「え~!やだ、怖い怖い怖~い!己の才能が」
「生きるの上手すぎるだろ」
こいつが一生このままでいられる世の中であってほしいものである。
"怖がり"
「せっかくだからなんか願っとけば?」
窓の外を見ながら彼がぼそりと溢す。外には美しい流星群。この星々がこの世すべてのものを次々にぺしゃんこにしているなんて思えないくらい、綺麗な景色だった。
「こんだけ落ちるんだから、3回唱えなくても願い叶いそうじゃん」
「世界がもう少しで終わるのに?」
「来世叶うかもしれないだろ」
「…ぜんぶが、もう少しで終わるのに?」
もう一度訊ねると彼はようやくくるりと振り返る。眉を下げて困ったような顔をしていた。何か言いたげなのにそれ以上何も言えないようで唇だけを震わせている。その顔が、なんだかあんまりにも可哀想で。
「でも、まあ…私はいいよ」
彼の側に寄って所在なさげな手をぎゅうと握る。冷たい手だった。まだ生きているのに、死んでいるみたいに冷たい。歌うように言えば、彼は相変わらず困ったような顔でことんと首を傾げた。
「私の願い、多分もうすぐ叶うもん」
私の答えに目をぱちりぱちりと瞬かせる。けれど、すぐにぎゅっと私の手を握り返して、少し呆れたような顔で笑った。
私の願いが叶った瞬間の、最期の彼の顔だった。
"星が溢れる"
「ああボス、なんという勇姿…!あんなに泣き虫だったのに本当に大きくご立派になられて…」
「マフィアのおっさんが拷問する姿見てそんな顔できる奴この世にいるんだ」
「こわ~」
"安らかな瞳"
大人になったら忘れるんだろうと思っていたはじめての相棒たちは、透明よりも綺麗な輝きを今も一緒に確かめてくれている
"ずっと隣で"
「先輩、これあげます」
そう言って後輩がころんと置いたのは、人気キャラクターの…キーホルダー?フィギュア?だった。公言したことはないが俺も勿論知っている。何で急に?と首をかしげていると後輩は得意気にふふんと笑った。
「友達とお寿司食べに行ったら当たったので!先輩漫画読んでるみたいですし、このキャラクター特に好きなのかなと思っ…」
「もしかして俺のSNS見てる?」
しかも俺のいいね欄覗いてるだろ、なあ、おい。
"もっと知りたい"