『ありがとう、ごめんね』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
また死者が出た。
仕方ない、人は脆いのだから。私のように傷がすぐ治癒することも、なくなった部位が再生することもない。
顔に布が被せられた遺体が次々と運ばれてくる。わかる。あの子も、あっちの子も皆、私が武術を教えた。生きて帰ってくるように、出立前に発破を掛けたのだが、それでも犠牲は出るものだ。
「準備ができました。いかがしますか?」
部下が後ろにやってきて報告した。
わかっている、感傷に浸っている暇などない。そんな資格もない。
「燃やせ」
一言、命令して踵を返す。
早急に次の駒を準備しなければ。私たちはこんなところで立ち止まるわけにはいかないのだから。涙一滴すら流さない私を許さなくていい。
火葬場から聞こえるごうごうという音が、死者の悲鳴に聞こえた。
大丈夫。あとは任せて、ゆっくり眠るがいい。
「ありがとう、ごめんね」
無駄にはしない、君たちの死は誰一人として。
必ず、誰もが笑って暮らせる日を……私が連れてくると誓うとも。
【ありがとう、ごめんね】
#ありがとう、ごめんね
こんな僕のことを愛してくれて本当に
”ありがとう”
こんな僕の為に涙を流してくれて
”ありがとう”
でも、君のことを愛せなくて本当に
”ごめんね”
君の為に涙を流せなくて
”ごめんね”
僕に君の本心を伝えてくれてありがとう
でも、僕は君の気持ちには応えられないだから
これだけは言うね。
ありがとう、そしてごめんね
ありがとう
すっごい好きだったよ
たくさん話せて嬉しかった
いい思い出をありがとう
ありがとう、ごめんね
ある種のずるさはあると思う。
許してほしいとは思ってない。
好きな気持ちは言わないまま、自ら去ってしまった。
あの人は今、どうしているかな。
その頬を朱に染めてくれて、ありがとう。
でも、その手はとれないの、ごめんね。
/お題「ありがとう、ごめんね」より
妹は、幼い頃からずっと病院に閉じ込められていた。
そんな妹のために、俺は毎日学校が終わったらすぐに妹に会いに行っていた。
その時、いつも妹は、
「ありがとう、ごめんね」
なんて言うんだ。
謝る必要なんてないのに。なぜ謝るのか、俺には分からなかった
「ありがとう」
その言葉にありがとう
それとごめんなさい
そんな優しい言葉を
私の怖がりな偽物の優しさに
使わせてしまって
その優しい言葉に
依存して生きる私は
すごく狡い
でも
そうにしか生きられない
嫌われるのが怖くて
自分を切り売りするように
臆病な優しさを振り撒いて
それで苦しくなりながら
優しい言葉に慰められて
恐ろしい沼にはまってしまったみたい
心が痛むほどの愛しさと大切を教えてくれた君に。
僕からはありがとうで溢れた花束を。
煌めく笑顔で誰かさんとの愛を語り、教えてくれた君に。
僕からはごめんねで濡れたクローバーを。
君の幸せが僕の幸せ、だなんて思えなかったんだ。
どうしようもなく我儘な感情を抱く僕は。
〝ありがとう、ごめんね〟
ありがとう
いえいえ どういたしまして
感謝されると
なんだか嬉しいね
ごめんね
いえいえ 大丈夫ですよ
謝罪されると
なんだか恐縮してしまうね
年末が近づてる!
今年も、
懺悔と感謝の1年だった
何が懺悔で、何が感謝かって??
わたしのような下手な文書をup
してることに懺悔『ごめんなさい』
そして、わたしの書き物を
読んでもって、感謝『ありがとー』
がんばらなくちゃ!
まー
ありがとう、ごめんね
優柔不断で決められなくて…
あなたの想いに答えられなく
てごめんね
あなたに出会えたことは
一生忘れられない思い出
本当にありがとう
蝶は、毎日、花に逢う
蝶と花は、恋人さ
いつもの場所で
蝶は、今日あった出来事を話す
花は、蝶の冒険の話が大好きだった
楽しい話に花を咲かせた時は、蝶と花はキスをする
生まれは違うとしても、恋人さ
命の時間は互いに違う、蝶と花は、最後が近いことをお互いにわかっていた
ある時、蝶はいった、うまく翔ぶことがができなくなった、君に逢えるのは最後かもしれない
花はいった、あなたと逢えなくなったら、私は、きっと枯れてしまうでしょう
蝶はいった、生まれ変わって、春に、君の所に翔んでくるよ、笑顔を咲かして待っていて
蝶と花は最後の口づけをした
蝶は、小さくつぶやいた、ありがとう、ごめんね……
花は、甘い涙をこぼした
蝶は、それを拭った
「うぉぉぉぉ!
なんで簡単な言葉なのに言えねぇんだぁぁぁ!」
二世帯住宅で同居していた兄のお嫁さんが
猫のチコと実家に帰って行った
「後悔するなら謝りに行きなよ…」
新婚生活も早半年、実家暮らし一ヶ月
泣きながら嘆く兄を見て助言する
『ありがとう、ごめんね』は
簡単じゃない重みがあると思うよ
兄の涙は滝のように流れていたから
珈琲と一緒に本音は飲み込んだ
#ありがとう、ごめんね
ありがとう、ごめんね
好きになってくれて ありがとう
幸せになってね
自分勝手で ごめんね
ありがとう
こんな私を愛してくれて
こんな私を慰めて抱きしめてくれた
それなのに、それなのに
私は…
ごめんね
守ってあげられなかった
抱きしめることさえできなかった
貴方のことを見るのが怖くなって
目を合わせられなかった
気持ちだけは人一倍強いはずなのにな
もう、それだけしか言えない
「断崖の錯覚」
テーマ 「ありがとう、ごめんね」
サスペンス
グリが寿命を全うする前日に、そうつぶやいたと伝えられている。
人類最後の、完全体のオスであった。
グリママの、「心底ホっとした」という後日談も存在するが、この親子の年齢差が11歳であったと知られたのは、だいぶ後になってからであった。
【ありがとう、ごめんね】
ありがとう、ごめんね、かー。
たくさんあるなぁ。
どっち側にしても、その先を望むのは自分でも野暮だって分かってる。
うん、分かってる。だけど。
〜ありがとう、ごめんね〜
「ありがとう、ごめんね」
あなたと私を繋ぐ魔法の言葉。
二人がずっと仲良しでいるための秘訣。
いつまでも素直にいられるように。
ありがとう、ごめんね
ブックカバーを外すと現れたのは彼の昔の日記だった。
そういえば昔、日記をつけるのが趣味だと聞いたことがある。
もう時効だろうしいいよね、とページをめくると紫色の紙切れがひらりと舞い落ちた。
拾い上げるとそれはすみれの切り絵だった。
遠い昔、わたしが試しに作ってそのまま放りだしていたものだ。
少し黄ばんだページには、妻は凝り性だが飽きっぽいからこれはここに保管しておく、と書き留めてあった。
ありがとう、ずっと持っててくれたんだね。
わたしあれから色んな趣味に手を出して、結局みんなすぐに飽きちゃったけど、あなたのことは飽きなかったよ。
すっかりしわの増えた自分の手に載せた切り絵を見おろしながらつぶやいた。
泣かないって約束したのに、ごめんね。