繰り返される 町内放送
分からなくなった 言葉
見慣れた街並み 夜の帳が閉ざす
朽ち果てた
此処は秘密基地
此処にはもう
誰も居ない 誰もイナイ
マッチの火が
ぼやけて消える
まるで誰かを哀れむよう
湿った堤防 通り過ぎた雨
暗闇の中 遠く煌めいた彗星
意味も無く繰り返される
町内放送
分からなくなった言葉
風に忘るる 思い出の約束
流星の幻に願い事
今だけは分かってしまった
その言の葉を 飲み込んで
このまま 夢に溺れていたい
お題【明日世界がなくなるとしたら、何を願おう。】
タイトル【朽ちた街に独り言】
目が覚める
太陽の視線から逃れる
南の空 高く高く
まだ此方を見ている
隣のビル 影が伸びる
刺すような視線が送られる
扉を叩く音がする ミドリイロの音
どあすこーぷの奥 誰も居ない
騒々しい 外の音
ぐちゃぐちゃ 絵の具を混ぜた音
吠える犬 此方を見て
叱る飼い主 此方を見ながら
ワライゴエ 耳の傍に鳴る
ピンクの音 秋桜より濃い
震える指先 これは大事なタカラモノ
美味しい 美味しい
僕のヒミツ イタダキマス
嗚呼 今日もセカイは美しい
カラフルなお日様
苦しげに 泣いていた
お題【カラフル】
タイトル【色のあるセカイ】
眼下に広がる街並みに
沢山の物語が 呼吸する
フェンスの縁 足掛けて
頭上に鳶が円を描き
風を呼ぶ
遠い地平線 さらにその向こうへ
紙飛行機 風に乗り
何処までも 飛んでゆけ
そして いつか会うときは
輝いた僕が
きっといる
嗚呼 紙飛行機よ
試練を越えた その先で
笑い合おう
離れた指先
僕の物語が 呼吸する
お題【風に乗って】
タイトル【最高で最強】
その刹那
風の音に揺れる花園
黎明に染まる 山ぎわ
始まりは遠く
まだ微睡みに目を覚ますことなく
旅人は謡い語る
まるで1枚の絵画のやうだ
お題【刹那】
タイトル【風見鶏の記憶】
小さな扉 大きい番人
大きな扉 小さな番人
左右二手を示す指先
正解のある問など
このセカイには無く
誰かが セカイを飛び出したとて
唯々 時が巡るだけ
その問に 正解を求めるならば
奈落の歩き方を知る 其れだけだ
滑らかに 踊る様に
酔いどれ乍ら 振り返る
暗闇が滑稽に歩くサマを
お題【生きる意味】
タイトル【宵に濡れ】