【忘れられない、いつまでも。】
あの日見た景色が、あの時聞いた言葉が。
絶対に忘れられないよなんて言っていたけれど、今ではすっかりと薄れてしまっている。忘れられないなんて言葉は結局口先のものでしかなくて、けどその時はその口先の言葉を信じてやまなかった。
忘れられない、本当にそんな現場に出会ってみたい。
【一年後】
一秒先だって分からないような私に、そんな果てしない先のことなんて分かるのだろうか。そう思ってはしまったが、もう少し真面目に考えてみようか。
一年経つということは歳が一つ増え、周りの環境もおそらく変化している。もしかしたら仲の良い彼女は合わないからと退職して行っているかもしれないし、私も別のことがしたいと退職をして、親に反対されながらも自営業を始めていたりするかもしれない。
“かも”という想像でしかないが、少しそんな未来を思い描いて笑えた。もしかしたら、息抜き程度ならば夢を描くという意味でも思案するのはいいかもしれない。
【初恋の日】
全く何かを感じたことなどなかったのに。
全く特別な想いなど持ったことなかったのに。
急に君を見ると自分が自分じゃなくなる、というか、居ても立っても居られなくなる、というか。とにかく、普通に接することができなくなってしまった。君が誰かと話しているその時はその誰かが羨ましく思えるし、その話している相手が異性ならば特に。
君の視線を奪いたい、というこの思いが初恋というものなのでしょうか。
【明日世界がなくなるとしたら、何を願おう。】
明日終わるって分かっているだけ良心的だなというのが頭にパッと浮かんだ感想。
何を願うかなんて聞かれて、浮かんだ答えは一つだけ。
“明日を見届けたい”
終わる世界、どうやってなくなってしまうのか、どうやって滅びるのか。それが気になるのは果たしておかしなことだろうか?
【君と出逢ってから、私は・・・】
何もかもが狂い始めた。
少しでも気を引こうと好みを知ろうとし、呼ぶ覚悟もないのに部屋に来たら…と一人妄想して部屋を片付ける。気にしたことなんてなかったような美容にも手を出してみたり、はたまた本しか買うものがなかった頃よりも遥かに出費を増やしてでも綺麗な服を買ってみたり。
自分にいくら矢印が向いていないと分かっていても、やっぱり諦めきれない重い想いを抱えて、今日も何もなかったように振る舞う他なかった。