まぽわぽん

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8/11/2023, 11:43:31 AM

「老若男女、お前の持ち主はどんなひと?」

夏物語のひと欠片を
砂浜に置き忘れられた
麦わら帽子だけが知っている

拾い上げて砂を祓う

昼間の灼熱を和らげた西日を
スッと透過する鍔(つば)からの光は
何処となく
優しい夏の終わりを感じた。


#麦わら帽子
(申し訳ありません。今日のお題は何度か描き直してます。納得のいく一文って難しいですね)

8/10/2023, 11:02:36 AM

家出した。
持ち物はスマホだけ、心許ない衝動だ。
目的もなくバスに乗る。
けれど…

「お前らぁ!大人しくしねぇとどうなるか…わかるな?」

バスジャックとバスジャック犯。
突然のアクシデントに"行き先"が決まる。

「見せしめだ。この婆ちゃんをよく見てろ」

犯人が握るサバイバルナイフは
夜間の信号の赤をギラリと反射する。

犯人と、ポケットの中の飴をくれたお婆ちゃんは
手を伸ばせば、すぐ届く距離。
俺は
この時、悔いのない人生の終わりを決めた。

#終点

8/9/2023, 11:10:36 AM

上手くいかなくたっていい…
そんなこと思いたくないし、思わない

完璧じゃなくて不完全
失敗ばかりで手探りな僕の"恋"

きみはとても上手に微笑んでくれるね
「大好きだよ」と
きみを思う気持ちは100%なのに
どうしてかな
上手くいかないことが多くて凹んでばかりだ

8/8/2023, 1:15:19 PM

蝶よ花よと育てられた姉は
蝶のようにも花のようにも育たず
男気溢れる女性へと成長した

「あんたに何かあったら私が前に立つから言いな!」

ビールジョッキが似合いすぎて苦笑する
対して俺の方が、蝶だか花だかに勘違いされて
虫が寄り付いて離れない

「ありがとう、姉ちゃん。ストーカー被害の相談ができてよかった」

カシスオレンジの氷が音を立てて沈む
溶け込む様にじっとりと張り付く結露と
グラスに映る下卑た目…
唇を噛み締めながらも面前の姉に癒された。


#蝶よ花よ

8/7/2023, 11:24:31 AM

好きな作家の小説を読み進める
作中の登場人物で気に入ったひとが死ぬことは
最初から決まってた

それでも…!
堪え切れずに涙してしまうのは

彩られた起承転結と登場人物の生き様に
魅せられていたからだ

本を閉じたあとの消失感と
栞を外した手が、未だに震えて止まらない。


#最初から決まってた

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