向かい合わせにした鏡のあいだでキスをする。
どこまでも続く銀色の廊下の中で、何人もの私たちがキスをしている。

硝子のように透きとおった純粋な諦念を身にまとったあなたは悲しいくらい美しくて、私は、私自身と、あなたと、世界が憎くてずるくて羨ましくて壊したくて守りたくて悲しくて愛しくてやるせない気持ちになる。

全部終わったら、全部捨てて海へ行こう
あなたは脚のあいだから
私は指先から、血を流しながら

裏返しになった手袋は剥き出しの己を世界に晒して、恥に震えている。

銃で撃たれて胸を赤く染めた鳩のように切なくいじらしい姿を見ることができるのだろう、もしあなたが傷ついたら。