柔らかい雨が私を刺した。
じんわりとした優しい痛みが身体中を駆け巡る。
自然と涙が溢れたのは、きっと嬉しかったから。
こんなにも幸せな痛みがこの世にあったなんて、あなたと出会わなかったら知ることもできなかった。
『ありがとう…っ』
涙を堪えながらの精一杯の笑顔。
あなたの目にはどう映ったのかな…。
将来が見えない、ダメダメな私。
普通の幸せを手に入れたいとは思っていても、そのために何をしたらいいのか分からない。
お金持ちと結婚できたら幸せ?
可愛い子どもがたくさんいたら幸せ?
そんなこと、学校では誰も教えてくれないから分からないよ。
ねぇ…私の真っ暗な未来に、一筋の光を差し込んでくれる人はいるの?
いるんだったら早く現れてよ…。
鏡の中の自分に話しかけた。
『あなたは誰?』
鏡の中の自分が言った。
「俺はお前。
…けど、お前に殺された。」
苦しそうに顔を歪ませるあなた。
それにイラッとして、鏡を思い切り殴った。
『仕方ないでしょ!?これが本来の正しい私なの!!
あんたなんて…最初から居なければ良かったのに…!』
「…ごめん」
その日から、あなたは現れなくなった。
眠りにつく前に、私はいつも今日を思い出す。
あの時ああしとけば良かった…なんて、考えてもしょうがないって分かってるのに。
毎日毎日、思い出してしまう。
そして明日が怖くなる。
このまま寝て起きてしまったら、またあの地獄のような場所に行って、偽りだらけの私にならないといけない。
だから朝は嫌いだ。昼も嫌いだ。夕方も嫌いだ。
そして何より、こんなことを考えさせてくる夜が、一番大嫌いだ。
私はこの世界に生まれたくなかった。
ううん、生まれちゃいけなかった。
私は今まで、どれだけの人を傷付けた?
どれだけのものを、簡単に壊した?
蟻の命ですら大切に思えない私が、この世界にいてもいいの…?
ううん、いいわけがない。
だから…お願いです神様。これ以上この世界を汚くしないように、私は消えるから。だから…だから…。
永遠に、生まれ変わりませんように。