NoName

Open App
10/13/2024, 3:48:43 AM

「放課後」
中学時代、私は放課後が好きではなかった。
なぜなら、常に部活動の練習があったから。

バスケ部に所属していたが、練習が毎日しんどくてしんどくて…
正直、部活動に「よし!今日も練習頑張るぞ!」という気持ちで臨んだことはない。
始まってしまえば頑張れるのだが、始まる前は何時も憂鬱な気持ちだった。

そんな憂鬱な気持ちを助長させていたのが、 「帰りの会」。
1日の授業が終わり、解散する前に行われる10分ほどのホームルームだ。
先生が連絡事項を話している間、「この話が終わったら体育館に向かわなきゃいけない…」と本当に嫌な気持ちになるのだ。

そんな帰りの会の時間、私は斜め前の席の子の後ろ姿を眺めていた。
同じバスケ部に所属しているキャプテンである。
その子はいつも、帰りの会のときに髪の毛をポニーテールに結びなおしていた。
今から始まる部活動で、激しい動きをするため髪の毛が邪魔にならないように。
私が部活動に対してふつふつとマイナスな気持ちを募らせている間、その子は前向きに部活動に向けての準備をしているのだった。

キャプテンとは、仲が悪くは無いが、特段仲が良いというわけでもなかった。
クラス内でのグループも別だったし、趣味趣向も異なっていたから。
また、部活動ではいつも誰よりも声を出して、気丈に、弱音を吐かず、時には厳しく声をかけてチームを鼓舞していた。
完璧なキャプテンだ。

本当にすごいなと思うと同時に、彼女の言動は、私が感じている部活動に対するマイナスな気持ちとは正反対で、非常に眩しかった。私は、彼女のように常にストイックに前向きに頑張る、ということは出来なかった。それをとても後ろめたく感じていた。
そのため、楽しくお話をすることはあっても本音で話せたことはなかったように思う。
そんなこともあり、キャプテンとはなんとなく距離がある関係だった。


大人になった今、思うことがある。
帰りの会、放課後、部活動が始まる。
彼女はその時、どんな気持ちでポニーテールを結んでいたのだろう。
どれだけ完璧なキャプテンでも、当時の私と同じ、中学3年生、14歳だ。
ただでさえ練習は辛いのに、毎日周りを誰よりも鼓舞しなければならない、誰よりも声を出さなければならない。
どれほどのプレッシャーを抱えながら戦っていたんだろう。
きっと、私がいつも抱えていたような、いや、それ以上の憂鬱感を閉じ込めるように、強く、強くポニーテールを結んでいた日もあったのだろうか。

それを一番身近で見ていたのは、私じゃないか。
彼女が感じるしんどさを、こちらから感じ取ろうと思ったことがあっただろうか。
もっと、自分の憂鬱や後ろめたさを彼女に思い切って曝け出せばよかった。本音で話せばよかった!

「完璧なキャプテン」は、私が作り上げたのだ。
憂鬱の放課後を彼女と共有できていたら、また違った中学生活になったのかもしれない。









10/12/2024, 5:10:01 AM

カーテンってなびいたとき風を感じられていいよね。風鈴みたい。