夜の海ほど美しいものは無いだろう、
何もかも飲み込みそうな真っ黒の空間
誰もが恐れるであろうそのドロドロとした所に
真っ白の砂を蹴って飛び込む


全てなくせればいいのに

自転車に乗って

逃げる

逃げる


逃げる ニゲル ﾆｹﾞﾙ
全てから

顔に葉が当たっても、ペダルの間に足を挟んでも
ただひたすらに、がむしゃらにただ足を動かすだけ

君の奏でる音楽に心臓を奪われた。
僕の人生であれほど興奮したことは今までないだろう。全身に血が高速で流れるような感覚。
観客の拍手でさえ僕には君の音楽の1部に聞こえたんだ。

この麦わら帽子は誰のだろうが
こんなにも使い古された帽子を今まで見た事がない
少し薄汚れたそれをそっと木にかけた

最初から決まっていた。こんな結果になることなんて最初から決まってたんだ。だから私は悪くない。絶対に私は悪くないんだ、、
眼下に広がるどす黒い赤の海に照らされる私を見つめながら現実逃避をするためにそんなことを考える。