飛び込もうぜと君が言うから飛び込んだ
埋もれていく、プールのコバルトブルー
海に沈んだらこうなるのかと
頭の悪い想像を膨らませる
ああ君と海に沈みたい
静かな貝となり君の隣にただ生かされていたい
そうして海面下から見えない月の光をみつめるのだ
君は月かもしれないだなんてはしゃいで
ぼくはそうかもしれないねだなんて返すのかもしれない
あなたと挨拶を交わすために
毎朝ね
早朝の 青い空気を急いだの
げた箱の前ですれ違うあなた
はちみつ色の肌 オリーブの目
西欧の空気をまとうあなた
いつだったか
彼はマンゴー色のオーラがあるわ
なんて 親友に言ったら なんだか納得していたっけ
ああ、あなたのオリーブの目が
ああ、あなたのオレンジ色の空気が
わたしに向いてほしくて
ああ、あなたといつか話せたらと
ああ、わたしもオレンジに染まりたくて
母国へ帰ったあなたは
いちどだけ、挨拶をかわした私を忘れたでしょう
私?
いまも、青い空気を急いでるのよ!
なんだか、まだオレンジ色が残っている気がして
まだ、あなたの静かな笑い声が聞こえる気がして
ばかみたいね
教室に入ると、あなたは教室の中央で元気にはしゃぐ可愛い女の子を横目に見る。可愛らしいアクセサリーに、ブランド物の服。
あなたはデパートで母が選んだ30%オフの服に、適当にまとめた1つ結びの頭。
あなたは彼女の全てを知ったつもりでいる。
きっと喧嘩をした事が無い彼女の両親は、週末にワインを1本開け、誕生日の日には彼女のために沢山のプレゼントをするのだろう。そして、毎朝お母さんは彼女の髪を丁寧にブラッシングして、リボンを飾るのだ。
でもあなたは知らない。彼女の社長の父親はよそに愛人と家庭まで築いていて、母はアルコール中毒。
愛の代わりに贈り物をする父親、酒と父に縋る母親。
彼女は毎晩泣きながら日記に連ねる。
「わたしもみんなみたいになりたい」
あなたは頬杖をつき、まどろみながら日記を書く。
「あの子みたいになりたいなあ」
あああなたの事だけを考えたいのだ
このおぞましい世の事など忘れてしまいたいのだ
あなたの知性に輝く瞳 よく形の変わる唇
ただただあなたに静かにひっそりと思いを馳せたい
ぶくぶく、頭を沈める
鬱々、迫る世への憂鬱
ああ脳味噌をはうムカデ ざわりとする
ああひんやりと手に触れるタイル つるりとなぞる
のどがくっと
きつくきつく締まるほどに苦しいのは
あなたを想うからなのか
はたまた 酸欠だからなのか
どうして優しい人が自ら死を選ぶ世の中なんでしょうね
どうして彼らは自身にその優しさを向けられないんでしょう
どうして彼らの家族、職場の人、クラスメイト、先生...
は優しくて、人を恨みたくないような繊細な彼らを壊すのでしょうか
どうして人を悪意を持って傷つける人がいるのか、本当に分からないのです
どうして私の母は私を傷つけたのか、分からないのです
どうして美しい地球を美しいと思えなくなってしまったのでしょう
いつになったら、抜け出せるのでしょうか
私はいつ、風のやわらかさを感じる人に戻れるのでしょうか