眼前の鉄板上に、ジリジリと焼けるお好み焼き
ひっくり返すタイミングは
今か今かと迫っていた
4人の会社員は固まっている
「おい。誰がやるよ?ここでの失敗は手痛いな」
ゴクッと息を飲む
新人社員の僕の出番か?恐る恐る手を挙げた
自信なんてミリ単位だ
ヘラ(コテ)を握る手には汗もジットリと握る
「ええい!やったらぁー!」
覚悟とお好み焼きが宙を舞った
華麗に翻り、鉄板に落ちゆく様はスローモーション
「勇気がすげぇよ、新人!」
3人からの拍手が沸き起こったとき
僕は"誇らしさ"に満たされ、椅子からずり落ちた
月明かりだけが海面を照らし
波は銀色にさざめく
岩礁に座る美女が優しく笑むのは、夜の海
『あら、歌を聴きに来たのね?』
重ねた唇も抱き合う体温も
海に潜む魔物は
痕跡すら残さず喰らうという
「好きだと言わせてくれよ」
「お前、狡いだろ…」
歌声は惑わす
朝になれば海の藻屑になるのよ、と
『それでも良いの?
寄せては返す波のようにはいかないわ』
許されない恋のゆくえは
深海の闇へ
#夜の海
冒険に憧れた
少年時代の甘酸っぱい思い出のひとつだ
"自転車"は旅の相棒
俺の反抗期は
ペダルを漕いで向かい風に逆らいながら
道なき道を全力疾走
無我夢中で走り抜けた
「並走できたし僕も楽しかったけれどね」
パンクした自転車を整備しながら、今の相棒が笑う
#自転車に乗って
朝は、トーストと目玉焼き
昼は、おにぎり3つ入りのお弁当
夜は、二つのルーを混ぜ合わせた特製カレー
「いただきます」
自分のために用意してくれる3食は
"心の薬"
いつも健康で過ごせている
それは、あなたのお陰なのですよ
ありがとう
#心の健康
君の話す声はソプラノ、アルト、テノール、バス
軽やかにも重くもなる
重なり音を奏でて旋律となる事も
スマホに耳を傾けながら
「今日はねぇ」からはじまる君の音楽を
「何か良い事あった?」僕は心地良く聴いている
#君の奏でる音楽