冬のはじまり

朝通学する時に、マフラーや手袋などをつけないとだめだな。
駅まで自転車を走らせていて、冷たい風に、そう思った。

駅近くのコインパーキングに、自転車を止めたら、少し離れたところで同じように自転車を止めている人を発見する。

見覚えのある後ろ姿に、私はその隣に足を進める。

こちらを見た相手が、無言で自分のマフラーを外し、私に巻いてくれる。

それが与えてくれる温もりに、これこそ「冬のはじまり」だと、思った。

終わらせないで

別に失っても構わないよ。
そう告げられて、私の存在や、私との関係は、そんなものだったのだと、思い知らされる。

「終わらせないで」、と縋っても良かったけど、
きっと、貴方は嫌がるよね。

手放すよ。自分が幸せになるために。

愛情

この溢れる「愛情」を貴方に。
貴方が要らないと言うのなら、私ごと他の誰かの元へ赴きます。

後から後悔しても、知りませんからね。

微熱

このところ、夜が近づくと、「微熱」が出るような気がする。
そう、同居人に伝えたら、じゃあ確認してあげると言って、顔を近づけてきたから、私の熱を分けてあげた。

セーター

手編みの「セーター」に憧れたことがある。

自分の祖母が、私がまだ幼い頃にやっていて、自分の為に、セーターを編んでくれたことがあった。
既製品に比べれば、素朴すぎるのだが、とても温かく感じたのを覚えている。

今になってみると、大人のセーターを手編みするというのは、とても手間がかかることだろう。

編んでほしいと、お願いはできないかな。