったらみんなで駅前のイルミネーションを見に行きたい。
街路樹を彩るキラキラのイルミネーション。
子供の頃、それはそれは目を輝かせて食い入るように見ていたっけ。
大人になった今思うことは、あー今年もそんな時期かという感想。
キレイとは思うけど、子供の頃みたいな感動は薄れてしまった。
あの頃は寒空の中親を待たせてまでじ〜っと見上げてたのに……。
そう考えたら大人になるって寂しいかもしれない。
けど、大人にしかできないこともある。
さーて、家に帰ってお鍋の準備をしないとね。
子供と夫がお腹をすかせて待ってるもの。
イルミネーション
これまで、たくさんのイルミネーションを
あなたと見てきた
わたしたちが、付き合って数週間の時かな、?
わたしがイルミネーションが好きって、言って…、
それから、わたしをたくさんのイベントに連れて行っては、たくさんのイルミネーションを見せてくれた
イルミネーションは、美しく光っていて
まるで星空を間近で見ているようで…
すごく感動した
でも、それよりも、あなたがわたしのために、
行動してくれることが嬉しかった
あなたがいなくなってからも、わたしはひとりで
あなたと一緒に行ったイルミネーションを訪れていた
それは、あなたと来たときと同じように光輝いていて
とても綺麗だったよ、
でも…、どうして、涙が出てくるの?
前来た時のような心を埋めるような幸福感、満足感は
まったくなかった
理由なんてすぐにわかる
あなたがいたから…、
あなたがいたから、きっとわたしの目に映るイルミネーションは何倍にも綺麗に光り輝いていたんだ
涙で視界が歪んで…、イルミネーションがまったく
見えないなぁ
「イルミネーション」
「はぁ……」
感動は声にならず、ため息として漏れ出た。
何回も見たことのある高校のイルミネーション
でも今年は例年と違った
《街の一角のイルミネーション》
だったのが
《キリストの生誕を祝う光》
になったからだろう
我ながら流されやすい性格だ
それでも、それを後悔したことはない
その度に新しい感性が生まれるから。
どこかのカトリック校生より
イルミネーション
君とみたイルミネーション。
それは、私にとって1番大切な思い出。
気がついたら今年もまたイルミネーション
の季節がやってきた。
また来年も君と見れるといいなぁ。
キラキラと光る。
眩しくも色とりどりの光。
赤。黄色。緑。
何故だか寄って観たくなる。
一夜限りの幻想。
人だかりが出来てる。
人々の心は、光に魅了されてる。
まるで魔法のよう。
一夜限りのイルミネーション。
(イルミネーション)
『イルミネーション』
私は小さい頃からイルミネーションが好きだ。
毎年冬になると家族で見に行く。
私はイルミネーションを見ると冬を感じる。
しかしそれは数年前までのこと……
数年前、私たち家族はバラバラになってしまった。
両親が離婚し、私とお兄ちゃんはそれぞれ違う親戚に引き取られた。
またみんなで楽しく、イルミネーションを見たいよ…
今年も冬がやってきた。
私は一人でイルミネーションを見に来た。
「やっぱりイルミネーションはきれいだな…」
すると後ろから声がした。
「久しぶり」
聞き覚えのある声、好きな声。
後ろにはお兄ちゃんが立っていた。
私は体が動かなかった。
突然のことでびっくりして。
するとお兄ちゃんが寄ってきて、私を抱きしめた。
氷雅
作品34 イルミネーション
お隣さんちは毎年、クリスマス付近になるとイルミネーションの飾り付けをしている。庭の木にも、テラスにも、家本体にも。
とっても綺麗だ。ここらへんに住んでる人達では名物となっている。
そんなお隣さんとは家族ぐるみで仲がいい。親が大学からの親友だからだ。
親がいる。それはつまりは子供がいるということだ。
お隣さんは三人家族で子供が一人いる。僕と同級生の息子だ。こいつがとんだ変わり者で。
特徴としてはメガネをかけて、ようわからん本を持って、部屋には漫画とフィギュアがたくさん。いわばヲタクと言うやつだ。かく言う僕もそうだけど。そのくせして頭がいい。ついでに性格もいい。
そこは僕とは正反対。そういうところを含めて、よくわからんやつだ。
前置きが長くなった。ちょっと僕とこいつについての昔話を聞いてほしい。
四年前のクリスマス三日前。ややこしいな。四年前の十二月二十二日。うん、こっちのほうがしっくりくる。多分だけど。
いいからさっさと続けよう。とにかくその日、僕は好きな人に、クリスマスの日一緒にイルミを見に行こうよと誘った。二人だけでというのも勿論付け足した。要は告白だ。
その人と出会いは席替えで、たまたま隣になった。その人は休み時間のたびに僕に話しかけてくれた。
その人のもう片方の隣の席には、クラス一のイケメンがいるのに!つまりこれは、……そういうことだな!てな感じで好きになった。
そしてあっけなく振られた。恋人がいるからと。相手はあのイケメン野郎で、学校で話しかけるのは恥ずかしいから喋らなかったらしい。
まあ、当然傷つくよな。だから僕は隣の家のあいつに、ゲームしながら愚痴った。
聞いてくれよーあの子僕のこと何とも思ってないってーこんなに頑張って誘ったのにー。という僕に対して、はいはいそうだな可哀想に。くらいしかあいつは言わなかった。
「あーあ。今年もクリぼっちかー。」
「そうだな。」
「一度でいいから好きな人と過ごしてみたいよ……」
「可哀想に。そこ罠仕掛けた。」
「おい!話もちゃんと聞いてくれないくせになんてことすんだよ!」
「ポテチやるから許せ。」
「許す。」
「はい勝ったー。」
「おい!あーくそ!クリスマスも告白もゲームも、全部うまく行かない!もうやだ!」
「そうだな。はい、ポテチ」
「あー。もーやだー。」
「喋りながら食うな。」
「あの公園のイルミ、綺麗って話で有名だから一緒に見に行きたかったのに……」
「……どれもそんな変わらないよ。」
「変わるよ!」
「俺んちよりも?」
「なんて答えづらい問いをするんだ」
「冗談だよ。」
「分かりづれーよ。」
とまあ、ここまでは普通の会話だ。こいつのやばいのはこのあとだよ。
「でもまあ実際、メガネを外すか泣くかすれば、全部同じに見えるけどな。」
「へー。」
「なあ。」
「何?」
「ちゃらけようとしなくていいんだよ。」
「……へ」
「泣いていいんだよ。」
「何言って」
「泣きなよ。」
「いや何が」
「そんな顔してるのに。」
「……」
「今からメガネ外すから、なんも見えないよ。好きにしな。ただし、無理はすんな。」
なんて言ったのですよ!イケメンすぎない!?
哀れんでくれたのか、その年から一緒にクリスマスを過ごすことになったんよ。
というのが昔話です。そしてここからは愚痴です。
そいつ、今年は彼女と一緒にクリスマス過ごすってよ。ふざけんな。
イルミネーション
今メレメレはロイド・フォージャーとかいうくそイケメンとイルミネーションを見ている。
「ロイド…イルミネーション、綺麗だね。」
本当はロイドの目を見て言いたかったけど、メレメレはシャイガールだからそんな高度なことできなかった…
そしたらロイドが「メレメレのほうが綺麗だよ」なんて言ってくれたような気がしてもう照れてしまった!
メレメレは勇気を出して手に収まるサイズのきゃわロイドを抱きしめた…
ロイドは、苦しいよ…とか言いつつメレメレを抱きしめ返してくれたような気がした。
星を地に這いつくばらせたみたいだと笑う瞳に輝く白光
題-イルミネーション
東北のホテルで
無料の星空ツアーに行った
午後8時からバスで行く
あいにくの曇り空
どうなるのかと思っていると
橋の手前で降り橋を渡る
向こうにイルミネーション
電飾が輝いている
私達10人のお客さんは
遠くにありながら
輝きが美しいイルミネーションの
写真をとりながら
それなりに納得したのだ
せっかくの休日だというのに
私はアニメを見まくっていた。
こう1日中寝ながらアニメを見てると
無駄にした気分になるが、
アニメには変えれまい。
だがそのアニメは
子どもの頃から見てきたジャンル、
転生系なのだが、
毎回夢を壊される。
魔法・魔術が出てくるのだ。
現実では使えるはずがないものを
主人公は転生し、
異世界で最強の魔法使い・魔術師になるのだ。
こういうアニメを見たあとは
最低10回は
手を突き出して広げ
目を瞑りイメージをして
力を込めて魔法をうつフリをしたり、
適当に作った詠唱を唱えたりする。
もちろん不発。
私も転生しようか考えたが
都合のいい話はない。
全て作り話、と自分に信じさせ
転生に失敗するかもしれない
という気持ちを尊重した。
自分のおかげで今生きているというわけだな。
身体を柔軟に動かす格闘にも憧れたが
現実では暑苦しく
私には不釣り合いな場だったので
大人しくラジオ体操をした。
頭の中ではもう
完璧に最強な私が誕生してるんだけどな。
現実はそう上手くいかないもんで。
12月だからか、
今日もどこかで
イルミネーションを見に行ってる人がいる。
私のように布団の中で1日を終える人もいる。
いつか
事故か何かで死んだ時、
異世界に転生して
魔法・魔術の才を初めから持っていて
その世界で最強になれますように。
"Good Midnight!"
ないものねだりな
悲しき私からの願いでした。
なんて
誰かに語りかけたりして。
イルミネーション
「綺麗ですわねぇ」
「オバケの死骸が焼けてる風景とかじゃなければな…もっと平和な光景で言いたいなそれ」
「我儘ですよ尾上君、残業で残ってる方が1人もいない状態でこの焼け野原が見れるんですからこれで満足してください」
「言っちゃったよ焼け野原って」
「燃える赤が綺麗でしょうゆらゆらしてて。人は炎が燃えている所を見ていると落ち着くと石蕗も言ってました」
「ものには程度があるぜお嬢、暖炉とか焚き火とかの話だろそれ」
「大は小を兼ねると言いますから」
「これ俺が我儘かな…」
「人には好みがありますから仕方ないですよ」
「俺の好みの話になってる……」
「私はこのくらいの方が好きです、暖かいので」
「そう言う問題!?」
もはや風景に求めるものじゃねぇ。
俺は昼間の…お化けがいない場所がいいな、と思ったけど大抵何処かしら誰かしらが死んでいる。いない場所の方が無いだろう。
神社とかが1番いない気がするが。
昼間の神社が1番好きです。
オバケいないから。
いや俺もお嬢のこと言えねぇな?
でも安全って大事だろ。
「俺は危なくないならなんでもいいや…」
「情緒がありませんわよ」
「オバケの死骸が燃えてる風景のなか情緒も何もないだろ」
俺もいつかお嬢くらいオバケ対処術を身につけて、柳谷邸を出て行く時。その時やっと目の前の風景を美しつ思えるのかな、なんて考えたりしていた。
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物事を楽しむためには精神的余裕が必要という話。
途中書きです。すみません。
「イルミネーション」
夏は花火。
冬はイルミネーション。
一年中様々な色に光輝いているこの通り。
綺麗だなって思うけど。
ずっと見ていたいけど。
私には少し眩しすぎる。
付き合ってください、と言われたのは8月のちょうど中頃。
塾の帰りで例の通りを歩いていた時、柄にもなく立ち止まって花火を見つめていた。
「…綺麗」
私の声が思わず漏れたのかと思ったけど違った。
少し離れて隣にいる男性の声だった。
「綺麗ですよね、花火」
今思えば私にしてはおしゃべりだったと思う。
「…貴方が、綺麗。花火じゃなくて」
「え」
「自分でもおかしいと思うんだけど、貴方に一目惚れしました」
暗闇を花火が鮮やかに照らす。
私にはその時のあなたが忘れられない。
一瞬でもあなたが綺麗だと思ってしまったのはきっと花火のせいだ。
「それでその人と連絡を取り続けていると」
夏休みが明け、久しぶりに友達のりまに会った私は例の話をすると、あちゃーと言って心配する姿を見せた。
その日に丁重にお断りしたのだが、LINEだけでもと言われ、断るのが苦手な私はつい連絡先を交換してしまって今日に至る。
「その人には勉強に専念したいから、って言ってお断りしたんだけど、受験が終わるまで待ちます、って言われちゃって」
「いいよって言っちゃったの?」
「もちろん言ってないよ。貴方はきっと素敵な人だから私なんかより周りにいい人がいますよって何回も言ったんだけど、なかなか諦めが悪そうで待ちます、とだけ」
私は高校3年生で受験生だ。
今は受験期を理由に断っているけど、受験が終われば断る理由がなくなる。
告白するのも大変だと思うけど、傷つけないように告白を断るのも難しいと今回の件で実感した。
「とりあえず様子見かな」
立花雪見、大学1年生で私の1つ上。
近くの国公立大学に通っている理系。
私と出会ったときはたまたま大学の帰り道だったらしい。
食べることが好きでLINEでの会話はご飯の写真がほとんどで飯テロ状態。
会うのを迫られたらどうしようと思ったけど、そんな様子は微塵もなく、受験の迷惑にならないようにか、週に2、3回連絡が来る程度で私はリアクションだけつけている。
「思った以上に平和だ」
「やっぱり本気なのかな?」
りまはお昼ご飯を食べながら私の話を聞いて言った。
「最初は冗談かと思ったけど、よくよく考えたら接点のない人に自分のことを好きになってもらうには直接話しかけるしかないよなーって」
「LINEで会話してるだけだけど、悪い人じゃなさそうなんだよね。むしろとても良い人みたいで。ほら」
「何、ほだされちゃってんの?」
「…っ。ちょ、ほだされてなんかいないよ」
ただ少し罪悪感があるだけ。
こんな良い人ならきっとモテると思うのに、私なんかを好きでいていいんですか?って。
恋とか、愛とか、全然わかんないし。
初恋すらまだしたことない。
私はあなたに同じ想いを返せないかもしれないけど。
それでも少しだけあなたを知りたいと思うのはダメなのかな?
「…今度の学園祭誘ってみたら?」
「はい?」
「2人きりで会うのは何かあった時守れないかもしれないから反対だけど、学園祭なら私が一緒にいてあげられるからさ。話してみないと分からないことだってあるでしょ」
「え、でも」
「もう送っちゃった」
学園祭当日。
待ち合わせの校門前。
なぜかちょっとどきどきする。
「和葉さん」
後ろを振り返ると立花さんがいた。
「待ちましたか?」
「いえ、今ちょうど来たところです」
「よかった」
本当は緊張して30分前から校門前にいたことは決して言うまい。
「今日は学園祭に誘っていただきありがとうございます。この日をすごい楽しみにしていました。ただ…」
「どうかしました?」
「僕の友達も学園祭に行きたいと言い出してしまって」
「学園祭は外部の人が自由に出入りできるので大丈夫だと思いますよ」
「いえ、あの、そうではなくて僕の友達が貴方に会いたいって言って聞かなくて」
「雪見が一目惚れしたっていう和葉ちゃんはこの子か」
後ろから声がして振り向くと4人の男性が私を囲んでいた。
「ごめんなさい、和葉さん」
ほら、あっちいて、と雪見さんは友達を追い払う。
「友達は賑やかな方たちなんですね」
「そうですね。それで暴走してしまうこともよくあります」
友達は少しだけ苦手だけど、立花さんはあの中ではちょっと異色というか大人しい性格なんだな。
「どこを見に行きたいですか?」
「うーん、どこも面白そうで迷っちゃうな」
「じゃあ、友達のクラスを見に行ってもいいですか?」
行こうと快く賛成してくれたので、りまのクラスに行くことになった。
「和葉と…」
「立花雪見です。和葉さんのお友達の方ですか?」
「ええ、そうです。桜木りまって言います」
「よろしくお願いします」
「もうすぐハロウィンだから私のクラスはそれに合わせて仮装できるお店をやってて、他クラスとも協力して仮装してる人たちはトリックオアトリートって言うと各お店で違ったお菓子をもらえるようになってるんですけど、仮装していきますか?」
「はい、お願いします」
立花さんも乗り気だったので、2人とも仮装することになった。
「ちょっとあんなにイケメンだって聞いてないんだけど」
女性更衣室でりまが唇を尖らせる。
「しかも見た感じ好青年」
「ちょ、しーっ。隣が男性更衣室なんでしょ?話、聞こえちゃうよ」
「少しくらいなら大丈夫だよ」
ここ座って、とりまは言って、私の髪を巻き始める。
「それでどうなのー?」
「何が?」
「好きなの?」
と耳元でりまが囁いた。
「あー、動かないでよ。せっかくうまくできてるのに」
「今のはりまが悪いよ。びっくりしたじゃん、もう」
好き!?好きって何?
前会ったときは周りが真っ暗だったから姿がよく見えなかったけど、今日会って確かに少しかっこいいって思っちゃった自分がいる。
外見が良くても中身がダメだったらって思ったけど、きちんと礼儀正しくて私を大事にしてくれているのが伝わる。
でも良い人なのはわかるけど、良い人だからと言って好きという感情が伴わないと付き合っちゃダメなのかわからない。
好きかわからない。
自分がどうしたいかわからない。
「…こんなに顔も耳も真っ赤で」
「なんか言った?」
「ううん、私の友達は自分の気持ちに鈍感で世話が掛かりますなぁって」
「むぅ、ひどい」
「仕方がないよ。事実だもーん」
ま、でもそこが可愛いんだけどね、と言ったりまの声は小さすぎて和葉には届かなかった。
「よし、できた」
「こんなに時間が掛かって大丈夫かな?待たせてるんじゃ」
「大丈夫、可愛い女の子は少し遅れていくものだよ」
「やっぱり待たせてるじゃん」
急いでお店を出ると思い切り人にぶつかってしまった。
「すみません」
「こちらこそすみませ…」
振り向いたマントの男性は立花さんだった。
吸血鬼の衣装。
外側は黒、内側は赤の長いマント。
爽やかな好青年が一気にクールで大人っぽい感じになっていた。
突然マントに包まれて前が見えなくなる。
「…あの、立花さん?」
ちょっと近すぎるって。
こういうのに免疫ないからどきどきしすぎて死んじゃうよ。
私の鼓動伝わってないよね!?
「すみません。その、和葉さんのデビル姿が可愛すぎて…。こんな可愛い姿、誰にも見せたくないなって」
すみません、突然おかしなこと言ってますよね、と言いながら私を離す。
か、か、可愛い!?
誰が?えっ、私が?
顔が熱い。
熱があるみたい。
「そ、そんなこと。それより立花さんの方がか、かっこいいです」
目が合わせられない。
私、今どんな顔してるんだろう。
「店の前でイチャイチャするの、やめてくれる?」
と、りまがにやにやしながら言った。
「イチャイチャなんかしてません!」
2人して息ぴったり揃って言ってしまった。
りまはなおもにやにやしながら「はいはい」と言ってしっしっと手を振った。
私と立花さんは恥ずかしさでその場から逃げるように立ち去った。
「…いつの間にか大人になっちゃってたんだね」
お姉さん、さみしーなぁと小さく言いながら、りまは2人の後を見送った。
「つ、次はどこに行きますか?」
さっきのことで私と立花さんは一気にぎこちなくなってしまった。
「次は…」
「カップルの方ですか?」
「かっ…」
「…カップルじゃないです。僕が一方的に彼女を好きなだけで」
「そうでしたか、すみません」
好き!?
いや、知ってたけど。
でも、言葉で直接「好き」って言われるのは強力な必殺技すぎる。
恋愛耐性ないんだってー!
恥ずかしさでここを今すぐ立ち去りたくて言ってしまった。
「行きますよ、立花さん」
「えっ、行くんですか、お化け屋敷?」
お化け屋敷?いつの間にそんな話に?
どうやら私が自分の世界に閉じこもっている間にお化け屋敷の話がなされていたらしく、「和葉さん次第ですが」と立花さんが言ったところで、食い気味に「行きますよ、立花さん」と言ってしまったらしかった。
「あの、立花さ…」
「2名様お化け屋敷にご案内!」
もう戻れなくなってしまった。
お化け屋敷は苦手だ。
暗闇がまず怖いのにそこへお化けも登場するなんて鬼畜すぎる。
そういえば、小学生のとき学活の時間にお化け屋敷をやった。
クラスのお楽しみ係と先生がお化け屋敷の仕掛け人で私はお客さんだった。
最初班でまとまって入ったはずなのに途中ではぐれてしまって一人で暗闇を歩いていた。
「みんな、どこ…?こわいよ…。だれかたすけて…」
「…おばけさんはここにいるよ」
「っ!?」
私は無我夢中で走った。
急いでおばけさんから逃げる。
突然電気がついた。
しばらく眩しくて目が開かなかったけど、だんだんと見えてくるとそこはひどい有様だった。
椅子や段ボールで仕切りを作った道が壊れている。
椅子が倒れていたり、段ボールが破れていたり順路がめちゃくちゃだ。
そのせいで私の班の人たちも同じく迷子になっていたようだ。
この犯人は…間違いなく私。
その後、先生に怒られお楽しみ係に謝った。
今回は怖くても破壊しないように頑張らないと。
そのためには協力が不可欠だ。
「立花さん、手を」
「えっ?」
「何があっても離してはいけないですよ」
お化け屋敷攻略の鍵は挨拶。
お化け屋敷ではおばけといかに仲良くなれるかが重要。
「こんにちは、おばけさん」
「ぎゃぁぁぁ、生首がー!」
「いますか?おばけさん」
「フフフフフって笑わないでー!」
「元気ですか?おばけさん」
「ち、血!血!」
なんとか破壊せずにクリア。
「あの、手」
「はっ、え、すみません」
いつの間に手なんて繋いだんだろう。
怖すぎてお化け屋敷の記憶を思い出せない。
「和葉さんってお化け屋敷ではいつも挨拶するんですか?」
「へっ?」
挨拶…。
うっすら思い出してきた。
「いえ、違います。恥ずかしながら昔…」
小学生の頃のお化け屋敷のエピソードを話すとすごく笑われた。
「もう、そんなに笑わないでくださいよ」
「だって道を破壊していくとは思わないじゃないですか、あははっ」
「だーかーらー、もう」
「好きになったのが貴方でよかったと思います。声をかけてよかった」
そういう不意打ちと甘い言葉に弱いのだ、私は。
「付き合ってください」
そんな真正面から言われたら自分の心に向き合うしかなくなるじゃないか。
「…私はあなたに同じだけの想いを返せません」
そのことに罪悪感がないと言えば嘘だけど。
「でも少しだけ気になってるんです、立花さんのことが。初恋まだだし、これが恋かわからないけど、少なくとも私に声を掛けてくれたあの日、私も立花さんが綺麗だと思ったんです」
顔が熱い。
緊張で指先が冷たい。
「それでもこんな私で良かったら喜んで」
立花さんは私をぎゅっと抱きしめて言った。
「これからよろしくね、和葉」
「こちらこそよろしくお願いします。…雪見くん」
私、人生初彼氏ができました。
「…っ。苦しいです、立花さん。ちょっとぎゅってしすぎ」
「名前呼んでくれないと離してあげない」
「…雪見くん、ちょっと力強い」
「よくできました」