『ひなまつり』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
―ひなまつり―
子どもの頃、雛人形が怖かった。
出来るだけ近づかないようにしていた。
人形だから当たり前だけど、一点を見つめている姿が怖くて仕方なかった。
平気になったのは高校生くらいの時、もうひな祭りに何かしようという歳でもなかった。
だから、ひな祭りと言われても特に思い出はない。
『ひな祭り』
灯りをつけましょぼんぼりに お花をあげましょ桃の花 五人囃子の笛太鼓 今日は楽しいひな祭り
私にとってはやる必要あるのか謎な行事だし、なんなら雛人形の出し入れで面倒くささしかない。
ひなまつりなんて縁が無かった。保育園の時甘酒の代わりにカルピス飲んだ。その味は忘れた。
テーマ『ひなまつり』
私が前の持ち主に捨てられたのは、三ヶ月くらい前のことだった。
たくさんの人が行き交う街には、きらびやかな光と、鈴の音のBGMが鳴り響いている。アナウンスで何度も流れる『メリークリスマス』という言葉から、今日が特別な日なのだと知っていた。
女の子を模した人形である私は、持ち主の女の子に置いてけぼりにされ、街角で途方に暮れていた。
ショーウインドウに並ぶサンタさんに目を奪われ、まだ幼い彼女は、私の胴体を持つ手をパッと離してしまったのだ。
人形が落ちたことに気づかずに行ってしまった彼らが、そのうち迎えに来てくれるんじゃないかと、私は胸に希望を抱いていた。……しかし女の子の家族は、いつまで経っても私を見つけに来てくれることはなかった。
月日が経ち、私は誰に拾われることもなく冷たいアスファルトに座っていた。
女の子の姿を探すのは、もう諦めた。汚くなった私を一瞥する視線にも慣れてしまって、もう、何もかもがどうでもいい。投げやりになった私の前で、ただ時間だけが淡々と過ぎ去っていく。
それは、雪のふる寒い早朝のことだった。古びてボロボロの服を着たおじいさんが、突然目の前にしゃがんで私を持ち上げた。
おじいさんは、これまで見た誰よりも薄汚れていた。顔は垢に塗れ、歯は黄色く変色している。体からは何ともいえない匂いがしていて、私は思わず顔を背けたくなった。
「おやおや、こんな寒いところに独りぼっちで。……あんた、寂しかったろう」
彼の言葉を聞いて、私はさっきまで自分の頭に浮かんだ考えを恥じた。
どう考えても、寒いのは彼の方だ。破れた靴からは素足が見えているし、服は薄いシャツと上着だけで、マフラーや手袋だってしていない。そんな状態なのに、なんでこの人は人形である私を気遣うのだろう。……別に、人形である私は寒さなんて感じないのに。
おじいさんに拾われた私は、少し離れた場所にある河原へと連れて行かれた。
川のそばにはダンボールで作られた小屋が建っている。川辺にはおじいさんと同い年くらいのおばあさんが座り、使い古した鍋で何かを焚き火にくべていた。
「よぉ、ばあさん。今日は家族が増えたよ」
そう言って、おじいさんはおばあさんの手をとり、彼女の手の中にそっと私を置いた。
両手で包み込むようにしながら、彼女は焚き火の明かりに近づいて私を見る。
「あら……まぁ、なんてかわいいお人形さんなんでしょう!」
薄汚れた私をみて、おばあさんは満面の笑みを浮かべた。おじいさんと同じくらい汚れていた彼女けれど、その表情は前の持ち主だった女の子よりも、ずっとずっと純粋で、かわいらしく思えた。
もう、私は誰にも必要とされない。そう思っていたのに、また誰かを喜ばせることができて、私は心の底からとても満たされていた。
それからしばらく、私は二人と一緒に生活をした。
立派なお家で暮らしていた頃とは、全くかけ離れた日常だった。それでも私は、おじいさんとおばあさんと過ごす今が、心の底から楽しかった。私はいつでも彼女の近くにいられて、とても大切に扱ってもらえた。
喋れない人形の私を、二人はいつでも優しい瞳で見つめて話しかけてくれる。時々、私はまるで本当に人間になったかのような、そんな不思議な気持ちにさえなった。
春も近いというのに、ここ数日は真冬のような寒さが続いていた。異例の猛吹雪が続き、二人は来る日も来る日も身を寄せ合って耐え忍んだ。とても辛そうにしている彼らを見て、私は人形ながらに胸を痛めた。
ようやく吹雪が収まったある日。朝起きると、私の横で寝ているおばあさんが、胸を押さえて苦しそうにうめいていた。
「おいっ、大丈夫か!?」
おばあさんの側に寄り、おじいさんが緊迫した面持ちで話しかける。
「あなた……ごめんねぇ」
「今……今ッ、誰か助けを呼んでくる!」
そう言って、おじいさんは小屋の外へと飛び出していった。
「あのね……持病なのよ。心臓の病気」
彼女は私のことをそっと胸に抱きながら、か細い声で話し始めた。
「あの人の……旦那の会社が倒産してね。資産も部下の給料に全部回しちゃって。さらには、稼ぎも身寄りもない私なんて置いていけばいいのに、こうやって一緒に暮らして。本当に、優しすぎるんだよあの人は。……だからね、あなた、一緒にいてあげてほしいんだよ。私のかわりに、あの人の側に……いてあげ、て……」
言い終わった途端、おばあさんの体から力が抜ける。
その時だった。突風が吹いて、小屋の屋根が半分外れた。空いた屋根の隙間から、黒い猫がしゅるりと入ってきて私の方を向く。
『お前は、その人間を助けたいのか』
普通、猫は喋らないものだと思っていたので、私はとても驚いた。
尋ねたいことは山ほどあったが、今はそれどころではない。私はコクリと頷き、心のなかで強く念じた。
『彼女を助ける方法があるなら、何でもやるわ』
『何でも……か。よろしい。ならば、お前が彼女に宿る病の依代となれ』
猫は私の着ている洋服の端を咥え、軽い身のこなしで川辺へ出る。そのまま私は、増水した川の流れの中へポイッと放り投げられてしまった。
──さよなら。おばあさん、おじいさん。今までありがとう。
短い間だったけど、楽しかった思いでが脳裏に蘇る。
ぽちゃんと水に落ちる音がして、私は冷たい川の中で深い眠りについた。
今日が炊き出しの日で助かった。
ボランティアの人達に事情を話し、僕は妻の横たわるダンボール小屋へと数人を連れて戻ってきました。
「依子……依子! 大丈夫か!?」
慌てて駆け寄りますと、さっきまであんなに苦しそうにしていた妻の呼吸が、いつも通りの安らかなものに変わっているではありませんか。
そしてふと、一つの違和感に気が付きました。
「依子……お前、あの女の子のお人形。エリちゃんはどうしたんだい」
うーんと言いながら起き上がる妻の周囲には、いくら探してもエリちゃんの姿は見当たりません。
「優一郎さん、あたし、夢を見たのよ。あの子がね、エリちゃんが笑顔で手を振って、『元気でね』って、黒いもやもやと一緒に遠くへ行ってしまう夢。……きっと、私を助けてくれたのよ」
妻の言うことは何とも信じがたいことでした。それでもなんとなく、僕もそんな気持ちがしてきてしまったのです。
「そうか。……依子が言うならきっと、そうなんだねぇ」
妻と二人で手を握りながら、僕たちは心のなかで「ありがとう」と、エリちゃんのあの可愛らしい笑顔を思い浮かべるのでした。
ひなまつり。とくになにもなくおわる。
『名前』がついたひでも、いしきしなければそんなもん。
(ひなまつり)
ひなまつりに生理になったんだが 糞腹痛いし
これが本当の女の子の日だって?
馬鹿馬鹿しい 死ねひなまつり
燃え上がれ ひなまつり
けつ穴にぼんぼりぶっ刺して明かり付けんぞ糞が
くたばれひなまつり死ね死ね死ね死ね死ね
ひなちょこが美味しいからちょっと許してやろうかな
ゆらゆら
ゆらゆら
ぼんぼりの明かりが揺れる
ひなまつり
お内裏様とお雛様がちょこんと並ぶ雛壇を
ウキウキしながら眺めては
なんだか自分まで
可愛らしくて愛らしい
お雛様みたいになった気がして
女の子に生まれて良かったなって
今日がすごく特別に輝いていた
【ひなまつり】
小さい頃は玩具だと思った。
お人形遊びをしようとして怒られたっけ。
それでも懲りずに小物を持ち出しては遊び回って。
それがいつの間にか、玩具ではなくなって。
大切にもしていない。関心さえなくなって。
見かけないな、くらいにしか思わなくなっていた。
久しぶりに見た雛人形。
祭壇もなくて、ぼんぼりも灯ることはなくて、小物も幾つも欠けた雛人形。
持ち主は相変わらず大切にもしていなくて、関心もなくて。
それでも全員が揃って日の目を見た雛人形が、微かに笑っているように見えたのは、気のせいだったのかもしれない。
ひなまつり
受験合格した 勉強し続けて来て良かったな
先生にも受かりました!って言ったらおめでとうございますっ!って言って貰えた
塾でも沢山先生と話せて,辞めちゃう先生には手紙渡すことができた
#ひなまつり
母さんはひなまつりに憧れていた。
女の子のためにひな壇を飾り女の子を祝う、
しかしうちの家庭は全くひなまつりに縁がない
理由は簡単で、男だらけの三兄弟だからだ
母親は家族で集まってひなまつりをやるのが密かな夢で、この時期は少し寂しそうだった
「今日だけでいいから3人とも女の子になってよ母さんのお願い!」
母さんの無茶振りに俺たちは少し呆れたて笑ってた。
あかりをつけましょ ぼんぼりに
おはなをあげましょ もものはな
ごにんばやしの ふえだいこ
きょうは たのしい ひなまつり
きょうは、おねえちゃんがおよめさんになる日。
おひなさまに負けないくらいきれいなおきものをきて
くろいふくをきた人ととおいところへいってしまう。
「おねぇちゃん、きれいだね」
おねえちゃんは泣いていた。
あかちゃんみたいに、かおを真っ赤にして。
「おまえは、好いた人と一緒になるんだよ」
「うん!おねえちゃんみたいにきれいになる!」
いつもはあったかい、おねえちゃんの手がとても、とても冷たかった
「この歳になると、行事に疎くなるね」
弟はそう言って少し笑った
おひなさま、祖母の家の押し入れに仕舞込まれて
もう10年は経つだろうか
人形というのは扱いが難しい
私は彼らの存在を持て余していた
今更出すのも億劫で
かと言って、処分するのは心苦しく
私たちには、結婚して、子どもをつくって
家という重荷を継がせる気も、その必要もない
私たちは自由である
自由であるはずである
ひなまつりもこどもの日も
もう必要がないくらいの大人の楽しみは手に入れた
なのになぜこんなにさまざまなことに悩む
人形の処分とか、何年も先の稼ぎとか
生かすも殺すも私次第
それは、私自身の処遇だって
私は私の手の内に
それがひなまつりを祝わなくていいということ
それが大人になるということ
でもそれがあんまり恐ろしくて
私と人形には未だに判決は下されず
今年も押し入れに閉じ込めておく
ひざしがさしこむへや
なみだこらえるひとみ
まだかえっちゃだめっていうあまえたこえ
つよくだきしめてくれるやさしいこころ
りせいをたもってでもいっしょにいたい
ひなまつり。
赤ちゃんを抱いたお母さんが
ケーキ屋さんの前に
2組ほど並んでいた。
店員さんが、菱形の可愛らしいケーキを
箱にしまっている。
きっと、初節句のお祝いだろうな。
どうかスクスクと育ってね。
まだ、風は冷たいけれど
もう少しで、春が来るよ。
【お題:ひなまつり】
/ひなまつり
ひなまつり ひなまつり ひいなまつり
少しおめかしして お母さんに連れられてった
仲良しのあきちゃんの家
知ってる靴が三和土(たたき)にならんでて、家の奥からもう笑い声がしてた
あんたたち三人官女やね、
と、あきちゃんのお母さんが言い
かおりちゃんのお母さんが
うちら三婆やわ、と言い
うちのお母さんはけらけら笑ってた
あきちゃんはかっこいい長い道具持ってる官女
かおりちゃんは真ん中でおっとり座ってる
わたしはやかんみたいなの持ってる官女
お酒注ぐ道具らしいけど
あきちゃんが引っ越し
かおりちゃんは入院し
三人で過ごしたひなまつりは
思えば二、三年だったのに
毎年三月は思い出す
わたしたちは人形見るのもすぐ飽きて、
ケーキを食べたらいつも通りあきちゃんの部屋で遊んでた
台所ではお母さんたちがお酒飲んでめちゃめちゃ笑い転げてて
女のまつりなんよ、と言ってたけど
大人になったあともあんなまつりにはまだ会えてない
ひなまつり
男祭りなので、ひな祭り感のない人生です。
ひなまつり
小さな女の子だった頃から、憧れているお雛様
祭り。
お雛様とお内裏様。
なぜ、小さな私は、あんなにときめいていたかと、
いいますと、お雛様が、綺麗なことやお内裏様が、
とても美青年だから、凛々しいと思っていたからかな?
それもありますが。
そう、将来の旦那様にお内裏様は、似ているものなのよ。
と、祖母に教えてもらったから。
ああ、そうなんだ。
と、素直に信じて、憧れていました。
結果は、、、。
気になりますところ。
あながち、外れているというほどでもなく。
素敵な旦那様をありがとうございます。
端午の節句の時は、兜ですものね。
どんな凛々しい若武者か。
ご想像にお任せ致します。
かしこ。
ひなまつり
3月のイベント
テレビにも
のるぐらい
有名なイベント
どっかの
県は、
何段もの
階段に
ひな人形を
飾ってる
みんなは、
飾ったのかな?
「ひなまつり」
着物をきかえて 帯しめて
今日はわたしも はれ姿
春のやよいの このよき日
なによりうれしい ひなまつり
ひなまつり
またこの時期がやってきた
庭には桃の花が咲き乱れ
女の子は楽しそうにこちらを見ている
目を輝かせ心を躍らせ
豪華絢爛なこの飾り達を見ている
奥の方では料理が作られ
お吸い物やら餅やらあられやら寿司やら
彩り豊かな料理が机に用意されていき
女の子ははしゃいでいる
母親がこちらに視線をやり
その目は優しく
何処か儚げで
懐かしみながらこちらを覗く
あの小さかったあの子は
いつしか母親になり
女の子を授かり
その女の子はあの時のあの子の様な面影で
同じように目を輝かせ心を躍らせている
また桃の花が咲き乱れるこの季節で
逢いましょう
あなた達の成長を見守り
健やかに幸せになれるよう願います