透明な涙ってなんだろう。
涙って、透明なものじゃない?
でもきっと、ここで言いたいのは輪郭もない、目では見えない涙なのだろう。
きっとそれは、心が流す涙なのだろう。
見えないから、その人を傷つけていることに気づかないのだから
初夢。
貴方と笑顔で話した、あの一時。
自分の思いに気づいてから、貴方の前で笑えなくなった。
でも、夢の中なら笑えた。
あの夢のつづきを求めて、私は今日も鏡の前で下手くそに笑うのです。
「一緒に将来の夢を追いかけようよ」
「一緒に同じ高校と大学行こうね」
「一緒に同じところに住みたいね」
一緒にって、結構幼稚な約束事だけれど、それでも私には嬉しかった。
全部叶わなかったけれど。
君と一緒に、今度はお互いの夢を語り合って、笑い合いたいね。
今日は、肌寒い穏やかな晴れだった。
「夏だと、晴れってギラギラしたイメージあるけど、冬はポカポカなイメージだよね」
「そうだね。あーあ、一生冬がいい」
「そんなことしたら、年がら年中冬眠しちゃう」
「動物も、人間も、やる気もね」
「そうそう」
季節なんて関係ないけれど、夏はみんな、色んなことに向かって頑張っていくイメージがある。
冬は、力を貯める時期。
今日は、冬晴れ。だから、貴方とこうやってゆっくり晩酌をする。居酒屋じゃなくて、貴方の家で。
「あーあ、彼氏欲しい」
「急にどうしたの」
貴方の家でゆっくりと晩酌を楽しんでいたら、普段恋愛をしないような貴方が急にそんなことを言い出したから、少しびっくりした。
「だって、自分を好きでいてくれる異性がすぐそばに居るだけで、幸せな気分になれそうじゃない?」
「貴方、彼氏いらないってこの前言ってたじゃない」
「うん、いらない」
「なんなのよ」
「でも、羨ましいの。私、こうやって意地張って、ずっと彼氏作らないできたけど、本当は自分は寂しいんじゃないかって、幸せに感じてないんじゃないかって、思うようになっちゃって」
「幸せなんて、人それぞれじゃない。彼氏以外の幸せを見つければいいのよ」
「それが分からないの。最近、何やっても、心ここに在らずというか。何にも、楽しくないの」
貴方は月を見ながら、ただそう言った。顔はよく見えないけれど、でも、いつもの貴方らしくないと思った。
「幸せって、なんなのか、分からなくなっちゃった」
幸せとは。
誰もが考えたことがあって、明確な答えを持ってる人はきっと少ないこの問は、貴方を苦しめていつか殺してしまうのではないかと、私は密かに思った。