【大好きな君に】
【欲望】
「〜したい」「〜して欲しい」
欲も望みもたくさんあるけど
ずっと 欲望のまま飾っておく
「人生を変えたい!」みたいな大きなものじゃなくて
ひとりぼっちのキッチンで「水飲みたい」とか
誰かといる時に「人と喋りたい」とか
やればいいじゃんって言われる様なこと
めんどくさいなーって気持ちも0じゃないけど
思ってるだけで満足して
現実にしてしまったらつまらないからかもしれない
こうやって
「思ってるだけでいいな」って
それもきっと欲望なんだろうね
【現実逃避】
耳鳴り、空調の稼働音、時計が時を刻む音
車の音、風の音、人が話す声
環境音を耳から入れつつ
目覚めた瞬間から頭の中を巡るのは音楽たち
たくさんのお土産を抱えてはしゃぐ修学旅行生
慣れぬ乗り換えを調べて慌てるカップル
会社の同僚風の集団はお酒が入っている様で
そんな集団を視界に縁に収めつつ
いつも通り小説の世界に逃げ込んでみる
視線も意識も小説の世界に行っていたって
目の前の人が降りそうな気配に
ちゃんと気がつくもの
選択の余地なく自動的に流れる音楽は
頭の中だけでエンドレスにループする
思考をかき消すようにネット小説を読み漁る
気がついたらいつの間にかそうなっていた
現実逃避
なのだろうか?
現実を知覚し続ける傍ら、
今日もどこかで非現実に触れ続ける
現実から逃げようと
イヤホンで耳を塞いで、
太めの縁の眼鏡で視界を塞いで
それでも
雑音が消えた分、クリアになった遠くの話し声が
眼鏡の縁に区切られた視界の中、現れては消える何かが
気になって仕方ない
現実からうまく逃げられない
【君は今】
僕はあの時、君の手を離してしまった
それがずっと心に残っている
あれはきっと自然なお別れで
どちらが相手を突き放したわけでもないけれど
重なっていた手のあたたかさを
離れた手を冷やしていく風の感覚を
今でもふとした時に思い出す
あの時の行動に後悔はないのだ
きっと何度繰り返しても
僕はあの瞬間に君の手を離す
そんな確信めいた何かがあって
それでも
思い出などという美しい言葉では飾れない
少しだけザラついた何かが消えない
君は今、何をしていますか?
なんて言葉で思い出すこともないくらい
僕のことなんて
消してしまってくれていい
僕もそう、できればいいのに
【物憂げな空】