『この場所で』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
この場所で
街全体を見渡せるこの場所。
ここなら、いくら振り払ってもまとわりついてくる紙とサヨナラできるかもしれない。
早速、落ちてみた。
爪先から脳天まで貫く風は、私から無理矢理に紙を引き剥がして置いてけぼりにしていった。身が軽くなり、悟りを得たような気分を感じた。
そこで捉えた景色は、轟々とうなりながら猛スピードで迫ってくるようだった。
直ぐ、私の身に迫り来る運命を感じて息を呑む。
お終い―――
眠る『私』の身体は、間もなく落ちてきた紙に覆い尽くされた。
この場所で
「わたくしは、この場所で待っているのです。」
女は私と目を合わせないまま、そう言った。
「彼はあの時、死ぬはずのない人間だった。」
女の体が透けていることなどどうでもよかった。
「その辺りだけ、土がむき出しになっているでしょう。」
女は地面に視線を落とし、人差し指を向けた。
「彼の魂はきっとまだそこにいるのでしょう。生きているときと一緒。彼はしつこい人よ。」
ふっと、笑ったように見えた。
女は木となり花となり、男の帰りを待ち続けるだろう。
今日、絶対ここで終わらす
って思っても
ここで飛び降りたら、迷惑になるし、
見られたら困るし、
そんな事ばっか考えて
結局、今日も、毎日、あっちに行けなくて
もう、、どうしたら....消えれるの、?
どこで消えれるの?
辛いから早くここから抜け出したいの.....
教えてよ、
この場所で
『この場所で』
この地で生きていくことを嫌っていた私だが、心の寄り処としてたどり着いたのは生まれ育ったこの街だった。この場所で生まれ、智を磨き、恋を知った。この場所で、この先も『my soulー私の魂』を燃やしつづけていくだろう‥
「もしもさ、」
『うん?』
「僕たち...こうやって同じように生まれ変われたら」
『うん』
「またこの場所で...会えると良いね!」
『!?』
『...』
『それが叶うならば、だね!』
荷造りが終わり、がらんとした部屋に寝転ぶ。
思えばここに引っ越してきた日も、こうして何もない床で寝転がったっけ。
大学から徒歩15分の、静かな6畳のワンルーム。ちっぽけな部屋だけど、実家を出て一人暮らしを始めた私にとっては初めて手に入れた自分だけの城で。
初めて自分でご飯を炊いた日。炊飯器の蓋を開けた時の喜び。あの感動が忘れられず半年ぐらい料理にハマり、最終的にクックパッドでご飯からアイスクリームを作るレシピを見つけて試したら大失敗して、その後一週間くらい料理をやめたこと。
キッチン用のでかいゴミ箱を隣町のホームセンターへ買いに行き、買ったはいいもののどう持って帰ればいいか分からず担ぎ上げて電車に乗ったこと。
アパートの廊下に見事な蜘蛛の巣が張られ、朝露できらきらしたそれが美しくて壊すことができず、しゃがんで通り抜けたこと。
ここから出ていくんだなあ。
掃き出し窓の外の木が、風にそよいでいる。
この木ともお別れだ。
次はどんな子がここに住むんだろう。
【お題:この場所で】
この場所で
長い坂をただひたすらに登っていく。空は青々と澄み渡り、真っ白な雲が良く映えていた。アスファルトには焼き付いたみたいに黒い影がある。太陽が強く光り輝いて、私の体はじわりじわりと汗をにじませていく。
坂をようやく登り終え、買っておいたペットボトルの蓋を開けて一気に中身を飲み干す。視界に広がるのは空とその色を映し出す海と私の住む町。一目惚れして移住を決めたくらい大好きな景色。
――自分が生きていきたいと思える場所に出会えるとは、私はなんて幸運なんだろうか。
そんな事を考えながら、リュックに入れておいたスケッチブックと色鉛筆を取り出し、木陰の中でこの景色を残していく作業に入った。
日々家
〖この場所で〗
暖かな光が降り注いでいる。
足元には、柔らかな芝生と、まだ濡れている傘。
向こうに目を凝らせば、どこか懐かしい風景がぼんやりと浮かぶ。
反対側にも目を向けるが、なかなかピントが合わない。
しかし、なんだか楽しそうだ。
ふと、花びらが舞った。
そちらを向けば、ぼんやりとしていたものがひとつ、見えるようになった。
瞬く間に通り過ぎて、懐かしい風景に同化していく。
風が頬をなで、好きな香りがひとつ増える。
僕は、この場所で立ち続けている。
この場所で
君との物語はここで始まり
そして僕の腕の中で終わるんだ
君が帰る場所はこの場所であって欲しい
この場所で(2月11日)
大好きだった君へ
気持ちを伝えられなかったこと
本当に後悔してる
転校していった君に
会えるかなって 会いたいなって
いつか戻ってきてくれないかなって
叶うはずのない願いを ずっと願っている
でも諦めるのも違う気がする
だからずっと願い続ける
いつか会えるといいな
この場所で君に''大好き''と伝えるために
⬇僕の気持ち
「この場所に出会って」
この場所で僕は何を書くか考える
みんなも何を書くか考えてるんだろうな
そんなことを思いながら
最近はじめた僕は
どんなことを書けばいいのかなって
変に思われないといいなって
そんなことを考えながら文字を打つ
文を書くことが好きな僕は
誰かにこの文を読んで欲しくて
文を読むことが好きな僕は
誰かの文を読みたくて
毎日 この場所で僕は新しいことを考える
この場所で僕は新たに楽しみが出来た
この場所に出会えてよかった
じーじーじー
そういえば、すみれん家ももうニンゲン植えたらしいぜ
マァジ!みんなやんの早すぎねえ!?
オレらの学校ではニンゲンの観察日記が課題として出された。最近、ニンゲンの種が育てると便利!と話題になっていて、学校の宿題はその延長線のようなものだ。
いや、お前普通だろ。育てんのには相当時間かかるぞ。バラの野郎は年少まで育ったって。
はあ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!?はええって!
育てるといっても役立つようにするには、それなりに金も時間もかけなければならない。
あーあどっかに落ちてねえかなあ。頭良くて、運動できて、なんでも出来る、従順な植木鉢。
お前が主人になるニンゲンは気の毒だな。
うるせえ三葉。オレのはなあ、都会に出ても図太く生きてく根性あるやつに育てんだよ。
何言ってんだタンポポ。ハッ確かにお前、コンクリに生えたりするもんなあ。
笑いながらオレを叩く三葉にイラッとしながら、ニンゲンの種を選んでいく。
バラだったらきっと優秀なニンゲンになるんだろう。丁寧に手間暇かけてそうだし。でもオレにはバラのような財力もないし、気品もないから、とりあえずヒトとして腐らせないように、を目標にする。
ニートだけは避けてえな...。
マジでお前のニンゲンにはなりたくねえ。
オレと共にするニンゲンはどんな風になるんだろう。ごめんな、でもオレんとこで精一杯面倒見てやるからさ、大きくなったら親友になろうぜ。
.この場所で
この場所で
私は学校でいじめにあってる。
でも私だけじゃない。
もう1人いじめられてる子がいる。
私達いじめられっ子は仲良かった。
最初は歩いてる時に足かけられたり
靴が無くなってたりだけだった。
でも私達が一緒に楽しく遊んでるのが
気に食わなかったのか
だんだんといじめは酷くなってきた。
私達は耐えられなくなってきた。
「もう嫌。なんで私達だけがいじめられるの。
何もしてないじゃん。ねぇ、教えてよ。」
靴に画鋲が入ってたり放課後殴られたり
私達はもう耐えられなくなってしまった。
だから私達は最初に遊んだこの場所で
綺麗な空の星になった。
通学路
この場所で
誰かの選んだ選択肢が
たくさんの未来に影響した
『この場所で。』
「あぁ、死ぬならどうかこの場所で死にたい」
いつだろう、私のその考えが変わったのは。
私は一時期悩んでいた。
人間関係、勉強、自分の趣味、何もかもが上手く行かなかった。
だから、死にたいと強く願ったんだ。
そして、願わくば思い出の場所で死にたい、と。
だが時も経てばそんな考えは変わった。
私の恩人とも呼べる液晶の向こうにいる人、その人の優しい言葉にあたたかいと感じる声に励まされた。
おかげで私は今では
「この場所で、どうかこの場所で貴方が守ってくれたのだと伝えたい」
そう、思えているのだ。
旅先で、おみくじをひいた。
「今日一緒に来られなかった人に
海岸の赤い石を拾ってお土産にしなさい」
石さえあれば会えるような気がして
海岸でおみくじ通りの石を探した。
道中では「この場所に君がいたら」
が繰り返し浮かんだ。
移動中に一口昆布食べてるときも
きれいな景色を見たときも。
思い出がちょっと残る家に帰ってきて、
終わっていたことを思い出した。
赤い石は、「君とこの場所で」
なんて気持ちと一緒にしまいこんだ。
#この場所で
この場所で
この場所で出会えたこと
あの時笑えたこと
泣いたこと
全部大切な、価値のある思い出だって
今ならもう思える
これからどんな事があっても
きっと思い出を糧にして
乗り越えることができる
この場所で
オーストラリアにホームステイしてとき
ヘイリー、ブルック、マシューの三姉弟に
ある場所に連れていかれた
したが貯水湖の一面の青い芝生
「ここの景色は永遠に変わらないから
大人になってまた来てね」
ブルック元気かな?
また芝生に寝転んで
太陽が眩しかった
あの場所で
また会おうね
家族なんだから
春子へ
春子が上京してもう2年が経つね。大学進学を機に実家の大分から離れて、初めての一人暮らしで心配していたけど、どうやらうまくやっているみたいじゃないか。
忙しいのはわかるけどたまにはこっちに帰ってきなさい。家内も春子の顔を見たがっているよ。
私たちはいつも待っているから。この場所で。
父より
【198,お題:この場所で】
あなたが愛したこの場所で
あなたが守り抜いたこの場所で
あなたが作り上げたこの場所で
私は生き続けます
いつかあなたが帰ってくる日まで、何千年先も待ち続けます
だから、どうか寄り道などせず
真っ直ぐ帰ってきて下さい
あなたを愛しています。どうかご無事で
どうして、約束なんて不確かなものに縋ってしまったのだろう。
どうして、あの日あの時この場所に、君は来てくれなかったのだろう。
当たり前に過ぎる今日も、当たり前に来てしまう明日も、当たり前に回り続ける世界も全てが嫌いで堪らない。
私だけがこの場所から動けないことを、どうしようもなく実感するから。
あの日の君と同じ場所で立ち止まっていたいだけなのに、それを赦してくれない時の流れが大嫌い。
だから、今日も叶わぬ夢を見る。
もう君が決して来ることの出来ないこの場所で、君が約束を果たす日を待っている。