『もっと知りたい』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「好奇心そのものなんだ」
その呟きは私の耳にはっきりと届いた。
何度目かの休憩に入ったおじいちゃんは、背中につけた機械から酸素を送り込まなければ、死んでしまう。それでも元気に生活し、ときには外に出ることもある。私はその後をついて行き、不測の事態に備えなければならない。
誰もおじいちゃんを止めることはない。なので、私もそれについていくしかない。
最初はおじいちゃんに付き合わされて、私は何をやっているんだろうと思っていた。でも、だんだんおじいちゃんは何をやっているんだろうという疑問へと変わっていった。
公園に行く理由はなんとなくわかる。散歩のためだし、植物を見てるから。街に繰り出して、服を見たり、道の真ん中で立ち尽くしてみたりするのはわからない。
もう行くよ、と声をかけると、はっとして向き直る。
「おじいちゃん、道の真ん中で何してるの?」
「今の若い人って、どんな感じかなと思って……」
私は驚いて聞き返した。
「服装とか見てるってこと?」
いやいや、とおじいちゃんは頭をかく。
「服はやっぱりわからん。でも話してることは、面白いなと思って聞いてるよ」
「あきれた」
私は首を振ったが、カフェとか電車内で人の話を聞きたがる癖はおじいちゃん譲りなのだと、内心理解してしまった。
「じゃあ、帰ろうか」
「うん、ありがとう」
おじいちゃんはふるふるとした背中を見せた。
「でも、ほんとうは、みきちゃんと過ごす時間が楽しくて」
『もっと知りたい』
朝なかなか起きられない
家では甘えんぼ
照れ屋
仕事はテキパキ
瞳の色が薄い
お酒に弱い
細マッチョ
襟足が色っぽい
声が色っぽい
まだまだある。
語り出したらキリがない。
でも、知らないコトもまだある。
「だからーー、僕、、、」
今日のお酒は楽しい。
「、、、おい、雪村、それ、どうにかしろ」
もっと知りたい
好きな人のことを
もっと知りたい
大切な家族のことを
もっと知りたい
大事な命のことを
もっと知りたい
人間っていうものを
もっと知りたい
この世の中を
もっと知りたい
自由とは何かを
もっと知りたい
分からないこと全部
知らないことが無くなるまで
ずっとずっと探し続ける
知りたいことを探し終わるまで
ずっとずっとこの人生が終わるまで
もっと知りたい
辿る 景色を 追いかけた 情景を
忘れた 体温を 感じて 眠る
深海を 泳いで 体が 無重力に 支配される
何処かで あなたと 二人で
何度も ここへ 戻って来る 輪廻を 超えて
もっと 知りたい 砕けた 言葉より
深層の 中で 見つけた
愛の 在り処を 求めて
君は 遠い 世界から
まどろみの 中で 忘れた 体温の 歌を 刻む
もっと 深い 闇へと
もっと 深い 空へと
もっと 深い 海へと
もっと 深い 愛へと
もっと 知りたい 月影に 新しい 命を 灯す
もっと 知りたい あなたの 心臓が どこに あるかを
誰かの 何度も 音を 変えて
意識の 向こうへ 今は 深層に 絡みつく
答えを 求めた 深い 森が 何処に?
何度も 凝らした 月が 微笑む
何度も 何度も 神経の 奥へと
遠い 昔へ これから 先へと 貴方は どこへ?
影は 伸びて 月は 深層の 海へと
やがては 帰る 森の 中へと あなたを 呼んだ
その声は どこを 辿る?
私は潜水服など持っていない
底はどこまでも深い海の
浅いところで
溺れている
あなたは潜水服も酸素ボンベも付けている
たまに空気をもらいながら手を取り合い
私たちは深い海の底にある小さな小屋を目指す
そこで何でも語り合おう
もっと知りたい
未だ見ぬ貴方へ
脳への刺激がまったくなくなったら、脳はどうなってしまうのだろうか?
全ての外的な刺激が失われたら、脳は寝てしまうのだろうか?
その解答を得るため、1950年代に行われた「感覚遮断」実験があって、目も耳も塞ぎ、呼吸管をつけ、体温と同じくらいの海水に被験者を浮かべた。
この実験は屈強な人でも長くは耐えられないそうで、脳は幻覚を見るらしい。つまり、外的刺激がないと、脳が勝手に働いて、勝手な幻覚を作る。つまり、おかしくなってしまうのである。
人間は寝てばかりしていて、何もしないと良くないのだろう。
(この実験は今でも有効にアイソレーション・タンクに応用されていて精神治療に使われるようだ。毒も使い方によっては薬に変ずる)
知りたい事は、そりゃ沢山ありますね、無限大にある。
難しい問題でなくとも、日常生活の些事においても、人は多くの事を見落としている。と、思う。
脳への刺激を、良い形で、どんどん与えたら、面白いことが生まれるのではあるまいか??
いま、みうらじゅんさんの事に興味を持って調べている。
彼はスクラップブック作りを趣味としていて、小1の時に好きな怪獣の写真を集めてハサミで切り抜き、ノートに糊で貼った。
それが始まりで、仏像やエロ写真などをスクラップしていった。
なんだかアナログで面倒くさい作業だが、好きな写真を集め、配置を決めて並べ直す、編集作業をすることで、色々な事が分かるようになったそうだ。
この写真は、「もっと、こうしたら良くなる」「もっと、グッとくる」「こんなアングルはどうだ?」「このコラボの方が魅力がずっと伝わる!!」など。
このようなことから新しいアイディアが生まれるのであろう。
私たちは、知らない事に、気が付かない事に囲まれて生きているのだ。
それに少し気付くだけでも、新しく生まれ変われるかも知れない。
識る者は苦を数多に、識らぬ者は楽を覚える。
苦楽とは心を無と個とで揺さぶり、生き方を変質させる。
一度に浸かれば深みに沈み、しかしその気があらば這い上がることができるのも識るということ。
問題は、どうやって覚えるかだ。
【もっと知りたい】
もっと知りたい
けれど
実際知ると
受け入れられない自分の頭をどうにかしたい
気になることがあったから「どうして?」と何でもすぐに聞いていたらやめるようにと怒られた。
それも「どうして?」と思ったけど、仕方ないから気になったことや興味を持ったことは何でも自分で調べるようになった。
多くのことを調べ、突き詰めていくうちに、自分の好きな分野でトップを走るようになっていた。
周りからは「才能」だと言われ「おまえはいいよな」と羨ましがられた。
ただ僕は「もっと知りたい」と思っただけだ。それだけなのに、周りに厭われ、妬まれた。
知的好奇心を抱くことは罪なのだろうか。たとえそうだとしても、僕はきっとこの思いを抑えられないし、抑えるつもりもない。地獄に落とされようが僕は答えを求め続ける。
『もっと知りたい』
ちょっと気になる 君のこと
何が好きなの 嫌いなの
心に空いたこの穴に
放り込んでよ 君のこと
もっと知りたい 君のこと
喜び 温もり 悲しみさえも
満たされえないこの餓えを
君でいっぱいにして
もっと気にして僕のこと
心に空いたこの穴を
君で君で君で
いっぱいにして
もっと知りたい(お題)
もっと知りたい。
自分のこと。
知っているようで、知らない。
そんな気がして、ふと不安になった。
自分探し。
誰かもそんなこと言ってたっけ。
知らない自分を探す旅。
探しになんて行かなくても、どこへ行っても、
今ここにいる、自分しかいない。
自分以外の人が知る部分、自分しか知らない部分、まだ誰も知らない部分。
そのすべてが、唯一無二。
もっと知りたい君のこと。
もっと知りたいあなたの好み。
もっともっと知っていきたいから。
私から離れていかないで
─────『もっと知りたい』
今日は調子が悪くて1日寝ていた。
すると帰ってきたばかりの貴方は部屋に顔を出し私に言う。
「ただいま。冷蔵庫は開けてはいけないよ。」
「どうして?」
「今冷蔵庫はパンドラの箱だから。」
それは是非とも中身が知りたい。
「いいね?絶対に開けてはいけないよ?」
「はーい…。」
どうやらお風呂に入るようだ。
これはチャンス!
「さて、パンドラの箱の中身はなんだろなぁ。」
増えているものは…あぁ、これはひどい。
体には良いけど私の苦手な物ばかりだ。
「こんなもの食べたくない!」
でも食べ物だから1つずつ外に追い出していく。
「あれ…?おぉぉぉ!プリン!大好きなプリン!」
外に出した食べ物をキッチンに並べて中には入れない。
そしてお風呂から出てきた貴方が言う。
「絶対にやると思った。だけどこれが本当のパンドラの箱だね。忠実に再現したなぁ。」
呆れながら言う貴方の顔を見て私はドヤ顔を決める。
そして私はこの後苦手な食事を摂ることだろう。
冷蔵庫に残った希望を胸に。
もっと知りたい
私自身のことが知りたい。
一番わからない人物。
他人に言われても、それはその人に出す私だから。
自分が自分を知りたい。
知らなくていいこともある。
でも私はあなたのことなら何でも知りたいんだ。
【もっと知りたい】
もっと知りたい…
偶然の過去も未来も塗り替えて
もっと知りたい君の温度を
もっと知りたいの
わたしのことを
もっと見せて欲しいの
わたしのことを
もっと好きできたい
わたしのことを
もっと知って欲しいの
わたしのことを
もっと、もっと、もっと
でもね。
そんなにわたしの全てを
知ってしまえば
ドキドキがなくなるんじゃないの?
えっ?
ドキドキなんかより
わたしのことを知ったら
安心したいだけ?
ふ〜
そうなんだ〜
でも、全ては
教えないもんね。
ドキドキとハラハラが
恋愛の方程式でしょう。
全て解いてしまったら
貴女は次の知りたいを
求めるでしょう。
だから
全ては教えないの。
めぐみより
知りたい事は山程ある。その中でも格別に気になるのは、以下の二つ。
一つ、女の子という存在について。
一つ、世界が存在する理由について。
言ってしまえば、どちらも〝存在〟の問題に集約される。これを探求しようとするのは、あまりにも無謀だ。何せ、存在という難題に挑んだ哲学者でさえ、明瞭な答えを導き出す事が出来なかったのだから。
知りたいと思っても、途中で諦める事も肝心。好奇心に殺されたくはない。
人間の知識欲が増大していった結果、生活は楽で快適なものに変化していった。その反面、地球を滅ぼし易くもなった。
「知りたい」という衝動の陰に潜む怪物に目を向けなければならないのは、言うまでもない事だろう。
あなたには彼女がいる。
なのに一緒にマック行く約束したり、
DM続けてくれたり
すれ違ったら話してくれるし、ふとした時に目合うし、
彼女がいるにも関わらず
あなたのことをもっと知りたいと思った。
もっと知りたい
コーヒーを淹れてくれた。
おいしい?
うん。
うそでしょ。
どうして。
だってただのインスタントだよ。ふつうの味でしょ。
そう思うなら訊かなきゃいいのに、と思ったが口には出さなかった。
ネクタイどっちにするの? 赤と青のネクタイを両手でヒラヒラさせながら訊いてきた。
青。
えっ、赤のほうがいいよ。と言って勝手に僕の首に結び始めた。
訊く必要ないじゃん、と思ったが口には出さなかった。
晩ごはん、何がいい?
蕎麦。温かいほう。
でもカレーでいいよね。明日の朝も食べられるし。
訊く前から決まってるじゃん、と思ったが口には出さなかった。
どうして彼女は、訊く必要のないことをわざわざ訊いてくるのだろう。
そういえば、言わないように我慢しようと思ったとき、僕を見て彼女はいつも笑っていた。からかってるのかな。
彼女の嗜好がよくわからん。まだまだ観察期間が必要だな。
帰りにチーズケーキを買っていこう。この前、美味しそうに食べてたから。