『星空』
明日は七夕。
織姫と彦星が天の川で再会する日。
私は生まれて18年ほど経つけれど、
1度も天の川を見た事がない。
雨だったり、曇っていたり、まず外に出れなかったり。
見たことある人は「綺麗だった」と言う。
今年こそ、見れたらいいな。
そう呟きながら本を閉じた。
『窓越しに見えるのは』
外に出てみたい。
そう思ったのは、いつだっただろうか。
生まれた時から病気で、物心つく時にはもう病院にいた。
病室は個室で、ご飯や点滴の交換の時ぐらいしか人が来ない。
お見舞いなんて半年に1回来たらいい方だと思う。
なんの病気かは分からないけれど、周りの大人たちは
「いつ死ぬか分からない」
「見たことの無い症状だ」
と言っている。
私はこの何とも言えない感じが嫌いだ。
でも、窓の外だけは違う。
見た目はほぼ一緒だけど、毎日違う景色を見せてくれる。
晴れてる日もあれば、少し曇っていたり、土砂降りだったり、綺麗な夕焼けが見えたり。
鳥がないていたり、猫が来る時だってある。
人間の友達は少ないけれど。
窓の向こうだけは私の事を少しわかってくれている気がする。
「ごめんね」
彼氏と別れた。
理由は価値観の違いだった。
今までも価値観の違いで喧嘩はしていたけど。
今回はもう耐えられなかった。
でも、時間が経つにつれて、思い出が。
あの時に戻りたいって思わせてくるの。
最後までわがままでごめんね。
今日も自分に嘘をつく。
『いつまでも降り止まない、雨』
嫌な予感はしてた。
ゴロゴロと鳴り響く雷に、地面に強く打ち付ける雨。
朝はこれでもかというくらい晴れていたのに。
傘、持ってきてない。
絶望した気でいると、女の子が声をかけてきた。
「良かったら、どうぞ。」
傘を貸してくれた。
「あ、ありがとう、」
その言葉だけ聞くと、女の子はそそくさと去っていってしまった。
「今度、ちゃんとお礼しなきゃな」
金曜日の放課後、僕はそう心に誓った。