2/25/2024, 5:09:56 PM
【物憂げな空】
降りそうで、降らない。
しとしと、ジトジトと肌に纏わり付く空気が大変うざったい。それが人の密集する地下鉄内なら尚のこと。
つつり、と、思わずかいた汗が首元に伝う。
やっとの思いで這い出た先には、似たようで違う目的地に向かう人の群れ。私も例に漏れず、その流れに従い歩いて行く。
階段から覗いた世界は、スモッグに塗れて決して綺麗だなんて言えたもんじゃないけれど、反射的に目を細めた。
そこからは空なんて大して見えやしない。ビルに切り取られた世界で、私は今日も社会の歯車ってやつを全うする。