13分前

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3/30/2024, 11:25:05 AM

「へー、先生でも彼女いるんすね」
「言い方ァ」
 覗いたロック画面のツーショットに、平坦な声を無理やり振り絞った。


"何気ないふり"

3/29/2024, 11:39:03 AM

「あーっと、彼氏?デート中にごめん」
 カフェで偶然会った友達にそう言われて思わず顔を見合わせる。正面に座っていた彼も目をぱちくりとさせていた。ええと…ええと、そうだな。
「ううん、彼氏じゃない。私の片想い」
 変に誤魔化してもなと正直に言えば、友達と一緒に彼からも「えっ!?」と驚いたような声。確かに言っていなかったけれど、元から下心ありきで誘ったのでこれがバレたところで困ることもない。わははと笑う私に私をよく知る友達は「お前~…」と呆れ顔を作る。
「まあ、どっちにしろ邪魔してごめん。また連絡するね、飲みに行こ」
「行く行く。じゃあ…」
 ばいばーいと手を振ろうとあげたところで、「あ、の!」と大きな声があがった。
「りょ、両想いなんで、今から彼氏です!」
 隣の席に座っていたご婦人が私たちの誰よりも先に「あら~~~!」と嬉しそうに言った。


"ハッピーエンド"

3/28/2024, 2:24:32 PM

「ばーん」
 ふと目が合って暫し見詰めあった後、どこか照れた顔で指で作った銃で撃ち抜かれた。咄嗟にヴッと胸を抑える。誤魔化しにしても許せねえかわいさである。絶対にハートの光線が出ていた。かわいい。
「危なかった…私じゃなかったら死んでたよ」
「他の人ならやらないし」
 しれっと言われて私も死んだ。


"見つめられると"

3/27/2024, 11:49:32 AM

「好きなんです」
「わかるけど…でもやっぱり彼宛のバレンタインプレゼント勝手に全部断るのはまずいよ…」
「だって、好きなんです」
「わかるけど…その上で「やっぱりモテないんですね、可哀想♡」って煽り散らかしてたの見てたし…」
「でも、好きなんです」
「わかるけど…「お前って厄災なの?」ってキレられてたじゃん…」
「こんなに好きなのに!」
絶対1/3も伝わってないから、言えないとか言ってないであいらぶゆーをしっかり伝えた方がいい。


"My Heart"

3/26/2024, 12:56:47 PM

 私の方が美人だし、私の方が足が長いし、私の方が成績が良いし、私の方が人望があるし、私の方がお金持ちだし、私の方が付き合いが長いし、私の方が彼のことをよく知っているし、私の方が彼のことを慮っているし、私の方が、お似合いな、はずなのに。
 
「フッ…おもしれー女」

 あの女の後ろ姿を一心に見詰めて彼は嬉しそうにそう呟いた。


"ないものねだり"

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