Void of Death

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11/24/2023, 9:41:44 AM






計算づくめの甘い罪
梅雨前線ロッカーの三番目
実りのない冬がくる
「会いたい」それだけが連絡網
無意味な2年と6ヶ月が経つ
だから お前に呪詛を囁いている

何もひとりで成せぬお前を
ただ脳裏に刻んでいるから





11/2/2023, 6:34:40 PM





理性を解いて暗闇と融ける

喉を通る不快な感触

手汗がまだ止まらないから

あたしと早く踊って頂戴


10/1/2023, 2:24:54 PM






目の裏で蚕を飼う
ねばねばした昼の夢と 故人の肖像
何故嘘をつけないか
喉焼く痛みを何度も
何度も
おまえの細い首を撫でる様に
汚れた快楽
角膜がタンゴの唾とフェチズムの吐瀉物で潤う
手が震えて何も言えない
それで その節 その覚悟
視覚が死んでも地殻は癒えぬ

戸惑いと 渦




8/23/2023, 1:01:02 AM



相対する家電の連続性
砂鉄のぶり返し
じっくりと べっとりと
足の裏で夢を編む
ヒトの居ぬ間に芽が開く
夢魔との対峙
冤罪と許容
ノート一面に描かれた
赤い斑点と肋骨

善と悪
朽ち果てた地上の楽園で

8/10/2023, 4:53:12 PM


「もう帰っちゃうの」
彼の柔らかな手が頬を擦る。口を尖らせて駄々をこねる彼の影には、まだ幼げが見える。
「家に来てもいいけど」
ぶっきらぼうに言葉を投げたのはいいものの、心の内は頻りに彼を求めていた。
「でも、それ………」
でも。だって。優柔不断な彼の口癖のレパートリーはいつも変わらない。
二人は未だ、肩を並べてその先の言葉を紡げずにいる。けれども、既にいつもの十字路にさしかかるところである。
「送ってやろうか」
沈黙を破るように、俯いて思考を張り巡らせている彼の頭上から声を掛ける。すぐに返事は返ってこない__今となっては先の軽率な台詞を悔いている己が、気まずそうにただ立っている深夜1時。
「あの、今日はおれの部屋じゃ、ダメかな」
脳天を突き抜けるその一声は、瞬時に自身に理解させるには強すぎた。手を引いて駆け出す彼。
今日こそ大人になれるのだろうか。
彼の黒髪交じりの銀髪がたのしげに揺れているのを、自分はただ後ろから眺め続けていた。

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