『はなればなれ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
転居のために、仲のよいお友だちとはなればなれになった。
なったんだけど、もともと遊ぶのは年に2・3回。SNSでのやり取りもそんなに多くない。でも大好きでわたしは大事な友だちだと思っている。わたしはね。向こうは知らんけど。
そんなお友だちが何人かいて、それぞれ趣味や好みがあうのでイベントやコンサートに誘ったり誘われたり、会う頻度は多くなくてもそれで20年以上楽しくお付き合いができているのだからありがたいなあと思う。
遠方なので移動に時間がかかるようになってしまったのが難点だけれど、今はオンラインで顔を合わせることもできるし、わたしが早起きしてイベントに行くなり、宿をおさえてコンサートに行くなりすればいいだけなので、これからも変わらずに一緒に遊んでくれるといいなあ。
「僕の前から居なくなったら殺しに行く。」
「は?きも。」
普段からこういうこと平気で言う奴だった。
「だって、死ぬって言っても“勝手にしろ”で終わりでしょ?」
「おー。よくわかってんじゃねぇか。勝手にしろ。」
「嫌だ。死ぬときは一緒がいい。」
「俺の意思は?」
「尊重しない。」
「は〜!俺の人権は無視、ってわけですか!」
「そうだよ。ごめんね、二人で永遠になるためなんだ。」
「きっっっしょ!!!」
心底きもいって思ってた。それは今でも揺るがない。倫理観がどうかしてるんだ、あいつは。
「……殺しに来いよ、早く。」
“二人で永遠になる”とか言い出したときは本当に引いた。ドン引きした。
でも、嫌だ、って言葉は口から出なかった。あまりの気持ち悪さに言葉を忘れたわけでもなかったと思う。
あいつと永遠になる、ってことをどこかちゃんと考えていて、真面目に捉えてた自分がいるわけだ。
でもそれも仕方ないと思う。あいつが隣に居ることは当たり前のことで、これから先の長い生涯、それこそ永遠に変わらないのだと確信していたから。
小さな箱に収まった薄灰色の物体じゃ、あいつの存在証明にはとても心許なくて、「こんなことになるなら髪の毛の一本でもとっておけばよかった」と、如何にもあいつが言いそうなことが頭をよぎったときはぞっとした。でも嬉しかった。
まだ、俺の心にはあいつが住み着いてる。染みになって取れやしないのだと。
大丈夫、忘れてない。今もずっと、俺の大部分を担うのはあいつだ。
小さな箱を開けて、薄灰色のそれを指でなぞり、指紋の隙間に入り込んできた粉を、食べた。
自分は本当に頭がおかしくなってしまったのだと思って泣いた。いくら嗚咽をもらしても、背中をさすって一緒に堕ちてくれるあいつはもうどこにも居ないんだとわかってしまった。
ぜんぶ、ぜんぶあいつのせいだ。
あいつに狂わされて満更でもなくてどうしようもなく寂しがってる俺を、笑って見てても揶揄ってても喜んでてもなんでもいいから早く連れ去りに来てほしい。
寂しい。会いたい。声が聞きたい。肌に触れたい。
でも。
「……会いになんていかねぇからな。」
お前が来いよ、俺が好きなら。
そんでとっとと殺してくれ。
【はなればなれ】
お前は俺じゃない方を向くから
俺の方を振り向くように俺が変わった
なんだよ、これじゃ
距離は近くても心なんか離れ離れ
「はなればなれということは、もともとひとつだったということでしょう?」
割り箸然り、チケット然り。
離れたら最後、もう元には戻れない。
例えくっつくことが出来たとしても、それは見せかけなだけで「完全な」形じゃない。
だからぼくら別れを選んだなら、もう二度と同じにはなれないんだよ。
「それでもわたしは信じてる。違うかたちでまたひとつになれるって。だって、」
告白してくれない君を忘れるために
好きって伝えてくれた人と付き合った。
君に「彼氏できたよ」って言ったら
「おめでとう!これでLINEも終わりか」って。
でもその人とは長く続かなかった。
やっぱり彼の大切さを知って
会いたいねって送ったら
また予定言うよって連絡が途絶えた。
はなればなれになって3ヶ月。
昨日、珍しく上がった君のインスタのストーリー。
そこには女の子の後ろ姿、
ラブソングが流れてる。
そっか。幸せそうだね。
君の笑顔が好きだった私からしたら最高に嬉しい。
でもほんのちょっと寂しい。
私は君といて幸せだったよ。
カップルみたいなこともたくさんして、
かわいいって言ってくれて、
ハグしたり頭ポンポンしたり、
遊ばれてだけって言われるけど
それでも私は君が好きだった。
本当に幸せだった。
今度はちゃんと好きだよって伝え合える子と
ちゃんと幸せになって欲しい。
ううん、この私を捨てたんだよ。
幸せにならなきゃ私が怒るからね。
大好きだったよ。
恋愛はタイミング。
でも付き合うとかそういうの無しにしても
恋愛って成立するんだよ。
恋も愛も付き合うって口約束じゃ
説明できないものだから。
近くにいても
心が離れてしまえば
はなればなれ
好き同士
笑顔でいたのに
気が付けば
はなればなれ
些細な1つ
それが膨らんで
大きくなって
はなればなれ……
(2023.11.16/はなればなれ)
白と黒は遠い
彼女は白
僕は黒
彼女は花が好き
僕は土が好き
彼女は読書が好き
僕はサッカーが好き
彼女は僕が好き
僕は彼女が好き
まるで神様が決めたみたいに
僕と彼女は遠い
もし僕が神様になったら
人間は全員灰色にする
つまらない世界かもしれない
それでも彼女といられるなら
僕は灰色になりたい
だから伸びないとかうるさーい
私頑張ってるよ
そんなに強く言わなくてもさ、
他より頑張って勉強してる。
ふざけんな!
最悪!
食べなきゃやってられん!
はなればなれ
知らぬ間に勝手に無理して我慢して
それが当然だと生きてきた
何をやっても割と器用で要領が良かったせいもあり
少しムリするぐらいでようやく自分の存在意義が感じられたと言っても過言ではなかった
ところがある時
いつも出来ていたことさえままならなくなって
ようやく心とカラダが悲鳴を上げた
「〜しなければ」「〜すべき」と独りよがりで自分の気持ちを置いてけぼりにしていたから
心とカラダははなればなれになっていたのだろう
カラダは心が認識するよりも先に早くサインを出してくれていたのに
心に蓋をして目も耳も塞いでいたから
そのサインにはなかなか気付けなかった
いまは自分が「やりたいこと」「感じていること」に目を向け、自分の感情に気付き
出来ないわたしを認め愛おしむ事を知った
人を信頼し、人を頼ることも覚えた
心とカラダの距離はぐっと近くなり
余計な力が抜け少しずつラクに過ごせるようになった
ずいぶんと遠回りで時間はかかったけれど
それもまた必要な事だったねと
笑えるようになって良かった
🍀はなればなれ
もう通えないと思うと辛くて喉が渇く程泣いた。
そんな卒業式から何ヶ月もの時を経て立ち直りつつある今日この頃。たまに学校にお邪魔するのが楽しみです。
「あなたたちまだ居たの?」と言われるまでがセットです。
彼の背中が恋しくて袖裾を掴んで引き止めた。
会う度に私が駄々こねて彼を困らせます。
「この流れ毎回やるね」と言われてしまいました。
今日こそはと思いつつも離れたくないという想いの方が勝ってしまうのです。許して私の駄々に付き合ってください。
「卒業式出たくない……」
友達は教室で呟いた。
窓の外は寒々しい曇り空でより一層寒さが身に染みる。
「まだ来年の話じゃん」
ただいま十一月半ば。まだ十二月が残ってる。そして一月二月もある。指折り数え三ヶ月と半月。
「解ってない。思い出作りはそんな三ヶ月ちょいなんて時間じゃ足りないの」
「そうかな」
三ヶ月もあればそこそこの思い出になる。クリスマスお正月さらにはヴァレンタインのおまけ付き。
「だって、卒業して、はなればなれになっても、思い出があれば寂しくないし……」
年明けしてからあれこれイベント消化にご執心だったのかと納得もした。
「……尚更卒業式でないとね」
「出たらお別れじゃん」
「お別れじゃないよ。また会おうねって約束するの」
ゆっくりと友達がこちらを向いた。
まだ納得はしていないらしくブスくれていた。
はなればなれ
バイバイ。
ダメダメだった今日この日に。
その日はどんどん過去に遠ざかっていく。
はなればなれになっていく。
〜はなればなれ〜
はなればなれ
お前とはなればなれで過ごした時代は何度もあった。数百年会わなかったことだってある。それでもお前を失ったと思ったことはそう多くない。ああ、勿体ぶるのは止そう、今回で二度目だ。
最近の俺たちはあまりに近づき過ぎていた。出会ってからの時間を思えば、あまりにも急な変化だった。人間の愛に下手に関与しようとしたせいで影響を受けたなら、我ながら情けない。しかしそれは否定できないだろう。
俺は俺が何者かなんて本当はどうでも良い。ただお前の横で日々をやり過ごせれば他に何もいらなかった。これほど長くそばに居て、お前がそのことを知らなかったなんてどうして思える?
分かっている。俺が言葉にしてこなかっただけだ。お前は遠くに行ってしまった。未練の一つもなく、あるべき正しい行いとして。
俺はお前の許しなんかいらない。お前が俺の思いに何かを返してくれるなら、それが怒りでも欲望でも構わなかったのに。
幸せな時間って長く続かないもの。
痛いほどわかってたのに。
ずっと一緒にいられるわけじゃないって。
しってたのに。
何故か勘違いしちゃうんだ。
あなたがくれた幸せの時間は、
これ以上増えないけど。
この幸せは忘れないからね。
この女、どうしてくれようか。
長年の恨みを込めた目で、横たわる女性を睨む。
この女は、僕の母親だ。
といっても、母親らしいことは小さい頃に少ししてもらったぐらいだ。
僕は小学生の時から児童養護施設で過ごした。3つ年の離れた弟も同じ施設だったが、別々の建物で暮らしていた。
父は仕事人間で、ほとんど家にいなかったが、時々遊びに連れていってくれたことはよく覚えている。
鉄道好きの僕と弟、鉄道に詳しい父。
父との思い出は楽しいことばかりで、僕は父のことが大好きで尊敬していた。
母は父がいる時だけは機嫌が良かったので、きっと父のことが好きだったんだろう。
弟に内緒で、僕の好きな新幹線、はやぶさを父と見に行ったことがある。
その話をこっそり母にしたら、次の日、僕にはやぶさのおもちゃを買ってくれた。とても嬉しくて、その日は眠れなかった。
次、父に会ったときに、母に買ってもらったおもちゃを見せよう。布団の中でそう思った。
しかし、その思いは叶わなかった。
母が、父を刺したのだと、警察に聞かされた。
大きくなった今、ようやくまともに理解できたことだが、父には別に妻がいて、母は愛人、僕たち兄弟は婚外子だったようだ。
痴情のもつれ、それで母は父を刺したのだとか。
父は生きていたらしい。
しかし、僕たちは父と関わることはできなかった。父の妻がそれを許さなかったからだ。
母は懲役5年の刑期だった。
釈放されて数年、僕たちを迎えに来ることはなかった。
それが、僕が15歳になる時に突然迎えにきた。「一緒に暮らそう」と。
きっと、僕が働ける年齢になったからだろう。その証拠に、弟も15になったら迎えにいく、と言っていた。
僕は、弟と暮らしたかった。弟と父の話をしたい。弟と、父を訪ねてみたい。3年…きっと我慢してみせる。
そして今年が、弟が15歳になる年。
母に、いつ弟を迎えにいくのか聞いたら、
「このまま、二人で暮らそう。違う土地にでも行こうか」
母は笑顔でそう答えた。
僕の頭の中でプチッと、音がした。
弟を見捨てるつもり?
父と僕を引き離して、たった一人の兄弟とも引き離す?
母が父を刺していなければ、父とも弟とも離れることはなかったのに!
気付くと、母が横たわっていた。
テーブルで頭をぶつけたのだろう。
意識はないようだ。
僕がそうさせたのだろうか。
鼓動が早くなり、手が震えているのがわかった。
そのくせ頭は妙に冷静だった。
ちょうどいいから、このまま復讐をしよう。
家族をバラバラにしたのだ。
この女の手と脚を、バラバラにしてしまおう。
脱力した女をお風呂場に運びこんだあと、僕は四肢を切断できる刃物を探すために出掛けた。
近くのホームセンターに到着する。
青みがかった緑のホームセンターの看板が目に飛び込む。
その色は、僕の好きだったはやぶさを思い出させた。
父との思い出とともに、母におもちゃを買ってもらったこと思い出す。
あぁ、あの頃は幸せだったな…。
母は息をしていなかったから、もうダメかもしれない。
胸がキュッと締め付けられた。
怒り、喜び、幸福感、罪悪感…ぐちゃぐちゃになった感情が入り交じり、溢れ、涙がにじんだ。
看板の緑色が僕の視界いっぱいに広がった。
# はなればなれ
「ばいばい。」
君がこの言葉を使う時は、僕の前からいなくなる時。
通学路の別れ道で、偶然会った外出先で、はたまた電話の切り際で。
君の口がその四文字を紡げば、君と僕の距離は遠くなる。
それでもいつも、「ばいばい」の次には「またね」があった。
そうすれば、君はまた僕の前に現れる。
「ばいばい」は、僕に次の機会を与えてくれる呪文でもあった。
けれどもう、「またね」はない。
思えばいつも、「ばいばい」と言うのは君からだった。
僕は君と過ごす時間が過ぎ去ってしまうのが惜しくて、言い出せないでいた。
君は困ったように眉を下げて、鈴の転がるような声で、僕に別れを告げた。
僕は、また次があるからと、安心してそれを聞いていた。
「ばいばい」は、一時の別れでしかなかったから。
今度は僕から、言わなければならない。
君はもう二度と、僕に次を与えてはくれない。
その口で別れの言葉を紡ぐこともできない。
だから、僕から君に、最上の別れの言葉を贈ろう。
「……ばいばい。」
白い棺の中、花に埋もれて眠る君へ。
永遠の別れを、四文字の呪文で。
[はなればなれ]
はなればなれ。
はなればなれでも
大丈夫。
私が
逢いたい人に
逢いに行くから。
明日は行けないけど
頑張るね。
ずっと傍に居ると思ってた
気が付いたらひょっこり帰ってきてるんじゃないかって何度も思った
まるでそこに初めから居たかのように笑ってくれると思ってた
いつも通りの眩しい笑顔を振り撒いてカラカラと笑って…
そんな日常が壊れないと思ってた
ずっと傍に居なきゃって思ってた
守らなきゃって、大切にしなきゃって思ってた
でも離してしまった
少し考えれば分かるはずの事が分からなかった
この手を離したらもう一緒には居れないって
なんで離してしまったのか分からない
分からないからこそ今でも後悔しているの
お題:はなればなれ
作者:M氏
出演:🎗💜
【あとがき】
お互いに向けて書いてると見せかけて書いてないやつですね
めっちゃ眠いですこの時間
文字が書けない
書く習慣なのに…
失ってから初めて気づくこともある。どれほどその存在がありがたかったか、どれほど大切だったか。
後悔しても遅い。ぞんざいに扱い、蔑ろにしたほうが悪いのだ。失くしたものの大きさを実感し、ただ床に伏すだけだ。
ああ、お願いだ。帰ってきてくれ。もう適当にしたりしない。はなればなれはいやだ。
僕は片方だけ残った靴下を見ながら、そんなことを思った。我ながら無の表情ではないかと自覚している。
本当に、どこに行ってしまったのか。海外に行ったときにノリで買った派手な靴下は、やたら存在感をアピールして片方だけ目の前にある。
なぜよりによってこれなのか。無地の靴下だって持っているのに、片方が行方不明になったのは、そのへんにある地味な靴下では合わせられないほどのド派手さだった。
──お前も、ひとりぼっちか。
僕はちょっと笑った。昨日、三年付き合っていた彼女に振られた身としては、なかなか皮肉な話だった。
お前も僕も、相方と、はなればなれだな。
僕は片方残った派手な靴下を掴み、ゴミ箱に投げ入れた。
こうすれば、忘れられるだろう。不都合なものは捨ててしまえばいい。たとえば、どれとも合わせられない靴下とか、不甲斐ない自分とか、未練たらたらで情けない自分とか、「あなたと付き合っていても将来が不安」とか言う薄情な彼女とか。
膝を抱えて顔を埋める。心にぽっかりとあいた穴は、なかなか塞がりそうになかった。
はなればなれになる前に
たくさん君と話したかった……
僕と一緒にいてくれてありがとうって。
たくさん伝えたかった。
言いたかったけど君は先にいってしまった。
はなればなれになる前に……
戻りたいな……
僕が泣き虫から卒業するまで……
時間が戻ればいいのに……