"本気の恋"だったのか
"浮ついた恋"だったのか
天秤に乗せてもグラグラ揺れて
きっと量れないと思うんだ
「言ってなかったっけ?
ずーっと片想い中の人が居たんだけどねぇ
きのう漸く両思いになったの♡」
本気の恋だったと気付くのは…
「そうなんだ、うん、良かったね。良かったよ!」
手遅れだと知って
取り残された気持ちに嘘をついたとき
#本気の恋
部屋に飾られた何気ないカレンダー
ふと見ると
今月20日に大きな"バツ印"
メモ欄は空白だ
背後で鼻歌を歌いながら
珈琲を淹れる彼女に視線を向けて
ゴクリ…
溜飲を下げた
#カレンダー
一人で目覚めた朝に「おはよう」と話し
仏壇の花の水を取り替える
当たり前にあった笑顔と
当たり前に用意された三食は
もう当たり前では無くなってしまったのだと
音も匂いもないキッチンで
理解する
-2nd story-
「今秋新作のケーキは絶対に買うぞー!」
仕事終わりの全力移動
乗り込んだケーキ屋さんのショーケースには
『sole out』の札ひとつ
#喪失感
「世界に一つだけわからないことがある」
付き合ってから3年目の秋
木の葉の色付きより早く頬を赤くした彼が
明後日の方を向いて言った
「随分と壮大な"わからない"だね。何だろうか」
いつになったらプロポーズするのよアンタは!
問題はそっちなんですけれど〜
…というのは心の声
気持ちは枯葉のように散りかけだ
「えぇっと、つまりだな…
世界に一つだけわからないことは、きみの気持ちだ!
結婚をしてくれるのか、してくれないのか、どっちだ!?」
どっちだって、アンター!
鈍過ぎだろー!
"世界に一つだけ"のプロポーズは肌寒い…
冬を迎えそうな目で、彼の唇を塞いだ
-2nd story-
世界に一つだけの触り心地!
世界に一つだけの温もり!
世界に一つだけの満足感!!
通販サイトでポチッてしまった高額商品と
"世界に一つだけ"の騙しテクニックに
今でも涙ぐむ
(嘘だろ…)
同性のあいつが好きだとわかった瞬間
息が止まりそうなくらいの酸欠と
激しい胸の鼓動が
ドクンドクンと全身を貫いた
-2nd story-
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ドキッ
素敵な文章を目にしたときに
高鳴るのは"胸の鼓動"