もしも世界が終わるなら
先生「もし世界が終わるなら何がしたいですか?」
A「えーわたしは、世界一周旅行行きたい!」
B「わたしは、好きなものたくさん食べたい…」
C「ぼくは、好きなアニメを見る」
D「俺は、筋トレしておきたい」
E「わたしは、家族とゆっくりすごしたい…」
F「ぼくは、博物館に行きたい!」
G「わたしは、アイドルのコンサートを見に行きたい!」
H「俺は、好きなアイドルと結婚したい…」
I「そんなこといったら俺も…」
J「んー、わかんないやー!」
先生「はい、答えてくれてありがとう。皆さんお子様ランチは最後に好きなもの食べる派でした?そして、今はどうです?好きなものは最後に食べますか?」
A「私は、昔は最後に取ってたけど、今は先に食べるかも。」
先生「そう、それはなぜ?」
A「だって誰かに取られちゃいそうだから〜」
F「ぼくは、誰かに取られないように守りながら最後に食べる…」
先生「そうですか〜。わたしはですね、先に!食べます。なぜかって、いつ死ぬかなんてわからないからです。わたしは好きなことは、いつも先にしてきました。だから、いつ死んでも後悔しません。わたしは、先生になりたくてなりました。皆さんとこうして話せて本当に幸せです。」
G「わたしも先生で良かった〜!」
先生「はい、ありがとう。」
J「でもさ、世界がどう終わるのか気にならない?! なるべく俺死なないように頑張るわ!そんで!最後の終わり方を探し出して、できれば世界が終わるのを止めて 勇者に…なりたいかも…。勇者になったら、お前らに自慢するわ!」
A「はいはい」
F「それいいね。僕も世界の終わり方知りたいから一緒に行かせて!」
J「おーいいぞー!俺の配下にしてやる〜!」
F「配下?なんで下なんですか!やっぱ一人で行きます。」
先生「はいは〜い、それではそろそろ授業を終わりますよ〜。皆さんいつ世界が終わっても後悔しないように毎日を過ごしましょうね。」
キーンコーンカーンコーン
E「ただいまー。」
Eママ「おかえりー。」
E「ママさみしい…。」
Eママ「どうしたのー?」
E「明日世界が死んだらママどうする?ママとパパと離れるのやだ…」
Eママ「そんないきなり終わることあったらびっくりだわ!大丈夫よ!手ー洗ってきなさーい。」
E「…うん。」
あの授業のあと、
Aは 世界地図を広げ、旅行の計画を立て始めた。
Bは さっそくお母さんに好きな食べ物を夕飯に作ってもらえるようにお願いした。
Cは 帰ってアニメを見ながら笑っていた。
Dは いつも通り筋トレをした。
Fは お母さんに次の休日、博物館に行けるかと相談した。
Gは お母さんと好きなアイドルのコンサートがいつになりそうか、話していた。
Hは 好きなアイドル写真をじーっと見つめていた。
Iは 好きなアイドル写真とキスをしていた。
Jは ゲームをしながら、「世界の魔王倒すぞー!」と拳を掲げていた。
先生は… 明日学校で話す内容を考えながらニッコリしていた。
靴紐
靴ひもを結べなかった
悲しかった
やり方を知らなかったから
靴ひもを結べなかった
恐くなった
バカにされそうだから
靴ひもを結べなかった
ムカついた
難しかったから
靴ひもを結べなかった
ほっとした
君も同じだったから
靴ひもを結べなかった
嫉妬した
君が先に結べたから
靴ひもを結べた
嬉しかった
初めてだったから
靴ひもを結べた
期待した
君が見てくれると思ったから
靴ひもを結べた
驚いた
早く結べたから
靴ひもを結べた
寂しかった
君がいなかったから
靴ひもを結べた
誇らしかった
君が褒めてくれたから
靴紐がほどけた
焦った
走っていたから
靴紐がほどけた
恥ずかしかった
転んだから
靴紐がほどけた
悔しかった
勝負してたから
靴紐がほどけた
モヤモヤした
うまくいかなかったから
靴紐がほどけた
苦しくなった
期待に答えられなかったから
靴紐を結んだ
勇気が出てきた
君が応援してくれたから
靴紐を結んだ
身が引き締まった
君に告白をするから
靴紐を結んだ
幸せだ
君が結んでくれたから
荷物を結んだ
不安になった
家を出るから
水引をきつく結んだ
感動した
親が泣いてたから
答えは、まだ
答えを出せるとき 出せない時がある
無理に答えを出すと 全てが崩れていってしまう
だから答えは、まだ 出さない
センチメンタル・ジャーニー
砂漠の街で君と旅行した。
僕は君に恋をしていた。
青色の透き通る瞳をしている君はいつも美しかった。
五年前…
僕はシャウエンの青い街が君に似合うと思って、旅行の計画を立てた。
シャウエンにつくと、予想通り 君は青い街の中に溶け込みながら僕に美しさを振りまいた。
青い街に照らされた夕日を一緒に見ていると、嬉しそうに笑う君にまた酔ってしまった。
リヤドに宿泊し、星空を見ながら夜を過ごした。
「今度来るときは、サハラ砂漠の星空ツアーに行きたい。」
君はそう言って満足そうに寝始めた。
「あれからもう五年か…。」
私は今、一人モロッコにいる。
今日はモロッコまでの旅を癒すカサブランカの宿に泊まり、明日はフェスからラクダに乗ってベルベル人のキャンプへ行き、サハラ砂漠で夜を過ごすツアーに参加する。
「明日は早いな。」
眠りにつくことにした。
夢を見た。
…青い海の中には君が泳いでいた。
まるで人魚のようだった。
「ピピピピッ」目覚ましが鳴る。
出発の時間が来た。
準備を済ませ、フェスにまで着くと、ツアー参加者7名が集まっていた。
メルズーガまでみんなで車に乗っていく。
車の中で、自己紹介をして お互いの国についての話をした。
イフランやミドルアトラス山脈に寄り、バーバリーモンキーを観察したりしてゆっくりと過ごした。
メルズーガ到着後はホテルへ移動し荷物預けると、ラクダに乗って砂丘を歩いた。
「そろそろだ」
ベルベル人が太陽を指差す。
太陽がゆっくりゆっくりと沈んでいく。
辺りは徐々に青くなっていった。
砂に吸い込まれるようにして太陽は消えてしまった。
テントに到着し夕食をとり、みんなで焚き火を囲んだ。
いつの間にか辺りは満点の星空が包んでいた。
それは、まるで宝石が散りばめられたかのようだった。
みんながツアーに参加した理由について話を始めた。
「なぜあなたはこちらのツアーに参加されたのですか?
」
僕は、五年前の恋について話しだした。
「…それは辛かったね」
そこには優しく声をかけてくれるあたたかい人達がいた。
「わたしも前に友達と見に来たわ。でももう連絡が取れないの。わたしたち同じね。」
少し寂しげに笑って言う参加者もいた。
「さあ〜僕たちのダンスをみてくれ!」
淀んだ空気を打ち消すかのように、ベルベル人がダンスを踊り始め、愉快な音楽が砂漠に鳴り響いた。
「みんなで踊りましょう。」
演奏が盛り上がっていく。
僕も我を忘れて踊りを楽しんだ。
ショーの後は、砂漠の真ん中でみんなでランタンを飛ばした。
「あなたは何を願ったの?」
そう聞かれると
僕は、「また会えますようにって願ったよ。」
と答えた。
君と見上げる月…🌛
ひぐらしが鳴いている いつもの帰り道。
街が見渡せるこの住宅地は夕焼けが綺麗に見える。
「今日は夕焼けが綺麗に見えるなあ。こんな日は誰かと一緒に見たかったな。」
坂道を登り、自分の家まで歩いていく。
「はぁ疲れた」
家について、冷蔵庫のドアを開けると レモネードが入っていた。
「ラッキー🎵」
ペットボトルの蓋を開け、コップに移すと シュワシュワと音を立て 透明の泡が踊っている。
「ごくごく あー美味しい!」
テレビを見てダラダラと過ごす。
窓の外を見ると紺色の空が広がっていた。
「…こちらは今現地で流行っている砂漠ツアーです」とニュースでは 砂漠のツアーの紹介をしていた。
ラクダに乗って2日間歩き星空を観測するというものだった。
そこからみる夜空は絶景だと紹介されていた。
テレビに砂漠の夜空が映る…
満点の星空に輝く月…
圧巻だった。
「…うわーとても綺麗ですね〰️!」
現地リポーターが感激している。
ツアーに参加している方がインタビューされていた。
「…なぜあなたはこちらのツアーに参加されたのですか?」
少し涙を浮かべながら満点の星空を見つめるその人は、ゆっくりと話した。
「ツアーに参加したのは満点の星空を見るとある方を思い出すからです。 ずっとその人を思い続けているんです… また会えるといいなって… 星空を見ると落ち着くんです。」
そういうと ポロッと涙を落としていた。
「…素敵な出会いがあったのですね。また会えるといいですね。本当に星空が綺麗ですね。」
現地リポーターが話していた。
わたしは少しぼーっと聞き入ってしまった。
「…次のニュースです」
ツアーの紹介は終わり、いつものニュースに戻った。
なんだか夜空を見上げたくなった。
窓を開けベランダの外に出て、夜空を見上げる。
そこには、数えるほどの星しか無かったけれど、
大きな三日月が輝いていた。
「…あの人が思い出す人は どんな人なのだろう?」
そんなことを考えながら、月をみていた。