しょうもない話なんだが
新しいケトルがほしい
新生児が家にいる事が増え
ミルクを作る機会が多くなったので
使いフルされた湯沸かし器では良くないかな
と思い買い替えた
それが半年前
使い始めだからか
嫌なニオイがする
重曹やクエン酸でつけ置きなどしてみたが
やっぱり臭う
体に悪影響は無いらしいが
大好きなアールグレイを淹れると
ガッカリしてしまう
ボーナスが出たら
新調しようかな
お気に入りのアールグレイの
紅茶の香りをどうしても楽しみたいし
ーーー紅茶の香ーーー
あ の日を忘れない、貴方との初対面
い つの間にか私のお腹の中でね
こ んなに大きく育っていてね
と びきり大きなスイカが出たかと思ったよ
それが貴方の
ば あすでぃ
ーーー愛言葉ーーー
56歳になるサチコは
誰にでも人当たりのいい
頼りがいのあるオバちゃん
朗らかな笑い顔
ドーンと何でも引き受けてくれる
おおらかさ
ポジティブ思考
だから男女問わずお誘いが多い
居酒屋を営む糖尿病高血圧の旦那と
生まれつき障害を抱えて一生車椅子の
中学生の長女が家族
誘われても
お付き合いできないわけがある
旦那と長女を放っておく事は出来ない
…と、自分に思い込ませ
誰とも深く付き合う事は無かった
友達を作る事がサチコは
怖かった
朗らかさ
おおらかさ
ポジティブ思考は
仮面なのかも知れない
と。
ーーー友達ーーー
部長を好きだって事は
一年の頃から皆に知られていた
姿を見るたびに
キャッキャッしていたから
OB訪問で練習指導に来てくれると
跳ね上がるほど喜んだ
そんな自分も三年生
オトナになり威厳も身に備え
OB訪問の元部長が来ている噂を聞いたとて
ホイホイ見に行かないで
ここで一人で自主練をする
ーーー行かないでーーー
生まれながらにして股関節が悪かった
ジャンプする事は禁止されていた
走ることも避けさせられた
小学生時代はまぁ聞き分け良く
あまり逆らわずにおとなしくしていた
…とは言え鉄棒の大車輪、ミニバスケ
こっそりやってましたが
禁止されると反発したくなるのが常
第二次反抗期の只中
中1のマラソン大会
学校の外を走るという
私にとって初めての
マラソン大会
コースの半分も、いや、
四分の一も走っていないのに
もう息が上がってきて
肩から首は呼吸の度に苦しく
こんなのいつまで続くの?!と前方を見る
吸い込まれそうなどこまでも続く青空が
この試練が永遠に続くよと答えてくる
クソっ
反抗期只中の私は辞めるわけにはいかない
喉から鉄の味
股関節がヅッキンヅッキン
それでも歩かないぞ!
クソっ
皆に追い抜かれ
これ、実は歩いてる方が早かったりしない?
と言うほどの遅い走り
ゴールのグランドの芝の上に仰向けに転がり
やっぱり冷淡な青空が教えてくれる
ーーーまだまだ先は長いぞ
どこまでも続いているんだぞ
ほら、ひ弱なちっぽけな反抗期ーーー
とは言え
反抗期進行中
ーーーどこまでも続く青い空ーーー