ところにより雨』の作文集

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ところにより雨』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

3/24/2024, 3:59:56 PM

今日の天気予報ではところにより雨だって。
僕の心の中はずっとずっと雨が降っているよ
うだ。降り止まない雨が今日も鬱陶しい。

いつからだろう。
僕の心が雨模様になったのは。
あれは、きっと世界一大切な大好きな君が消えた時だった。
でも、確かに君はふらっと消えて居なくなりそうだった。
僕がきちんと見ていなかったからだろうか。それともそれ以前に消えたがっていたのか。

それは誰にもわからない事。

君の笑顔が見れないなら生きている理由も無いな。なんてことを考えながら小雨が降ってる灰色の空を眺めながら堤防に立っている。
きっと君は僕が死ぬことを望んでいないのだろう。
僕の自分勝手な行動だ。
それでも僕は君の太陽のように力強く真っ直ぐで美しい瞳を向日葵のように光り輝く笑顔を。もう一度見たい。
だから僕は海に飛び込む。
これが走馬灯と言うやつかは分からないが君との思い出一つ一つが鮮明に溢れ出てくる。
肺に水が入って苦しい。でも君はこれ以上に苦しかったのだろう。気づいてあげれなくてごめん。助けれなくてごめん。
僕は君のいる天国に行けるかは分からないけど君の隣でまた笑いたい。

だからこれからもずっと一緒に居てね。

3/24/2024, 3:58:59 PM

ところにより晴れで ところにより雨で
ある日は命が生まれ ある日は命が消える
なんといっても無意味で新鮮で
これで良いんだなと思う
ある人は幸せで ある人は不幸で
あの人は幸せで 私は不幸で
きっと私の心を忘れて 優雅に楽しむ
人に優しい生き方って 自分には優しい?
人に見返りを求めてはいけないと言うけれど
それが正しいの
実際返ってくるの?
誰かが見てる いつか良い日が来る?
そんなの死ぬほど待ってるよ
優しさにまして、虚しさが生まれてくる
周りをみれば結局は一人だって
おしとやかでただ佇む 貴婦人見たいな人形
おとなしくて便利で使い勝手の良い人
ある人は諦めて ある人は幸せそうで
彼女は幸せそうに笑ってて
彼女は晴れで
私だけ
ところにより雨で

3/24/2024, 3:58:57 PM

私が東京で初めて仕事をしたのは後楽園の近く、茗荷谷というところだった。

会社の近くには大きな公園があり、その裏手は林になっていて、樹齢何百年にもなりそうな、神木みたいな立派な大樹が何本か生えていた。

その木に逢いたくて、昼休みには必ず公園へ行ったものだ。(記憶では、その林は小石川植物園が管理していたと思う)

もちろん、昼休みには私だけでなく、近隣の職場から沢山の人が憩いに来ていたが、その中に、

子供と遊ぶ、鈴木ヒロミツさんの姿も見られた。(たぶん、私が東京で出会った初めての芸能人である)

ある程度の年齢の方でないと、若い人ではご存知の方は少ないかも知れない、

日本のロック歌手、鈴木ヒロミツ。

2007年、60歳で亡くなってしまった。一世を風靡し、後年は役者として活躍していた。


「好きになったよ、女の子、

それが言えない、僕なんだ~」

↑こんな歌詞の曲があったそうだ。吉田拓郎が広島時代に歌っていたという。

1972年、拓郎のその曲を、

俺たちに合うようにと、強引に歌詞を書き換えさせたのが、鈴木ヒロミツ。

丸顔で優しそうな顔しているが、本当はとても怖い人だったようで、拓郎も怖くて断れなかったらしい(怖いけど、人懐こい奴だそうだ)。

でも、それで産まれたのが、この名曲だ。


『たどり着いたらいつも雨降り』

作詞・作曲 吉田拓郎

•*¨*•.¸¸♬︎

疲れ果てて、いることは、

誰にも隠せは、しないだろう、

〈中略〉

たどり着いたら、いつも雨降り、

そんなことの、繰り返し、

やっと、これでオイラの旅も、

終わったのかと、思ったら、

いつものとこではあるけれど、

あー、ここもやっばり、

どしゃぶりさ!!


是非、YouTubeで聴いてみてください。

3/24/2024, 3:52:29 PM

ところにより雨

私の行きたい場所は、雨が降るのか降らないのか、
降ると思って傘を持って行くと、雨は降らない。
降らないと思って傘を持って行かないと、雨は降る。
大抵こんなものだ。

3/24/2024, 3:46:50 PM

久しぶりに開いた。ちょうど天気の子を観たあとで、今にぴったり。新海誠の作品はどれも傑作。帆高と陽菜みたいに、何かを犠牲にしても守りたいと思えるような恋愛をしてみたいなあ、と思った。

#6ところにより雨

3/24/2024, 3:32:48 PM

ところにより雨

「関東は午後からところにより雨が降るでしょう、傘を忘れずにおでかけください」
テレビから流れてくるお天気予報士の声をBGMに、朝食の豆乳を飲み終えた。
「昨日は大阪が雨だったか。彼、家に帰る時大丈夫だったかな」
遠距離で付き合っている恋人のことを思い出した。
毎晩LINEや電話をするけれど、直接会えないのはやはり少し寂しい。
それでも、雨雲を通じて彼の住む街と私の住む街は繋がっているんだって思うと雨も悪くないと思えた。

「今日の電話は、天気から気づきを見つけた話しようかな」
笑われちゃうかな?と考えつつ、彼との電話を楽しみに仕事に行く準備をした。

3/24/2024, 3:30:14 PM

やっと着ていく服が決まったのに。
今日という日を楽しみにがんばってきたのに。

たかが傘一本だけどさ、
あるとないとじゃ心の重さが全然違うよ。

重さを受け入れる?
雨に濡れるのを覚悟する?
傘も役に立たない雨だったら?
もしかしたら降らないかも?

気付いてしまったがために、結論が出せない。


ところにより雨。

3/24/2024, 3:29:33 PM

「ところにより雨」という言葉は、よく天気予報で耳にする。これは雨に限らず他の天気も該当していて、必ずしも予報範囲全体に及びはしないが、1部の範囲において影響が出る可能性が高いということだ。こう考えるとなんとも不確かで不明瞭な言葉である。
私はこの言葉は「人の人生を表現している」と思った。天気予報もそうであるように、そもそも未来という不確かな先のことを完璧に予測するというのは到底無理な話である。人生は何が起きるか分からず、どれだけ今この時この瞬間に先のことを考えて、時に悩み時に希望を持っていたとしても、人生にはまさかのことが起こる。天気予報が降水確率0%(厳密には0~9)の晴れであったの大雨になる時があるように、人の人生というものは全く先が分からないのだ。人生はところにより雨で、ところにより晴れで、ところにより曇りだからこそ美しさが芽生えるのだ。だから私は、そんな何が起こるか分からない未来を楽しみに今を大切に生きたいと、そう思った。そして、今を生きる全ての人が今日も幸せであって欲しいと心の中で祈っている。

3/24/2024, 3:29:20 PM

ところにより雨。(九日目)

今日は思い付かないので…すみません…😭

3/24/2024, 3:27:39 PM

『ところにより雨』

はなれて暮らして三ヶ月になる。
電話は毎日するし、なるべく会いに行く。
だけど、ふとした時に、思うのだ。
そばにいてくれたらなあって。

天気予報を二ヶ所気にする癖がついた。

明日は曇り。ところにより雨。

あの街は、降らないといいなと思う。

二年が経ったら迎えに行って、一緒に住もうと持ちかけるつもり。
もしも雨でも一緒なら、きっと楽しいからさ。

3/24/2024, 3:27:04 PM

ところにより雨

 雨が好きな私と
 雨が嫌いなあなたとで
 雨の中、歩いてみようと思った。
 煙立ち上るその先に、一定の目安が現れたら
 そこがまさに、私たちの場所
 
 変な天気予報。ところにより雨。
 まだまだ歩いてみようと思う。

3/24/2024, 3:23:21 PM

誰にも会いたくないなーって
何も予定がない時にそういう気分になる


天気が悪いとか
嫌なことがあったからとかでもない

ただ何となく


曇りでも晴れでも
これはところにより雨


[ところにより雨]

3/24/2024, 3:21:52 PM

きょうも無事つらい
順調だと思ってたのに急にきたよ波が
毎日つらいの報告ぢゃんこんなの
はやく春終われ
春とかいう 悠々とひとを
桜の下に埋める死の季節
きょうは中学のころの友人のこと考えたら
無事こころが鬱になりました
ここまで頭がおかしいと
逆におもろくなってくるよ
はやく車買わせてくれ
精神科にブーンさせてくれ

3/24/2024, 3:20:40 PM

ここの所、私の心は灰色の曇り空。
自分のやりたい仕事なのかも、わからなくなった仕事に1日の大半を捧げる。
 PMSで精神的にも肉体的にも、ダメージが大きいこの期間。

それにしても、人間関係でのストレスが溜まる。

嫌味っぽい人の口調が、いつもより小煩く聞こえる。
言ってることがコロコロ変わる上司は、平然と無茶苦茶言って正論だと押し通す。

周囲にいる人間全てに神経を張り巡らせているような感覚。気持ち悪いくらい、視覚と聴覚を刺激してくる。

行き場のない怒りと靄のように頭を覆う不安。
大雨に打たれて、洗い流したい気分だ。

3/24/2024, 3:19:11 PM

「ところにより雨」

雨が降る

本を読む

ちょっと休憩

また歩きだす

3/24/2024, 3:16:13 PM

雨が降っていると以前はなんとなく気分が落ち込んだ。
空は暗くてそれに心がつられてしまう。青く澄んでいる方が良い。そう思っていた。
でもいつからか、雨の音が心地よいことに気づいた。その音に耳を傾けてみると、自然と心が落ち着く。
どうしてだろう、と考えてみる。雨は地面に落ちて、やがて蒸発して雲になり、また雨として乾いた大地を潤す。そうやって循環している。私たちと少し似ている気がした。
この世に産まれ、やがて死んでいく。私たちが死んだあともまた新たな命が生まれていく。その間、人の数だけ違った人生がある。でも広い宇宙から見ればそれは雨粒のようなものにすぎない。一粒ずつゆっくりと見る暇もなくまばたきの間に消えていく。
大きな自然の中で雨と同じように私たちも循環している。そして元を辿ればきっと一つのものなのだ。だからその雨音を聞くと安心できる。
天気予報が今日はところにより雨、と伝えていた。もし私のもとで雨が降ったら、その音を聞いていたい。



”ところにより雨”

3/24/2024, 3:11:25 PM

ところにより雨。

大好きな彼を思うと幸せな気持ちになる。
けれど、時折無性にさみしくなって……彼は私の太陽だけど、モヤモヤの雲に隠れてしまうと不安の雨が降る。

3/24/2024, 3:10:37 PM

人にはなぜ感情があるの?
なぜ人は泣くの?
なぜ人は笑うの?
なぜ人は恋をするの?
なぜ息をしない物に愛着が湧くの?

3/24/2024, 3:07:54 PM

相合傘って、肩が濡れている方が惚れているらしい。
 何年か前のSNSで知った話だ。相手のことを濡らしたくないって思いで傘を傾けるからだそうだ。
 雨が降り出すと、やったこともない相合傘に思いを馳せた。

 午後から雨予報だった今日は、五時間目の最中に降り出した。さっきまでは眩しいくらいに快晴だったのに。お昼休み頃から雲行きが怪しくなった。
 私は六時間目の授業が始まる前にスマホを取り出した。天気予報のアプリを開くと、現在地の情報が入ってる。夕方五時に雨は止むそうだ。
 窓の外でしとしと降る雨を見上げた。どんよりとした曇り空を見て、本当に止むのだろうかと思ってしまった。
 傘は持ってきている。青い水玉柄の折り畳み傘でお気に入りだ。でも少し小さめで腕や足元が濡れてしまうのが難点だった。可愛いしお気に入りだけど、制服が濡れちゃうのは嫌だ。
 だから放課後、教室に残って勉強しながら雨が止むのを待とうと考えたのだ。

 SHRを終えて清掃班ではない部活組が駆け足で教室を出た。清掃班は週替わりで回ってきて、今週は私のいる班だった。出席番号順に振り分けられているから、席替えしてもメンバーは変わらない。
 机と椅子を動かしながら埃を掃いていく。早く終わらせたいという部活組からの圧が強いので、終始無言だ。三十人程度の教室は、たった五人の生徒であっという間に綺麗になった。
 教室掃除は床の掃き掃除しか言われていない。一応机の上を雑巾で拭いているけど、五人分の箒がなくて、手持ち無沙汰の私が何となく罪滅ぼしでやっているだけだ。それもあっという間に終わってしまった。
 水洗い場で雑巾を洗って教室に戻ると、ちょうどゴミ捨てする人を決めているところだった。皆真剣にジャンケンに挑んでいるけど、あいこが続いているようだ。
「ゴミ捨て、私行くよ」
 私は手を挙げて大きく声を出した。ジャンケンをしていた四人が一斉にこちらを向く。四人のうち、松本さんが口をすぼめながら話し始めた。
「そう言って昨日も一昨日も三波さんが行ってた」
「私部活ないし、他にやることないし。全然気にしないけど」
「私たちは気にするの!」
 松本さんの言葉に各々頷いていた。私は肩をすくめた。部活に入ってないし、バイトも先月で辞めてしまったから放課後暇なのは本当である。でも四人は、特に言い出しっぺっぽい松本さんは納得しないのだろう。
「じゃあゴミ箱二つあるから、一つは私。あとの一つを誰か手伝ってくれる?」
「えー! しょうがないからそれで妥協してあげる」
 松本さんは不満そうな声を上げたが、今日のところは納得してくれたようだ。
 ゴミ捨て場は校庭からも校舎からも体育館からも離れた場所にあるから、部活組は大抵面倒臭がる。去年のクラスは正にそうだった。私はバイトの日だけ時間に追われていたから逃してもらえた。けど基本部活に入っていない子が班とか当番とか関係なく手伝っていた。
 今年のクラスは責任感の強い子が揃っている。部活も行きたいけど掃除も大事。面倒臭いことも決まりだからやる。去年のクラスメイトに見習ってほしいくらいだ。
 果たしてジャンケンの勝敗はついた。唯一パーで負けてしまった武藤くんとゴミ箱を持って教室を出た。松本さんを含む他のメンバーは部活へ向かった。「明日は二人免除だから!」という声には曖昧に笑って誤魔化した。
 こうして武藤くんと並んで歩くと、少し緊張してしまう。武藤くんとは去年も同じクラスだった。長い前髪で顔半分くらい隠れていて、常に俯いている印象だった。特別何か会話があったわけでもなく、ただのクラスメイトに過ぎなかった。
 そんな武藤くんに最近何か心境の変化でもあったのだろう。ある日突然前髪が短くなった。さっぱりと整った髪型は、武藤くんの可愛らしい顔立ちをより引き立てていた。アイドル顔負けのイケメンで私はビックリした。これはすぐにモテるだろうなって思った。何なら今、隣を歩いていてドキドキしてしまう理由もここにあると思う。
「あ、雨だった」
「あ、傘」
 昇降口に着いて傘を持っていないことに気がついた。私は教室に戻れば折り畳み傘があるけれど、今から戻るのも時間がかかってしまう。
 濡れないように靴を履き替えてゴミ箱を持った。武藤くんも同じ考えなのか、黒に白と赤のラインが入ったスニーカーに履き替えていた。
「いく?」
「いける?」
 お互いに空を睨みつけながら言葉を交わした。雨は小雨よりも霧雨に近いほど、細かく降っている。傘を差すか迷うくらいの雨だ。
 私たちは何の掛け声もなく、でも同時に走り出した。走るとより冷たい雨を感じる。
 ほんの数秒、息が上がる前にゴミ捨て場に着いた。屋根がついているところまで駆け込んだ。髪の毛が思ったより湿ってしまったかもしれない。でももしかしたらすぐ雨足が強くなるかもしれないからゆっくりはしていられない。
 ゴミ箱を空にしたら、そそくさとその場を離れた。行きと同じく駆け足だ。後ろから武藤くんも着いてきている。行きより早く、昇降口に着いた。短距離とはいえ全力疾走したためか、私は肩で息をしていた。
「あー! 疲れた!」
 思わず声を上げた私に、武藤くんはビクッと体を震わせた。驚かせてしまったようだ。謝ったら少し笑われてしまった。笑った顔を初めて見たからドギマギしてしまったのは内緒だ。
 靴を履き替え、教室へ向かった。武藤くんは息が上がっていないようだ。平然と階段を登って私の先にいる。私もなんとか登りきって、武藤くんの後を駆け足で追った。
 教室に戻ると、一人だけポツンと残っている人がいた。
 坂本さんが、机の上に鞄を置いてスマホを見ていた。バタバタ入ってきた私たちに気がついて顔を上げた。私は何となく目を逸らしてしまった。
 坂本さんは少し苦手だ。勉強も運動もできて、私のような暗くて大人しい人間にも明るく声をかけてくれる。優しくて良い人なんだけど、私の周りにはいない人柄だからどう接していいか分からないのだ。
「掃除お疲れ様」
 坂本さんは案の定、私に声を掛けてくれた。それに対して頷くので精一杯だった。でも坂本さんが気を悪くした様子はない。
 何か話題を振った方がいいのだろうか。そんなトーク力私にはない。どんなことなら聞いてもいいかなんて匙加減がわからない。
 私の思考とは別に、勝手に口が動いていた。
「どうして残ってるの?」
 発言した後、やってしまったと思った。さすがに言い方がキツいような気がする。
 坂本さんは怒るでもなく、スマホで口元を覆いながら首を傾げた。
「ちょっとやることあって、その後スマホいじってたら遅くなっちゃったんだよね」
 でもそろそろ帰るよ、と坂本さんは鞄を肩に背負った。手には折り畳みの傘がある。ピンク色に白のリボン柄がプリントされているソレは、女の子らしい坂本さんにピッタリだった。
「三波さんは?」
「私は、傘忘れちゃったから少し教室で待とうかなって。夕方には止むらしいし」
「そっか、じゃあ帰る時は気をつけてね」
 バイバイ、と手を振る坂本さんに私も振り返した。坂本さんが教室を出て、どっと疲れが出た。私、ちゃんと話せていただろうか。日本語でやりとりできただろうか。変な子だと思われなかっただろうか。ヒヤヒヤしながら私の席に着いた。座ってやっと一息つけた。
 そういえばいつの間にか武藤くんがいなくなっていた。教室を見渡しても、私一人しかいない。さっきまで青春の一ページっぽいことを一緒にしたのに。でも武藤くんらしいとも思った。距離を縮めるには先は長そう。
 勉強なんてする気が起きなくて、頬杖をつきながら窓の外を見た。教室の窓からは校庭と、その奥にある校門が見える。傘を差して下校する生徒たちを眺めていたら、とある二人組が目に留まった。
 一本の透明なビニール傘に入る男女二人組。どこにでもいるカップル。雨に濡れてよく見えないが、女の子の後ろ姿が坂本さんにそっくりだった。手に持っているピンク色の折り畳み傘も似ているから、多分間違いない。
 坂本さん、付き合っている人いたんだ。
 クラスメイトの意外な一面を目の当たりにしたようで、少し戸惑った。でも同時に納得した。坂本さんのような女の子ならすぐに彼氏ができそうだからだ。
 隣に並んで歩く男子は誰だろうか。目を凝らしていると、不意に二人が向き合った。変わらずビニール傘は水滴で曇って見にくいけれど、その横顔にあっと声を漏らした。
 武藤くんだ。さっきゴミ捨てに行った時と同じ靴を履いている。
 さっきまで武藤くんに対してドキドキしていたはずの心がスッと冷えた。なんだ、二人で付き合っていたのか。明るい坂本さんと引っ込み思案の武藤くん。なんだかチグハグな組み合わせに思える。
 改めて二人の姿を捉えた。そこでようやく傘が坂本さん側に傾いていることに気がついた。武藤くんの肩から鞄が少し濡れてしまっているが、気にしてない様子だった。歩くペースを坂本さんに合わせたり、水たまりを避けるために腕を引いたり。武藤くんは、坂本さんをよく見ていた。
 どっからどう見てもお似合いだった。

「何もなかった」
 一人ぽつりと呟いた言葉は、教室に溶けていった。
 何もなかった。ときめいたことも、浮ついた心も。恋未満だったこの気持ちは、最初から存在しなかった。そう言い聞かせるしかなかった。
 どんよりした曇り空を見上げた。ところどころ光が差し込んできている。もうすぐ雨は止むらしい。私は見ないふりをして、机にうつ伏せた。止んでもすぐには下校できそうになかった。



『ところにより雨』

3/24/2024, 3:07:54 PM

私は「ところにより雨」という天気予報がキライだ。雨よりも雪よりも雷よりもキライ。「ところにより雨」って、語尾に知らんけどとでも続きそうな突き放した言い方。行けたら行くねと同レベルの信憑性のなさ。個人の意見を尋ねたのに一般的にはという枕詞付きで回答してくる輩が好みそうな天気。だいたい、いつも世界のどこかでは雨が降っているのだから、地球天気予報があったとすれば毎日ところにより雨だ。いっそのこと外れてもいいからこことここの地域が雨だと思いますと予報していただきたい。
 そんなこんなで運悪く本日その「ところ」にぶち当たってしまった私は、楽しみにしていた文化祭を台無しにされて心底お怒りなのである。もう激おこ。ぷんぷん丸。いや激おこスティ……ック?ファイナルファンタジー……?ぷんぷんドリームだ。
 予定では今頃、二組の片岡くんと模擬店を回って、そうばったり会って何かしらの奇跡で一緒に回ることになって、デートみたいな気分でベビーカステラを分け合っていたかもしれなかったのに。雨のせいで屋外の催し物は全て中止。ステージも模擬店もナシ。そして友達が居ない私の予定もナシ。
 唯一屋台も展示もない三階の一番端の教室で、私は窓際最後列の席に座って頬杖をついた。三階の一年生は一クラス少ない編成のため、ここは空き教室になっている。青々と芝生が広がるだけの空っぽな校庭を眺めて、ふうとため息をつく。突っ伏してふて寝でもしてやろうかと思ったその時、突然がらりと教室の前方の扉が開いた。
「ひゃっ」
「おわっ」
 こう表しても誇張気味であるくらいの地味な悲鳴が二人分上がって、私は視線を扉に向けた。
 そこに居たのは、他でもない片岡くんだった。どくん、と大きく心臓が脈打って、私の体温が上がっていく。
 ああ神様仏様天気予報様、ディスってしまい申し訳ありませんでした。雨よ、私のところに来てくれてありがとう。しかも、模擬店で回っている最中に声をかけるという難関ミッションの予定から打って変わって、二人しかいない教室で出くわすというむしろ話しかけない方が不自然なシチュエーション。恵みの雨とはまさにこのことだ。雨ところにより片岡くん。そしてところにより青春。
 またとない幸運に感謝しながら、私はめいいっぱいの勇気を振り絞って口を開いた。

『ところにより雨』

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