「私って、人の好き嫌いないんだよね〜」
そう言った笑う友達の顔には、嘘が張り付いていた。
そもそもどんな事においても、好き嫌いのない人なんていないと私は思っている。
表には出さないだけで、絶対に好き嫌いはある。
私は好きよりも嫌いが多い。
けどそれって悪いこと?
世界の終わりに君といられるなら、私はあなたを殺したい。
世界なんかに殺させたくない。
ドンドン心臓の音が弱っていく君が見たい。
苦しそうに縋ってくる君が見たい。
哀れな君と汚い私で最後を飾りたい。
そしてそれを全世界の人に見てもらいたい。
私たちの愛、そして終わりを。
誰にも言えない秘密って、きっと誰にでもある。
万引きしたとか、人を殺したとか、人によって様々だけど、きっと平等にあると思うんだ。
そんな中でもやっぱり優劣はついてしまうのが現実ってものだ。
私の秘密はきっと、下の中くらい。
あの子の秘密は、中の下くらい。
あなたは?
私にこの世界は広すぎたのかもしれない。
私の人生において、こんなに綺麗で残酷で儚い世界なんて必要なかったんだ。
それこそ狭い部屋だけで十分だったのに。
どうしてこんな感情、知ってしまったんだろう。
冷酷でいられる人が羨ましい。
それと同時にこんな自分が妬ましい。
どうしようもないこの感情をぶつけて良い場所なんてどこにもなかった。
私はどこにもいない。
だったら私の世界もどこにもない。
私はどこにいるの?
「失恋した」って、あなたを見ていると思ってしまう。
告白すらしていないのに、見ただけで分かってしまう。
あなたの目に映っているのは私じゃないって。
きっと、告白してちゃんと振られればこんな気持ちにならずに済んだ。
だけど、振られるのを分かっていて告白する気にはなれない。
弱い私が悪いのか、はたまた、あからさまに態度に出すあなたが悪いのか。
答えなんて分かっているはずなのに、ずっと追い求めてしまう。
そんな女々しい、17の夏だった。