誰にも言えない秘密って、きっと誰にでもある。
万引きしたとか、人を殺したとか、人によって様々だけど、きっと平等にあると思うんだ。
そんな中でもやっぱり優劣はついてしまうのが現実ってものだ。
私の秘密はきっと、下の中くらい。
あの子の秘密は、中の下くらい。
あなたは?
私にこの世界は広すぎたのかもしれない。
私の人生において、こんなに綺麗で残酷で儚い世界なんて必要なかったんだ。
それこそ狭い部屋だけで十分だったのに。
どうしてこんな感情、知ってしまったんだろう。
冷酷でいられる人が羨ましい。
それと同時にこんな自分が妬ましい。
どうしようもないこの感情をぶつけて良い場所なんてどこにもなかった。
私はどこにもいない。
だったら私の世界もどこにもない。
私はどこにいるの?
「失恋した」って、あなたを見ていると思ってしまう。
告白すらしていないのに、見ただけで分かってしまう。
あなたの目に映っているのは私じゃないって。
きっと、告白してちゃんと振られればこんな気持ちにならずに済んだ。
だけど、振られるのを分かっていて告白する気にはなれない。
弱い私が悪いのか、はたまた、あからさまに態度に出すあなたが悪いのか。
答えなんて分かっているはずなのに、ずっと追い求めてしまう。
そんな女々しい、17の夏だった。
梅雨になって傘を差すと、傘に守られているような気分になる。
傘は私にとっての友達で、私のことを必死に守り抜こうとしてくれる。
だけど私はそれがとてつもなく嫌だった。
自分が守られてばかりなんて、そんなの不公平だと思ったからだ。
だから私は梅雨でも傘を差さない。
濡れてることなんてどうだっていい。
むしろ気分がいい。
傘もこんな気持ちだったのかと思うと、なんだか申し訳なく思ってしまう。
けど、絶対譲れない私のポジション。
…とらないでね。
「ごめんね」
それが私の口癖であり、一番嫌いな言葉でもあった。
人が少しでも怒っていそうな素振りを見せたら悪いことなんてしてないのに「ごめんね」。
人に優しくしてもらっても、「ごめんね、ありがとう」。
一人になった時でも、「ごめん…ごめんね」と独り言。
結局自分がなにをしたいのかなんて分かりもしない。
分かりたくもない。
ただ、こんな自分が醜いってことだけは、明確に分かってしまう。
だから…「ごめんね」。